「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 (読者の声は二回目の掲載) | 日本のお姉さん

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 (読者の声は二回目の掲載)

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
    平成24(2012)年 4月4日(水曜日)
通巻第3611号    <前日発行>

 ボーアオ会議で「幸福論と道徳」を講演したのは誰?
  李鵬元首相の長女、李小琳さまデス。猛烈な反論がネット世論で
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 4月1日、海南省のボーアオで開催された「アジア経済フォーラム」(ダボス会議をまねて毎年、海南島で開催。これまでにも中曽根、小泉らが参加し、ことしの日本側代表は福田康夫)の前夜祭的な青年指導者円卓会議で、こ、「幸福」について道徳を交えて講演した著名な中国人女性がいた。

 「射幸心は欲望が根源であり、欲望は人を幸福にするより不幸にする。モノを重視し、酒池肉林の欲望の世界から脱し、腐敗をなくさなければ屍をさらすことになる。吾々は欲望を抑え、倹約を励行し、道徳を守ることを国論にして、健康的生活を送るべきだ」とのたまわった(講演要旨は『博聞新聞網』から拙訳。4月3日)。

 講演した主は李小琳(中国電力国際発展公司CEO)。言うまでもなく李鵬元首相の長女。
彼女は李鵬が現職の頃、23歳で原子力機関の副主任におさまり、時折、黒塗りの大きなリムジンで香港の有名ブティックにのりつけ、ボディガードを従えて山のようなショッピングをしている現場を香港のメディアにパパラッチされた。

 肝心のボーアオ会議は2日から3日にかけて行われ、李克強副首相が基調演説、ゼーリック世銀総裁、周小川・中国人民銀行総裁、マリオ・モンティ伊首相らが参加した。

 その本会議のことはそっちのけで、ネットには無数の李小琳批判がでたが、典型をひとつ。
 「『暴富(太子党の金持ちを指す)』が幸福だの道徳だのを他人様に説く? 万元の衣服に身を包み、数十万元の時計をはめて、数千万元の豪邸に住み、数百万元の外国車に乗っている人が道徳をとくなんておこがましくもありちゃんちゃらおかしい」

 このボーアオ会議の直前、北京で目撃された情報によれば、「43歳におなりの彼女がめされていたお洋服は1万4000元の最新のエミリオ・プッチで御座いました」(同紙)。

(編集部註 14000元は20万円弱。エミリオ・プッチ<Emilio Pucci>は日本でも三越、伊勢丹など十数店舗を展開する高級ブティクで、本社はイタリアのフィレンツェ。
    ◎◎ ◎◎
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(読者の声1)改めて渡部惣樹著『日米衝突の根源』(草思社)を読み、これは反米、嫌米層はもちろん、親米者にも必見の書だと思います。
この本のP397に次のような記述があります。
「ボストン周辺の名家は、アジア貿易で稼ぎ出した利益を惜しみなく高等教育機関に拠出しています。ハーバード、エール、プリンストン。こうした有名な大学には支那貿易で得た巨富の一部が注ぎ込まれました。その利益のほとんどがアヘン密売から得られたものです」
最近、これらの大学への中国人留学生が急増しています。彼らはそこが中国民族の膏血を搾って築かれたインフラであることを知っているのでしょうか?
支那人にも必読の本です。

さてこの本のP452に次の記述があります。
「(セオドア)ルーズベルトは、アメリカ社会のリーダーたるべき最優秀人種WASP衰退の原因は、戦いの心、死を恐れない勇気を喪失したことにあると考えていました。戦いの場は、凶暴な自然がどこまでも広がり、“野蛮な”インディアンが跋扈する西部が提供していました。しかしその西部は1890年に喪失しています。もはやアメリカ人魂の発露を要求される舞台は国内から消えてしまったのです。だからこそ、アメリカン・エリートは劣等な移民たちのもたらした腐敗に染まってしまったのです。」
(引用止め)

