中国銀行が「テロ組織の資金を洗浄していた」とイスラエル情報機関
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成24(2012)年3月24日(土曜日)弐
通巻第3598号
中国銀行が「テロ組織の資金を洗浄していた」とイスラエル情報機関
米国裁判所、イスラエルの中国銀行提訴を受け入れへ
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フォックスニュース(3月21日)が伝えている。
中国銀行広州支店から、イスラエルのウエストバンク(ヨルダン川西岸)にある銀行口座へ、合計で110万ドルの送金があった事実が判明した。
この口座は「イスラム聖戦機構」や「ハマス」の関係者が開設して利用してきた形跡があることをイスラエルの情報機関「モサッド」が掌握した。
2006年四月にテルアビブのサンドイッチ店を襲った自爆テロでは9人が死亡し、60人が重軽傷を負った。
この自爆テロリストの遺族にはテロ組織から15000ドルから25000ドルが「慰労金」として支払われた。
イスラエルは中国銀行がテロリストの資金洗浄に手を貸しているとして証拠を提出し、中国に警告してきたが、埒があかないと判断し、米国の裁判所へ提訴する方針を固めた。
フォックスニュースは、米裁判所が近く、この提訴を受け入れる方向にあると報じている。
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(再録)
習近平の中国は対日強硬路線へ
宮崎正弘
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次の中国の最高指導者の椅子をほぼ手中にした習近平が日本に対して強硬路線に舵取りを変える懼れが高まった。
なぜなら習近平はカリスマ性がなく、強い指導力も伴わないため集団指導体制の下で、権力基盤を固めざるを得ず、そのためには党の大勢に順応し、軍の突出を黙認せざるを得ず独自の戦略行使は望み薄だからだ。
むろん政治は一寸先が闇であり、正確な近未来を誰も予測することはできないが、現在までに出てきた人事情報やデータから判断すると習近平時代の中国はおよそ次のようになるだろう。
第一に現在の胡錦涛ー温家宝体制が世界的視野をもって米国との諍いを表面化せず、しかも一方で民主化への努力を印象づける「改革」志向だが、その代表格である温家宝などの前向きな能吏が次期政権には不在となりそうである。王岐山、李克強、李源潮、王洋ら執行部入りが予測される指導者らにも「民主化」のカリスマ性が乏しい。
第二に胡錦涛率いる共青団人脈の勢力拡大は一段落し、「第六世代」の指導者として残るのは周強(湖南省書記)、胡春華(内蒙古書記)あたり。習政権では共青団出身者は大きく排除され、太子党、上海派からの抜擢が急増しよう。改革はつねに唱われるが実行されず特権階級の維持が政治目標のトップに置かれるだろう。腐敗は止まず、暴動は広がり、結局のところ中国は事態の悪化を「反日」ですり替えることになる。
第三に次期皇帝の周りを囲むのは中国的特徴から言えば家族、一族郎党、親戚ならびに郷土人脈となり、つぎに学校同窓会が主役となる。習の母親=斉心が最大ブレーンと言われるが、大学同級生の何立峰(天津副市長)が参謀役、陳希(精華大学同級で遼寧省副省長)ら幼なじみの発言力が増すだろう。トウ小平、江沢民、胡錦涛の家族らがビジネスを拡大して富豪集団を形成したように習近平の姉弟らは不動産開発で富豪になっている。これから利権がらみのビジネスの寡占も始まる。
第四は軍において習近平の人気は高く、かつ夫人の澎麗媛は少将にして軍所属歌手、軍内に台頭した劉源は劉少奇の息子だが習の幼なじみ。また総後勤部副主任の劉衛平は中学の同級で遊び仲間だった。やがて軍の高官は習に忠誠を誓う人脈で満たされるだろう。
つまり軍の国軍化を説いた章泌生(副参謀長)ら改革派の軍人が失脚したように、習に諂う軍人が増え、同時に習は軍権を掌握するためにも国防費の二桁増路線を維持する。軍は共産党に従属するのであり、国軍ではないから軍の暴走はときとして尖閣諸島沖の衝突事件のように強硬姿勢に傾斜せざるを得ない。
第五に習近平は八方美人型で決断が鈍いと言われるが、彼を引き立ててくれた曽慶紅(元国家副主席で江沢民の右腕)らの長老を大事にする。北戴河会議は長老のあつまり、要の議題はここで決まる。
現在の中国の政権は共青団+上海派の連立政権で多数派工作のため太子党の取り合いだが、次の習政権は太子党+上海派の連立が主導し、共青団など改革志向の勢力を凌駕する可能性が高いのである。
