チュウゴクでのドタバタ政治劇ー政治的優位に立った改革派
薄氏の妻、殺人で死刑の見通し=中国・重慶の疑惑で香港メディア
時事通信 4月13日(金)20時49分配信
【香港時事】先に失脚した前中国共産党重慶市委員会書記の薄熙来氏をめぐる疑惑で、香港のニュースサイト・明鏡新聞網は13日、消息筋の話として、故意殺人容疑で司法機関に送致された谷開来容疑者(薄氏の妻)が死刑になる見通しだと報じた。これに関連して、薄氏自身も起訴されて執行猶予付きの死刑か無期懲役の判決を受ける可能性があるという。
同サイトによると、谷容疑者は取り調べで、薄氏を支持してきたとされる周永康党中央政法委員会書記(政治局常務委員)の不正について供述し始めた。胡錦濤国家主席ら党内主流派と対立しているといわれる周書記を告発することで自分の刑を軽くするためとみられるが、死刑を免れる望みは今のところないという。
中国の公式報道によれば、谷容疑者は昨年11月に重慶で起きた英国人殺害に関与した疑いが持たれている。このほか、一部の香港メディアは、薄氏が遼寧省で大連市長などを務めていた時期にも、谷容疑者が複数の殺人事件に関わった可能性があるとしている。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120413-00000169-jij-int
時事通信 4月13日(金)20時49分配信
【香港時事】先に失脚した前中国共産党重慶市委員会書記の薄熙来氏をめぐる疑惑で、香港のニュースサイト・明鏡新聞網は13日、消息筋の話として、故意殺人容疑で司法機関に送致された谷開来容疑者(薄氏の妻)が死刑になる見通しだと報じた。これに関連して、薄氏自身も起訴されて執行猶予付きの死刑か無期懲役の判決を受ける可能性があるという。
同サイトによると、谷容疑者は取り調べで、薄氏を支持してきたとされる周永康党中央政法委員会書記(政治局常務委員)の不正について供述し始めた。胡錦濤国家主席ら党内主流派と対立しているといわれる周書記を告発することで自分の刑を軽くするためとみられるが、死刑を免れる望みは今のところないという。
中国の公式報道によれば、谷容疑者は昨年11月に重慶で起きた英国人殺害に関与した疑いが持たれている。このほか、一部の香港メディアは、薄氏が遼寧省で大連市長などを務めていた時期にも、谷容疑者が複数の殺人事件に関わった可能性があるとしている。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120413-00000169-jij-int
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成24(2012)年4月13日(金曜日)
通巻第3623号
薄失脚以後のパワーゲームは玉突き、ドミノ
次は周永康が標的、急浮上は劉延東(女性政治局員)
******************
平成24(2012)年4月13日(金曜日)
通巻第3623号
薄失脚以後のパワーゲームは玉突き、ドミノ
次は周永康が標的、急浮上は劉延東(女性政治局員)
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12日から英国を訪問している中国共産党の劉延東を英国紙「テレグラフ」は、薄失脚により、彼女の政治局常務委員会入りは確実となった模様と報じた(4月12日付け)。
彼女は「有能であり、政敵がおらず、しかも江沢民とも親しく、胡錦涛とも親しいという八方美人型で広範な人脈があり、太子党であり共青団。父親は嘗て農業副大臣を務め、また彼女は清華大学でエンジニアリングを専攻したが、ここで習近平とも親しくなった。夫君の楊某も太子党、ひとり娘は米国留学中である」と英紙「テレグラフ」が賞賛している。
訪英するからには劉延東はロンドンに何らかの情報が土産として必要である。
殺害された英国人ニール・ヘイウッドに関する新しい情報のなかで彼が11月6日に北京で友人にあって食事したおり、重慶へ行く計画を告げず、したがって誰かが奸計をもって、「急に呼び出され、ホテルで一人にされたあげくに殺害されたのは11月14日ではないか」と語っている。
ヘイウッドが複数の友人等に漏らした話を総合すると、彼自身が身の危険を感じたのは、過去二年ほどのことで、とくに薄夫人の谷開来に神経衰弱とみられる精神不安定症状が見られ、薄一家に忠誠を誓えとか、奥さんと別れろとか訳の分からないことを叫んだり。ヘイウッドは安全に気を遣うようになり神経過敏となって、煙草をはじめた。またこの二年間に抜け毛が著しくなったという。
もっとも重要な情報は「薄ファミリーの経済問題に関しての秘密資料は安全のため、英国においている」とヘイウッドは友人等に語っていることだ。
そして「プレッシャーに耐えられないので、翌年には中国を離れたい」とも語ったという(ウォールストリートジャーナル、4月12日)。
だがロンドンにおけるヘイウッドの葬儀を取材した『ニューヨークタイムズ』(4月11日)は、別の印象を抱いて、葬儀に参列した往時のエリート学校の同級生等の意見を集約した上で次の分析をしている。同級生等はヘイウッドの妻と子供達が教会から去るのを見届けてから語り出したそうな。
「ヘイウッドが大学を卒業後、フロリダへ行ってヨットに乗っていたとか、およそエリート校卒業生としての立ち居振る舞いや礼儀にかなった閲歴はなく、そもそも大連へ行くまでの履歴にも空白部分が多く、たとえばMI6との関連ビジネスなど、自分を謎めかしたフィクサーとして見せる自己演出の部分があるようだ。そのうえ、薄と親しいのは事実だが、いかにして薄家に食い込んだかの過程にも矛盾がある。かれは中国で豪邸に住んでいたのは事実だが、フィクサーの能力が高かったという評価は殆ど聞かない」。
▼次の失脚の標的は周永康だという風説の背景
パワーゲームでもし、劉延東が急浮上するのなら、次に失脚する可能性があるのは誰か?
