フェイスブックで憲法起草
情報の未来 フェイスブックで憲法起草
産経新聞 2月18日(土)10時13分配信
国家の根幹である憲法の起草にインターネットで人々が加わった。世界最北の島国、アイスランドで昨年、交流サイト「フェイスブック」などで議論を重ね新憲法の草案が作られた。
憲法評議会の一員だったアイスランド大学のソルバルドル・ギルファソン教授(60)=経済学=は「憲法草案が根本的にネット上で起草されたのは人類史上初めてではないか」。
人口31万人。金融立国政策を進めたが、2008年のリーマン・ショックで国家崩壊の危機に陥った。1944年のデンマークからの独立以来初めて憲法を全面改正することになった。
評議会は昨年4月、1次草案を公開した。フェイスブックへ掲載され3600件を超える意見が届いた。人々は評議員とツイッターやメール、電話で議論した。評議員の話などの動画はユーチューブで5千回閲覧された。完成した草案は7月、国会へ提出された。
こうした手法は不特定多数の人へ業務を委ねる「クラウドソーシング」と呼ばれる。クラウドは「群衆」の意味で、データなどをネット上で使う「クラウド(雲)」とは別の言葉だ。
教授は「多くの人が民主的に参加し、利益団体の既得権益を減らすことができた。エジプトなどでも参考になると思う」という。
中国・北京市。スモッグに覆われ上階がかすむ高層ビル街に中国共産党の機関紙、人民日報の電子版「人民網」編集部を訪ねた。
陳建軍編集長(41)は、中国版ツイッターと呼ばれ3億2千万人の登録者を持つミニブログ「微博(ウェイボ)」について「中国人は自分の意見を話したい欲求がある」と語った。ウェイボ以外のブログで政治的な記事を運営会社が自己検閲し削除している現状について尋ねると、「中国はまだ発展途上ですから…」と言葉を濁した。
中国では米国のフェイスブックやツイッター、ユーチューブを利用できない。特定のサイトや記事を閲覧しようとすると政府のシステムが通信を遮断するためで、万里の長城になぞらえ「グレート・ファイアウオール」と俗称される。
北京市など5市は昨年12月、匿名での登録も可能だったウェイボの利用者に実名登録を義務づけた。来月から情報管理が始まる。
「世界インターネット統計」によれば、全世界のインターネット人口は昨年末時点で22億6723万人。このうち中国は5億1300万人と22%を占める。ウェブページの数は長い間、英語に次ぎ日本語が多かったが、数年前に中国語が逆転したという。
慶応義塾大学の村井純教授(56)=情報工学=は「中国語を話す人々が大量の情報をやり取りする状況は、中国がネット空間へ大きな影響力を持つことを意味する。ネット人口は10年後に50億、60億人に達するだろう。そのとき世界のインターネットはどう成熟しているのか。その鍵は中国が握っている」と指摘する。
遮断されているはずの米国のサイトを中国から利用している人々もいる。暗号化や認証技術を使った「仮想プライベートネットワーク(VPN)」というサービスを使えば、仮想の専用回線のため政府は監視できない。中国内外に専門の業者が数多くあるという。
どんなに管理を強めようとも、情報を統制しようとも、インターネットを完全に制御することはできない。一方でソーシャルメディアは広く、深く、開かれた存在となっていく。
アイスランドの人々が書き上げた憲法草案は今年半ばにも国民投票へかけられるという。http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120218-00000508-san-soci
産経新聞 2月18日(土)10時13分配信
国家の根幹である憲法の起草にインターネットで人々が加わった。世界最北の島国、アイスランドで昨年、交流サイト「フェイスブック」などで議論を重ね新憲法の草案が作られた。
憲法評議会の一員だったアイスランド大学のソルバルドル・ギルファソン教授(60)=経済学=は「憲法草案が根本的にネット上で起草されたのは人類史上初めてではないか」。
人口31万人。金融立国政策を進めたが、2008年のリーマン・ショックで国家崩壊の危機に陥った。1944年のデンマークからの独立以来初めて憲法を全面改正することになった。
評議会は昨年4月、1次草案を公開した。フェイスブックへ掲載され3600件を超える意見が届いた。人々は評議員とツイッターやメール、電話で議論した。評議員の話などの動画はユーチューブで5千回閲覧された。完成した草案は7月、国会へ提出された。
こうした手法は不特定多数の人へ業務を委ねる「クラウドソーシング」と呼ばれる。クラウドは「群衆」の意味で、データなどをネット上で使う「クラウド(雲)」とは別の言葉だ。
教授は「多くの人が民主的に参加し、利益団体の既得権益を減らすことができた。エジプトなどでも参考になると思う」という。
中国・北京市。スモッグに覆われ上階がかすむ高層ビル街に中国共産党の機関紙、人民日報の電子版「人民網」編集部を訪ねた。
陳建軍編集長(41)は、中国版ツイッターと呼ばれ3億2千万人の登録者を持つミニブログ「微博(ウェイボ)」について「中国人は自分の意見を話したい欲求がある」と語った。ウェイボ以外のブログで政治的な記事を運営会社が自己検閲し削除している現状について尋ねると、「中国はまだ発展途上ですから…」と言葉を濁した。
中国では米国のフェイスブックやツイッター、ユーチューブを利用できない。特定のサイトや記事を閲覧しようとすると政府のシステムが通信を遮断するためで、万里の長城になぞらえ「グレート・ファイアウオール」と俗称される。
北京市など5市は昨年12月、匿名での登録も可能だったウェイボの利用者に実名登録を義務づけた。来月から情報管理が始まる。
「世界インターネット統計」によれば、全世界のインターネット人口は昨年末時点で22億6723万人。このうち中国は5億1300万人と22%を占める。ウェブページの数は長い間、英語に次ぎ日本語が多かったが、数年前に中国語が逆転したという。
慶応義塾大学の村井純教授(56)=情報工学=は「中国語を話す人々が大量の情報をやり取りする状況は、中国がネット空間へ大きな影響力を持つことを意味する。ネット人口は10年後に50億、60億人に達するだろう。そのとき世界のインターネットはどう成熟しているのか。その鍵は中国が握っている」と指摘する。
遮断されているはずの米国のサイトを中国から利用している人々もいる。暗号化や認証技術を使った「仮想プライベートネットワーク(VPN)」というサービスを使えば、仮想の専用回線のため政府は監視できない。中国内外に専門の業者が数多くあるという。
どんなに管理を強めようとも、情報を統制しようとも、インターネットを完全に制御することはできない。一方でソーシャルメディアは広く、深く、開かれた存在となっていく。
アイスランドの人々が書き上げた憲法草案は今年半ばにも国民投票へかけられるという。http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120218-00000508-san-soci