(この文章は『北国新聞』コラム「北風抄」3月19日掲載の再録です)
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(読者の声1) 日本人留学生が韓国人とタイ人にいじめられたという話に(東海子)氏が疑問を呈していますが、何ら不思議はありません。
韓国人の性質の一つが「強きを助け弱きをくじく」、「水に落ちた犬は叩け」というのもありますが、弱みを見せたら徹底的につけ込んでくる。
さらに韓国人はタイ人を格下と見ていますから最初にタイ人を恫喝し子分にする。
福建さんと香港さんはバックに黒龍江さんがついているので手が出せない。日本人留学生が身長145cmとたいへん小柄だったことも韓国人をつけあがらせることにつながったと思います。韓国では学校でのイジメが社会問題化していますが、日本人イジメの手口を見ても、この韓国人は本国でもイジメる方だったのでしょう。
大体のイメージですが、韓国人は身長160~165cm、肩幅が広くがっちり型かつ貧乳、韓国人はたいていそうです。胸囲はアンダー75のAカップ。タイ人は骨格が細い華奢なタイプで155cmくらい、アンダー65のB。福建さん・香港さんは日本人とあまり変わらず158cm前後、アンダー70のAかB、香港さんはたぶんメガネ。黒龍江さんは168~170cm、75のC。中国人女性は日本が大好きで北京でも上海でも女性誌の売上上位はすべて日本の雑誌との提携誌です。
中国に行く時は資生堂の化粧品と女性誌を持っていくととても喜ばれます。日本大好きな台湾や香港経由での情報も多いうえ、中国人歌手がカバーしている日本の曲も数知れず。同じ世代なら話題に困ることはないでしょう。
対する韓国、日本文化を長年にわたりシャットアウト(表向きは)。地上波アニメは背景の日本語まですべてハングルに書き換えられます。
その結果、日本アニメを見て育っても、それが韓国産だと信じて疑わない。お菓子も同様、日本のパクリばかりなのに日本が韓国の真似をしている、などと最初は思ってしまう。韓国国民が日本統治時代の真実を知ると自我が崩壊するかもしれません。
だからこそ韓国政府は漢字使用を極度に制限し日本統治時代の記録を国民の目から隠し、しきりに反日を煽るのでしょう。韓国で出会う日本語世代の人たちの悲しげな表情と台湾の日本語世代の溌剌さを見ると、どうしてここまで違ってしまったのかと思わざるをえません。
(PB生、千葉)
(宮崎正弘のコメント)韓国で日本語世代はいまや70歳以上ですが、人前で日本語ができるとまずいのか、個室にはいってから滔々と喋る人がたくさんいました。
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<< 編集後記 >>
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(某月某日)新幹線と特急を乗り継いで金沢へ。越後湯沢で乗り換える。冬は豪雪に重なると飛行機が飛ばないことがあるので、真冬の北陸方面への手配は、とにかく汽車の旅にしてもらう。
さて駅前のホテルのロビィで「宮崎さん」と呼びかける声が有り、金沢の知り合いかなと、ロビィで振り向くと加瀬英明さんがラウンジで珈琲を飲んでいる。「え? 講演ですか?」。そういえば、ホテルの看板にその夜、自衛隊を激励する集会があることを知ったが、ひょっとしてそれかも。そうでした。主催者の何人かは小生も顔見知り。なぜなら三年前に、この会で講演した。小生は別の約束あり、ちかくの寿司屋さんへ急ぐ。名物はたはたの握りにはありつけなかったが、冬の金沢名物、ズワイ蟹の雌、のどぐろ、白海老の天ぷらに舌鼓。
翌朝、ホテルの朝食会場で加瀬さんと食事。そのあと加瀬さんは小松空港へ。小生は母親の病院を見舞い、その足で講演会場へ。金沢経済同友会で弐時間ほど講演し、すぐに駅へタクシーで向かう。また特急と新幹線を乗り継いで、雪国を通過しながら缶ビール2本だけで帰京した。
(某月某日) 早朝五時起き、羽田発九時半の全日空機で台北へ。三泊四日で大急ぎの台湾取材。馬英九再選後の台湾の変容ぶりをみてまわる仕事だが、詳しくは『エルネオス』に書くので省略。しかしながら台北での四日間、雨にたたられ、手がすべってカメラを落とし大事な写真が二十枚ほどしか撮れず、さんざんだった。インタビューはホテルで済ませることが多く、外を歩かない分、珍しく昼と夜は食べ歩き。鼎泰豊、欣葉、青葉、雲南料理に台南料理。夜中は六条から八条にかけての旧日本人街のおでんや、焼酎スナック。最終日、仕上げの昼飯は50メートル並んで備前屋でウナギ。またもテレビの取材が来ていた。台湾でもグルメ番組がすごい人気らしい。
