中国の其れは80%が国有企業 | 日本のお姉さん

中国の其れは80%が国有企業

今日の記事は、めっちゃ面白いと思った。↓

日本企業は、独裁国家の国家的政略に勝てるのか?

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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
      平成24(2012)年 1月26日(木曜日)
     通巻第3547号 
宮崎正弘の新刊『国際金融危機 彼らは「次」をどう読んでいるか』(双葉社新書)
    840円
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 国家資本主義のパワフルな復活 エネルギー企業の世界十傑は国営企業
  ロシア時価総額の62%、中国の其れは80%が国有企業という国家資本主義
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 かつての大英帝国は東インド会社を創設し、植民地から収奪を、それも阿漕に収奪し続けた。東インド会社は南アフリカでボーア戦争を引き興した。これが国家資本主義の源流と言われる。

 日本では幕末に小栗上之介が政府企業を興し、坂本龍馬が民間企業の武器商社を設立したが、本格的な政府系企業は「政商」がからみ、岩崎弥太郎などが輩出した。「国家資本主義」は経営マネジメントに秀でた創業者ではなく、その境遇に応じて国家の意図を実現する企業体であり、時代によっては優秀な人材があつまる。

 余談だが、戦後史観は坂本龍馬をほめあげる一方で、江戸幕末に大活躍した異才、小栗上之介を軽視あるいは無視している。小栗は言ってみれば幕末の外務大臣、大蔵大臣にして国防相。横須賀造船所を設立したのは小栗である。

 閑話休題。しかし日本は戦後GHQの指導により、政府系大企業は解体され、電力は九つに分社された。企業として欧米に対抗できるライバルをすべてつぶしたのだ。巨大商社と銀行は「財閥解体」の嵐に遭遇してばらばらとなった。
 以後も国鉄、専売公社、電電公社,JAL、郵便局が次々と民営化された。つまりアメリカ式の自由主義、市場経済が至上原理とされ、独占禁止法の眼が光り、日本は米国同様に巨大企業が存在しない。
日本ほど国家資本主義から縁遠い国はないだろう。

 マレーシアのペトロナスは国有企業というか、政府系企業である。
 ブラジルのベーレ、ペトロプラスなどの巨大資源企業も国営である。
 シンガポールのテマサクは政府系の国富ファンドである。
 「ロシアの株式市場の時価総額の62%、中国の其れは80%、ブラジルは38%」(数字は英誌『エコノミスト』、12年1月21日号)が国有企業という国家資本主義が、このところ勢いを増してきた。


 ▼国家の根幹をなす産業を国家資本主義は独占する特徴がある

 国営企業がほぼ独占する分野があり、共通するのは資源、電力、エネルギー産業をおさえ、宇宙、軍需、航空、通信、金融、素材産業にも触手を伸ばすが、ヘルスケア、小売り、雑貨製造、アパレルなどには興味もくれない。
 国家資本主義のアキレス腱は小売り、流通である。

 とくに石油関連で言えば、世界最大の埋蔵を誇るサウジのアラムコは国営、イランのNIOC,ベネズエラのPDVSA,クエートの「クエートペトロ」、ロシアの「ガスプロム」、「ルクオイル」「ロフネフツ」の御三家。イラクの石油三社、UAE(アラブ首長国連邦)のADNOC、トルクメニスタンのトルクメンガス、リビアのNOC、そしてペトロチャイナ。これらはぜんぶ、国家資本主義の典型企業である。

 つまり国家資本主義を実践するくにぐには、その実態は必ずしも酷似しているわけではないが、共通する利益とは、資源価格の値上がりである!
 