序列八位の周永康ではないか、と「博聞新聞網」(12日付け)が伝えている。周永康は最後の最後まで胡錦涛と激論しつつ、薄き来を庇って政治局では、けっきょく孤立した。
周はもともと「石油派」からカネをバックにトップ九名のなかにのし上がって、公安畑を牛耳る重要人物である。
米国FBI長官のフーバーが恐れられたのは、政治家のスキャンダルをすべて握っていたからだ。同様に幹部およそ3300名のファイルを握る周永康をおそれて誰もが手を出さないのである。
しかし周は致命的ミスを犯した。薄を土壇場まで擁護したからで、その理由は実は二人の腐れ縁、複数の愛人も「共有」したほどのただれた関係で、賄賂とおんな、腐敗、汚職の海におぼれきっていたのだ、として博訊新聞網は次のような「信じがたい」事実関係を報じている。
周の息子の周武は200億元の資産家、重慶のプロジェクトも薄コネクションから請け負って、400億人民元の売り上げをあげたが、うち100億が利益、北京に18軒もの豪邸(その多くが宮廷風という)、また周永康につぎつぎと愛人を提供したのは薄と王立軍で、その数18名。歌手、舞台女優、演劇学校の卵、女子学生らが含まれ、これらの美女は六つのマンションに住まわせており、薄と周は愛人を共有したとか。
▼独裁は正しく「党外無党、党内無派」、政治路線で執行部が対立しないという神話
現在の海南島海口市長の許文林は周永康の秘書をしていた。ボスの遣り方をみて、そのノウハウを学び、10億元を賄賂で蓄財したとも。
こうして腐敗が前面に出てくる背景には「中国には共産党の統治下は一枚岩であり、政治路線対立がない」という嘘を国民の前に提示しなければならず、ともかく共産党は無謬であり、独裁は正しく「党外無党、党内無派」という原則の下、政治路線で執行部が対立したなどという不都合な真実を隠蔽する政治的動機がある。だから薄への賞賛ブログは封鎖されても、悪口をいいまくる噂は野放しになっているわけだ。
毛沢東時代、政敵の失脚は「反動分士」「反党分子」が理由だった。
改革開放三十年、「腐敗分子」「規律違反」「党規侵害」が、重要人物のパージの理由となった。
○○○
♪
(読者の声1)2月6日の王立軍亡命未遂事件から、今日までの薄き来ミステリー、貴誌の報道の速さと分析のおもしろさに圧倒されました。日本のほかのメディアでは、産経いがい、適当にお茶を濁すような適当な報道に終始しておりますが、特派員も読者も、あまり興味がないのでしょうか?
(HH生、さいたま市)
(宮崎正弘のコメント)日本の二流の田舎芝居でも永田町の政治ドタバタのほうが読者の利害とも結びつきますから、しょせん、外国の権力闘争の舞台裏のことは、日本の読者の興味を引かないのでしょう。
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成24(2012)年4月12日(木曜日)
通巻第3622号
薄(政治局員、前重慶書記)失脚の政治闘争を矮小化する官製報道に騙されるな
路線対立、政変の深刻さを形而下の殺人、愛人、不倫、腐敗問題とすり替えている
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薄き来の息子・薄瓜瓜はハーバード大学留学中だが、「米国マサチューセッツ州ケンブリッジの豪華マンションから消えて、一説に中国に帰国中」(多維新聞、11日)。このマンションにはプール、フィトネス倶楽部が備わった豪華邸宅風の七階建て。ドアマンがいる。学生の分際で?
2011年二月に薄瓜瓜は陳雲(トウ小平最大の政敵だった)の孫娘、陳暁丹とチベットに婚前(?)旅行したおりは、公費で、しかもパトカーが四台が随行するほどだった。
デートにしては派手すぎはしないか、とネットに批判が集中した。
薄夫人の英国人謀殺事件は薄が直接命じたとネット上の情報が行き交っているが、新華社の公式見解は「重大な規律違反」であり「いかなる人物でも中国は(法治主義により)取り調べる」とした。夫人が殺人(homicide)に関与したことも認めた。博訊新聞の投書には「谷夫人と実行した使用人の張暁軍は死刑に相当する」などの書き込みが見られる。
さらにネットでは夫人の谷開来が香港の居民証とシンガポールのパスポートを所有し、98年頃に当時保有した全財産をシンガポールに移した、英国人の殺人は2011年11月15日の事だった等の「新情報」が飛び交った。
