「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 ー必読 | 日本のお姉さん

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 ー必読

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
平成23(2011)年 12月14日(水曜日)
      通巻第3516号 


 日本、この未曾有の危機にユーロ債権を買い増し
  これは火事場のくそ度胸? それとも世界恐慌回避の救世主?
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 日本政府はユーロ債権の買い増しに動いた。
 12月14日、ユーロの短期証券2億6000万ユーロのうち、日本は13%強を購入した模様(ウォールストリートジャーナル電子版速報)。

 これは火事場のくそ度胸? それとも世界恐慌回避の救世主? もっとも、もし日本がこの危機を好転させる主導権を握ろうとすれば、50兆円規模の買い出動に動き、ユーロ安定化基金に貢献すれば、世界経済の救世主になるばかりか、一気に円安にもっていける。

円は一気に一ドル=100円前後に戻る可能性もあり、度胸の据わった財務省高官、日銀幹部がいれば、百年に一度の大冒険となりうるだろうが。。。。
 
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(読者の声1)貴誌3515号にでた「アメリカはなぜ対日戦争を仕掛けたのか」議論ですが、ようやく米国が何故戦前日本を攻撃したのか、が話題となってきた。
結論は日本の自衛戦争であると言うことだ。私も昔はなぜか、分からなかった。しかし満洲狙いということですべて解けた。
戦前の参謀本部の軍人の発言に「米国がそんなに満洲が欲しいのなら、くれてやればよい」があった。実はこれが今から見ると、一つの解決だった。日本はひと足早い極東の米ソの対立の間で美味しい生活ができたかもしれない。
というのは、日本の最大の敵であるソ連にとって、米国の満洲進入が最大の難問だったからだ。
1945年、スターリンはヤルタ協定を呑ませるために、蒋経国をモスクワに呼んで会談した。なお、蒋介石はスターリンを恐れて絶対にスターリンに会おうとしなかったという。西安事件で捕虜になり痛い目に会っていたからであろう。
この席でスターリンは、蒋経国に「絶対に米軍を満洲に入れるな」と述べている。そして事実米軍のバーペ将軍の部隊は、遼東半島の付け根である営口に上陸しようとしてソ連軍に発砲され追い返されてしまった。
これで日本の大東亜戦争の正当化ができたと思う。支那事変は言うまでもなく独ソ戦をひかえたスターリンの東部国境工作であり、蒋介石を傀儡に使った対日挑発戦争であった。これに満洲狙いのルーズベルトが便乗した。これも日本の自衛戦争だった。

時代遅れの反米
しかし、だからと言って反米は時代遅れで幼稚である。ソ連のベルリン封鎖を受けたドイツ人は、ほんの少し前までベルリンに死の爆弾の雨を降らせていた米国を大歓迎している。
国家は利用するものなのだ。国家をよく擬人化するが、その行動の動機は冷厳な国家というシステムの利益だけである。人間的に理解してはならない。満洲喪失後の米国の対日政策の転換も米国の利益追及という点では一貫しているのだ。

トモダチ作戦の背景:今度の東北大震災でも米国が莫大な費用を費やして空母まで動員し、「トモダチ」作戦を発動してくれた。私は感謝している。
しかし、その裏には日本の危機があった。すなわち、大混乱に乗じて中共軍やロシア軍が日本に支援目的で上陸してくる可能性もあった。勿論、一度上陸したら絶対に撤退しない。自衛隊では手も足も出ない。そんな侵略行為は歴史上何度も発生している。そこで米国が先手を打ったのだ。

だから米国には感謝はするが、それほど日本が弱い状態にあると言う事である。米国はすでにフィリピンを失い、満洲も支那もない。領土的な野心はない。だとすると日本は危ない。米国が極東と日本に関心を持っている間に核自衛に逃げ込まなければならない。

危機の自覚だが、日本人はようやく、戦後の歴史の呪縛が解けてきた。気がつくと現状は大変なことになっている。救国の流れは民族主義である。したがって東京裁判殉難者は民族の英雄である。前原の合祀反対は時代錯誤の反動である。もう日本人はノホホンとしてはいられない。
  (東海子)



