欧州勢が一斉に資金の引き上げに動き出した。 | 日本のお姉さん

欧州勢が一斉に資金の引き上げに動き出した。

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
     平成23(2011)年 12月7日(水曜日)
       通巻第3510号 


 人民元、不気味な下降局面へ突入
  インドに続き、中国を襲う通貨安、つぎはブラジルへ
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 欧州勢が一斉に資金の引き上げに動き出した。ギリシアに端を発したユーロ危機は、1兆ユーロの基金調達が難しい展望となって、デフォルト懸念がイタリアに飛び火し、慌てたサルコジとメルケルは首脳会談をひらき、新条約制定で合意したが、ほかのユーロ加盟諸国が同意するか、どうかは不明瞭。

 欧州の銀行は倒産の危機に直面している。
 欧州十五カ国の国債は格付けを下げられた。恐慌の一歩手前である。投資家は一斉に手元資金確保のため、出資金の回収、株、債券市場からの資金引き上げを開始したため、インド、中国、ブラジルなどで株安、通貨安となった。

 とくに人民元は五日連続の下落に見舞われている。
 このまま新興国通貨が下落をつづけ、ドルもユーロも下落を続ける中、日本の円だけが独歩高というのは、じつは異常事態をこえて危険水域にある。

 中国が、この深刻な経済危機を切り抜ける態勢にはいったが、したがって、このタイミングに、無能の代名詞のような日本の首相なんぞが北京に来ても時間も無駄。延期を要請したのも当然であろう。

 年内に欧州の銀行危機は泥沼化し、旧正月直後(二月早々)に中国に未曾有の経済危機が襲うだろう。
   △
  ♪
(読者の声1)貴誌前号にあった石油の専門家のご子息(YT様 茅ヶ崎市)のお話は興味深い。私は戦争中のパレンバンの製油所再建の話も読みました。
1.戦意高揚:戦争中の一般国民は戦意高揚で負ける気などしなかったことは間違いないだろう。私の母も高女卒でしたが、最後は神風が吹くと信じたと言う。

2.現実:しかし軍人など専門家の目から見ると、超大国米国との軍事力の差は歴然としているので勝てるとは思わなかっただろう。なんとか日露戦争のように休戦に持ち込みたかったというところか、と思う。

3.自衛戦争:独立国家は、襲われれば無条件で戦うのが自衛戦争である。

4.真珠湾攻撃:よく石油タンクやドックを攻撃しなかったから、真珠湾の攻撃は失敗だ、と非難する人がいる。この狙いは完ぺきな勝利にケチをつけることが狙いだから、日本人は真に受けてはいけない。いわゆる「勝利を盗む」謀略である。ナポレオンが戦場は偶然の重なりあい、と言うように、結果は予想できないものである。
それを後智恵でアレコレいうのはいかがなものか。明日の株価も予想できないのに不遜である。
真珠湾作戦は10ケ月も前に東京のグルー大使からハル長官に日本の計画の通報があった(米国政府が公電をインターネットで現在公開中)ので、米国政府首脳には攻撃は想定内だった。しかし日本海軍が開戦直前に完成した浅海用航空魚雷を知らなかったので、想定外の大被害となった。
この魚雷(三菱重工製)は40本しかなく、空母赤城と加賀の雷撃隊に各12本、他の2空母に各8本が配布されただけだった。その限られた魚雷で、米国の、航空攻撃に強い巨大戦艦の横っ腹に大穴をあけて撃沈した。日本軍人は素晴らしい。
真珠湾攻撃作戦は英国の歴史家A・テイラーは米国の宣伝で誹謗されているが、真珠湾攻撃は戦術から見れば天才的な一撃であったと記し、G・ウィントもいつか忘れがたい軍事的功績として評価されるだろうと述べている。

5.ソ連と真珠湾攻撃:スターリンの死後手文庫から日本政府内のソ連スパイ、コード名エコノミストによる真珠湾攻撃計画の通報が発見されている。そして実際、日本の機動部隊が荒天の北太平洋を進撃中、一隻のソ連船に出あっている。
本来は撃沈するところであるが、日本側は抑制しそのまま行き違った。これはスターリンの指示があったことは間違いない。
興味津々の史実である。
(東海子)



