なんとかならなかったのだろうか。妹とみられる遺体の死因は凍死。
女性2遺体:姉死亡後、妹が衰弱死か 札幌のマンション
2012年1月21日 20時50分 更新:1月21日 23時38分
20日午後7時10分ごろ、札幌市白石区東札幌5の6のマンション3階一室で女性2人が死んでいるのを、北海道警札幌白石署員が発見。部屋に住む40代の姉妹とみて確認を急いでいる。2遺体に目立った外傷はなかったが、知的障害のある妹とみられる女性がやせ細っていた。同署は姉が死亡後、妹が衰弱死した可能性があるとみている。
同署によると、2遺体はともに40歳前後で死後1カ月程度。別々の部屋で見つかり、姉とみられる女性はベッドの脇で、妹とみられる女性はベッドの上で死んでいた。部屋は施錠され、居間のテーブルの上には現金約4万3000円が置かれていた。部屋のガスは昨年11月末に止められ、電気も止まっていた。
姉妹は両親と死別し、2人暮らし。親戚とは5年近く連絡を取っていなかったらしい。妹の障害者年金で生活していたとみられ、生活に困窮していた可能性がある。管理会社が12月中旬から連絡が取れなくなり、届け出を受けた同署員がこの日、マンションを訪ねた。
現場は市営地下鉄白石駅から北東約500メートルの4階建て賃貸マンション。同じ棟の30代男性会社員は「12月初めにお姉さんと階段で会ったが、変わった様子はなかった」。2年前に引っ越してきた女性(80)は「近所付き合いがなく、姉妹が住んでいるのを知らなかったが、かわいそうに……」と声を落とした。
道内では12日にも、釧路市のアパートで男性(84)と妻(72)とみられる男女の遺体が見つかった。司法解剖の結果、女性は死後約40日で病死とみられ、男性は死後約20日で凍死だった。妻は認知症の夫を介護していたといい、釧路署は妻が死亡した後、夫が助けを求められず死亡したとみている。夫婦は当時、生活保護や介護保険のサービスを受けていなかった。【小川祐希、伊藤直孝】
http://mainichi.jp/select/today/news/20120122k0000m040066000c.html
40代姉妹死亡:「生活苦しい」区役所に3回相談 札幌
札幌市白石区のマンションで知的障害のある妹(40)と姉(42)とみられる遺体が見つかった問題で、この姉は約1年半前から3回にわたり区役所に生活相談に訪れ、生活保護申請の意向をみせていたことが、市役所への取材で分かった。姉は自身の仕事や妹の世話をしてくれる施設も探していたようで、その最中に急死し、連鎖的に悲劇が起きたとみられる。
札幌市保護指導課によると、姉は10年6月、11年4月、同6月の計3回、区役所を訪れ「生活が苦しい」と訴えた。2人の収入は中程度の知的障害がある妹の障害年金だけだったとみられる。昨年6月、姉は「今度、生活保護の関係書類を持ってくる」と言って必要な書類を聞いて帰ったが、その後は相談がなかった。
北海道警の調べでは、姉妹の部屋に求職に関するメモがあった。姉とみられる遺体の死因は脳内血腫。姉は3年前に脳外科を受診した記録があり、体調不良を自覚しつつ職探しをしていた可能性がある。区内の民間障害者施設によると、姉は約1年前に妹の通所の相談に来たが、決まらないまま連絡が途絶えたという。
一方、妹とみられる遺体の死因は凍死で、死後5日~2週間。料金滞納のためガスは11月末に止められており、室内は冷え込んでいたとみられる。
姉妹に近所付き合いはなく、地元町内会長の本田鉄男さん(66)は「マンションが町内会に加盟していれば回覧板で変化に気づけたが、非常に残念。せめて市役所から知的障害者がいるとの情報があれば対応できたのだが」と話す。
ただ市保健福祉局の担当者は「障害を知られたくない人もおり、情報を一元的に出すのは難しい」と話す。民生委員の巡回は高齢者宅に限られ、災害時の要援護者のリストアップも、希望者だけを登録する仕組みだ。
札幌白石署によると、昨年12月15日に家賃滞納分の振り込みがあり、それから数日内に姉が急死したとみられる。同20日に「111」など複数の発信記録が姉の携帯電話にあった。残された妹が110番など何らかのSOSを出そうとしたのかもしれない。【伊藤直孝、中川紗矢子、小川祐希、佐藤心哉】
毎日新聞 2012年1月24日 12時21分(最終更新 1月24日 14時18分)
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20120124k0000e040157000c.html