フィリピンと中国の睨み合いが続いています | 日本のお姉さん

フィリピンと中国の睨み合いが続いています

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
     平成24(2012)年6月4日(月曜日)
         通巻第3671号 
(読者の声3)南シナ海のスカボロー礁をめぐってフィリピンと中国の睨み合いが続いていますが、中国が領有権を主張する範囲はベトナム・東マレーシア・ブルネイ・フィリピンのすぐ沖合までですから周辺各国が納得できるはずもありません。
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中国は例によって、フィリピンバナナの通関を遅らせ港で腐らせたり、フィリピンツアーをキャンセルしたりの圧力をかけ、香港ではフィリピン人のアマさんが解雇される例も出ているのだとか。

フィリピンから海を隔てて隣国といえば台湾・ベトナム・中国。台湾ではかなり以前からフィリピン人労働者が働いていました。

出稼ぎといえば自国よりも給与・生活水準が上の国に行くのが普通で、以前から人気の香港には15万人ものフィリピン人アマさんがいるといわれます。フィリピンは国内雇用を諦めているためか高学歴の女性もアマさんとして出稼ぎに行きます。フィリピン人は家政婦のプロとして中国人の2倍~3倍の収入もざら、近年では中国本土でも人気で、上海など都市部で働くフィリピン人女性は6万人とも。フィリピン人といえば怠け者のイメージを持つ人も多いかもしれません。
しかしフィリピン本国と比べて高額の収入が得られる海外では本当によく働きます。知人の日本永住資格を持つフィリピン女性、日本人配偶者の収入が十分にあっても昼はパート、夜はパブ・スナックと掛け持ちで働く。

「そんなに働いてどうするの? 」と聞くと国の母親にアパートを買ってあげたなどという。仕送りは親戚にたかられるだけだから今はしていないという女性も多かった。親族が生活保護の不正受給をしていた芸人に爪の垢でも飲ませたいもの。そんなフィリピン女性がベトナムでも人気だといいます。

ベトナム・サイゴンでの散歩の際、シティ・マートというスーパーがありました。
ちょっと高級そう、調べるとシンガポール資本が入っている。
シティマートにはロッテリア+小さいながらフードコート、それもかなり特殊でシンガポール、タイ、フィリピン、ベトナム料理の店が並びます。フードコートとはいえ冷房の効いた店内、値段もそれなり。
甘ったるいフィリピン料理など食べたくもない。タイ料理の定番、鶏挽肉のバジル炒め+ご飯で7万5千ドン(300円)、ぼくの好きなサンミゲルビールは市価の2倍以上の3万ドン(120円)。味はバンコクのファミリーマートの冷凍弁当よりはるかにマシ、セブンイレブンのチルド弁当並み、化学調味料が効きすぎですがバンコクの食堂の平均レベル。

ところでフィリピン料理の店などタイでは見たことがありませんからベトナムではよほどフィリピン人が多いのでしょう。
その証拠にフィリピンの国民的ファストフードのジョリビーまで進出している。

ネットで調べたらサイゴンの富裕層の間ではフィリピン人の家政婦を雇うのが一般的だとか。

ベトナムでは「おしん」と呼ばれ、家事全般からクルマでの送迎までこなすスーパー家政婦、それほどよく働くということなのでしょう。

ベトナムの日本大使館ではフィリピン人によるイカサマトランプ詐欺に注意喚起しています。

英語が話せても本国に仕事がなければ外国で家政婦か詐欺師、英語公用語化論者が決して触れない部分です。

中国進出であえなく敗退した楽天、英語は万能ではありません。ベトナムのフィリピン人、日本語サイトではほとんど情報がありません。

英語サイトを見ると観光ビザで入国し期限が来るとカンボジアでビザを再取得という不法就労が多いらしい。

運転手からエンターテイナーまでさまざま、それでも月に500~1000ドル稼ぐというから本国よりよほど高収入。ASEAN域内国として入国は楽、観光ビザで仕事というのはかつてバンコクでも多かった手口。

タイでは外国人の不法就労に厳しくなり、オーバーステイ一日当たり500バーツの罰金もあり今ではほとんどなくなりました。

かつては東南アジア随一の経済力を誇ったフィリピン、高架鉄道を開通させたのは1984年でバンコクの15年も前でした。

1992年、ろくな軍隊も持たないのに米軍を追い出したとたんに中国はスカボロー礁の領有権を主張、当時のコラソン・アキノ大統領は1988年に故郷の福建省の村で大歓迎され植樹までしています。

昨年8月にはコラソン・アキノの息子で現大統領のベニグノ・アキノ氏も故郷を訪問。

中国はフィリピンを懐柔しながら攻め込んでくる。

フィリピンは権利ばかりを主張してストを頻発させ外資企業を撤退に追い込み、自国の産業を発展させるよりも安易な人材輸出に走り、その結果、いまでは輸出入の総額でタイの1/4、ベトナムの2/3という体たらく。

GDPが半分のベトナムにまで出稼ぎに行くほど落ちぶれてしまった。

マニラのショッピングモールの巨大さはバンコク以上、その消費が海外からの送金頼りという不自然さにフィリピン人は慣れすぎてしまったようです。

沖縄の反米・親中国の論調を見ていると反日メディアの主導とはいえ自分の置かれた立場をわかっていない点ではフィリピンとなんら変わりがない。

普天間基地の問題にしてもかつては基地の周りは空き地だらけだったのに、基地があることを承知の上で住み着いた人たちが文句を言うのはおかしい、とは誰も言わない。

フィリピンとともに中国の脅威に悩まされるベトナムは6月3日からアメリカのパネッタ国防長官の訪問を受け入れています。

アメリカと本気で戦ったベトナムだからこそアメリカの実力を知っている。

長官は米軍の基地でもあったカムラン湾で補修のため同湾に停泊中の米海軍補給艦リチャード・E・バードを訪問。

中国に対する牽制の意図がありあり。

そこに自衛隊の艦船でも停泊していればもっと効果的だったでしょう。

慰安婦や南京事件で日本叩きに加担するのもアメリカならばシーレーン防衛の主体もアメリカ。

アジアの安定とアメリカの反日勢力を抑えるためにも日本がシーレーン防御の前線に出る時期が来ているように思えます。
  (PB生、千葉)