ドラケン?ドラゴン?ヌラチュン?
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成23(2011)年 12月16日(金曜日)
通巻第3518号
在日中国人マフィアの最大組織「ドラゴン」のボスを逮捕
しかし振り込め詐欺の知能犯は深く静かに日本社会に浸透
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表向きの暴力団的な中国人マフィアは日本から消えた筈だった。
旧満州の残留孤児二世、三世らが組織した「ドラゴン」は、暴走族を中心に1997年、江戸川区葛西で産声を上げた。
かれらのルサンチマンは「中国で日本人と差別され、日本にくれば中国人といわれ」、社会からドロップ・アウト、不良少年団となって恐喝、窃盗、強盗団などの悪さに励んだ。
在日三世の代になって、ドラゴンは再活性化していた。
ボスは羹海峰と呼ばれる暴れん坊。四月に都内湯島の店舗に殴り込み、従業員らに重傷を負わせたとして指名手配されていたが、12月5日に「殺人未遂」「銃剣等不法所持」容疑で警視庁が逮捕していた。
羹が組織したドラゴンは構成員が250名とされ、漢字名は「怒羅権」。つまり「怒」は彼らの憤怒を意味し、羅は「団結」、権は諸権利を象徴する。この銘々は、しかしながら、いかにも在日中国人的である。北京語の発音なら「ヌラチュン」でドラゴンとは発音しないからだ。
在日華字紙の『陽光導報』(12月8日号)は、「かれらは日本における疎外感に襲われ、そういう孤独な仲間が群れあう。日本人が彼らを不良と差別するため、ますます組織的犯罪に走りやすい」とやや同情的な分析をしている。
しかしドラゴンはそもそも中国的特質を内在させており、内部対立が激しく、内ゲバを屡々繰り返してきた。
▲在日華人マフィアの内ゲバは凶暴化する
1997年に初代ドラゴンが組織されたが、2006年に一度解散していた。
「現在の新ドラゴンは、2008年に組織化されたもので、日本の山口組、住吉会、稲川会、工藤会など暴力団と関係がある」(同前掲陽光紙)。
一方、上海系、福建省系、広東系が入り乱れる在日華人の本格的マフィアは、知能犯が主流で、振り込め詐欺の不正口座は80%が中国人名義であることが判明している。
振り込め詐欺の電話は中国から発信されているケースが多く、また銀行口座の開設や転売、電話番号の売り買いなど、使い走りは日本人が多い。
日本社会に静かに悪知恵を駆使して浸透する中国人マフィアは、ドラゴンなど旧満州残留講孤児の二世、三世らとの接点が希薄である。
90年代までは残留孤児の二世、三世は日本の永住権が持てたので、その利点を生かして他省出身のマフィアより幅をきかせた。
福建省、広東省のマフィアなどは一時新宿歌舞伎町を「華武器」町に変えたほど凶暴だったが、あらかたが強制送還された。残留孤児グループは強制送還の懼れがなかったし、いまもない。
ところが近年は日本外務省がビザ条件を大幅に緩和し、インチキ留学生を黙認し、或いは観光目的の来日許可を認めたばかりか、無数の中国人が日本人配偶者と結婚して日本籍を取得し、あるいは帰化しており、嘗ての残留孤児優位という環境が希釈されたからである。
両者は、日本において基本的に対立している。今後も中国人マフィア同士の内ゲバは凶暴化してゆくと予測される。
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(読者の声1)貴誌前号の広東省暴動。陸豊海豊といえば共産党運動発祥の地の1つ。確か汕尾は90年代初頭、タイの米輸出最大手のスンホワセン(順和成)が製紙ビジネスに進出するための植林用に広大な土地を購入したはず。
ところで「軽生図頼」という死んだ農夫の死体を担いでの抗議はなかったでしょうか。
小生の知る範囲では、あちらこちらで「軽生図頼」が盛んに行われているようですが。もっとも文革時ですら、敵対組織に惨殺された紅衛兵の死体をこれみよがしに担いでデモし、敵の悪辣さ反人民性を盛んに訴えていました。
それしても共産党が末端で頼る地方幹部が生来のゴロツキですから、もう処置なし。ゴロツキと手を切れば共産党の統治は末端から壊死。ゴロツキに頼らなければ維持できない。
これが共産党というより王朝統治を含め中国政権の宿命であり本質とみなすべきでしょう。
(KH生、所沢)
(宮崎正弘のコメント)日本で『暗躍』する中国人マフィアも、そのようなキャラが確かにありますね。
