尖閣で騙し続ける中国「頂門の一針」2589号
わたなべ りやうじらうのメイル・マガジン「頂門の一針」2589号
2012(平成24)年4月23日(月)
━━━━━━━━━━
尖閣で騙し続ける中国
━━━━━━━━━━
渡部 亮次郎
日中国交正常化するとき、1972年9月、田中角栄首相と周恩来の首脳会談で両者が尖閣諸島の帰属問題を話し合ったという発表はなかった。
この時、私はNHKの記者として田中首相に同行したが、会談内容を発表する官房長官二階堂進は「内容は一切発表できません」と繰り返した。
しかし、最近の「ウィキペディア」によると、
<9月27日:日中国交正常化交渉のため中国を訪問した田中角栄内閣総理大臣と周恩来国務院総理との第3回首脳会談の中で、田中角栄が尖閣諸島について問うた。
周恩来は「尖閣諸島問題については、今回は話したくない。今、これを話すのはよくない。石油が出るから、これが問題になった。石油が出なければ、台湾も米国も問題にしない。」と述べている。
これより1年前の1971年7月28日、日中国交正常化交渉の一環として北京で行われた竹入義勝衆議院議員(公明党)と周恩来国務院総理との会談の中で、周恩来が「尖閣列島の問題に関心がなかった」としたうえで、「石油の問題で歴史学者が問題にした」と述べ、中国が尖閣諸島の領有権を主張し始めたのは、付近に眠る石油資源が目当てだったことを認めている。
この件は、2010年9月30日に行われた衆議院予算委員会の尖閣諸島中国漁船衝突事件に関する集中審議で取り上げられている(質問者は富田茂之衆議院議員)。
この周恩来の発言は、日本政府の「中華人民共和国政府の場合も台湾当局の場合も1970年後半、東シナ海大陸棚の石油開発の動きが表面化するに及び、はじめて尖閣諸島の領有権を問題とするに至ったものです」とする主張を証明するものである。
なお、この会談を記録した中国側の資料では、会談内容が省略されているため「石油の問題で歴史学者が問題にした」に関する部分が記載されていない。
1978年8月8日、福田赳夫内閣で官房長官から外務大臣に横滑りしていた園田直(すなお)が日中平和友好条約締結への最終交渉のため、特別機を仕立てて訪中。私は記者から彼の秘書官に転じていて随行した。
これに先立ち4月、約100隻の中国漁船が尖閣諸島に接近し、領海侵犯、領海内操業を行った。
5月11日には日本の右翼団体「大日本赤誠会」の「尖閣諸島領有決死隊」が海上保安庁の制止を振り切り、戦後初めて領有権を主張しての強行上陸。
日章旗を掲揚。
尖閣諸島の帰属問題では、自民党内でも石原慎太郎ら青嵐会(せいらんかい)が中心で、「帰属問題を解決しない限り、園田外相には平和友好条約には調印させない」と息巻き、福田首相を突き上げていた。
こうした情勢を受けて園田大臣はトウ小平副首相と会談した際、「4月の約100隻の中国漁船による領海侵犯もんだいもあり、この際帰属問題をはっきりさせたい」と提議した。
するとトウ小平はすかさず「この問題は今は棚上げしたい。互いに次世代が知恵をだすだろう」と逃げを打った。園田はなおも食いついたがトウは逃げるばかりだった。
トウはその後、条約の批准書交換のために黄華外相に同行して、この年の秋、日本を初訪問。日本記者クラブで行われた会見の席上で、
「尖閣諸島を中国では釣魚島と呼ぶ。名前からして違う。確かに尖閣諸島の領有問題については中日間双方に食い違いがある。国交正常化の際、両国(田中首相と周恩来総理)はこれに触れないと約束した。
今回、平和友好条約交渉でも同じように触れないことで一致した。中国人の知恵からしてこういう方法しか考えられない、というのは、この問題に触れると、はっきり言えなくなる。
こういう問題は一時棚上げしても構わない、次の世代は我々より、もっと知恵があるだろう。皆が受け入れられるいい解決方法を見出せるだろう」と述べた。
だが周恩来もトウ小平も完全に日本政府を騙したのだ。
「知恵」なんて少なくとも中国は出さず、とにかく領有の既成事実化だけを焦って、いまでは武力をちらつかせて日本を脅しにかかっている。
文中敬称略 2012・4・22
━━━━━━━━━━━━━━━━
人民が変わり、やがて党が変わるか
━━━━━━━━━━━━━━━━
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成24(2012)年 4月23日(月曜日)