セオドアは日露戦争の戦後処理を仲介したことで日本人には好意的に受け止められています。新渡戸稲造の《武士道》を高く評価したことでも知られています。
セオドアの先祖はオランダ系の新教徒の名門一族(ニューヨーク・ニッカーボッカー)です。
セオドアはハーバード大で、上流階級子弟だけがメンバーの排他的学生組織ポーセリアン・クラブに加入を認められました。
エール大学のスカル・アンド・ボーンズはブッシュ大統領がメンバーだったことで我々の人口にも膾炙していますがそれと類似の組織です。
セオドアは「コロンビア大学で、ジョン・バーゲス教授から法学を学んでいます。
ハワイ共和国大統領ドールに、アジア人排斥の仕掛けを盛り込んだ憲法の立案をアドバイスした気鋭の学者です」(P400)。

「移民の急増によって必然的に引き起こされた異文化との接触は、アメリカの若いエリートの心に、“アメリカ人とは何か”の問いを否応なしに突きつけることになりました。ルーズベルトが母国の歴史に強い関心を持ち、北方ゲルマン民族が築いてきた先祖の生き方を学べば学ぶほど、優秀であるはずのゲルマン民族が劣性民族であるはずのケルト人(アイルランド人)やアフリカ人種(黒人)に圧倒される現実に悩まされることになりました。この悩みは(ハーバード)大学全体を覆っていました」(P398~9)

百年以上前の異国の若きエリート層、指導者予備軍のこんな意識は驚くばかりで想像外なものです。
何て偏狭な考えだと思いますが、セオドアはじつに真剣なのです。彼らの思想空間は特異なものだったということはよく踏まえておくべきです。
セオドアはマハンの著作《海上権力史論》(1890年)に「まさに我が意を得たりの思いでした。」(P416)

「ルーズベルトがここ(ハワイの戦略的重要性)で警戒している外国とは日本のことでした」(P415)

アメリカがハワイを併合したのは1898年でした。セオドアはその時海軍次官の要職にあってハワイ併合を対日警戒の立場から実行したのでした。当時日本海軍の増強は急速でした。「臥薪嘗胆」の標語を掲げての対露戦略の真っ最中だったのです。
しかしアメリカは単純にそうは受け止めていなかったのです。自国への脅威を感じていたのです。アメリカは日本人の思想空間を理解していません。ここに日本の対米外交(政府・外務省だけでなく海軍も含め)の不在と蹉跌を思いますし、国家存亡すれすれの大破滅をきたす萌芽が見えます。

それにしてもアメリカ指導層の意識 ーゲルマン民族はもっとも優秀であり、他人種・他民族と常に戦っていなければ魂は失われるー はきわめて特異です。いったいどんな「魂」なんでしょう。
思うに「アメリカ人」といってみたところの正体が自分たちで掴みきれなかったのでしょう。掴もうにもそういうものが無かったのでそれを見つけようと必死だったのでしょう。
冒頭引用文の終わりにある“劣等な移民たち”とは中国人や日本人の黄色人種、そしてケルト人(アイルランド人=カソリック教徒)、黒人のことです。
こうした他人種、他民族への排他性と攻撃性、それにともなう領土=勢力拡張欲はゲルマン民族の宿痾なのだとつくづく思います。
日本人はそんなものを持ち合わせていません。古来その必要も必然性も無く、遺伝子内にそんな宿痾は刻まれなかったからです。

しかし19世紀後半以降彼らがアジアまで勢力を伸ばし日本に接触して来たことで、絶えず我が領土、我が人的資源、我が金融財産資産を奪われ続けることになったのです。これが我が日本の宿痾です。
人間個人で見れば他者を攻撃せず、清く正しく生きているのですから美徳と申せますが、凶暴な生存競争を掻い潜らなければならない国際社会では膏肓に入る病です。
(有楽生)


(宮崎正弘のコメント)渡部さんはカナダ在住ですが、つい一月初旬まで日本にいました。高山正之さんと一緒に食事したり、西尾幹二先生主催の「路の会」でも講演して貰いました。が、渡部さんは条件付きTPP賛成でした。

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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
    平成24(2012)年 4月4日(水曜日)弐
通巻第3612号    

 この微妙な時期に胡耀邦追慕の清明節を中国メディアが強調
  江西省共青城市郊外の胡耀邦陵墓には党幹部や企業経営者等が陸続と参詣
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 胡耀邦逝きて早や23年の歳月が流れた。
 「民主化」のシンボルとして、あるいは天安門事件への導火線の役割を果たした胡耀邦への知識人の評価は高く、江西省共青城市にある広大な胡耀邦陵墓には、死後これまでに党幹部80名、省市などの幹部クラス200名前後が次々とお墓参りにやってきたという(多維新聞網、4月4日)。

 おりから中国は「重慶モデル」と「広東モデル」のせめぎ合い、薄き来失脚による太子党の迷走と、対比的な共青団勢力の巻き返し。このタイミングのなかで、中国のメディアが一斉に胡耀邦を持ち上げ始めた背景は何が隠されているのか?

