甲状腺がんの一種の乳頭がんになるリスクが3.8倍 | 日本のお姉さん

甲状腺がんの一種の乳頭がんになるリスクが3.8倍

「海藻を毎日」甲状腺がんリスクの一因? 閉経後の女性

 海藻を毎日食べる閉経後の女性は、甲状腺がんになるリスクが週2日以下の約2.4倍になることが、国立がん研究センターと国立環境研究所の研究班の調査でわかった。研究班は「海藻に含まれるヨウ素ががんのリスクを上げる原因の可能性がある」と分析している。
 大阪や沖縄など9府県の40~69歳の女性約5万人を10年以上追跡調査した。このうち甲状腺がんになった女性134人を、海藻を食べる頻度で「ほとんど毎日」「週3、4日」「週2日以下」の3グループにわけて、調べた。
 閉経前の女性では、有意差がなかった。一方、日本人の甲状腺がんの約9割を占める乳頭がんの113人を解析すると、全女性でも毎日食べると週2日以下の1.7倍。閉経後女性が毎日食べると、週2日以下の3.8倍も高かった。
http://www.asahi.com/science/update/0411/TKY201204110294.html


甲状腺がん:海藻食べ過ぎるとリスク倍増…閉経後の女性
毎日新聞 2012年04月11日 12時16分(最終更新 04月11日 12時40分)
 閉経後に、ほぼ毎日海藻を食べる女性は、週2日以下しか食べない女性と比べ、首などにしこりができる甲状腺がんの一種の乳頭がんになるリスクが3.8倍になるとの研究成果を国立がん研究センターなどが11日、発表した。欧州のがん専門誌に掲載された。
 海藻に含まれるヨウ素は、生命維持に欠かせないミネラルだが、取りすぎると甲状腺がん発生の原因となる可能性が報告されている。
 研究チームは、9府県の40?69歳の女性約5万人を対象に90年代から約14年間、追跡調査した。この間、134人が甲状腺がんになり、うち乳頭がんが113人だった。
海藻を食べる頻度を▽週2回以下▽週3?4日▽ほぼ毎日??の3グループに分け、甲状腺がんの発生率を比べた。その結果、海藻をほぼ毎日食べる女性が乳頭がんになるリスクは、週2日以下の女性と比べると3.81倍で、週3?4日でも約2倍となった。一方、閉経前の女性は海藻を頻繁に食べてもリスクは増えなかった。
 海藻を食べた量は調査していないが、研究チームの国立環境研究所の道川武紘研究員(公衆衛生・疫学)は「閉経後にリスクが高まるのは、女性ホルモンの濃度の変化などが関係していると考えられ、今後さらに研究を進めたい。海藻を必要以上に摂取しないよう気をつけた方がいい」と話している。【久野華代】
http://mainichi.jp/select/news/20120411k0000e040217000c.html


Dr.中川のがんの時代を暮らす:/17 検診向かぬ甲状腺がん
毎日新聞 2011年12月04日 東京朝刊

 今、韓国の女性のがんで一番多いのは甲状腺がんです。2番目に多い乳がんの2倍近くに達し、さらに加速度的に増えています。

 一方、日本では、甲状腺がんは珍しいがんです。日本人女性のがんは、多い順に(1)乳がん(2)大腸がん(3)胃がん(4)肺がん(5)子宮がん(6)肝臓がん(7)膵臓(すいぞう)がん……となります。甲状腺がんは10位以下です。

 韓国のがん対策は10年ほど前から急ピッチで進み、がん検診受診率も6割近くに達しています。一種の検診ブームが起きているようです。一方、日本の受診率は2割程度にとどまっています。

 しかし、検診もやみくもに受ければいいというわけではありませんし、全ての臓器のがんで「早期発見が有効」というわけでもありません。とりわけ、甲状腺がんは検診に向いていません。

それはなぜか。韓国で起きているのは「甲状腺がんは増えていない」が、「甲状腺がんの患者が増えている」という状態です。高齢になると、ほぼ全員が甲状腺がんを持っています。交通事故などで亡くなった人を解剖して調べた米国の研究によると、60歳代の全員に甲状腺がんが見つかりました。多くの甲状腺がんは、命にはかかわっていないということです。