胡錦涛は4月9日に開催された緊急政治局会議で「徹底的に調べることが『救党救国』にある」と言明し、行政の末端にまで通達される。
「国家」を救う前に「党」を救え、というわけである。露骨に現在の中国共産党トップのメンタリティがでている。習近平は薄政変でひとことの感想も漏らしていない。
そして『人民日報』は「団結」を強くよびかけてこう書いた。
「党中央の決定は正しく、党の決定に沿って改革、開発、安全を維持し、そのために団結しなければならない」(4月11日付け)。
さて。
おかしい雲行きである。薄き来への嫌疑と疑惑が出来したのは2月6日の王立軍亡命未遂事件からだが、3月の全人代に薄き来は堂々と顔を出しており、雛壇の徐才厚(軍事委副主任、いまのところ最強の軍トップのひとり)といかにも親しげに会話しているところがテレビ中継された。
▼官場政治の演出は京劇のクライマックスに似ている
この「官場政治」のトリックは常套手段で、軍のトップと親しい演出を見せつけ、「オレ様に手でも出してみろ、軍を動かしてみせるゾ」と胡錦涛、李克強、李源潮ら共青団を脅している図とも解釈できるのではないか。
そして全人代最終日の記者会見で温家宝首相が『文革の二の舞はごめん』と示唆し、かつ王立軍事件の徹底調査を言明し、翌日、薄は「重慶書記」を解任された。しかし、この時点で政治局と中央委員の資格は剥奪も停職もされていない。
重慶における薄支持者のなかには熱烈な共産主義左派が含まれており、この層は薄の「唱紅打黒」キャンペーンで裨益した人々。「革命歌を唱ったので健康になった」「薄の組織犯罪撲滅キャンペーンで、重慶市の治安は格段によくなった」「貧困層にも低所得者住宅を供給してくれた」などの合掌が響いた。
3月15日から4月10日までの「激動」は一種の政変である。
軍のクーデターの動きを警戒しつつ、胡錦涛政権は党内左派の言動を封殺した。ネットを封鎖し、とりわけ左派のブログ(「鳥有之郷」や「毛沢東旗幟」など)を閉鎖して多くの左翼系毛沢東礼賛派ブロガーを拘束した。
その上で「ネット水軍」(偽情報を大量に発信する五毛幇らを指す)を駆使し、情報操作に取りかかり、薄を支持する左派の反動を追い詰めてから、やおら失脚の発表へといたる。つまり左派からの反撃と軍の動きを封じ込めるために、必要な時間だったのだ。薄ファミリーへの調査は、すでに2月時点で公安系が掌握していたのだ。
残る問題は太子党のなかにどれほどの薄き来支持派が残存するか、である。
かれらをこの政変を利用して一気に葬る必要がある。権力闘争の本質とはそういうものだから。
▼過去の失脚劇のパターンと類似点が多い
95年、古参幹部だった陳希同失脚の直前、王実森・副市長が『自殺』した。
王は豪邸に住んでおり(どこの邸宅かも分からないような写真が配信された)、豪華ホテルのスイートを二年間も長期契約し(どのホテルかは開かされなかった)、愛人は16人という形而上の政治哲学や路線対立とは無縁のキャンペーンがあった。誰一人、愛人の具体的名前は判明せず、その上で江沢民に楯突いた陳希同(政治局員、北京書記)が失脚、禁固16年。16という数字は偶然だろうか?
07年の陳良宇(上海書記、政治局人)失脚のときも同様な情報が流れたが、江沢民にとって陳良宇は上海における後輩でもあり、強い反撃に出た。
胡錦涛が望んだ李克強の国家主席就任のシナリオを蹴飛ばし、習近平を持ってくる。だから、この陳良宇の場合は中途半端な政変となり、彼は山東半島の刑務所で禁固18年。
この逆転に焦った胡錦涛ら共青団はカナダから頼昌星を強制送還させ、厦門事件の裁判を始める。これで福建省時代の習近平のスキャンダルをあぶり出し、かれを牽制する有力な政治武器として駆使するためである(頼昌星が主犯の厦門事件とは史上最大の密輸事件で、厦門公安部長、関税局長、警察、軍がグル。主犯六名か七名が死刑になったが、本当の黒幕は江沢民の右腕、賈慶林と言われた)
2011年7月、浙江省温州で新幹線事故が起きた。
直前、同年二月の劉志軍(鉄道部長、江沢民派)失脚のときは、愛人18名説が一人歩きして、成長増強路線と安定第一路線という宿命的な中南海の政治対決の真相を隠した。
つまり、これは共青団と江沢民派の対決、第二幕だったのだ。
いずれも60歳をすぎたおっさん達が、そんな数の愛人を抱えることが可能だろうか?