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(読者の声2)前号のご質問です。(引用開始)「貴誌3516号の「読者の声4 (東海子)」さまへのお尋ねです。「さらに日本の特務機関の着眼点はグローバルであった。すなわちソ連の南部に注目し、回教徒民族との分裂が将来ソ連を解体させると読み、上層部に上申していた。そしてそれは現在実現している。70年前に日本の特務機関の予想したソ連の運命は的中した」(引用止め)この特務機関とは、具体的にどこにあった特務機関なのか、出典を明らかにしてくだされば幸いです。ハルビンにあった川辺機関とか? この分野、モスクワの情報解禁は当分は有り得ず、日本側にも系統だった調査研究無く、貴台の示唆は干天の慈雨です。(SJ生)
<引用止め>
回答です。
1.資料の入手:小生も詳しいわけではありません。まず「正論」平成18年10月号の該当部分を入手してください。これは正論編集部に相談すればよいでしょう。また防衛省の戦史研究所の記録文書に特務機関の報告書があるかもしれません。
2.特務機関:陸軍参謀本部が特務機関の本部であり、各地に出先がありました。情報部です。本部は下部からの意見具申を分析し、命令を出していたと言う事かと思います。
キリチェンコによると、日本の対ソコーカサス工作の最初の予言者は橋本欣五郎少佐としています。トルコ駐在の橋本武官は1929年、「反ソ政治破壊活動にコーカサスを利用する可能性について」と言う上申書を参謀本部に送っています。
民族問題に通暁した相当レベルの高い内容と思いますが、大アルメニア運動の利用やコーカサス諸民族の民族間の矛盾を拡大し、混沌とした状況を作り出すなど、ソ連を弱体化するための大戦略だったようです。
3.工作:1935年、在テヘラン日本大使館付き上田武官は、参謀本部あての4号報告書で、「再度カフカズにおける破壊工作を実行する必要性について」の問題を提起しています。・・・・アゼルバイジャンのトルコ人は外見が日本人とそっくりである。彼らほど日本の仕事に適したものはない。・・・
ソ連が何故日本の参謀本部あての極秘報告を入手していたのか、という問題がありますが戦後の日本人が知らないことを先人が行っていたと言うことです。
4.橋本のその後:橋本は1932年に将校の政治運動に参加したと言う理由で、陸軍から除籍されています。 これをソ連は陸軍の橋本隠蔽策と見ていました。
だから東京裁判では橋本は階級が低かったのに終身刑を宣告されているのです。ソ連の報復です。キリチェンコはこれを橋本が只者ではなかった証拠とみています。ということで、ソ連が日本陸軍のコーカサス工作の資料を持っている可能性があります。
5.日本陸軍の世界史的着眼点と成果:戦後日本はボロ負けしたとか散々言われていますが、アジアの独立を支援し、欧米の植民地勢力を撤退させました。
そして大敵ソ連については、やわらかい下腹部といわれるコーカサスに着目し、工作を進めたのです。
敗戦後、一応すべて消えましたが、日本がコーカサスで支援した民族主義の根は残り、ソ連共産党の崩壊で、表に現れて事実大きな成果を上げて今日に至るのです。
(東海子)
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(読者の声3)それから貴誌前号の「道楽Q」様のご心配について以下ご参考まで。私も先般若い人からTTPは米国の陰謀でしょうか、等という質問を受けた。今日本は民族主義への回帰が始まっているので、国際政策で意見が分かれているのはよろしくない。ベクトルをそろえなければならない。
以下、若い日本人のために、意見を記します。
A.愛国運動には、感性、価値観、情報、論理が必要である。
1.感性:これは危機感だ。日本が危ない。変な感じ、ヤバイ感じだ。これは皆持っているだろう。
2.価値観:これは概念として理解する危機感だ。日本人の誇り、日本人の勇気、日本人の守るものなどがある。なかでも民族主義運動では日本第一主義と理解する。日本と日本の歴史を無条件で肯定する。この無条件が重要だ。部分肯定では駄目。これは当事者意識を持て、ということだ。
3.情報:日本人を騙して誤誘導しようとする不正情報が山ほどあるから要注意だ。複数の情報から真相に迫る。よく理解できるようになったら、反対者の情報も知っておき、反撃の論理を構築する。例:「南京事件はありえない。なぜなら日本が損するから。やるわけがない」、損得だけが国際的に理解される価値観である。
4.論理:これはいくつか成文化されているので利用する。数学でいえば公理や定理のようなものだ。状況に合わせて使うとよい。相手はへこむ。
地政学の公理:「隣国は敵対する。敵の敵は味方である」 日本の敵は中、朝韓、露。味方は印度、ポーランドなど。