(現地をみた筆者の感想余滴)胡耀邦陵墓は十万坪の広大さを誇り、73段の階段、巨大な石碑は73トンの石材を使用した。享年73歳にちなんだ。同陵墓公園には胡耀邦と親しかった中曽根元首相が贈った記念碑も設置されており、付近の土産屋は胡耀邦列伝、ヴィデオ、記念メタルなどが売られているから観光客も多いのだろうと想像がつく。

 近年の特色は海外華僑を含む企業人の参詣で、大きな花輪を抱えてやってくる様を見ていると、なんだか関羽が「財テクの神様」として評価替えがあったような、いかがわしさも感じない訳ではないが。
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樋泉克夫のコラム
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【知道中国 735回】            
    ――これが中国経済の“超成長の秘密”を解くカギ・・・かな
『我国古代以弱勝強的戦例』(柯理編写 人民出版社 1973年)


毛沢東は『中国革命戦争的戦略問題』『論持久戦』『抗日游激戦争的戦略問題』を著し、紀元前684年から紀元後の383年までの1000年余りの間に戦われた10回の戦争を、「弱い軍隊が強大な軍隊に勝利できた輝かしい思想を闡明にするための我が国古代の有名な戦例」と位置づけ論じている。

これらの戦いで弱軍を勝利に導いた最大の要因こそが「正確な主観指導」であり、毛沢東が「示した正確で透徹した論述を、我われは真剣に会得し学習しなければならない」というのが、この本の狙いのようだ。

この本は「戦争の勝敗を決定するのは彼我の政治、軍事、経済など多方面の条件だが、最初に政治条件だ」とする。では政治条件とは何なのか。
それこそが戦争が実現を目指す道義・正義であり、人心の動向ということになる。いいかえるなら、道義や正義のない戦争は人心の荒廃と離反を招き、敗北は必至だ。であれば勝利への基礎条件は、戦争を如何に意義づけ、銃後も含め人々の心に正義への信念を植えつけ、人心を戦争勝利の一点に纏めあげることだろう。

かくして「いかなる戦争、あるいは戦闘においても、勝利を可能にするのは主観指導の適不適にある」とし、10例を1つ1つ具体的に論じている。

ここで、どうにもよく判らないのが「主観指導」という考えだが、勝ち戦の10例を通じて浮かんでくるのは、どうやら次の4原則といえそうだ。

第1原則=戦争指導者は先ず自軍戦力の温存に細心・最大の注意を払え。「戦争の基本原則が自らを保ち、敵を殲滅すること」である以上、弱軍が強軍に真っ向勝負を挑んだところで敗戦は必至。亡国への道を辿ることは当然すぎるほど当然だ。だから弱軍は自己の兵力の温存を第一に考え、その後に敵軍を制し殲滅させる方途を求めるべきだ。典型的成功例として、白馬から自軍を退却させ官渡防衛に振り向けた曹操の指揮ぶりを挙げる。

第2原則=敵の錯覚を誘い、時間的・空間的に予想外の方面から不意の攻撃を仕掛けよ。奇計・奇策を弄して敵の虚を徹底して衝き勝利を呼び込むべし。この本には好例として、韓信による背水の陣、曹操の延津における「声東撃西(東を攻めると公言しながら、西を撃つ)」の戦法、赤壁における黄蓋による曹操軍の軍船焼き討ちなどを挙げられている。

第3原則=「弱軍が強軍に対峙した場合の最も有効的な戦法」である敵を奔命に疲れさせたうえで攻撃を仕掛けよ。「これこそ弱軍の強軍に対する最も効果的な戦法」で、「強い敵軍からの攻撃を回避し、自らの戦力を温存し、敵軍の勢力を消耗させ弱体化させることが可能となる。戦力の優劣を逆転させ反転攻勢に転ずる条件」とする。好例として、曹操の指揮による官渡における堅固な守備を挙げている。