今回、薄き来には「愛人28人」説がネット上からも飛び出し、谷開来夫人とイギリス人との不倫説も飛び出し、『腐敗』と『不倫』と『愛人』というシモネタばかり。
もっとも肝要な路線対立は、後方へ押しやられた。形而上の深刻な対立が形而下の、シモネタに矮小化されている事実こそ、裏面で格闘された政治的確執の本質を物語っているのである。
♪
樋泉克夫のコラム
@@@@@@@@
【知道中国 738回】
――毛沢東は「圧迫あれば反抗あり」といいますが・・・
『赤緑林赤眉起義』(陳振 中華書局 1974年)
△
絶頂期にあった四人組が思うが侭に権勢を振るっていた1974年前後に「歴史知識読物」シリーズが続々と出版された。この本もそのうちの1冊だ。
このシリーズのなかで書名に「起義」のついたものに『黄巾起義』(羅秉英/以下、共に中華書局から1974年出版)、『李自成起義』(厳紹●/●=湯の下に玉)、『清代中葉的白蓮教起義』(夏家駿)があるが、この本を含め、凡ての表紙を開けると次の「毛主席語録」が掲げてある。
「地主階級の農民に対する残酷な経済的搾取と政治的圧迫は農民を数多くの起義に立ち上がらせ、地主階級の統治に反抗させた。秦朝の陳勝、呉広、項羽、劉邦からはじまり、漢朝の新市、平林、赤眉、銅馬と黄巾、隋朝の李蜜、竇建徳、唐朝の王仙芝、黄巣、宋朝の宋江、方臘、元朝の朱元璋、明朝の李自成を経て清朝の太平天国に到るまで、大小で数百回の起義を数えるが、その凡ては農民による反抗運動であり、凡てが農民による革命戦争だ。中国歴史における農民による反抗と革命戦争の規模の大きさは、世界史におきても稀有なことだ。中国の封建社会においては、こういった農民による階級闘争、起義、戦争こそが、歴史を発展させる真正の原動力なのだ」。
つまり「中国の封建社会において」、「地主階級の農民に対する残酷な経済的搾取と政治的圧迫」が農民を反抗運動に駆り立てる。これを「起義」と呼ぶ。毛沢東は起義を「歴史を発展させる真正の原動力」である主張し、起義の先頭に立った人物を英雄として讃える。
4冊のあらすじを起・承・転・結で整理すると、起=封建地主階級による苛斂誅求に怒り心頭に達した農民が鋤や鍬を武器に立ち上がる。承=各地の困窮農民が呼応し、戦いは燎原の火の如く広がり、農民による政権が打ち立てられる。転=追い詰められた地主階級が既得権を死守し前進すべき歴史の流れを阻もうと農民政権を攻撃する。結=指導者は英雄的な死を遂げ、農民の天下は束の間の夢に終わり、前進すべき歴史の流れは阻まれる。
そこで4冊の最終部分を見ると、
■「(起義の指導者は)農民を率い決起し、封建官吏と地主豪族を殺し、中央官軍の歩兵・騎兵からなる数千人の精鋭部隊を殲滅した。起義軍が勇猛果敢に戦うこと3ヶ月・・・後、起義軍は突破・包囲作戦の最中に鎮圧され、(指導者は)壮烈な犠牲を遂げた。(だが、起義は止むことなく続き)黄巾大起義に発展し、反動的な統治階級に壊滅的な打撃を与え、再び歴史の歯車を前進させる」(『緑林赤眉起義』)
■「黄巾起義は失敗したが、それは我が国人民に対し、我が国の歴史発展のためにこのうえない貢献を果たすという貴重な精神的財産を残してくれた。黄巾起義の農民は1千余年前に困苦に絶え、このうえなく自由を愛し、革命的伝統に満ち溢れた偉大なる中華民族の優秀な児女だ。黄巾の英雄よ、永遠に !」(『黄巾起義』)
■「李自成は不撓不屈・徹底奮闘の農民革命の英雄で、彼は一生を光栄にも革命のために戦闘堅持の姿勢を貫いた。彼の名前は永遠に歴史に刻まれる」(『李自成起義』)
■「清代中葉の白蓮教の起義を回顧すれば・・・(彼らが戦場とした)綿々と続く?峩たる山峰は、まるで高く聳え雲にも届かんとするような英雄記念碑であり、人民革命の万丈の光芒を永遠に燦然と光り輝かせている)(『清代中葉的白蓮教起義』)
――金満退廃で歴史停滞のいまこそ、数限りない失敗の末に唯一起義を成功させた毛沢東に倣い「歴史を発展させる真正の原動力」を発動せよ、人民諸君・・・。
ムリかな~。
《QED》
♪
(読者の声1) 『これが結論!日本人と原発』(竹田恒泰著)徹底批判その1-放射能編
結論的に言うなら、一見科学的な装いで多くのデータを使っているが、その多くは怪しげなものであり、何よりもLNT仮説をベースとしているので、根本的に間違った論拠による主張である。
竹田氏は『放射能を怖がるな―ラッキー博士の日本への贈り物を』を有害な本とメールで批判したが、本書こそいたずらに放射能恐怖をあおり、放射能認識をゆがめ、風評被害を広め、多くの人々を苦しめ、日本に害を与える、極めて有害な図書である、と反論する。
以下がその論拠(15項目)である。
全文(39ページ)をお読みになりたい方はお申し込みいただけば、ファイルをお送りします。
1、「原発には「愛」がない」という人騙しのトリック・フレーズ
2、「放射線が体に良いわけがない」という無知
3、放射線ホルミシスの実証―1 (服部禎男「放射線ホルミシス」より)
4、放射線ホルミシスの実証―2 ラドンの放射線
5、放射線ホルミシスの実証―3 広島・長崎の被爆者追跡調査
6、射線ホルミシスの実証―4 核施設の被爆者と被曝していない労働者との対比
7、LNT仮説は完全破たん―それにしがみつく論はすべて間違い
8、「ラッキー論文は学会で否定されている」は本当か?
9、マイロン・ポリコープ/ルードヴィッヒ・ファイネンデーゲン大論文
10、何を基準とすべきか
11、「自然放射線でもがんになる」は本当か?