 ロシアの巨大産業「ガスプロム」は国営企業。元社長は前首相のチェルノムイルジン、前社長は現大統領のメドベージェフ。民間最大の石油産業「ユコス」はえん罪でホドルコフスキー社長を刑務所に送り込み、さっと旧KGBが乗っ取り、しかも「ロフネフツ」と改称したうえで西側の株式市場に上場している。
 これ、言ってみればクレムリン直営である。

 中国は指摘するまでもないが、電力、エネルギー、船舶、造船、海運、鉄道、電話などが国営企業である。
四大銀行(中国銀行、中国工商銀行、中国建設銀行、中国農業銀行)はぜんぶ国有企業であり、ほかに13の国有金融機関をあわせると従業員は400万名ともいわれる。非効率きわまりなく、社内でぶらぶらしている「不要」社員もごまんといる特徴がある。
しかしライバルが存在せず、自由競争は存在せず、したがって恣意に企業活動が展開できる強味がある。


 ▼首相官邸が巨大企業を同時に運営するという異形な資本主義

 中国では首相官邸(国務院)が巨大商社、銀行を経営する。
 人民解放軍は輸送会社、武器輸出会社、ホテルなどを経営する(軍経営のホテルに女性を連れ込んでも黙認されるケースが多いそうな)。

 就中、欧米が注目しているのは宇宙、航空、軍需産業であり、理工学部卒業の優秀な人材を、この分野が独占的に確保して、新開発に乗り出す。西側の市場経済が追いつけないのは、国家資本主義は往々にして、得意の分野で画期的新発明をなすこと、新しい産業をおこすパワーを秘めていることだ。

 通信のパソコン、携帯電話大手も「プライベート」に見えるが「華為技術」など明らかに政府系企業である。この分野から派生したのがハッカー少年等を掻き集めて、世界の通信回路を切断する軍事目的の新技術集団である。

完全な民間企業は「グーグル」のように中国政府の意図に逆らうと、あれこれと意地悪されて撤退の憂き目を見る。共産党に献金しない、或いは協力しない企業はジョルダーノのように店舗が放火されるか、蘇寧電器(家電量販店二位)のように社長がインサイダー取引で逮捕される。共産党幹部がおおっぴらにやっていることも民間企業の経営者には許さないのだ。

 

 ▼次の十年は国家資本主義と非対称の自由主義経済との戦いになる

「中国モバイル」と「中国石油天然気集団」の利益は貳社だけで330億ドル、これの巨額は民間企業上位500社のトータルの利益を上回る。なにしろ株式市場の時価総額の80%が、国有企業である。盛んに香港でIPOを繰り返しても、民間へ放出された株式は、全体の三分の一程度である。

 そしてこの国家資本主義の典型企業たちは何をやったか?
 第一に海外企業をつぎつぎと買収した。
 第二に海外の鉱区をあらかた権利をおさえた。
 第三に海外投資を積極的におこなうファンドを設立し、ほかのマーケットへでていって荒々しく稼いだのだ。

 中国のCIC(国富ファンド)はいまや1兆ドルの規模である。UAEのそれが8000億ドル、次がノルウェイ、サウジアラビア、シンガポール、香港、ロシア、カタールと続くが財閥解体、郵政解体で国家資本主義のかけらもなくなった日本には世界最大の債権国であるにもかかわらずCICがない!

かくて自由主義経済は、資源独占によってはい上がってきた国家資本主義の挑戦をうけており、次の十年は、従来の欧米モデルが脅かされることになるだろう
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(謹告)小誌は海外取材のため明日(1月27日)から2月6日が休刊となります。ユーロ危機の土壇場、欧州の現場に行きます。
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(お知らせ)宮崎正弘が出演したラジオ日本の記録は下記{JPプレス}のコラム欄に収録されて、活字の再生ページがあります。
http://jbpress.ismedia.jp/list/gsearch?fulltext=%E5%AE%AE%E5%B4%8E%E6%AD%A3%E5%BC%98
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 読者の声 どくしゃのこえ 読者之声
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(読者の声1)共同ニュースの1月25日付けにつぎのような面白い報道がありました。