第4原則=先ず敵の弱い部分に攻撃を仕掛け、各個撃破を狙え。この本では「先ず自己の少数精鋭の主力を敵の弱い末端部分に向け、戦闘で勝利したら、再び他に転じて各個撃破し全戦局で攻勢に出て戦いの主導権を握る」との毛沢東の考えを引用し、これこそが弱軍が強軍に勝利できる道だと説く。
劉邦が正面に布陣する項羽軍主力を牽制する一方で韓信を北方に派遣し黄河を渡河させ、魏と代を破り、転じて趙、斉を各個撃破し、遂に項羽軍の羽翼を瓦解させ、項羽麾下の楚軍殲滅に極めて有利な条件を作り出した例を挙げる。

――この4原則を拳々服膺・活学活用したからこそ、共産党政権は経済弱国・貧乏大国を経済強国へと大変身させることができたわけだ・・。
「偉大的領袖毛主席、万歳」。
《QED》
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(読者の声1)貴誌、前号の「ミャンマー政府は、同国内に建設がはじまった中国のダム建設を拒否し、工事が中断されている。総工費36億ドルと言われた。今度はヒマラヤを越えて、インドの保護領ネパールで三峡ダム企業が16億ドルを投じて水力発電のダム工事を請け負う。2019年に完成後、中国は25%の電力をシェアするという巨大プロジェクト」
これはミャンマーの民主化による制裁解除が影響しているのでしょうか。
ネパールはインドとパスポートなしで行き来できるほどで文化もインドと共通。ネパールがマオイストの政権とはいえ中国側に引き寄せられるのをインドは坐視するのでしょうか?
昨年の話題ですが、中国はネパールの仏教遺跡の整備などにも関与しようとしているようです。
http://indo.to/blog/archives/3750

Nepal to build £1.9 billion ‘Buddhist Mecca’ (The Telegraph) China plans to help Nepal develop Buddha’s birthplace at Lumbini (Reuters) The Lumbini project: China’s $3bn for Buddhism (ALJAZEERA)
「調達予定の資金額は何と30億ドルで、ネパールという国自体の年間の歳入の合計額に比肩するほどのものである」という。
上記リンク先のロイターの記事によれば、計画には寺院の建築、道路や空港の建設、コンヴェンション・センター、仏教大学の設置等が含まれるとのことで、これが実行に移されることになれば、今は静かなルンビニーの町の様子が、近い将来には一変していることだろう。
以前、あるジャーナリストの方に話をうかがった際、手を替え品を替えといった具合に矢継ぎ早に繰り出す援助プロジェクト等のオファーにより、中国側に引き寄せられつつあるネパールのことについて、こんな風に表現されていたのを思い出す。
『ネパールは、南側のインドという比較的ゆるやかな斜面と北側の中国という急峻な崖の間に位置する国。南側に転がれば怪我は軽いけど、北側の崖に転落したらどうなることか。けれども当人たちはそれがまだよくわかっていないようだ。』

軍事力増強に努める中国に対し、いまだにアジア開発銀行経由などで資金援助する日本。その資金が廻りまわってアジア・アフリカへの援助(もちろん中国の利益のため)に使われる。
もっと他に資金援助する国があると思います。
とくにミャンマーやインドシナの国々は物流インフラが貧弱でタイに数多く進出している日系企業が周辺諸国と連携するネックになっています。
タイでは昨年の洪水被害に加え、全国の最低賃金が4月からほぼ40%アップという途方もない政策が本当に実行されました。法人税率の引き下げと抱合せとはいえ、バンコク周辺の最低賃金が一日300バーツでは北京・上海などとほとんど変わりない。
http://www.newsclip.be/news/2012402_034091.html


2013年には全国一律で最低賃金を300バーツに引き上げるというのは無茶にもほどがあります。
タイも既に少子化傾向ですから賃上げは避けられないとはいえ、こんなことをしたら地方へ進出する企業などなくなってしまう。
たしかにセブン・イレブンの商品は全国一律価格ですが、最低賃金の全国統一はやりすぎではないでしょうか。
マクドナルドのような外食産業などは日本の三倍の人手を使っているので多少効率化すれば対応できると思いますが工場ではそうもいかない。こうなると言葉が通じるラオス、あるいは民主化が進むミャンマーあたりが移転先として有望になるかもしれません。ラオスは電力に問題ないとしても物流が貧弱。
ミャンマーは電力も物流インフラも貧弱です。
日本の戦前の朝鮮・台湾統治の記録を見ると港湾の浚渫、鉄道建設、ダム建設による水力発電および利水といった産業インフラの整備に力点が置かれ、そのインフラが戦後の韓国・台湾発展の原動力になったのは周知のこと。
日本の現状を見るとインフラ整備・維持なくして国の発展はないのに、麻生政権時代の耐震補強予算をカット、復興はほったらかしで増税に血道を上げ、夏の電力供給への道筋すら示せない民主党政権はまさに亡国の政権ですね。
 (PB生、千葉)