12、さまざまなインチキデータについて
13、不謹慎なのは竹田氏である
14、福島の自然は放射能の恵みを受けている
15、神州を汚し侵略せんとする反核反放射能カルト集団
*「BEIR委員会報告書批判」(42ページ)も希望者にお送りします。
平成24年4月11日 茂木 弘道
2011年二月に薄瓜瓜は陳雲(トウ小平最大の政敵だった)の孫娘、陳暁丹とチベットに婚前(?)旅行したおりは、公費で、しかもパトカーが四台が随行するほどだった。
デートにしては派手すぎはしないか、とネットに批判が集中した。
薄夫人の英国人謀殺事件は薄が直接命じたとネット上の情報が行き交っているが、新華社の公式見解は「重大な規律違反」であり「いかなる人物でも中国は(法治主義により)取り調べる」とした。夫人が殺人(homicide)に関与したことも認めた。博訊新聞の投書には「谷夫人と実行した使用人の張暁軍は死刑に相当する」などの書き込みが見られる。
さらにネットでは夫人の谷開来が香港の居民証とシンガポールのパスポートを所有し、98年頃に当時保有した全財産をシンガポールに移した、英国人の殺人は2011年11月15日の事だった等の「新情報」が飛び交った。
胡錦涛は4月9日に開催された緊急政治局会議で「徹底的に調べることが『救党救国』にある」と言明し、行政の末端にまで通達される。
「国家」を救う前に「党」を救え、というわけである。露骨に現在の中国共産党トップのメンタリティがでている。習近平は薄政変でひとことの感想も漏らしていない。
そして『人民日報』は「団結」を強くよびかけてこう書いた。
「党中央の決定は正しく、党の決定に沿って改革、開発、安全を維持し、そのために団結しなければならない」(4月11日付け)。
さて。
おかしい雲行きである。薄き来への嫌疑と疑惑が出来したのは2月6日の王立軍亡命未遂事件からだが、3月の全人代に薄き来は堂々と顔を出しており、雛壇の徐才厚(軍事委副主任、いまのところ最強の軍トップのひとり)といかにも親しげに会話しているところがテレビ中継された。
▼官場政治の演出は京劇のクライマックスに似ている
この「官場政治」のトリックは常套手段で、軍のトップと親しい演出を見せつけ、「オレ様に手でも出してみろ、軍を動かしてみせるゾ」と胡錦涛、李克強、李源潮ら共青団を脅している図とも解釈できるのではないか。
そして全人代最終日の記者会見で温家宝首相が『文革の二の舞はごめん』と示唆し、かつ王立軍事件の徹底調査を言明し、翌日、薄は「重慶書記」を解任された。しかし、この時点で政治局と中央委員の資格は剥奪も停職もされていない。
重慶における薄支持者のなかには熱烈な共産主義左派が含まれており、この層は薄の「唱紅打黒」キャンペーンで裨益した人々。「革命歌を唱ったので健康になった」「薄の組織犯罪撲滅キャンペーンで、重慶市の治安は格段によくなった」「貧困層にも低所得者住宅を供給してくれた」などの合掌が響いた。
3月15日から4月10日までの「激動」は一種の政変である。
軍のクーデターの動きを警戒しつつ、胡錦涛政権は党内左派の言動を封殺した。ネットを封鎖し、とりわけ左派のブログ(「鳥有之郷」や「毛沢東旗幟」など)を閉鎖して多くの左翼系毛沢東礼賛派ブロガーを拘束した。
その上で「ネット水軍」(偽情報を大量に発信する五毛幇らを指す)を駆使し、情報操作に取りかかり、薄を支持する左派の反動を追い詰めてから、やおら失脚の発表へといたる。つまり左派からの反撃と軍の動きを封じ込めるために、必要な時間だったのだ。薄ファミリーへの調査は、すでに2月時点で公安系が掌握していたのだ。
残る問題は太子党のなかにどれほどの薄き来支持派が残存するか、である。
かれらをこの政変を利用して一気に葬る必要がある。権力闘争の本質とはそういうものだから。
▼過去の失脚劇のパターンと類似点が多い
95年、古参幹部だった陳希同失脚の直前、王実森・副市長が『自殺』した。
王は豪邸に住んでおり(どこの邸宅かも分からないような写真が配信された)、豪華ホテルのスイートを二年間も長期契約し(どのホテルかは開かされなかった)、愛人は16人という形而上の政治哲学や路線対立とは無縁のキャンペーンがあった。誰一人、愛人の具体的名前は判明せず、その上で江沢民に楯突いた陳希同(政治局員、北京書記)が失脚、禁固16年。16という数字は偶然だろうか?
07年の陳良宇(上海書記、政治局人)失脚のときも同様な情報が流れたが、江沢民にとって陳良宇は上海における後輩でもあり、強い反撃に出た。
胡錦涛が望んだ李克強の国家主席就任のシナリオを蹴飛ばし、習近平を持ってくる。だから、この陳良宇の場合は中途半端な政変となり、彼は山東半島の刑務所で禁固18年。
この逆転に焦った胡錦涛ら共青団はカナダから頼昌星を強制送還させ、厦門事件の裁判を始める。これで福建省時代の習近平のスキャンダルをあぶり出し、かれを牽制する有力な政治武器として駆使するためである(頼昌星が主犯の厦門事件とは史上最大の密輸事件で、厦門公安部長、関税局長、警察、軍がグル。主犯六名か七名が死刑になったが、本当の黒幕は江沢民の右腕、賈慶林と言われた)
2011年7月、浙江省温州で新幹線事故が起きた。
直前、同年二月の劉志軍(鉄道部長、江沢民派)失脚のときは、愛人18名説が一人歩きして、成長増強路線と安定第一路線という宿命的な中南海の政治対決の真相を隠した。
つまり、これは共青団と江沢民派の対決、第二幕だったのだ。
いずれも60歳をすぎたおっさん達が、そんな数の愛人を抱えることが可能だろうか?