通巻第3633号
中国で最も人気のある若手作家、韓寒が薄煕来事件で発言
「中国の表現の自由は100%ではない。官製情報を鵜呑みには出
来ない」
****************
韓寒は作家であるが、同時にカーレーサー。まだ29歳、その才能は輝いて、デビュー作『三重門』は200万部を売り、世界各国で翻訳もでた。
『TIME』が「これからの世界を動かす100人」に選んだこともある。
代作問題とかで裁判沙汰になりかけたが、共産党系の嫌がらせ。結局、裁判にはいたらず、本人はいまも意気軒昂とブログを綴る。彼のブログ読者は優に100万近い。
筆者が彼に関心を抱いたのは次の発言である。
「歴史教科書に書かれた日本軍の侵略と歴史の真実は異なる。われわれは教科書で共産党が日本軍を負かしたと教わったが、歴史の真実は、日本軍と戦ったのは国民党だということ。つまり官製情報と真実はまったく異なる」。
英紙フィナンシャルタイムズが、上海郊外松江に住む漢寒にインタビューに赴いた(4月21日付け)。
韓寒夫妻は近くの瀟洒なレストラン(芸術家飯店)でインタビューに応じたのだ。
韓寒の父親は共産党員だが、作家でもあり、母親は福祉関係の仕事。韓寒夫妻には1歳半の娘がいる。
「西側が想像している中国の言論状況は、西側の言論の自由ほどではないにせよ、かなりの自由がひろがっていて、われわれは何でも書ける自由があるが、政府はブログなどを勝手に削減する『自由』もある。
微妙な話題では論争が起こせないようになっており、愛国者からわたしの言論に売国奴だという批判もあったし、自由派からは改革への姿勢が弱いというお叱りも受けた。
さて薄煕来事件だが、吾々は何一つ真実の情報に接してはいない。多くの中国の知識人は薄の政治的姿勢、その遣り方を嫌っているのは事実だが、ポピュリズムを敵にまわしてはいない。毛沢東はそもそもポピュリストであり、大衆を扇動して文革を始めたではないか。」
彼はレストランで静かに続けた。
「近い将来に、この共産党独裁を倒すのは不可能だが、人民が変わり、やがて党が変わる。中国の民主化は中国人に向かないなどと僕は言っていないし、広東省鳥炊村でおきた村党委員会書記選挙は、はじめて自由選挙が行われたように、明日の民主化への道標である」
韓寒は、中国の未来に楽観的で、「外国で暮らすより、僕は中国で生きる」とも明言した。それなりの生きる知恵を、筆者はこのインタビュー記事の行間から感じた。
♪
(読者の声1)1年半以上前になりますが、貴誌3024号に於いて、米国に射程距離300キロ以上の弾道ミサイル開発を禁じられている韓国が「日本全土を収める」射程距離1500キロの巡航ミサイルを開発したという読売の記事を貼らしていただきました。
http://melma.com/backnumber_45206_4914022/
人の記憶とは短いもので北朝鮮のミサイルに注目する一方で多くの人がこの事を忘れていたのでは無いでしょうか。
そんな中で今月19日の日経新聞にはその巡航ミサイルが配備完了とあります。
(引用始め)
「韓国国防省は19日、北朝鮮全域を射程に収める巡航ミサイルを独自開発し、すでに配備済みだと発表した。
実戦配備した弾道ミサイルとともに映像も公開。戦略兵器を公開するのは異例で、北朝鮮の「衛星」と主張した長距離弾道ミサイルの発射や追加的な軍事挑発の動きに対抗する狙いがある。
同省は配備済みの巡航ミサイルについて「数百キロ先の窓を正確に攻撃できる世界最高水準の精密度を持つ」と説明。
「韓国国内のどの場所から発射しても北朝鮮全域をカバーできる」としており、最大射程は1000キロ以上とみられる。
弾道ミサイルの射程は300キロ。
目標の上空到達した後、複数の子爆弾に分かれて攻撃する。
サッカー場数十個分の面積を焦土化できるという。
韓国は米国と取り決めた「米韓ミサイル指針」により、弾道ミサイルは射程300キロまでしか配備できない。
同省はミサイルを公開した理由について「北朝鮮の脅威に揺るぎない対応をする意思を明確にするため」と説明。
李明博(イ・ミョンバク)大統領も19日「我々が強い力を持っていれば挑発もできない。
北朝鮮を圧倒する最新兵器がなければならない」と語った
(引用終り)。