地政学の定理:「隣国を支援する国は滅ぼされる」マキャベッリから、日本がよい例だ。
戦争の定理:「戦争とは騙すことなり」孫子 中共の騙し戦略だ。騙される方が悪い。
独立の定理:「フランスには特定の仮想敵国はない。フランス以外はすべて敵国である」(ドゴール語録)
独立の定理:「世界に憐れまれて滅びるより、世界を敵に回しても生き残る」(イスラエル首相語録)
B.現実分析
1.愛国者の踏み絵:
それは核自衛だ。いかなる理由をつけても日本の核自衛に反対するものは議員だろうが評論家だろうが自称「右翼」であろうが「平和主義者」であろうが、天皇崇敬、靖国護持を主張しても「敵の廻し者」と判定する。彼らの言い訳には一切耳を傾けてはならない。
2.誰が得をするかの物差し:
常にこの物差しで判断する。日本の反米を喜ぶのは中共である。だから反米主義者は中共の廻し者である。とにかく敵を喜ばせないことである。はっきりしている。「反米保守」は利敵かどうかで判断する。
3.お気楽反米:
幕末の愛国者には攘夷論者がいた。すべて外国を打ち払い閉じこもるのだ。現代の反米攘夷論者も気持ちは分かるが、日本経済の構造を知れば不可能と分かるはずだ。米国抜きの経済はあり得ない。餓死が待っているだけだ。
また反米主張は簡単だ。中共や韓国のように抵抗がいない。お気楽反米だ。しかし国民の立場から見ると、これは不真面目だ。「反米保守」主義者は不真面目であり、国民を馬鹿にしていると言える。
4.米国の変化:
蒋介石は戦前米国の満洲狙いに利用された。しかし戦後満洲が失われると、鼻もひっかけられなくなった。宋美齢は戦前のように米国をまわったが、相手にされず泥棒猫扱いされるほどだった。しかしその後冷戦が始まると、また米国から声がかかった。そこで蒋介石の述懐:「米国は突然180度転換する国である。過去など一切ない。要注意だ」
5.米国のアジア政策の動向:
今や核拡散で米国も普通の国になる方向に進んでいる。超大国にはもどらない。万物は流転する(ヘラクレイトス)。だとしたら今のうちに日本は核自衛しなければならない。
6.TPP論議:
急に静まったがTPPはどうなったのか。これは日本の国家経済の構造から論じなければならない。すなわち、この列島に住める人間は4千万程度である。8千万は余剰人口であり、外国の投資、外国への輸出の利益で生きている。
その最大の市場は米国である。市場は権利ではない。米国の恩恵だ。米国なしで日本は生存できない。米国は日本なしで生存できる。これだけでTPPの回答になっているはずだ。
ちなみに中共は究極の市場にはなりえない。何故なら中共も日本と同じ自立できない経済の国なのだ。13億の人口を抱えているが、自給できるのは4億人だ。残りの9億は外国頼みなのだ。自転車操業だ。米国と手をつないでいれば、生き延びることはできる。しかし米国と手を切れば餓死が待っている。簡単な論理だ。
(東海子)
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(読者の声4)「第4回 軍事評論家・佐藤守の国防講座」ご案内です。
「国防を語らずして、日本を語るなかれ」
軍事評論家としてブログやチャンネル桜などで活躍中の当会顧問・佐藤守が「国防」を熱く語る連続シリーズの第四回目です。
第一回目から第三回目までは、大東亜戦争に関して今明かされる歴史の真実について講義してまいりました。
今回から、いよいよ軍事・国防に関する本格的な講義に入ってまいります。まずは「国際軍事関係論 =安全保障の基本概念について=」です。
《「テポドンが、米国を狙って日本上空を飛び越えた!」… これホント??
丸い地球を四角な感覚でとらえる、戦後日本人の『国際感覚』は、重大な誤り。
国際情勢は「地球儀」で見なければとんでもない失敗をすることになる!》
脱線転覆を交え、大人気の佐藤節が唸ります。どうぞご期待下さい。
記
演 題:『「国際軍事関係論」=安全保障の基本概念について=』
日 時:平成24年1月21日(土)13:30開演
場 所:靖国会館 2階 偕行の間(東西線、半蔵門線、都営新宿線:九段下駅1番出口)
講 師:佐藤 守(日本兵法研究会顧問・元南西航空混成団司令・元空将)
参加費:1,000円 (会員は500円、高校生以下無料)
お申込:MAIL info@heiho-ken.sakura.ne.jp
FAX 03-3389-6278 ※ 件名「国防講座」にて、ご連絡ください。
なお、事前申込みがなくても当日、受付けます。
(日本兵法研究会 会長 家村和幸)
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