今回、薄き来には「愛人28人」説がネット上からも飛び出し、谷開来夫人とイギリス人との不倫説も飛び出し、『腐敗』と『不倫』と『愛人』というシモネタばかり。
もっとも肝要な路線対立は、後方へ押しやられた。形而上の深刻な対立が形而下の、シモネタに矮小化されている事実こそ、裏面で格闘された政治的確執の本質を物語っているのである。
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樋泉克夫のコラム
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【知道中国 738回】
――毛沢東は「圧迫あれば反抗あり」といいますが・・・
『赤緑林赤眉起義』(陳振 中華書局 1974年)
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絶頂期にあった四人組が思うが侭に権勢を振るっていた1974年前後に「歴史知識読物」シリーズが続々と出版された。この本もそのうちの1冊だ。
このシリーズのなかで書名に「起義」のついたものに『黄巾起義』(羅秉英/以下、共に中華書局から1974年出版)、『李自成起義』(厳紹●/●=湯の下に玉)、『清代中葉的白蓮教起義』(夏家駿)があるが、この本を含め、凡ての表紙を開けると次の「毛主席語録」が掲げてある。
「地主階級の農民に対する残酷な経済的搾取と政治的圧迫は農民を数多くの起義に立ち上がらせ、地主階級の統治に反抗させた。秦朝の陳勝、呉広、項羽、劉邦からはじまり、漢朝の新市、平林、赤眉、銅馬と黄巾、隋朝の李蜜、竇建徳、唐朝の王仙芝、黄巣、宋朝の宋江、方臘、元朝の朱元璋、明朝の李自成を経て清朝の太平天国に到るまで、大小で数百回の起義を数えるが、その凡ては農民による反抗運動であり、凡てが農民による革命戦争だ。中国歴史における農民による反抗と革命戦争の規模の大きさは、世界史におきても稀有なことだ。中国の封建社会においては、こういった農民による階級闘争、起義、戦争こそが、歴史を発展させる真正の原動力なのだ」。
つまり「中国の封建社会において」、「地主階級の農民に対する残酷な経済的搾取と政治的圧迫」が農民を反抗運動に駆り立てる。これを「起義」と呼ぶ。毛沢東は起義を「歴史を発展させる真正の原動力」である主張し、起義の先頭に立った人物を英雄として讃える。
4冊のあらすじを起・承・転・結で整理すると、起=封建地主階級による苛斂誅求に怒り心頭に達した農民が鋤や鍬を武器に立ち上がる。承=各地の困窮農民が呼応し、戦いは燎原の火の如く広がり、農民による政権が打ち立てられる。転=追い詰められた地主階級が既得権を死守し前進すべき歴史の流れを阻もうと農民政権を攻撃する。結=指導者は英雄的な死を遂げ、農民の天下は束の間の夢に終わり、前進すべき歴史の流れは阻まれる。
そこで4冊の最終部分を見ると、
■「(起義の指導者は)農民を率い決起し、封建官吏と地主豪族を殺し、中央官軍の歩兵・騎兵からなる数千人の精鋭部隊を殲滅した。起義軍が勇猛果敢に戦うこと3ヶ月・・・後、起義軍は突破・包囲作戦の最中に鎮圧され、(指導者は)壮烈な犠牲を遂げた。(だが、起義は止むことなく続き)黄巾大起義に発展し、反動的な統治階級に壊滅的な打撃を与え、再び歴史の歯車を前進させる」(『緑林赤眉起義』)
■「黄巾起義は失敗したが、それは我が国人民に対し、我が国の歴史発展のためにこのうえない貢献を果たすという貴重な精神的財産を残してくれた。黄巾起義の農民は1千余年前に困苦に絶え、このうえなく自由を愛し、革命的伝統に満ち溢れた偉大なる中華民族の優秀な児女だ。黄巾の英雄よ、永遠に !」(『黄巾起義』)
■「李自成は不撓不屈・徹底奮闘の農民革命の英雄で、彼は一生を光栄にも革命のために戦闘堅持の姿勢を貫いた。彼の名前は永遠に歴史に刻まれる」(『李自成起義』)
■「清代中葉の白蓮教の起義を回顧すれば・・・(彼らが戦場とした)綿々と続く?峩たる山峰は、まるで高く聳え雲にも届かんとするような英雄記念碑であり、人民革命の万丈の光芒を永遠に燦然と光り輝かせている)(『清代中葉的白蓮教起義』)
――金満退廃で歴史停滞のいまこそ、数限りない失敗の末に唯一起義を成功させた毛沢東に倣い「歴史を発展させる真正の原動力」を発動せよ、人民諸君・・・。
ムリかな~。
《QED》
♪
(読者の声1) 『これが結論!日本人と原発』(竹田恒泰著)徹底批判その1-放射能編
結論的に言うなら、一見科学的な装いで多くのデータを使っているが、その多くは怪しげなものであり、何よりもLNT仮説をベースとしているので、根本的に間違った論拠による主張である。
竹田氏は『放射能を怖がるな―ラッキー博士の日本への贈り物を』を有害な本とメールで批判したが、本書こそいたずらに放射能恐怖をあおり、放射能認識をゆがめ、風評被害を広め、多くの人々を苦しめ、日本に害を与える、極めて有害な図書である、と反論する。
以下がその論拠(15項目)である。
全文(39ページ)をお読みになりたい方はお申し込みいただけば、ファイルをお送りします。
1、「原発には「愛」がない」という人騙しのトリック・フレーズ
2、「放射線が体に良いわけがない」という無知
3、放射線ホルミシスの実証―1 (服部禎男「放射線ホルミシス」より)
4、放射線ホルミシスの実証―2 ラドンの放射線
5、放射線ホルミシスの実証―3 広島・長崎の被爆者追跡調査
6、射線ホルミシスの実証―4 核施設の被爆者と被曝していない労働者との対比
7、LNT仮説は完全破たん―それにしがみつく論はすべて間違い
8、「ラッキー論文は学会で否定されている」は本当か?
