チュウゴクの官僚たちは病的な盗癖と無秩序な積極性で汚職に染まっている
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成24(2012)年5月25日(金曜日)弐
通巻第3662号
高度成長が汚職を巨大化させた。「成長と腐敗」なる二重の矛盾を米国学者が指摘
構造的汚職ではなく、「病的な盗癖」と「侵略的汚職」が渾然一体
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平成24(2012)年5月25日(金曜日)弐
通巻第3662号
高度成長が汚職を巨大化させた。「成長と腐敗」なる二重の矛盾を米国学者が指摘
構造的汚職ではなく、「病的な盗癖」と「侵略的汚職」が渾然一体
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米国人学者が書いた『ダブル・パラドックス』(コーネル大学出版会、本邦未訳)が評判を呼んでいる。
中国の汚職の実態を過去三十年の統計数字からひろって十数年をかけて研究した成果である。著者はアンドリュー・ウェデマン(ネブラスカ・リンカーン大学教授)。早速、取り寄せて読んだ。
汚職は独裁制と民主制とを問わず、人間社会ではつきものだが、独裁者の汚職は、かつてモブツ大統領がザイール経済を破滅させたようにまことに始末が悪い。フィリピンもインドネシアも似かよったところがあって外国からの援助を権力側が独占した。イメルダ夫人の靴がよく汚職の典型に喩えられたが、あの程度は、中国へ行けば木っ端役人でもやっている。
モブツ(ザイール元大統領)はほぼ全ての国冨(レアメタルの権益)を独占し、スイスに預金し、大統領専用機に同乗させた「大統領補佐官」はなぜか全員が魅力的な女だった。つまり空中ハーレムを飛ばして西側を歴訪した。
日本や韓国の汚職は「構造的」なもので制度にビルトインされた、付随的特性を持つ。
中国では毛沢東時代の禁欲主義から解放された途端、経済の高度成長が汚職をぐいぐいと加速した。国民に禁欲を命じながら毛沢東本人はハーレムの愉しみに専心した。政敵は殆ど殲滅したが、鎖国と相互監視の恐怖政治だったから実現できた。
トウ小平が登場した。改革開放は中国人を明るくさせ、夢が灯った時期もあった。
猛烈に腐敗も進んで、GDP大躍進カーブと汚職の深化が平行した。
中国の汚職体質は過去四千年、いずれも王朝の独裁体制につきもので構造的であるとはいえ、毛沢東以後の中国には「二つの特性」があるとウェデマン教授が指摘する。
第一に権力を嵩に利権を根こそぎ強奪するという独裁制度の裏側にある無秩序な積極性(Predatory)だ。
第二は「病的な盗癖」(Kleptocracy)に支えられており罪悪感がない。逮捕起訴されるのは氷山の一角で、よほど運が悪いか、政敵の仕掛けた戦いに破れるか、一般的には政治的保護の範疇の中でおこなわれる汚職は相互監視ではなく相互黙認、全体の暗黙のなかで展開される。
すなわちトウ小平の改革開放政策から中国は転換した。
奇しくもエズラ・ボーゲルが書いた新刊は『トウ小平と中国の転換』(本邦未訳)。
いかに転換したか、社会主義市場経済へ展開したが、それは資本主義ではなく共産党独裁市場と国家資本主義であった。
腐敗、汚職が顕著になったという転換が起きた。
1996年の国際ランキングで中国の汚職度は世界六位だった。しかし高度経済成長率は10%あった。1995年に北京では『汚職対策』のシンポジウムが開催され、ウェデマン教授らも出席した。ときの共同議長は陳希同・北京市書記だった。直後に陳は「汚職」が摘発され、起訴された。懲役十六年。
▼汚職は独裁権力の象徴なのである
汚職に手を染めない政府高官は珍しく、また汚職に手を染めても、摘発される高官は珍しい。摘発されるのは不運か、でなければ政治保護からはずれたか、である。
陳希同(北京市書記)の場合は江沢民との権力闘争の結果、主流派から排斥されたのであり、陳良宇(上海市書記)も胡錦涛らを敵に回し、江沢民の庇護も受けられなくなったからであり、こんかいの薄煕来のケースと似ている。
摘発された公務員は1988年に僅か190名、それが1990年には1118名となり、95年には2285名となり、いまでは二万名を超えるが、中国共産党の大物はまれにしか起訴されず、やりたい放題である。
くすねた金額も、1984年には僅か4000元、1998年には140000元平均となり、2005年の汚職事件の平均金額は273000元となった。
不正蓄財は香港へ送られ、国際金融市場でマネーロンダリングされてから英領バージン諸島の怪しげな投資会社へ流れ、米国などのヘッジファンドと化けて、大部分は「外国投資家」と化けて、中国の不動産投資へ環流してくる。
劉志軍(鉄道部長)の汚職額は20億元とも言われたし、薄護来は80億元と桁違いだった。汚職は権力に付帯し、そのくすねた金額が大きければ大きいほどに権力者であるという意味である。
▼汚職に押しつぶされる中国経済