(某月某日)久しぶりに昔の友人達と飲む。昼間は共通の友人の法要。増上寺で焼香後、銀座へでて以前よく通った「かに道楽」を探すが、ビルの反対側に移転していた。仲居さんにその旨を告げると「新築して三年になりますよ」と言われ、おっと三年以上きていなかったのだと気がつく。食事後、友人が「まだ飲み足りない」というので銀座四丁目の寿司へ。刺身を少しだけで焼酎。やや酩酊。別れて電車に乗ったのがまずかった。車内で寝込み、気がつくと氷川台とか平和台とか、それでも気がつくのが早かった。以前は見知らぬ駅で降りて、折り返しの終電に間に合わないところだった。山手線なら二周してもどうってことはないが、総武線だと千葉県のどこかへ連れて行かれるので、飲んだ夜はやっぱりタクシーで帰るのが一番。
(某月某日) 拓殖大学の勉強会へ出席。ミニ・シンポジウムの司会は遠藤浩一・日本文化研究所所長。その日の発表者は花田太平氏と川口マーン恵美さん。出席は拓殖大理事数名の他に、学外から西尾幹二、田久保忠衛、ロマノ・ビルピッタの各氏。客員教授連からは小生のほか井尻千男、石平の諸氏。イギリスとドイツの日本文化の理解度、相対比較論などを聞いて質疑応答、その後、会場を移して懇親会。はねてから、またまた二次会へ。関西へ帰る石さんが途中で中座し、残った西尾、川口、正論の上島氏、浜口氏らと杯を重ねて、外へ出ると雨があがっていた。タクシーを拾い、西尾先生を駅でおとし、川口マーンさんを滞在先まで送り、帰宅して風呂も入らずに寝た。
(某月某日) 赤坂でマスコミ有志の集まり、その夜はアフガニスタン駐在から無事帰国した米国大使館スタッフ(アメリカ人)と食事兼勉強会兼飲み会。以前も欧州大使館勤務の女性スタッフ四人との会合が同会主催、同場所で行われ出席多数。最近、この会はテレビからの出席が多いことに気がついた。また常連の元木昌彦、花田紀凱の両名はこのところ欠席続きだ。さてくだんのアメリカ人に『次の大統領はモルモン教徒の可能性あり』と聞くと『絶対にない、オバマ再選です』と語気強く、ああそうか、在日米国大使館は民主党リベラルの巣窟だったっけ。以前、ヒラリーを「あばずれ」呼ばわりしたら怒り出したのがいました。などと議論しているうちに、やや酩酊。この夜もタクシーで帰還。
(某月某日) 或るパーティ。品川のグランド・プリンスホテル。まずあったのは八木秀次さん。助教授とばかり思っていたが、教授になられたことを知らなかった。三百五十人ほどが出席したうち、百人近くが知り合いのため、料理を一つも食べないうちに中仕切りの時間となる。会話した人のことは書ききれないので全部省略。佐瀬昌盛教授が「宮崎さんの中国内部レポート、ほかのどのチャイナ・ウォッチャーにもない視点があり、感心して読んでいます」とお褒めの言葉をいただく。鳥居民氏と中国の内部の話。終わってロビィで呉善花さんと帰り道が同じなので一緒に新宿へでて、ちょっと寄り道。しかし、いつも呉女史のほうが酒は強いので、気をつけていたがやっぱり酒量でまけてしまった。
(某月某日)九段下のグランド・パレスホテルで『サピオ』の取材。前回も同じ場所。小学館から近い。一時間半ほどインタビューに答え、ロビィで他の約束をまつと携帯電話がなって「行けなくなった」。仕方なく歩いて飯田橋まででるうちに、近所にオフィスのある先輩のことを思いだした。ちょうど運良く居合わせたので一緒に先輩行きつけの居酒屋へ入る。仲居さん、ここも中国人。最近、殆どの居酒屋で仲居さんが中国人女性。コンビニもそうだ。出身地とか、留学先、結婚の有無など余計なことを質問するとなじんで笑顔になる中国人女性もいるが、途中でむすっと答えない手合いもいる。千差万別。それでも最近の中国人女性、日本人と似てきた。うっかり中国語を喋ると警戒されたが、最近はそれもない。環境は年々歳々急速に変貌している。
とまぁこんなことばかり書いていると、毎晩へべれけに飲んでいるかと誤解されそうだが、早寝早起きが原則。原稿はちゃんと書いております。
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三島由紀夫研究会からお知らせです。
四月から七月までの例会、公開講座毎月連続開催のお知らせ
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国防講演会(主催:国防問題研究会、後援:三島由紀夫研究会)
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日時: 4月20日(金)18:30 (18:00開場)
会場: 中野サンプラザ8回研修室2
