「英国人ビジネスマン(ネイル・ヘイウッド)はアルコール中毒ではない。謀殺された」王立軍
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成24(2012)年3月30日(金曜日)
通巻第3606号 <3月29日発行>
<速報>
王立軍は米国領事館へ駆け込む前に英国総領事館と接触していた
BBC、現地の領事館筋の情報を初報道
************************
2月6日に重慶から成都の米国領事館へ変装して駆け込み、政治保護を求めた王立軍(当時、重慶市副市長)は、成都へ行く数時間前に、重慶になる英国総領事館と接触していた事実が判明した。
BBCの報道に寄れば、「英国人ビジネスマン(ネイル・ヘイウッド)はアルコール中毒ではない。謀殺された」と会見した英国領事館のスタッフに語ったという。
○◎○ ○◎○ ○◎○
◆書評 ◇しょひょう ◇ブックレビュー ★
桜の下に蘇る高橋是清、日本初の女性総理に経済政策を助言
あら不思議、日本経済が復活し、世界経済も蘇生する愉しき近未来小説が登場
♪
三橋貴明『コレキヨの恋文』(小学館)
@@@@@@@@@@@@@@@@@
小説のかたちを借りた、しかも近未来SF的実験小説風の経済試論である。
それにてしても三橋さん、随分と多彩な「芸域」をお持ちのようで。高橋是清と、未来に登場する日本のサッチャー、女性宰相とが首相官邸の桜に木の下で、幻想的な出会い、このモデルは誰? 小渕優子のようでもあり、稲田朋美のようでもあり。
おりから映画サッチャー「鉄の女の涙」が封切られ、初日の雨の日に評者(宮崎)も、見に行ったけれども土曜初日とあって満員御礼。十日ほどあとの平日、朝一番で、ようやく見た。
すでにTIMEやNYタイムズに克明な映画評も出ていたが、主演のメリル・ストリープの凄絶な演技は素晴らしいとおもった。
映画はサッチャーの赫々たる業績を前面にださないで、むしろ夫婦愛が縦軸、家族の物語と回想シーンとしてのホテル爆破、フォークランド戦争、そして最後は閣議で孤立しながらも「ユーロには参加しない」と言明する。その信念のためには犠牲を恐れないという傑人的指導者がサッチャーだった。
ひるがえって我が国の政治家といえば、宇宙人、スッカラカン、ドジョウなど、こうまで三流のバカが揃うのも近代史での「奇跡」と言えば、言える。
そして日本にはサッチャーが必要なのだ。財務省、日銀などふぬけ官僚の反対路線を敢然と、豪快にサッチャーのように歩める次代の指導者が!
さて本書。小説的技法から言えば文学とほど遠いが、これはファンタジー、花見酒にふさわしいエンターテインメントの要素があって、そもそも着想が凄い。
登場する近未来の架空の日本国宰相は「さくら子」。
彼女は就任一年目に衆議院本会議で演説する。この演説が以後の日本復活と世界史をかえる原点になるという設定である。
おそらく三橋さんが力説したかったポイントは次の台詞であろう。
「日本政府はこれまで、皆さんを苦しめるような政策ばかりを続けてきました。(中略)国民経済が縮小していく状況で、日本政府は国民所得の減少を引き起こす政策を続け」たために、「所得が減り、失業率は上がり、大変悲しいことに自殺者は毎年三万人を超えています。」
このような結果を導いたのは「間違いなくデフレの深刻化が大きな原因です。それにもかかわらず、政府はデフレ対策を怠って着ました。それどころか、増税や公共投資の削減など、デフレを促進する政策を遂行してきたのです」
「これは間違いなく日本政府による人災です。ですが、その日本政府を選んだのは、いったい誰なのでしょう?」
「日本政府の目的は、国民がより豊かに、より安全に暮らすことを実現することである。日本政府はこれまで、この基本的な目的を忘れ、一部の政治家や省庁の自己目的実現のために、歪んだ政策を打ち続けてきました」が、まだ間に合う。
「日本は世界一のお金持ち国家です。対外純資産は世界一、最も成長する可能性を持つ国です。」だからこそ「成長路線に戻ればいいのです」
そしてさくら子首相は言った。「日銀法を改正する」と。
最初に本書の著者である三橋貴明さんと出会ったのは三年ほど前、桜チャンネルの経済討論番組で、「中小企業診断士」という名刺を貰った。
討論ではスタジオに新型の卓上型パソコンを持ち込んで、話題となったテーマに関係するグラフ、統計をたちどころにパソコンから取り出して三橋さんが縷々説明されるので、若い人ゆえに、こうやって新兵器を駆使するのかと感心した。それが最初の出会いだった。
以後、三橋節はじつに鋭敏な切り口で現在の日本経済の病原菌と、その処方を説かれ、冴えに冴えわたる。
鮮烈なエコノミストが登場したものと二重に感心していたが、著作を読んだことは一冊しかなく、要するに三時間番組で七、八回も顔を合わせて持論を聞いていれば、読まなくても言いたいことが分かるからである。したがって小異はあるが、大筋で三橋さんの日本経済処方とのあいだに齟齬はなく、ちょっとニュアンス的に意見が合わないのは、政府紙幣発行、為替固定相場復帰、金本位復帰という三つの論点くらいだろうか。
ともかく新しい実験的手法。愉しく読んだ。
○
(編集部より)当該書籍、アマゾンで在庫切れの様子です ↓
http://www.amazon.co.jp/%E3%82%B3%E3%83%AC%E3%82%AD%E3%83%A8%E3%81%AE%E6%81%8B%E6%96%87-%E4%B8%89%E6%A9%8B-%E8%B2%B4%E6%98%8E/dp/4093863261
○
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~宮崎正弘の最新刊
『国際金融危機 彼らは「次」をどう読んでいるか』(双葉社新書、840円)
http://www.amazon.co.jp/dp/4575153877/
♪♪
<宮崎正弘のロングセラー>
『2012年 中国の真実』(ワック、930円、新書版)
http://www.amazon.co.jp/dp/4898316557/
『中国大暴走 高速鉄道に乗ってわかった衝撃の事実』(1365円、文藝社)
http://www.amazon.co.jp/dp/4286114228/
『中国は日本人の財産を奪いつくす!』(徳間書店 1260円)
http://www.amazon.co.jp/dp/4198631565/
『オレ様国家 中国の常識』(新潮社、1470円)
http://www.amazon.co.jp/dp/4103290617/
♪♪♪
<宮崎正弘の対談シリーズ>
『猛毒国家に囲まれた日本』(佐藤優氏との対談。海竜社、1575円)
『増長し無限に乱れる「欲望大国」中国のいま』(石平氏との対談。ワック、945円)
『絶望の大国 中国の真実』(石平氏との対談。ワック、933円)
『日米安保、五十年』(西部邁氏との対談。海竜社、1680円)
『世界が仰天する中国人の野蛮』(黄文雄氏との対談。徳間書店、1575円)
宮崎正弘のホームページ http://miyazaki.xii.jp/
(C)有)宮崎正弘事務所 2012 ◎転送自由。転載の場合、出典を明示