http://www.nikkei.com/news/category/article/g=96958A9C9381959FE3EBE2E5E08DE3EBE2E6E0E2E3E09494E0E2E2E2;at=DGXZZO0195570008122009000000
つまり、日本国はロシアと中共の核ミサイルに加えて時機に核搭載される北朝鮮のノドンミサイル200発の脅威のみならず韓国の巡航ミサイルの射程内に入ってしまったという事なのです。
にもかかわらず日本の防衛大臣は何処の国のインテリジェンス機関が送り込んだのか、そのまんま「だめオヤジ」の田中直紀。
「今日も家ではオニババ(真紀子)が、早く帰れと爪を研ぎ~わし~の帰~りを待ってい~る」という様な参議院予算委員会審議中にコーヒーを飲みに出かけても許して上げたくなるような哀愁を漂わせていますが、自衛隊制服組は相手にしなくなった様です。
果たしてこれで良いのか、良くないのか。
http://www.youtube.com/watch?v=8HIkHywh-xI&feature=related
(道楽Q)
(宮崎正弘のコメント)防衛大臣に限らず、殆どが閣僚失格のドジョウ
政権。
♪
(読者の声2)貴誌通巻第3629号で「YN子、横浜」氏が(読者の声3)で「わたしは、全部を読んだなかで、稲田朋美さんが『日本のサッチャー』にもっともふさわしいと思いました」と書かれたのに対して、宮崎さんが「小生もそう思います」と書かれました。
2年ほど前に民主党が政権を失ったあとの首相に稲田氏がなる可能性が高いと書かせていただきました。
あれは、希望的観測ではなく、当時の状況と将来への社会的、政治的変動要因のベクトルを考えるとそうなる可能性が高いということでした。
弾道学を学んで砲弾の着地点を予測するのと、砲口の方向だけで予測するとの違いです。
だからこそ高杉晋作は弾道学を習得するために英語で書かれた数学の本を学んだのです。(ST生、千葉)
(宮崎正弘のコメント)高杉晋作と弾道学、新しい研究課題ですね。
♪
(読者の声3)昨年の12月8日は、日米開戦70周年の記念すべき日でした。「史実を世界に発信する会」では、これを記念して、「アメリカはなぜ対日戦争を仕掛けたのか」というタイトルのもと、第一回講演会を同日、永田町の憲政記念館講堂で開催いたしました。
戦後六十数年、あの戦争を振り返るたびに、なぜ日本はあの戦争に突入したのか、という視点から、原因の追究、そして責任追及がなされてきました。
しかし当時、世界と太平洋圏を圧倒的な力によって実質支配していたアメリカにこそ、その原因、責任の大半があったという、正しい事実を無視して、あの戦争の原因の解明を図ることなどできるはずもありません。
私たちは70周年のこの機会をとらえて、これまでの視点を転換する日米戦解明に挑戦する講演会を行ったわけです。来賓のお言葉、そして4人の講師の講演が、どこまでこの課題に迫ったか、全容を会報No.5(16ページ)に掲載いたしましたので、ご高覧の上、皆様のご判断、ご批判を頂ければと思います。いずれにしても、その第一歩を踏み出す意義のある講演会であったと思います。
「会報No.5」をご希望の方は、お名前、住所をお知らせ頂けば、無料でお送りします。
また満場に参加者があふれる熱気にあふれた当日の講演会を、DVD に再現いたしました。見たいところに自由に飛べるように、編集もされていますので、見やすいものになっているかと思います。 このDVDは、送料込みで、1枚1500円でお分けしております。お申込みお待ちしております。
定価:1500円(送料・消費税込)
申込先:「史実を世界に発信する会」
105-0003 東京都港区西新橋2-13-14 新佐久間ビル3F
TEL 03-3519-4366 FAX 03-3519-4367
moteki@sdh-fsct.com
━━━━━━━━━━━━━
“暴動大国”中国の末期症状
━━━━━━━━━━━━━
平井 修一
防衛省防衛研究所が「東アジア戦略概観 2012」で多発する中国の暴動・抗議活動について報じている。以下はその一部である。
・・・
中国では経済成長に伴う社会の変化の中でさまざまな矛盾が生じ、暴動・抗議活動のような形で噴出してきた。確実な統計はないものの、報道によれば、暴動・抗議活動は2003年に6万件、2004年に7.4万件、2005年に8.7万件、2008年に12.7万件、2010年に18万件起きたとされ、一貫して増加傾向にある。