(宮崎正弘のコメント)これじゃまずいゾとばかり民主党から集団脱走の気配濃厚。かれらは無節操に大阪維新は走ったりする? 野田さんは、しかし、なぜこうまで財務省に操られているんでしょうね。松下幸之助が草葉の陰で泣いている。
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(読者の声2)貴誌通巻第3611号に有楽生氏が(読者の声1)で「改めて渡部惣樹著『日米衝突の根源』(草思社)を読み、これは反米、嫌米層はもちろん、親米者にも必見の書だと思います。この本のP397に次のような記述があります。『ボストン周辺の名家は、アジア貿易で稼ぎ出した利益を惜しみなく高等教育機関に拠出しています。ハーバード、エール、プリンストン。こうした有名な大学には支那貿易で得た巨富の一部が注ぎ込まれました。その利益のほとんどがアヘン密売から得られたものです』。最近、これらの大学への中国人留学生が急増しています。彼らはそこが中国民族の膏血を搾って築かれたインフラであることを知っているのでしょうか? 支那人にも必読の本です」」
とかかれました。
米国の有名大学に多額の寄付を行ったのは悪徳商人だけではありません。カリブ海を荒らしまわった海賊(buccaneers)たちも多額の寄付をおこなっています。
米国で2番目に古い大学でありトマス・ジェファーソンも卒業したCollege of William & Maryも19世紀に破産しかかったところを海賊からの寄付で立ち直りました。
渡部氏の著書は私も読みました。以前コメントを書かせていただきましたが素晴らしい本ですが、見落としている重要な点もありますので、あのコメントを念頭に置いて読まれるとよいと思います。
(ST生、千葉)

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(読者の声3)大阪の読者の皆さん、「日本唱歌を歌う日の丸行進」が行われます。
4月15日(日)集合・集会 13:00です。
 集合場所は「新町北公園」(元・大阪厚生年金会館の南隣 [4月からオリックス劇場に改名]、ダイワロイネットホテル四ツ橋(06-6534-8055)の西隣、大阪市西区新町1-15) 
(地下鉄・四ツ橋線「四ツ橋駅」2番出口より北北西へ徒歩5分/地下鉄・四ツ橋線「本町駅」23番出口より南へ徒歩7分) 
受付:12:30 集会:13:00 行進開始:13:30  
コース: 南久宝寺町通り~心斎橋~御堂筋~難波(解散)終了予定:14:30 

【開催趣旨】日本国旗「日の丸」が日本国中にひるがえる機運を盛り上げるために行ないます。 講演会中心の活動では飽きたらず実践を伴った国民運動として、たとえ参加者が5人となったとしても毎月行ないます。
日本では祖国の国旗・国歌がうとんじられるという非常識が常識になっています。それはおかしいと思い行動することにしました。 
「日の丸行進」は奇跡的に過去8回とも酷暑や雨からまぬがれ、幸いなことに毎回約100名ほどのご参加をいただいております。行進では日本を誇りある国家となるよう日の丸を掲げることを訴え、また自衛隊の皆様の日ごろの活躍に感謝の気持ちを伝えます。 
また日本の唱歌は教科書からどんどん消されており、そのことに憂慮しています。 
そのために「日の丸の旗」(白地に赤く~)や季節の日本唱歌、計5曲を、皆で行進中に歌い「日本唱歌を歌う日の丸行進」といたします。 
この行進は政治的抗議のデモではなく、祖国日本を賛美する行進です。そのために「ありがとう」などの肯定的な言霊を発し、沿道の人々へ手を振るなど、独特の行進をして日本の国民デモの形を変えたいと思っています。 
行進の先頭を動物着ぐるみたちが楽しく歩いてくれるので、沿道の方々に非常に好評です。 
インターネットで検索していただいたら「日本唱歌を歌う日の丸行進」の動画が映っています。ぜひご覧ください。