(引用開始)
「「観光客に最も意地悪な都市はニューヨーク」。米誌「トラベル+レジャー」(電子版)は24日までに、2011年の全米主要都市の好感度ランキングを発表、「住民は優しいか」の項目でニューヨークが35都市のうち最下位だった。
 昨年1年間に国内外から5千万人以上が訪れた人気観光地ニューヨークにとっては、耳の痛い結果となった。「1番優しい」都市は南部ルイジアナ州ニューオーリンズだった。前年10年の最下位はロサンゼルス。同誌によると、ニューヨークは住民の「多様性」や「格好良さ」のほか、「劇」「クラシック音楽」などの文化、「高級店やレストラン」などでトップだったが、人の優しさや「清潔さ」「静かさ」では最下位だった。調査結果について、ニューヨーク在住の女性は「ニューヨーカーが意地悪だとは思わないが、いつも時間に追われているので、つっけんどんに見えるのではないか」と分析している」(引用止め)
 そこで、お願いなのですが、宮崎先生は中国全33省、200都市を回られたとか、一番親切な都市、一番きれいな都市など、どういうランキングでしょうか?
  (TY生、名古屋)


(宮崎正弘のコメント)面白いご質問ですが、ニューヨーカーのように「時間がないので、ややつっけんどん」に、独断と偏見でランク付けをしますと、
 「美しい都市」は「皆無」というほかはありませんね。「美しい場所」ということなら、雲南省の周辺、四川省の山間、とくに黄勝 九寨溝、武威山。厦門のコロンス島など。大連の星岡周辺、渤海湾の裏口の営口もきれいです。
 親切な人々が多いのは、圧倒的に田舎ですが、鄭州、成都とか貴陽、合肥とか山西省の太源も仏教的で人々は親切なのが多い。都市では広州、上海、杭州。ぶっきらぼうの代表格は深せん。人口都市だからでしょうね。となりの香港はもっともビジネスライクです。
つっけんどんな都市は、トップが温州、ついで石家庄。意外に大連、当然ながら北京、南京、哈爾浜もせっかちゆえにつっけんどんが多いと思います。旧満州の東北三省は、本来的には純朴は農民が多いはずですが、山東省からの移民が朝鮮族と共存した戦後から、まったく別の東北人が形成されてきたようです。
大胆なことをやるのは湖南人ですが、人気(じんき)の荒いのは内蒙古省、黒竜江省の山奥あたり。江西省も。混交型は重慶、フフホト、長春、福州、錦州あたりでしょうか。もちろん、例外もあります。
 静かな街は寧波。泉州、あたりでしょうか。
 しかし、こういうランクつけ、あまり意味がないと思います。



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(読者の声2)発売すぐに宮崎正弘先生の『世界金融危機 彼らは「次」をどう読むか』(双葉社新書)を買い求め、読みました。じつに多岐にわたる経済課題をばっさばっさと快刀乱麻を断つように分析予測されていましたが、結論的にはやや不透明ではというのが読後感です。
 (HG生、船橋)


(宮崎正弘のコメント)ソロスが自らのファンドを畳み、この絶好のチャンスにユーロの成り行きを『高みの見物』をしています。つまりソロスさえ、先が見えないのです。なぜみえないか、そのことを本書では隠れたテーマにしているのです。
 
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(休刊予告)小誌、海外取材のため明日から2月6日まで休刊です。
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『オレ様国家 中国の常識』(新潮社、1470円)

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<宮崎正弘の対談シリーズ>
『猛毒国家に囲まれた日本』(佐藤優氏との対談。海竜社、1575円)
『増長し無限に乱れる「欲望大国」中国のいま』(石平氏との対談。ワック、945円)

『絶望の大国 中国の真実』(石平氏との対談。ワック、933円)
『日米安保、五十年』(西部邁氏との対談。海竜社、1680円)
『世界が仰天する中国人の野蛮』(黄文雄氏との対談。徳間書店、1575円)

 宮崎正弘のホームページ 
http://miyazaki.xii.jp/

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