そしてより重要なのは、中国の恫喝に屈しないことで | 日本のお姉さん

そしてより重要なのは、中国の恫喝に屈しないことで

【尖閣侵犯】これは禍根を残します。それも超巨大禍根。

処分保留の形で釈放してしまいました。

 帰国した船長は英雄扱い。そして度し難いことに、中国外交部は
「不法逮捕・拘留」に対する謝罪と賠償を日本政府に要求する、
との声明まで発表しました。

 国民が怒っている?……その怒りを一体いつまで持続させることが
できるのでしょうか。
かつて毒餃子問題でも日本国民は怒りました。
しかし2年半を経た現在、当時のパワーがいまなお残っていると
いえるか、どうか。

 こういうことは、将棋でいえば一気呵成に詰むまで持っていかないと
いけないのです。そして日本にとって良き前例を残す。同時に、尖閣
海域に領土問題など全く存在しないということ、
日本が恫喝に屈しない国であることを世界に示さなければ
なりません。

 そのための絶好の機会を天から恵まれたのにもかかわらず、
現実は真逆の展開。
逮捕された船長は釈放。
しかも中国から謝罪と賠償まで要求される。
そういう前例を、日本政府は残してしまったのです。

 ――――

 9月22日、温家宝・首相が出てきて日本側を非難し、船長の即時・
無条件釈放を求めましたね。
同じ日に出された外交部声明には、とうとう「共同声明」が登場しま
した。……といっても、

「(日本は)中日間の第4の政治文書(日中共同声明2008年版)に
おいて、対話と協調によって問題の解決を図るとしたことと
中日戦略的互恵関係の精神に深刻に違反している」

 という程度ですが、これによって中国は意図的かどうかはとも
かく、自らの退路を断ちました。
もし日本が初志を貫徹していれば、この中国の不退転の決意を
挫き、温家宝の面子を丸潰れにすることができたのです。

 http://news.xinhuanet.com/world/2010-09/22/c_12597295.htm


 それは南シナ海で中国との間に領土問題を抱えるASEAN諸国に
とっても、モデルケースとなるかどうかは別として、勇気を与える
ことになっていた筈です。

 しかしながら、大事は去りました。

 しかも日本が折れたことでこの問題が終結したのではなく、
中国側が新たな攻勢に転じています。
「謝罪と賠償」要求がそれです。
これまで頑な日本側の姿勢を改めることができなかった分、
つまり面子を潰され続けた分、中国側の事後攻勢は苛烈な
ものになることでしょう。

 ――――

 私は今回の事件を、歴史的事態と捉えていました。

 恫喝に屈することなく「日本の司法に基づいて粛々と対処」
することで、まずは尖閣問題での良き前例をつくり、今後への
アドバンテージとすることができる、というのがひとつ。

 そしてより重要なのは、中国の恫喝に屈しないことで、「特亜に
おもねる日本」という構造から脱却することができるという点です。

 日本には脅しが通用しないんだということを世界に示し、敗戦
から一貫してきた望ましくない姿勢から一変する、ある意味

「戦後」を終わらせる、という日本史的な、正に画期的事態を
現実のものとする可能性を今回の一件は秘めていました。

 温家宝が出てきた、外交部が「日中共同声明」を持ち出した。
……と来たあとに、フジタの社員4名が中国国内で逮捕され
たというニュースに接したとき、逮捕された中の人には申し訳
ありませんが、私は快哉を叫びました。

 なぜならこれは北朝鮮の常套手段であり、また中国が、
米国との政治的取引のために民主化運動家を釈放したり
するのと等質なものだからです。

 日本が折れなかったからこそ、中国は米国並みの扱いで
対処するしかなかった。要するに中国の外交政策の中で、
日本の格を上げざるを得なくなったということです。

 しかしながら。……もうやめましょう。愚痴になるだけですから。

 ――――

 いまこのブログを読んで下さっている皆さんも怒りと失望で
やるせない気持ちになっていることでしょうが、
どうか察して下さい。

 私は、私の生あるうちに、今回の一件で日本が初志を貫徹し、
より良い日本へと一歩前進することを見届けたかったのです。

(良かった。これなら次世代にしっかりとバトンを渡せる。
先代にも少しは顔向けができる)

 と安堵できる状況を、自らの目で見ておきたかった。

 無念です。

死ぬまで雑記。/ 2010-09-25 08:29:10
 いうまでもなく尖閣の一件。逮捕されていた中国人船長を、日本側は