【主張の内容】「日の丸をあげよう」「がんばれ 日本」「自衛隊の皆様 ありがとう」「東北 がんばれ」など
【4月の唱歌・斉唱】
「日の丸の旗」(白地に赤く~♪)
http://www.youtube.com/watch?v=Ej-nhp2BFrA&feature=related  

「ふるさと」(うさぎ追いし~♪)
http://www.youtube.com/watch?v=ZmrJyek9mpw&feature=related  

「朧月夜」(菜の花畑に~♪)
http://www.youtube.com/watch?v=_qaMTWv8qXE&feature=related  

「森の水車」(緑の森のかなたから~♪)
http://www.youtube.com/watch?v=fWob_ebKT_8&feature=related  

「花」(春のうららの隅田川~♪) 
http://www.youtube.com/watch?v=GXKmTKrqSR4  


【注意事項】大雨中止・少雨決行(レインコートは準備しています)、大きな国旗は10旗準備しています(販売する国旗もあります、日の丸をお持ちでない方でもご参加ください)、プラカード持参、可(ただし民族差別的なものは禁止)、日の丸以外の旗類、拡声器などの持ち込みはご遠慮ください 
どなたでも参加しやすい穏やか行進として企画しています。日本国民としての自覚をもって粛々と行ないますので、粗野な服装や言動、怒声はご遠慮ください 
「日の丸行進」では「反対」「粉砕」の声はやめて、肯定的な言霊の唱和を行ないます。
またシュプレヒコールやアピールといった外国語はできるだけ使いません。

【参加費】無料(ほぼ自費で開催しますので、できれば応援いただけたら幸いです)
【毎月開催】 第十回は5月20日、6月は17日に開催の予定(原則として第3日曜日、13時開催予定) 
主催:日の丸行進の会(連絡先・会代表: 石黒大圓 090-1146-7351)
協賛:頑張れ日本! 全国行動委員会 京都府本部 関西総本部 大阪支部 
   日本の誇りを取り戻す全国協議会

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(読者の声4)前号への感想です。戦前、何故米国が親米的な日本を攻撃したのか、という米国の戦争動機の解明は日本人にとって非常に重要です。しかしこれほど大きな事実なのに戦後60年、殆ど論じられてきませんでした。
わたしは、米国の戦争動機は、あくまでも極東政策としての支那満洲狙いであったと考えています。指導者の個人的な好き嫌いのレベルではないと思います。
米国のアジア政策の起源は1899年のジョン・ヘイ国務長官の「支那満洲門戸開放機会均等」宣言に見られます。米国はハワイを併合しフィリピンを植民地化し次の標的は支那満洲でした。
だから日露戦争の講和会議でも南満州鉄道の権益を日本に斡旋しました。そして直後鉄道王ハリマンがこれを買収しようとしたところ日本政府が拒否しました。すると米国の対日政策は一転反日にかわり、これは1949年(1945年ではない)の支那の完全共産化まで続きました。
米国の満洲への執着は1931年の満洲国不承認宣言に明らかです。
また1945年のヤルタ会議でも、ルーズベルトはスターリンに莫大な代償を与える代わりに満洲の代理占領と蒋介石への移管を求めました。ルーズベルトは蒋介石を米国の傀儡と見ていたのです。スターリンは代償を得ると二つ返事で承諾し、実際にはその後違約して満洲を毛沢東にわたしてしまいます。
なおこの時の代償が、帝政ロシアの支那利権、日本の固有の領土、90万トンに上る兵器、武器、弾薬などでした。いずれも米国の腹の痛まない他国の領土や権益でした。このためルーズベルトはヤルタ会議の帰途、侍医に「安い買い物をした」と言ったのです。



マッカーサーは「支那の共産化と喪失は、米国太平洋政策百年の最大の失敗であった」と総括しています。


米国の対日戦争の目的は日本の占領ではなく、あくまでも支那満洲支配の邪魔者を排除することでした。


支那満洲が失われると日本占領はもはや意味がなくなり、却って米国の負担になったので、1950年ダレスが来日して吉田首相に再軍備を要請しました。また再軍備しやすいようにサンフランシスコ条約で日本を独立させました。