権力側は天下のためではなく自分がいかに富むかにしか興味がない。孫文がいった「天下為公」はまさに謳い文句に過ぎず、孔子の哲学は、「そういう思想もあるのか」という程度で権力者が知覚しているに過ぎない。米国の孔子学院では何を教えているか不明な教師らの滞在延長を一切認めなかった。孔子を教えていないからである。
高度成長がかかえる汚職の拡大肥大化、巨額化という悪性のスパイラルは、もはやコントロールできない地点まできた。だから薄煕来は汚れたイメージがありながらも、落ちこぼれ、負け組、思想左翼、庶民からは絶大な人気があるのだ。
「毛沢東に帰れ」と。
中国経済はいずれ汚職に押しつぶされる懼れがある。
不動産バブルは事実上破綻しているが、共産党幹部の利害と絡むために破綻を公表せず、最後のババ抜きゲームをやっているに過ぎない。
げんに「第一四半期の新規融資は前期比で33%も減少しており、2012年通年の融資は政府予測の8兆元を割り込んで、7兆元に落ち着くだろう」(ブルームバーグ、5月25日)。
世銀は今年度の中国GDPの伸びを8・2%に下方修正したが、8%どころか5%内外に落ち込む懼れが強く、2013年、党大会の終了をまって、巨大な中国不動産バブルの崩壊が始まり、そして「中国が世界経済を破綻させる」(拙著新刊の題名も、おなじ)ことになるだろう。
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世銀は今年度の中国GDPの伸びを8・2%に下方修正したが、8%どころか5%内外に落ち込む懼れが強く、2013年、党大会の終了をまって、巨大な中国不動産バブルの崩壊が始まり、そして「中国が世界経済を破綻させる」(拙著新刊の題名も、おなじ)ことになるだろう。
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明日、西尾幹二氏講演会のお知らせ
明日、西尾幹二氏講演会のお知らせ
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「真贋ということ―小林秀雄・福田恆存・三島由紀夫をめぐって」
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2011年10月に刊行開始された〈西尾幹二全集〉(全22巻)は、ドイツ思想から日本の近代史まで幅広いテーマを扱う氏の業績を網羅した決定版全集です。また、氏の著作へより多くの読者に親しんでいただくため、各巻の刊行に際し、その巻の内容に関連したテーマを設定し講演会を開催するという興味深い試みを行っています。
第1回配本『光と断崖―最晩年のニーチェ』刊行を記念した「ニーチェと学問」(於:豊島公会堂)、第2回配本『ヨーロッパの個人主義』刊行を記念した「個人主義と日本人の価値観」(於:星陵会館)に引き続き、第3回配本『悲劇人の姿勢』刊行に際して「真贋ということ―小林秀雄・福田恆存・三島由紀夫をめぐって―」と題した講演会を開催します。
記
【題目】「真贋ということ―小林秀雄・福田恆存・三島由紀夫をめぐって―」
【日時】2012年5月26日(土) 開場:18:00 開演18:30
※終演は20:00の予定です。その後サイン会・名刺交換会を行います。
【入場料】1000円 ※予約は不要です。
【場所】星陵会館ホール 〒100-0014 東京都千代田区永田町 2-16-2
TEL 03(3581)5650 FAX 03(3581)1960
(有楽町線・半蔵門線 永田町駅 徒歩3分/千代田線 国会議事堂前駅 徒歩5分/南北線 溜池山王下駅 徒歩5分/銀座線・丸の内線 赤坂見附駅 徒歩7分 ※駐車場はございませんので、公共交通機関にてお越し下さい。)
【問い合わせ先】国書刊行会 TEL:03-5970-7421 E-mail:sales@kokusho.co.jp
【本プレスリリースに対するお問い合わせ先】
国書刊行会 http://www.kokusho.co.jp
TEL:03-5970-7421 FAX:03-5970-7427
編集担当:中川原 nakagawara@kokusho.co.jp
営業担当:永島 nagashima@kokusho.co.jp
『西尾幹二全集』(全22巻)
第3回配本 第2巻『悲劇人の姿勢』(2012年4月25日発売)
定価:本体5800円+税
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宮崎正弘の最新刊
『中国が世界経済を破綻させる』(清流出版、1680円)
5月25日、全国一斉発売
アマゾンから予約注文が出来ます ↓
ISBN-13: 978-4860293857
http://www.amazon.co.jp/dp/4860293851/
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宮崎正弘のロングセラー
『国際金融危機 彼らは「次」をどう読んでいるか』(双葉社新書、840円)
