ぽろっと「台湾から200億円~」とつぶやいた。 | 日本のお姉さん

ぽろっと「台湾から200億円~」とつぶやいた。

NHK震災報道への疑義
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馬場 伯明

東日本大震災から1年、犠牲者19009人のみなさんにあらためて哀悼の意を表し、被災者のみなさんに生きる勇気が湧くように、そして、みなさんの地域が立派に復興するように、心からお祈り申しあげます。

2012/3/10、NHKテレビは大震災関連の番組を長時間放送した。(下心があるような?)「善意」の放送に「悪意」のケチを付ける下心はない。
しかし、気になることがいくつかあった。

「NHKはどうせダメなんだよ」という諦観論や傍観主義で、奥へ引っ込んでいては問題の解決には至らないと考え、あえて指摘するものである。

まず、番組「明日へ与えあおう(東日本大震災から1年)」である。「瓦礫の撤去が終わらない。復興事業の立ち上がりが遅い。仕事も進まない。
(とにかく)できない!」という被災者や視聴者の否定的な声を拾いあげ強調していると感じられた。

インタビューを受ける被災者は「もう『遅い、苦しい、困った』などとぼやく時期ではない」と訴えたそうな感じだったが、三宅民夫キャスターらは、しきりに単純な「お涙ちょうだい」の方向へと誘導する。

「お涙ちょうだい」じゃダメだ。被災者は具体的な実務の話をしたいのである。インフラの整備や被災した自分の事業の復活の手立てや(補助金を含む)事業資金の話をしてほしいと、NHKや(理事待遇の、偉い)三宅キャスターへ訴えたいのである。

NHKや三宅キャスターは、政府や自治体などによる対応の問題点等を批判的に分析し、解決に向かうよう被災者とともに強く声を発するべきである。

被災者の願いに真摯に耳を傾け、事業の復活や地域の復興に頑張る被災者の背中をしっかりと押すことこそ「公共放送NHK」の責務であろう。

そう行動する「志」に基づけば番組の作り方が変わるはずだ。耳障りのいい「寄り添い」や「絆」という言葉を安易に弄んではならない。

起ち上がる被災者の前向きの行動や、具体的な事業復活の成功事例、その生の事実をこそ、全国に放送し、被災者や被災地を鼓舞すべきである。

(例えば、気仙沼港で全資器材等(2億円)を流されたマル井水産〈雲仙市南串山町〉の井上幸宣社長は、その後、関係者の支援も得た果敢な経営で、サンマ漁を見事に復活させ業容を回復している)。

2つ目は、同番組での滝野雅子アナの発言である。神戸震災からのボランティア団体の代表、金田真須美さんの「(いったん)神戸に帰ります」に対し、「(東北に、なぜ)いてあげないのですか?」とさらっと言っ
た。

おそらく彼女は自分の金で被災地へ行き、ボランティア活動をしたことがないのだろう。金田さんは「費用のこともありますし~」と苦笑していた。

ボランティア活動(の資金)の苦しさについて、この美人アナの無知と無神経さに私は呆れてしまった。三宅キャスターの発言はなかった。


3つ目は、夕方の「海外ネットワーク」の中で「世界から50ヶ国、累計
250億円の支援を受けた」と放送があった(末尾【注】)。そのとき横か
ら、小林千恵アナが、ぽろっと「台湾から200億円~」とつぶやいた。

ところが、その画面は(アレレ~~)すっと消えた。
二村伸NHK解説委員は小林アナの「台湾から~」の発言をフォローせず、やり過ごした。

大きな違和感があった。台湾(中華民国)は250億円のうち桁違いに多額の200億円を日本へ支援していたのだ。二村解説委員は「台湾から~」の情報を故意に隠蔽したのではないか。

中国からの支援金等もありがたい。だが、台湾の日本への熱い思いを握りつぶし、政府や中国に阿るかのような所業は台湾を貶めることになろう。放送後、まさか、小林アナにペナルティ・・?

「Wikipedia」から抜粋した(私の)抄録を記す。《 2011/4/11日本政府(菅直人〈前〉首相)は、東日本大震災への支援への感謝広告「Thankyou for the Kizuna(絆)」を、米英仏露中韓のの新聞に掲載した。しかし、最大の寄付金を日本に送った台湾(中華民国)の新聞には掲載しなかった。

(この「義」を欠く所業に抗し)2011/5/3、日本の民間人有志がお礼広告「台湾謝謝?(ありがとう台湾)」を台湾紙「聯合報」「自由時報」に掲載した》菅〈前〉首相の姑息な行為には失望するしかない。

日本の恥だ。

ところで、昨年5月と8月に4~5日間、私は南三陸町・陸前高田市・福島市へ瓦礫の片付けや炊き出しのお手伝いに行った。この3月末には南三陸町へ数日間を予定している。

街で酒を飲む金が減るが、しょんなか(しかたがない)。今の自分にできることを、するしかないし、するだけである。(2012/3/11千葉市在住)


【注】義援金や寄付金、海外救援金等は集計の方法により微妙に異なる。
日経新聞(2012/3/11)では「(国内の)義援金や寄付金は少なくとも4,400億円。海外からの物資援助や寄付金は、2/6時点で126の国・地域の政府や国際機関から175億円以上にのぼった(民間団体・個人を除く)」とある。

同新聞への日本赤十字社の広報では「2/29現在国内義援金は3,493億円。
内2,879億円は15都道県の義援金配分委員会へ送付。海外95の赤十字社等からの『海外救援金』は963億円」とある。(了)