農林水産省の機密文書が外部に漏れ、書記官も内容を把握していた疑い
中国書記官、農水機密に接触・何度も副大臣室へ
読売新聞 5月30日(水)3時2分配信
中国大使館1等書記官(45)による外国人登録法違反事件で、農産物の対中輸出促進事業に関する農林水産省の機密文書が外部に漏れ、書記官も内容を把握していた疑いがあることが分かった。
この事業は民主党の筒井信隆・農水副大臣が主導しており、書記官は副大臣室に出入りしたり、中国の国有企業を日本側に紹介したりするなど、事業に深く関わっていた。警視庁公安部は書記官の諜報(ちょうほう)活動の一環だった可能性があるとみて関心を寄せている。
問題の事業は、一般社団法人「農林水産物等中国輸出促進協議会」が、日本の農産物などを北京の施設で展示・販売する計画。中国の国有企業と提携し、協議会に参加する日本の農業団体や企業に、中国進出の足がかりを提供することを目的としていた。筒井副大臣は、自ら訪中して国有企業側と覚書を締結するなど同事業を主導してきた。
関係者の証言や協議会の資料によると、事業の事務は、鹿野農相グループの衆院議員の公設秘書(当時)が担当。2010年12月に鹿野農相から農水省顧問に任命され、中国側との交渉などを行い、翌年7月に協議会が発足すると、顧問を辞めて代表に就任した。
代表は、事業を進める中で、「取扱注意」などと書かれた同省の内部文書を入手しており、確認出来ただけで30枚を超えていた。中には、農水省が政府の統一基準に基づき、「機密性3」や「機密性2」に指定した文書が20枚近く含まれていた。機密性3は、3段階で最も機密性が高く、福島第一原発事故の影響を受けた国内のコメの需給見通しに関する文書などがあった。
文書について、代表は「筒井副大臣などからもらった」と話している。漏えい行為は職員の場合、国家公務員法違反にあたり、副大臣は、罰則はないが大臣規範に違反する。
書記官は、代表が拠点にしている鹿野農相グループの衆院議員の事務所を度々訪れており、関係者は「書記官も、代表から文書を見せてもらったり、内容を教えてもらったりしていた」と証言している。
一方、事業の構想は10年8月、筒井副大臣らによって民主党内に発足した勉強会で浮上したが、会が発足した背景の一つは書記官から同党関係者への働きかけだった。計5回の勉強会のうち、少なくとも2回に書記官が出席。「中国の企業と協力した方が良い」などと提案し、提携先として国有企業を紹介したという。
昨年5月に予定された展示施設のオープンは、輸出する農産物の検疫条件で中国側とトラブルになるなどして、延期が繰り返されており、その対応のため、書記官が何度も筒井副大臣室を訪れる姿を農水省幹部らが確認している。この事業は中国大使館商務部の担当で、経済部の書記官は直接の担当ではなかった。
h ttp://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120529-00001585-yom-soci
中国スパイ疑惑「副大臣なぜ深入り」疑問広がる
読売新聞 5月30日(水)7時30分配信
警視庁から出頭要請された中国大使館の1等書記官(45)が深く関わっていた農産物の対中輸出促進事業。この事業は書記官の関与が明らかになる前から、正当性や実現性を巡り、疑問の声が続出していた。
筒井信隆農水副大臣らが「農産物の輸出促進」という事業の意義を強調し、「指導力」を発揮すればするほど、「なぜ、そこまで深入りするのか」といぶかる声が農水省内では上がっていた。
「問題の多い事業だが、副大臣が主導しているので、省としても付き合わざるを得ない」。ある省幹部はそう話すとため息をついた。
同事業は、北京の施設で3000品目以上の日本産農産物やサプリメントを常時展示して販売することで、対中輸出を推進させるもので、2016年には年間5000億円の輸出額達成を目標にしていた。
筒井副大臣らは「コメ20万トンを輸出できれば減反の必要はなくなる」などと意義を強調。10年12月、筒井副大臣本人が訪中し、中国側のパートナーとなる国有企業「中国農業発展集団(中農)」と覚書を締結することで事業は開始した。
日本での説明会は農水省が主催するなど、当初は同省も全面的にバックアップする姿勢だった。11年3月に福島第一原発事故が起き、中国が一部の都県の食品輸入を停止するなどしても中断されることはなかった。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120530-00000160-yom-soci
中国大使館員の接触、前原氏「情報得ていた」
読売新聞 5月29日(火)20時29分配信
民主党の前原政調会長は29日の記者会見で、在日中国大使館の1等書記官による外国人登録法違反事件に関連し、「法律に違反することがあれば日本の国内法に照らして、厳しく対応されるべきだ」と述べた。
1等書記官は松下政経塾に在籍していたが、同塾出身の前原氏は「名刺交換した記憶もない」と語った。
日本での中国の情報収集活動について「私が外相の時に、人民解放軍出身の中国大使館にいる人がコンタクトを図っているという情報は(首相)官邸を通じて得ていた」と述べた。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120529-00001029-yom-pol
<中国書記官>日本語堪能、要人と接触 松下政経塾にも在籍