 問題は「がんがあるかどうか」ではなく、「がんで死ぬかどうか」です。検診の本来の目的も、がんで死ぬ確率を減らすこと。命にかかわらない小さながんをむやみに見つけることではありません。

高齢になれば、ほぼ全員が小さな甲状腺がんを持ちますから、甲状腺を詳しく検査すれば、多くの人にがんが見つかります。韓国では、乳がんの超音波検査のついでに甲状腺も調べることが多く、甲状腺がんが多数発見されるようになったのです。実際は、大半が治療しなくても命にかかわらないがんですから、不要な手術が急増することになってしまいました。手術には一定の危険性がありますから、不要な手術は、本人の不利益につながる恐れがあります。

 チェルノブイリでは、小児に珍しい甲状腺がんが増えました。しかし、それを心配するあまり、福島県をはじめとする中高年の方まで甲状腺がんの検診を受ければ、がん患者が急増するでしょう。福島が適切な医療で長寿となることを願います。(中川恵一・東京大付属病院准教授、緩和ケア診療部長)

http://mainichi.jp/feature/news/20111204ddm013070055000c.html


質問なるほドリ:福島の子供向け甲状腺検査、何が分かるの?=回答・小島正美
毎日新聞 2011年11月03日 東京朝刊

 <NEWS NAVIGATOR>

 ◆福島の子供向け甲状腺検査、何が分かるの?

 ◇がん発生の実態把握 放射線影響、有無明らかに
 なるほドリ 福島では18歳以下の子供たちが全員、甲状腺の検査を受けているんだって?

 記者 1986年のチェルノブイリ原発事故では、約10万人の青少年が甲状腺に300ミリシーベルト以上の被ばくをして約6000人の子供たちが甲状腺がんになりました。食品やチリから取り込まれた放射性ヨウ素は甲状腺に集まりやすく、チェルノブイリでは汚染された牛乳の摂取が主な原因です。福島ではこれほどの被ばくはないとみられますが、甲状腺がんを心配する県民の声を受け、福島県が超音波検査を始めたのです。

 Q 検査はずっとやるの?

 A 2014年3月末までに1回目の検査を終え、それ以降は20歳までに2年ごと、その後は5年ごとに行います。チェルノブイリは1回の検査だけでしたから、生涯にわたる検査は世界でも例のないものです。

 Q 超音波検査で何が分かるんだろう。

 A 甲状腺は首の下にあるチョウのような形をした臓器で、ホルモンをつくり体の成長を促します。検査技術の進歩は目覚ましく、超音波の画像は、5ミリ以下の小さなしこりまで見つけることができます。ただ「小さいがんは経過観察だけで十分な場合がほとんどのため、小さいうちに発見するメリットは少ない」(鈴木真一・福島県立医大教授)ことは知っておく必要があるでしょう。

 Q がんが見つかれば、放射能が原因ということ?

 A 甲状腺がんはゆっくりと進み、チェルノブイリでは事故の4?5年後に見つかりました。今の検査でがんが出ても、放射能が原因ではないとみられますが、通常時の甲状腺がんの発生頻度がわかるので、貴重なデータです。後年がんが増えれば、数字を比べ、放射線の影響を知ることができます。

 Q がんはたくさん見つかるのかな。不安だな。

 A 専門家の間では常識で「過剰診断」と言われるのですが、検査を強化すればがんの発見率は上がります。このため、日本公衆衛生学会は「被ばくのなかった地域で同時に検査を進めないと福島だけで甲状腺がんが増える現象が生じてしまう」と他県の検査も提案しています。鈴木教授は「福島県は広いので、事故前と被ばく線量が変わらない地域と比べることは可能」と話していますが、他県も含めた検査データ蓄積に国は力を入れるべきでしょう。(生活報道部)

http://mainichi.jp/opinion/news/20111103ddm003070104000c.html