9、マイロン・ポリコープ/ルードヴィッヒ・ファイネンデーゲン大論文
10、何を基準とすべきか
11、「自然放射線でもがんになる」は本当か?
12、さまざまなインチキデータについて
13、不謹慎なのは竹田氏である
14、福島の自然は放射能の恵みを受けている
15、神州を汚し侵略せんとする反核反放射能カルト集団
*「BEIR委員会報告書批判」(42ページ)も希望者にお送りします。
平成24年4月11日 茂木 弘道
◎転送自由。転載の場合、出典を明示
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2012.04.13 No.176号
~誰よりも中国を知る男が、日本人のために伝える中国人考~
石平(せきへい)のチャイナウォッチ
http://www.seki-hei.com
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2012.04.13 No.176号
~誰よりも中国を知る男が、日本人のために伝える中国人考~
石平(せきへい)のチャイナウォッチ
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■ 「毛沢東回帰」改革の季節の再び
今月6日、「烏有之郷(ユートピア)」や「毛沢東旗幟網」などの
中国の代表的な左派サイトが突如、政府によって閉鎖された。
それらのサイトは今までトウ小平時代以来の改革開放政策を
「社会主義理念に対する裏切り」だと強く非難する一方
「改革開放」へのアンチテーゼとして毛沢東時代の政治路線を美化し
「古き良き時代」への回帰を熱心に唱えていた。
このような政治思想の持ち主は中国では「左派」と呼ばれるが、
実は彼ら左派の考え方は、先月解任された
薄煕来重慶市前党委書記のそれとは一脈通じるものがある。
薄氏も重慶市書記在任中、毛沢東時代の
「革命歌謡曲」を歌うキャンペーン(唱紅)を展開し
「毛沢東回帰」を旗印に掲げていた。
そういう意味では、薄氏の解任に続く
左派サイトの閉鎖はむしろ必然の成り行きである。
左派サイトと薄氏が提唱する「毛沢東回帰」が
幅広い支持を集めた背景には、
改革開放の中で生じてきた貧富の格差の拡大や
汚職の蔓延(まんえん)などに対する民衆の不満がある。
こうした民衆の不満を代弁して
「現状が駄目なら昔に戻ろう、改革が問題を起こしたなら改革を見直そう」
というのが彼らの主張だが、
当然、温家宝首相など党内改革派の強い反発を買った。
温首相が3月14日の記者会見で薄氏を批判しながら
「文化大革命再来の恐れがある」との危惧を口にしたのもその故ではないか。
そして薄氏の解任や左派サイトの閉鎖などの動きと並行して、
改革派たちが今温首相を中心にして
巻き起こしているのが「改革深化」の大合唱である。
まずは2月23日、人民日報が
「改革しないことによる危機を回避しなければならない」
とする評論文を掲載し、強い危機感に基づく改革への決意を示した。
3月5日、全国人民代表大会において恒例の「政府工作報告」を行ったとき、
温首相は「改革」という言葉を70回も発して改革への大号令をかけた。
同14日、全国人民代表大会の閉会に合わせて行われた記者会見の中でも、
温首相は「政治構造改革」という表現を使って
党と国家指導部の組織改革の断行を訴えた。
広東省党委書記の汪洋氏と省長の朱小丹氏も
改革の熱心な吹聴者となっている。
温首相と同様、彼らが唱えているのはやはり政治改革だ。
朱省長は同4日、
「政府自身が改革の障害となっており、政府の自己改革が必要だ」
と語ったのに対し、汪書記は同7日、さらに一歩踏み込んで、
「改革は党と政府のあり方にメスを入れることから始まらなければならない」
という大胆な発言を口にした。
汪洋氏は胡錦濤総書記の率いる「共青団派」の次世代ホープであり、
今年秋の党大会で次期最高指導部入りが確実とされている。
この彼が急進的な改革の旗振り役となったことは、
党内の大勢と政権の方向性がすでに「改革」に傾いたことの証拠であろう。
つまり政治的優位に立った改革派は今、
よりいっそうの改革を推し進めようとしているのだ。
薄煕来氏らが改革の否定を持って
改革のもたらしたゆがみを正そうとしたのに対し、
改革派は改革のよりいっそうの推進をもって
問題の解消を図ろうとしている。
そして彼らの考える「よりいっそうの改革」とは、
すなわち党と政府の権力にメスを入れるような
「政治改革」そのものである。
実際今月4日、温首相が地方視察の中で
「国有銀行による金融独占の打破」を明言したことも、
まさに政治改革実施の第一歩であると理解できよう。
トウ小平の「南巡講話」以来20年、中国は再び、
「改革の季節」を迎えようとしている。
( 石平 )
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今月6日、「烏有之郷(ユートピア)」や「毛沢東旗幟網」などの
中国の代表的な左派サイトが突如、政府によって閉鎖された。
それらのサイトは今までトウ小平時代以来の改革開放政策を
「社会主義理念に対する裏切り」だと強く非難する一方
「改革開放」へのアンチテーゼとして毛沢東時代の政治路線を美化し
「古き良き時代」への回帰を熱心に唱えていた。
このような政治思想の持ち主は中国では「左派」と呼ばれるが、
実は彼ら左派の考え方は、先月解任された
薄煕来重慶市前党委書記のそれとは一脈通じるものがある。
薄氏も重慶市書記在任中、毛沢東時代の
「革命歌謡曲」を歌うキャンペーン(唱紅)を展開し
「毛沢東回帰」を旗印に掲げていた。
そういう意味では、薄氏の解任に続く
左派サイトの閉鎖はむしろ必然の成り行きである。
左派サイトと薄氏が提唱する「毛沢東回帰」が
幅広い支持を集めた背景には、
改革開放の中で生じてきた貧富の格差の拡大や
汚職の蔓延(まんえん)などに対する民衆の不満がある。