毎日新聞 5月29日(火)13時12分配信
「日本語がうまく勉強熱心だった」。警視庁の捜査で明らかになった在日中国大使館の1等書記官による外国人登録法違反事件。書記官は大学で研究員として勉強を続けながら松下政経塾にも在籍するなど、政財界への人脈作りは多岐にわたっていた。書記官の本当の目的は何だったのか。公安部は実態解明を進める。
捜査関係者によると、書記官が松下政経塾に海外インターンとして在籍していたのは99年4月からの半年間。当時一緒に学んだという民主党の森岡洋一郎・衆院議員は29日、「塾を卒業してからはほとんど付き合いはない。在籍当時はおとなしい印象があるだけ」と述べた。
同塾に在籍中に、書記官と交流があった福岡県春日市の元参院議員秘書、平山喜基さん(37)は「冗談をよく言うような明るい人。法律に反することをするようなタイプには見えなかった」と驚きの表情。日本語は堪能で酒を飲みながら議論したという。「靖国問題や太平洋戦争などについて話し合ったが、決して中国側の意見を押しつけることはなかった。日本の立場を理解しており、柔軟にものを考えられる印象だった」と振り返る。「政経塾ではOBの国会議員や政府関係者との接触も多く、人脈を広げていたのかもしれない」と話す。
書記官は経済分野を専門としており、日中間の経済活動についても各地で講演していた。6月上旬に書記官や国内の弁護士らを招いた経済セミナーを企画していた東京都内のコンサルティング会社は「セミナーは中止にした」としている。
捜査関係者によると、書記官は93年5月に福島県須賀川市の友好都市である中国・洛陽市職員の肩書で国際交流員として来日。95年4月~97年3月には福島大大学院で行政問題について学んだ。
帰国すると人民解放軍の総参謀部とつながりがあるとされる中国の調査研究機関「中国社会科学院」で日本研究所副主任を務めた。99年に再来日し、松下政経塾のインターンを終えると、03~07年まで東京大の付属機関「東洋文化研究所」や「公共政策大学院」に研究員として在籍していた。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120529-00000050-mai-soci
中国書記官:外国人登録証を不正更新 警視庁が書類送検へ
毎日新聞 2012年05月29日 10時56分(最終更新 05月29日 12時57分)
在日中国大使館の1等書記官(45)が外国人登録証を不正に更新していたとして、警視庁公安部が今月中旬、外務省を通じ中国大使館に出頭要請していたことが捜査関係者への取材で分かった。中国大使館は出頭要請を拒否し、書記官は23日に出国している。警視庁は書記官を外国人登録法違反(虚偽申告)容疑で書類送検する。中国の外交官が日本の国内法に抵触して立件対象となるのは初めて。
捜査当局によると、書記官は中国人民解放軍の情報機関「総参謀部」出身とされ、日本での活動実態を調べている。
書記官は08年4月、外交官にもかかわらず、研究員と身分を偽って虚偽の住所などを記載した申請書を東京都内の葛飾区役所に提出し、外国人登録証を不正更新した疑いが持たれている。
書記官は08年1月ごろ、外交官の身分を隠し、以前、東京大学の研究員だった際に取得した外国人登録証を用いて銀行口座を開設。口座には中国に進出しようとしていた都内の健康食品販売会社から顧問料名目で毎月10万円前後が振り込まれていたほか、書記官の周辺には複数の企業から数百万円が流れた形跡があるという。
http://mainichi.jp/select/news/20120529k0000e040159000c.html?inb=yt
中国書記官:夫婦で「顧問料」系列会社の役員に
毎日新聞 2012年05月29日 22時33分(最終更新 05月29日 23時44分)
在日中国大使館の1等書記官(45)が外国人登録証を不正に更新して警視庁から出頭要請を受けた問題で、書記官に「顧問料」を支払っていたとされる健康食品販売会社(東京都千代田区)が、書記官と内縁の妻を中国・香港の系列法人役員にしていたことが関係者への取材で分かった。同庁公安部は同社が書記官の力を頼りに中国進出の成功を図ろうとしていたとみて調べている。
同社社長が毎日新聞の取材に答えた。社長によると、5年ほど前、数カ月間アルバイトで働いていた内縁の妻を通じて、書記官と知り合った。数年後に香港に会社を設立し、2人を役員にした。社長は「書記官は弁護士資格もあり、商売に役立つと考えた。退官後にと思ったが、退官が遅れて現役中に役員になってもらった。役員報酬は払っていない」と話した。
一方、書記官が偽の外国人登録証を使って開設した口座に振り込んでいた「顧問料」については「妻へのアルバイト代で顧問料ではない。全部で数十万円程度」と証言。ただ「書記官の口座への振り込みが違法だとは当時は知らなかった」と強調している。書記官の銀行口座は外交官としてではなく、東京大の研究員だった際に取得した登録証を用いて開設されていた。ウィーン条約42条は外交官が個人の利得を目的に商業活動することを禁じており、公安部は書記官が現金の振り込みを隠すために身分を偽ったとみて調べている。一方、これまでの調べで、書記官の周辺には複数の企業から数百万円が流れた形跡があり、公安部が裏付けを進めている。
http://mainichi.jp/select/news/20120530k0000m040100000c.html