講師: 佐藤 守閣下(元航空自衛隊空将)
演題: 我が国を取り巻く2012年問題
<講師プロフィール>昭和14年樺太生まれ、福岡県立修猷館高校卒、防大卒(第7期)、戦闘機パイロットを経て空幕勤務、空自幹部学校教官、第三航空団(三沢)、第四航空団(松島)、南西航空混成団(沖縄)の司令など常にわが航空防衛の第一線で活躍された。空将。現在は軍事評論家として活躍中。『日本の空を誰が守るのか』(双葉新書)など著書多数。
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三島研究例会
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日時: 5月25日(金)18:30(開場18:00)
会場: 中野サンプラザ8階研修室6
講師: 田中 秀雄氏 (会員、近現代史研究家)
演題: 石原莞爾の最終戦争論、そして支那朝鮮
(昨年9月に行われた満洲事変80周年記念講演の続編に当ります。)
<講師プロフィール>昭和27年福岡県出身、慶應義塾大学文学部卒業 近現代史研究家、石原莞爾平和思想研究会、台湾研究フォーラム幹事。著書として『石原莞爾と小澤開作 民族協和を求めて』、『石原莞爾の時代 時代精神の体現者たち』(いずれも芙蓉書房出版)など多数。
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公開講座 富岡幸一郎氏を招いて
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日時: 6月22日(金)18:30~2030(18:00開場)
会場: アルカディア市ヶ谷(私学会館)4階会議室
講師: 富岡幸一郎氏
演題: 三島由紀夫は女系容認論者か?
~ その天皇論の意味するもの ~
<講師プロフィ-ル>昭和32年生、中央大学文学部卒業、文芸評論家、関東学院大学文学部比較文化学科教授。著書 『仮面の神学三島由紀夫論』(構想社)、『新大東亜戦争肯定論』(飛鳥新社)など多数。
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三島研例会 金子宗徳氏を招いて
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日時: 7月30日(月)18:30~ (18:00開場)
会場: 中野サンプラザ8階研修室1番
講師: 金子宗徳氏
演題: 三島由紀夫と国体論
<講師プロフィ-ル>昭和50年生、京都大学総合人間学部卒、同大学院修士課程修了、同博士課程修了退学、政治学者、里見日本文化学研究所主任研究員、日本国体学会理事(『国体文化』副編集長)など。著書 『安全保障のビッグバン』(共著 読売新聞社)、『保守主義とは何か』(共著 ナカニシヤ出版)など
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宮崎正弘の最新刊
『国際金融危機 彼らは「次」をどう読んでいるか』(双葉社新書、840円)
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<宮崎正弘のロングセラー>
『2012年 中国の真実』(ワック、930円、新書版)
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『中国大暴走 高速鉄道に乗ってわかった衝撃の事実』(1365円、文藝社)
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『中国は日本人の財産を奪いつくす!』(徳間書店 1260円)
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『オレ様国家 中国の常識』(新潮社、1470円)
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<宮崎正弘の対談シリーズ>
『猛毒国家に囲まれた日本』(佐藤優氏との対談。海竜社、1575円)
『増長し無限に乱れる「欲望大国」中国のいま』(石平氏との対談。ワック、945円)
『絶望の大国 中国の真実』(石平氏との対談。ワック、933円)
『日米安保、五十年』(西部邁氏との対談。海竜社、1680円)
『世界が仰天する中国人の野蛮』(黄文雄氏との対談。徳間書店、1575円)
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