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(読者の声2)支那人は朝鮮人より劣るのか? 胡錦濤は李承晩元大統領を見習うべきか?
東シナ海で起きた支那漁船員による韓国警察官の殺人で、遂に中国外務省は「遺憾」の意を表明した。珍しく「へまをした」と認めた訳で、日本に対したように謝罪も一切なく船員の釈放と弁償を求めた温家宝の居丈高さとは大違いである。
大使館前での中国国旗焼きが効いたのだろうか。
どっかの国(としか言いたくない)のように尻尾を巻いて逃げ出した首相と官房長官とは大違いの朝鮮人を、今回は見直した。
支那人もこの点では見習ってはどうだ。何時までも宗主国ヅラせずに、支那人らしく私益に立つのだからメンツを捨てて、かの李承晩のように先ず東支 那海に「胡錦濤ライン」を引いてから自国の人民
を操業させれば、「没有問題」となったのだ。
胡錦濤よ、人民の為に、偉大なる中華人民共和国の為に進軍ラッパを鳴らせ。
我々日本人は、今の中国人はそこまでしないだろうと考えるが、支那4千年の歴史をみれば支那人と中国人を分けて考えることこそ見識がない。
エゲツの無さにおいてはもどっちもどっちだが、今も日本領海で自国の漁民を操業させ日本漁船を銃で追い回す韓国人にとっては、因果応報ではないだ ろうか。
韓国政府がどんな論理をもって中国政府を非難するのか、注目している。
(月澄渡流)
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(読者の声3)中国の漁船が韓国の排他的経済水域で違法操業し、取締りの韓国海洋警察官が刺されて死亡する事件がおきました。
中国漁船取締りの映像を見ると中国人船員は鉄パイプを振り回していましたが、鉄パイプの先端は斜めにカットされ刺すこともできる。当初はガラス片で刺した、とされていたのが、実は刃渡り17センチの刃物で刺されたといいますからロシアの国境警備隊なら発砲・撃沈ものです。
世界的に魚は肉よりも高級とされることが多く、中国は改革解放から魚介類の需要が急増し世界の3割も消費、所得の向上した今では内陸部でも魚を食べるようになってきました。白身魚中心の欧州、エビ中心のアジアといった違いはありますが、日本食の認知度の向上とともにマグロも需要が急増しマグロ資源が枯渇しつつあるのも事実。1990年代までは店頭に並ぶことなどなかったメジマグロ(20kg以下のクロマグロの幼魚)の刺身をスーパーでよく見かけます。
値段も安く味もそれなり。築地市場でマグロといえばかつては100kg以上の大型のものが並んでいたのに、今では20kg以下のものがほとんどだといいます。
10年前には見栄で寿司を食べていた中国人も今やネタの違いがわかるほど舌がぜいたくになりました。ところが中国近海は海洋汚染と乱獲で漁獲量は激減、さらに排他的経済水域は日本の五分の一しかない。
結果、日本や韓国の漁場で違法操業する中国漁船が激増。日本・韓国が資源管理で減船しているところに大挙割り込んでくる中国船、尖閣の衝突事件はそのあらわれでした。違法操業漁船に甘い対応をしていると次は軍艦が押し寄せてくるのでしょう。
(PB生、千葉)

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(読者の声4)平成18年『正論』10月号に、ロシア科学アカデミー東洋研究所のアレクセイキリチェンコによる、戦前のソ連の対日諜報工作についての記事が掲載されている。
この記事には、以下の抜粋のほかに非常に重要な情報が含まれており興味深い。他の雑誌にない正論の優れている点である。
1.対日工作:
 1935年の鉄道売却までソ連諜報部の満洲駐在部は東支鉄道を拠点に対日諜報活動を行った。ロシア公文書館には450冊のファイルがあるが閲覧を禁止されている。

 2.偽情報作戦:内務人民委員部ではモスクワで日本の特務機関に対して大規模な偽情報を伝える作戦が実施された。

1928年、モスクワに小松原道太郎陸軍中佐が着任した。彼はその決断力、行動力、根気強さで目立っていた。


GPUは、小松原がソ連側協力者を探していると言う情報をえた。

そこで「将軍」という人物をあてがった。

日本側はソ連の戦闘能力についての情報を切望した。小松原は金を払いソ連の秘密情報が流れ始めた。


 しかしこれは日本側の疑いを引き起こした。そこで日本はポーランドの陸軍情報部に依頼し、裏を取るように手配した。

すると若干のくい違いが見つかった。

しかし日本はソ連の情報提供者を信用した。

小松原のあとは秦彦三郎、そして最後は光谷エツオ少佐であった。


この関係は1938年(ノモンハンの前年)まで続いた。

しかしスターリンの大粛清が始まると、「将軍」ら対日工作担当者は皆逮捕され処刑された。

ただロマン・ニコラエビッチ・キムは日本語に堪能であったため牢屋で翻訳をさせられ生き残った。  


こうしてソ連は作戦ゲームによって、日本の特務機関の活動に著しく枷をはめ、日本人の努力をわきに道にそらし、彼らの活動をコントロール下に置くことができた。このような作戦ゲームを実行する場合、100%嘘の情報を相手に与えることは不可能である。

部分的に真実を知らせることが必要である。

したがって日本の特務機関は、ある程度は真実を受け取っていた。


 したがって小松原中佐の諜報活動の記録がソ連側にあっても当然なのでどうということはない。

菅沼光弘氏はソ連崩壊後、ロシアの諜報関係者から光谷少佐のサインのある文書を見せられたと言う。

これは日本のモスクワの特務機関がソ連諜報部の手の上で踊らされていたと言う事を意味する。


さらに日本の特務機関の着眼点はグローバルであった。

すなわちソ連の南部に注目し、回教徒民族との分裂が将来ソ連を解体させると読み、上層部に上申していた。

そしてそれは現在実現している。


70年前に日本の特務機関の予想したソ連の運命は的中した。

 この予言者の一人は橋本欣五郎少佐である。

彼はこのため、東京裁判で終身刑を宣告されている。


かれはトルコ駐在武官当時、コーカサスの反ソ連勢力の利用について意見上申を行っている。

そして日本は実際反ソ連民族勢力に資金援助を行っていたと思われる。

まさに「見果てぬ防共回廊の夢」である。  

(東海子)      

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