マッカーサーの更迭と彼の米国議会における日本自衛戦争論も早く日本に自衛させ、米国が手を引くと言う米国の対日政策の延長戦上にあったのです。


米国の再軍備要請を、丁度朝鮮戦争が起こった時期なので、朝鮮戦争のためと考える人がいますが、朝鮮戦争が起こらなくても米国は自衛させたでしょう。


なお吉田さんが独立は歓迎しましたが再軍備には反対したのは、新日本軍10万人が朝鮮戦争に国連軍名目で突っ込まれることを防ぐためと言われています。


 宮崎正弘のホームページ http://miyazaki.xii.jp/

(C)有)宮崎正弘事務所 2012 ◎転送自由。転載の場合、出典を明示

吉田首相は占領憲法や経済復興などの詭弁を弄してダレスに抵抗しました。
おかげで日本は血を流すことなく朝鮮戦争の戦争特需だけを享受できました。外交がより少ない犠牲で大きな成果を上げることとしたら、吉田さんのこの時期の戦後外交は天才的であったと言ってよいでしょう。
 (東海子)



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(読者の声5)前号の続きです。
渡辺惣樹氏の対アメリカ観はシビヤですが対イギリス観はさらに徹底して辛く、当時の時代相をよく捉えていると思います。ベテラン編集者の増田敦子さんの力なくしては世に出ない書だと思います。
さて以下が続きです。
1899年ニューヨーク州知事になったセオドア・ルーズベルトは支持者の前で、アメリカ人エリートのあるべき姿を熱っぽく語っています。
「我々は、祖先たちのインディアンとの激しい戦いの歴史とその精神を決して忘れてはならない。戦う心を失えば我々にとって代わり、我々の(手にした)地位を奪っていくだろう。ダーウィンの理論からすれば、そうした競争に勝ち抜いた種こそが支配種族として君臨するのだから、それが当然の帰結である」
(引用止め)

セオドアがこう述べた場所は南北戦争の勝利を記念してリーダーたちが結成した男だけの社交クラブでした。聴衆は同じ優性種の仲間です。自分の存念をありのまましゃべっていると思われます。
ここでセオドアは支那人種を例に戦う心の大切さを訴えます。
「もし我々が、世界で最も退廃し、男らしさの欠片もない支那人種のように振る舞うようなことにでもなれば、戦う心を保持し続ける人種との争いに必ずや敗れるであろう。不屈の精神をもって外国との戦争を恐れない。そうした心構えなくしては我が種族の衰退は免れ得ない」
(引用止め)
これがセオドアの本心です。アングロ・サクソン種の優越性を信じ、信じるがゆえに他人種を打ち負かす。それをやり続けることを自分たちエリートのレーゾン・デートルに据えていたのです。
しかし卓越した政治家だったセオドアはそんな本音に砂糖粉をまぶして我々にうかがわせませんでした。
ハワイを併合し、米西戦争でスペインからフィリピンを手に入れて、太平洋での橋頭堡を築いたセオドアは、1907年米大西洋艦隊を世界一周の親善航海に出発させます。この真の目的がフィリピン・ハワイの防衛訓練と日本の威嚇にあることを知っていたのは限られた軍関係者と政権内の一部閣僚だけでした。

その一人はこう語っています。
「ルーズベルトは、日本との戦いの恐れを語りだした。この一年半ずっと悩んでいたというのだ。『おそらく僕ほど日本との戦争を心配している者は他にいないだろう。もちろんすぐには開戦とはならないが、その日はいつかやってくる。(中略)その準備をしっかりしておくこと、戦いを恐れない冷酷なまでの強い意志を彼らに示すこと。こうしたことが絶対必要だ。だから艦隊を太平洋に派遣し横浜に寄港させることにした』と言うのだ」
(引用止め)