こうした民衆の不満を代弁して
「現状が駄目なら昔に戻ろう、改革が問題を起こしたなら改革を見直そう」
というのが彼らの主張だが、
当然、温家宝首相など党内改革派の強い反発を買った。
温首相が3月14日の記者会見で薄氏を批判しながら
「文化大革命再来の恐れがある」との危惧を口にしたのもその故ではないか。
そして薄氏の解任や左派サイトの閉鎖などの動きと並行して、
改革派たちが今温首相を中心にして
巻き起こしているのが「改革深化」の大合唱である。
まずは2月23日、人民日報が
「改革しないことによる危機を回避しなければならない」
とする評論文を掲載し、強い危機感に基づく改革への決意を示した。
3月5日、全国人民代表大会において恒例の「政府工作報告」を行ったとき、
温首相は「改革」という言葉を70回も発して改革への大号令をかけた。
同14日、全国人民代表大会の閉会に合わせて行われた記者会見の中でも、
温首相は「政治構造改革」という表現を使って
党と国家指導部の組織改革の断行を訴えた。
広東省党委書記の汪洋氏と省長の朱小丹氏も
改革の熱心な吹聴者となっている。
温首相と同様、彼らが唱えているのはやはり政治改革だ。
朱省長は同4日、
「政府自身が改革の障害となっており、政府の自己改革が必要だ」
と語ったのに対し、汪書記は同7日、さらに一歩踏み込んで、
「改革は党と政府のあり方にメスを入れることから始まらなければならない」
という大胆な発言を口にした。
汪洋氏は胡錦濤総書記の率いる「共青団派」の次世代ホープであり、
今年秋の党大会で次期最高指導部入りが確実とされている。
この彼が急進的な改革の旗振り役となったことは、
党内の大勢と政権の方向性がすでに「改革」に傾いたことの証拠であろう。
つまり政治的優位に立った改革派は今、
よりいっそうの改革を推し進めようとしているのだ。
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情報・戦略の観点から、また、リアリズムの視点から、
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(メルマガ本文より一部抜粋)
北京政府自身は自分で何をやればいいのか本当はわかっていない、
ということだ。
いや、それだけではない。
中国は南シナ海で何を獲得すればよいのかという点について、
分析家や学者や政策担当者だけでなく、おそらく国民もわかってはいないのだ。
しかも中国はそれらの目標をどのように達成できるのかもわかっていない。
たとえば海洋戦略についても議論は行われているが、
全くハッキリした青写真のようなものは誰も描けていないのだ。
2008年から2011年までの最近の海洋面での紛争は、
私の目からは、中国の海洋面での「トライ&エラー」の
最初のピリオドであるように思える。
そして私は中国がこれを数回繰り返すことによって、
何を欲しいのかを段々と明確にして行くことになる、と見ている。
(抜粋おわり)
先日配信したこの記事では、『「シーパワー」を目指す中国』と題して、
シンガポールで行われた国際政治学会での発表内容をご紹介しました。
( http://archive.mag2.com/0000110606/20120330193429000.html
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ということだ。
いや、それだけではない。
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(読者の声2)「戦略・情報研究会 東京講演会(通算99回)」のお知らせ。
~ 世界一のものを造って運用するということ -ものづくり大国日本の歴史的教訓 ~
記
日 時: 2012年4月15日(日)14:30~17:00(開場14:00)
場 所: アカデミー茗台 学習室A(東京都文京区春日2-9-5 7F、03-3817-8306)
http://www1.biz.biglobe.ne.jp/~skc/info/map/map1.htm
東京メトロ丸ノ内線「茗荷谷」駅1番出口から春日通り直進
講 師: 戸高 一成 氏(呉市海事歴史科学館(大和ミュージアム)館長)
著書に『海戦からみた日清戦争』『海戦からみた日露戦争』、『海戦からみた太平洋戦争』(角川oneテーマ新書)、『聞き書き・日本海軍史』(PHP研究所)など、共著書に『昭和陸海軍の失敗』、『零戦と戦艦大和』(文春新書)『日本海軍はなぜ誤ったか』(岩波書店)など、編著に『[証言録]海軍反省会』(PHP研究所)、『秋山真之 戦術論集』(中央公論新社)など多数。
参加費: 1000円(事前申し込みの学生500円)
定 員: 60名(定員になり次第申し込み締切)
お申込/お問合せ先: 久野 潤 kunojun@amethyst.broba.cc
[当日] 090-2933-8598
<御名前・御通勤御通学先を明記のうえ事前お申込頂きますと当日の御記帳無しで入場頂けますので御協力頂ければ幸いです>
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『オレ様国家 中国の常識』(新潮社、1470円)
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<宮崎正弘の対談シリーズ>
『猛毒国家に囲まれた日本』(佐藤優氏との対談。海竜社、1575円)
『増長し無限に乱れる「欲望大国」中国のいま』(石平氏との対談。ワック、945円)
『絶望の大国 中国の真実』(石平氏との対談。ワック、933円)
『日米安保、五十年』(西部邁氏との対談。海竜社、1680円)
『世界が仰天する中国人の野蛮』(黄文雄氏との対談。徳間書店、1575円)
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