摘発・強制送還されて正規に入国できない韓国人らが、密航に手を染めている | 日本のお姉さん

摘発・強制送還されて正規に入国できない韓国人らが、密航に手を染めている

摘発! 不法韓国人運ぶ闇夜の「日韓シャトル便」
配信元:2012/03/24 18:31更新
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/event/crime/552041/
【衝撃事件の核心】
 闇夜をついてプレジャーボートで不法入国し、入れ替わりに不法出国者が韓国に向けて船出した-。大阪府警が第7管区海上保安本部(北九州市門司区)などとの合同捜査により、入管難民法違反容疑で7人を逮捕した韓国人の集団密航事件。あるものは日本でのビジネスをもくろんで、またあるものは韓国内にいる親族と会うため、「違法な船旅」を選択したという。法を犯して出入国するために取った手口は、人目につきにくい深夜に実行し、洋上で合流。日本側の受け入れ役がレンタカーで「輸送」するという、周到に計画されたものだった。
 ■ヘッドライトが合図
 平成23年7月1日午前1時半ごろ、山口県下関市豊浦町にある小串(こぐし)漁港。雨音が響く真夜中の海へ向け、車のヘッドライトが二度、三度とパッシングされた。ボートの接岸場所を知らせるシグナルだった。
 レンタカーで出迎えた名古屋市中区新栄のホステス、梁英美(ヤン・ヨンミ)被告(46)=同法違反(密航者収受・輸送)罪などで起訴=が目をこらす中、姿を現したのは、全長約5メートルのプレジャーボート。狭い船内には、名古屋市東区代官町の無職、鄭舜晧(チョン・スンホ)被告(42)=同(不法在留)罪で起訴=ら6人がひしめき合うように乗り込んでいた。


岸に到着し、6人が下船して上陸。入れ替わりに乗り込んだのは、レンタカーで漁港までやってきた千葉県柏市旭町のホステス、張恵美(チャン・ヘミ)被告(32)=同(不法出国)罪で起訴=と、大阪市生野区新今里の無職、朴惠淑(パク・ヘスク)被告(53)=同=ら韓国人の男女5人。船長が乗船を確認すると、ボートは折り返し韓国へ向けて出発。現れたときと同じように真夜中の海に消えていった。
 出港を見届けたのだろうか、6人はおもむろにレンタカーに乗り込み、北九州市内のホテルへ向け、梁被告が車を走らせた。
 ■「韓国で事業に失敗したため…」
 闇に紛れた密航劇は、綿密に計画されたものだった。
 「韓国で事業に失敗し、ふたたび事業をすることができないため、友人のいる日本に行こうと思った」
 鄭被告は、不法入国の意志を韓国にいるブローカーに相談した。するとブローカーは、日本側で受け入れる人物を選定するように要求。鄭被告は、日本国内にいる古くからの友人を介して梁被告にたどり着き、受け入れ役を要請した。
 「借金の返済と子供の学費に金が必要だった」
 こうした事情を抱えていた梁被告は、依頼を受け入れた。さらにブローカーの求めに応じ、「韓国にいる母親や弟に会いたかった」という張被告らの不法出国も手引きすることに。韓国のブローカーから密航の待ち合わせ場所や時間の指定を受け、その日を待つこととなった。
 そして決行日。鄭被告は6月30日午後6時半ごろ、韓国・釜山(プサン)からプレジャーボートで出発。これとは別に、韓国人男女5人が韓国・馬山(マサン)から小型の船で出港しており、約1時間後に洋上で合流。鄭被告のボートに乗り移させて、計6人で日本へ向かった。
 一方、日本に到着したボートで折り返し出発した不法出国者5人は7月1日午前8時半ごろ、韓国に到着したという。
 密入国は、成功したかに思われた。
 しかし、府警生野署が10月、入管難民法違反(不法在留)容疑で大阪市東成区のキムチ店従業員の女(48)を逮捕したことから、韓国側のブローカーを除く12人が関与した集団密航が露見。府警と第7管区海上保安本部などは合同捜査本部を設置し、さらに福岡入国管理局とも連携することで、芋づる式に7人の逮捕へと至った。残る5人の密航者については、府警などが引き続き行方を追っており、ブローカーは、韓国の警察当局が捜査を進めているという。
 ■不法入国は小口化傾向
 不法入国で逮捕された3人は、費用として1人あたり1千万~1400万ウォンを支払っていた。1ウォン=0・07円のレートで換算すると、70万~100万円程度に相当する。また、出国側は張被告が日本円で80万円を、朴被告が700万ウォン(約50万円)を用立てた。こうした費用の大半は韓国のブローカーに渡った。
 これだけの出費をした密航だったが、決して「快適な船旅」ではなかったようで、密航者らは「ボートは狭くて大変だった。スピードも出ていたので揺れて、体をあちこち打ち付けた」と話した。
 しかし、かつて見られたような、数十人が船舶のコンテナにすし詰めになって生死を賭けて渡航するという事例から比べると、ずいぶんと様変わりしている。
 海上保安庁の担当者は「1隻に100人前後が乗り込むなどの大量の集団密航は、近年ほとんど摘発されていない。小口化の傾向が強まっている」と明かす。主な原因は、大量密航の“主役”だった中国が経済発展を遂げ、現地で雇用を確保できるようになったことから、中国からの密航が減ったためとみられている。
 中国に変わって近年、目立っているのが今回と同様、韓国人による密航だ。海保のまとめによると、19~23年の5年間で、船に乗って不法に出入国したとして摘発された67人のうち、韓国籍は44人にものぼる。
 理由について当局者の見方は一致しており、海保の担当者は「韓国人は日本国内にコミュニティーが発達しており、密航者の受け入れ先や仕事が見つけやすい」と分析。さらに捜査関係者も「過去に来日して生活基盤を作った韓国人のうち、不法在留などで摘発・強制送還されて正規に入国できないものが、密航に手を染めている」とする。
 「平成23年版警察白書」によると、不法入国による全国の検挙人数は、18年は2661人だったが22年は653人と減少傾向にある。しかし、海保担当者は「密航事案は潜在化しているだけ」と警戒を緩めておらず、「密航事案は何より水際で阻止することが重要だが、情報がなければ難しい。現地・外国の捜査機関などと連携強化を進め、対策を講じたい」としている。