しかしこれまでの暴動・抗議活動が、農村地域において起きることが多く、また参加者も比較的限定されていたのに対し、近年の暴動・抗議活動は、都市において発生していることと、携帯電話やインターネットの利用により幅広い階層の人々が参加しているという特徴がある。
<2011年の主要な暴動事件>
・4月~ 四川省およびチベット自治区:チベット僧侶の拘束などに対し、焼身自殺などの抗議活動が相次ぐ。
・5月 内蒙古自治区シリンホト市:漢族炭鉱労働者によるモンゴル族遊牧民ひき逃げ事件をきっかけとして、数千人規模の抗議運動が展開された。
・5月26日 江西省撫州市:地方政府による土地収用に不満を持った農民が市庁舎付近に爆弾を仕掛け、死傷者が出た。
・6月1日 広東省増城市:四川省からの出稼ぎ露天商が警官に暴行を受けたことから、四川省出身者による数千人規模の暴動に発展。
・6月6日 広東省潮州市:四川省出身者が賃金支払いをめぐってトラブルとなり負傷し、これに対する当局の対応への不満から数千人規模の暴動に発展。
・7月23日 浙江省温州市:高速鉄道における事故。政府の初期対応の稚拙さに加えて、事故当初、報道が比較的自由であったこと、微博などを通じて情報が拡散されたことで、政府に対するメディア・民衆の批判と不信感が広がった。
・8月14日~ 遼寧省大連市:台風の接近に伴い化学工場近くの防波堤が決壊。有毒物質が漏れ出す恐れが強まり、大連市民1万人以上による化学工場移転要求デモが起きる。
・9月~2012年1月 広東省汕尾市陸豊市烏坎村:地方政府の土地収用およびそれに関連した活動家の死亡に対し、9月から12月にかけて農民が抗議活動を展開。政府側の譲歩を勝ち取り、村の幹部が更迭され、抗議活動のリーダーは党支部書記に就任した。
・・・
幕末の日本も暴動・抗議活動が相次いだ。
<百姓一揆は天正18年(1590)から慶応3年(1867)までの278年間に日本全国で2809件起こり、1年間の平均は10.1件になる。これが幕末に近づくほど頻繁に沸騰し、天明6年に33、同じく7年に44、天保の14年間に359件に達している。
天保8年には幕府の元役人(与力)であった大塩平八郎が救民の旗印を掲げて大坂市中で武力蜂起した・・・嘆願が反抗となり、農民一揆が世直し一揆の政治的色彩を帯びてきたのである>(大佛次郎「天皇の世紀」)
腐敗と汚職の進む中共の“腐臭帝国”も末期を迎えつつあるのだろう。
1日も早い崩壊を世界は望んでいる。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
”審議拒否”を拒否する作戦と進次郎氏
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
古沢 襄
自民党は足元で小泉進次郎青年局長が”審議拒否”拒否作戦と、谷垣執行部を間接的な表現で批判した。すべての国会審議に審議拒否方針を決めた谷垣総裁に対する批判だから党内に反響を呼んでいる。
21日、名古屋市で行った自民党愛知政治大学院の講演で進次郎節が飛び出した。人気男の発言だけに様々な臆測を呼んでいる。
<こんばんは。小泉進次郎です。名古屋で出席した自民党愛知政治大学院、通称『愛政塾』は88人で、メンバーは19歳から上はなんと91歳!91歳のAさん、握手の力強さと笑顔が印象的でした。
自民党の地方政治学校は全国に26校設置されています。こういった政治参加の機会を設ける重要性を改めて痛感した名古屋出張でした。
さて、名古屋で講演を終えて横浜に着きました。今から横浜で講演です。
(小泉進次郎ブログ)>
<自民党の小泉進次郎青年局長は21日、名古屋市中区で開かれた党愛知県連主催の政治塾で講演し、2閣僚の問責決議可決を受けた党本部の審議拒否方針について、「政権交代で、国民は自民党に責任ある建設的な野党の姿を期待した。『審議拒否拒否作戦』くらいやったらいい」などと批判した。
小泉氏は「田中直紀防衛相は(審議を拒否されて)ほっとしているだろう。何度も集中審議、委員会をやって徹底的にやったほうが困る」と指摘。「今の自民党は野党としてのモデルケースにならなければいけない。自民党が信頼たる野党になるのが政治の信頼回復につながる」などと訴えた。(毎日)>
2012.04.22 Sunday name : kajikablog