あにはからんや日本政府はアメリカ艦隊を大歓迎します。横浜沖では三笠を旗艦とする接伴艦隊十六隻が整然と待機し、それらがアメリカの主要戦艦すべてにピタリと配置して日本海軍の規模と操船能力を誇示しました。
同書は、日本がアメリカの押し隠した警戒心に気づかず全く無邪気だったように描かれています。
しかし日露戦役後、日本海軍は仮想敵国をアメリカとしますから、横浜港でああしてアメリカ艦隊に示意行動した可能性は残ります。その時、日本の民衆の大歓迎ムードとはかけ離れた緊張がアメリカ側に走ったことは想像に難くありません。
後年、セオドアはドイツ海軍大臣から米艦隊の世界周航時に日本から攻撃を受ける可能性を考慮しなかったかを尋ねられた際、十のうち九までは攻撃を加えられるとは思わなかったが、残りの一はその可能性があったと語っています。
1909年米軍事略家のホーマー・リーは『無知の勇気』を世に問います。リーは荷馬李という支那名を持つ孫文の軍事顧問でもありました。
リーの考えはアメリカの仮想敵国別の戦争計画(対日計画はオレンジ・ブラン)の原型を作ったシャフィー司令官に強い感銘を与えています。
リーは地政学視点に加え、国家形成に及ぼす民族問題からも世界史をレビューし、強大な国家が多民族国家になると国力が例外なく衰退することを説いています。
満州族に支配された支那を代表例に挙げて、アメリカもこうした衰勢傾向にあることを示します。
リーの分析は、日本の単一民族の強みやアメリカに送り込まれた多数の日本人移民の存在から、日本への恐怖心をアメリカ人にもたらすのです。
日本の強さの本質を分からず、アメリカの現実を知らない無知なことではダメだとアメリカ人に迫ったのです。
リーは日米の軍事衝突は避けられないと結論づけています。そして日本の米国本土侵略を想定しそのシナリオを具体的に提示しています。
マッカーサー将軍の下で対日戦を指揮したウィロビーはこの『無知の勇気』を研究し、「ホーマー・リーは謎の人物でもなく、預言者でもない。戦争の原因を分析し、近づきつつある軍事衝突への処方箋を提供したのがリーである」と評しています。
『無知の勇気』はイギリスのロバーツ参謀総長、ドイツ皇帝ヴィルヘルム二世など、欧州各国のリーダーにも衝撃を与えています。
著者の渡辺惣樹氏は、アメリカの為政者はハワイ併合とフィリピン領有で日本との衝突が必ずあることをかなり早い段階で覚悟していただろうと述べています。
その論拠を述べた研究リポートが「日米衝突の根源」です。
(有楽生)



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(読者の声6)4月3日、日銀のマネタリーベースが前年比マイナスとの発表でたちまち円高・株安の方向にもどってしまいました。
日銀がいくら口先で金融緩和を言ってもマネタリーベースを増やさない限り円高の流れに変わりはないことが実証されました。
最近では日銀法改正の問題についても注目されるようになってきました。日銀の独立など本当に必要なのか、デフレを容認するような日銀は必要ないという声がますます高まることでしょう。
大手新聞社は税務調査で財務省に睨まれているために増税を煽る世論形成している、という話をよく聞きます。もし本当なら墓穴を掘っているとしかいえませんが、毎日新聞はもう先は長くない。増税キャンペーンで消費税増税が本当に決まったら新聞を読む人は激減、それで朝日新聞が潰れるなら願ったり叶ったり。
讀賣は老害がいるかぎりどうしようもない。日経の中国関連など株のハメコミみたいな記事ばかりで信頼度はほとんどなし。産経も田村秀男氏の記事以外は増税容認ばかり。日本はバブルが崩壊したとはいえ、欧米の1980年代のような穴ぼこだらけの道路、公務員の給料が払えず警察や消防のストが頻発、ゴミ収集もできずにゴミの山、といった事態までには至っていません。
逆に都心部は再開発でどんどんきれいになり、東京スカイツリーまでできている。
海外から見たら失業率も低い日本のどこが不景気なのか不思議に思うでしょう。デフレ期の今こそ政府が公共投資を行うだけで日本経済は上向くはずです。
民主党政権を一日でも早く終わらせるのが日本のためなのですが、自民党の谷垣総裁には倒閣の意思がまるで感じられない。日本はもっと落ちるところまで落ちないとダメなのでしょうかね。
  (PB生、千葉)


(宮崎正弘のコメント)日銀批判が保守経済論壇の主流となりました。増税批判は全国的流れ、背景には財務省批判ですが、その財務省より傲岸な日銀は日銀法の改正があるまで、国益を軽視しての政策的暴走を続ける懼れがあります。
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しかし1949年、国共内戦で蒋介石が敗北すると、米国は支那全土の拠点から追い出されました。