http://www.amazon.co.jp/dp/4575153877/
『2012年 中国の真実』(ワック、930円、新書版)
http://www.amazon.co.jp/dp/4898316557/
『中国大暴走 高速鉄道に乗ってわかった衝撃の事実』(1365円、文藝社)
http://www.amazon.co.jp/dp/4286114228/
『中国は日本人の財産を奪いつくす!』(徳間書店 1260円)
http://www.amazon.co.jp/dp/4198631565/
『オレ様国家 中国の常識』(新潮社、1470円)
http://www.amazon.co.jp/dp/4103290617/
<宮崎正弘の対談シリーズ>
『猛毒国家に囲まれた日本』(佐藤優氏との対談。海竜社、1575円)
『増長し無限に乱れる「欲望大国」中国のいま』(石平氏との対談。ワック、945円)
『絶望の大国 中国の真実』(石平氏との対談。ワック、933円)
『日米安保、五十年』(西部邁氏との対談。海竜社、1680円)
『世界が仰天する中国人の野蛮』(黄文雄氏との対談。徳間書店、1575円)
宮崎正弘のホームページ http://miyazaki.xii.jp/
(C)有)宮崎正弘事務所 2012 ◎転送自由。転載の場合、出典を明示
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「真贋ということ―小林秀雄・福田恆存・三島由紀夫をめぐって」
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2011年10月に刊行開始された〈西尾幹二全集〉(全22巻)は、ドイツ思想から日本の近代史まで幅広いテーマを扱う氏の業績を網羅した決定版全集です。また、氏の著作へより多くの読者に親しんでいただくため、各巻の刊行に際し、その巻の内容に関連したテーマを設定し講演会を開催するという興味深い試みを行っています。
第1回配本『光と断崖―最晩年のニーチェ』刊行を記念した「ニーチェと学問」(於:豊島公会堂)、第2回配本『ヨーロッパの個人主義』刊行を記念した「個人主義と日本人の価値観」(於:星陵会館)に引き続き、第3回配本『悲劇人の姿勢』刊行に際して「真贋ということ―小林秀雄・福田恆存・三島由紀夫をめぐって―」と題した講演会を開催します。
記
【題目】「真贋ということ―小林秀雄・福田恆存・三島由紀夫をめぐって―」
【日時】2012年5月26日(土) 開場:18:00 開演18:30
※終演は20:00の予定です。その後サイン会・名刺交換会を行います。
【入場料】1000円 ※予約は不要です。
【場所】星陵会館ホール 〒100-0014 東京都千代田区永田町 2-16-2
TEL 03(3581)5650 FAX 03(3581)1960
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『西尾幹二全集』(全22巻)
第3回配本 第2巻『悲劇人の姿勢』(2012年4月25日発売)
定価:本体5800円+税
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『中国が世界経済を破綻させる』(清流出版、1680円)
5月25日、全国一斉発売
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『国際金融危機 彼らは「次」をどう読んでいるか』(双葉社新書、840円)
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『2012年 中国の真実』(ワック、930円、新書版)
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『中国大暴走 高速鉄道に乗ってわかった衝撃の事実』(1365円、文藝社)
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『中国は日本人の財産を奪いつくす!』(徳間書店 1260円)
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『オレ様国家 中国の常識』(新潮社、1470円)
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『猛毒国家に囲まれた日本』(佐藤優氏との対談。海竜社、1575円)
『増長し無限に乱れる「欲望大国」中国のいま』(石平氏との対談。ワック、945円)
『絶望の大国 中国の真実』(石平氏との対談。ワック、933円)
『日米安保、五十年』(西部邁氏との対談。海竜社、1680円)
『世界が仰天する中国人の野蛮』(黄文雄氏との対談。徳間書店、1575円)
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