  ♪
(読者の声2)貴誌3508号 (読者の声4)で小生の前稿に対して出典を示せとのご指摘がありましたので、以下に正確に引用します。
出典は平成11年12月に日経に連載された「私の履歴書」。
<引用始>
「愚かしい戦争であった。まことに世界の戦史に類例をみないような、愚かしい戦争であった。奇襲は成功するのがきまりである。その次に息の根をとめるのでなくては、戦略とはいえない。
~中略~
戦果の発表は、十分聞き飽きている。本土を攻める法がなくして、どうして勝利することができよう。私は次のニュースとして、パナマ運河の爆破をひたすらに待ち続けたが、それは空しいことであった。事はすでに、その段階で終っていたのである」。
<引用終>

小生の前稿でもお断りしたように記憶に頼って書いたため、正確ではありませんでしたが改めて出典にあたり、趣旨は外していないと思います。
小生は爆撃対象を西海岸としましたが白川先生は「本土」と書かれました。少々敷衍すれば、戦争もやる以上、「徹底的にやれ」という白川先生の考えは、96歳で生涯を終えるまで漢字研究に一途に徹底された姿勢に相通ずるものがある。
白川先生は小生が日本、いや世界中で最も尊敬する学者の一人である所以です。
なお真珠湾攻撃に関して更に小生の歴史のIfを追加し、戦略の不足を指摘したい。第一撃では真珠湾の米戦艦のみを撃沈し、燃料タンクや弾薬庫を外したこと。第二撃で北の海に避退していた米空母を撃沈しなかったこと。第三撃でパナマ運河を破壊しなかったこと。
第四撃で西海岸の都市、なかんずく桑港の金門橋を落下させなかったこと。もし、この全てを実行していれば米は直ぐにでも和平を申し入れたのではと思う。
(ちゅん)



  ♪
(読者の声3)70年前、驚くべき真珠湾攻撃の報に接して、その晩、チャーチルは「救われた気持で感謝しながら眠り」についた、と書いています。
「合衆国は軟弱だという者もいた」が、「私は、最後の最後まで死にもの狂いで戦った南北戦争のことを研究していた」から、「いまやこの時点で合衆国が完全に、死に至るまで戦争に入ったのだということが私にはわかった」。
「日本人についていうなら、彼らはこなごなに打ちくだかれるだろう。」(回顧録)。
ヨーロッパでは、基本は戦争も外交の延長のゲームだけれど、アメリカはそうでもなくて、理想主義・道義主義から、南北戦争のように妥協のない酷薄な戦争をする傾向があるということ、その認識は当時の日本人には足りなかったのだと思います。
開戦した以上、現代戦は「総力戦」であり、アメリカを相手に「有利な局面」での講和など、ありえなかったのです。
またチャーチルは、中枢部に対して続いたテロリズムの脅威が、日本の選択に寄与したであろうとも推測しています。
「お見通しですな」、と言うほかはないのですが、しかし、当時の一部軍人右翼のテロの防圧くらい、やる気になれば簡単だった、というのが大杉一雄さんの指摘で、ぼくにはまさに“眼から鱗”でした(東條さんは弾圧の大家だし、承詔必謹の日本人ですから)。
いまひとつ、独学の人、大杉一雄さんの指摘から(『日米開戦への道 下』)
かつて日本人は黒船来航の脅威に、また、三国干渉の横暴に対して、屈辱をかみ殺して柳に風と対応して自ら努めるべきを努めた、その結果、大きく伸びることができた。
(石川県 三猫匹)



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(読者の声4)女性宮家検討の前に。
11月25日藤村官房長官が女性宮家創設について検討していく旨発言をして政府内には勉強会が設置されたという。
4日(日)所功氏がテレビ出演して女性宮家論を展開、違和感を持ちました。皇室に民間から女性が入るのだから男性が入ってもいいのではないかという女性宮家への男女平等論を持ち込んだのには驚き且つ呆れました。2000年の伝統を語りながら男系を貫いてきた事には一切触れないという事に意図性さえ感じました。
所氏の口癖で今のままでは宮家が減ります、だから女性宮家という飛躍。何故男性宮家を立てることに努力しないのか。
血統は重要と言いながら戦後臣籍降下した旧宮家の方々を何故無視するのか。

皇統の歴史には何度も危機的状況がありそれを男系でつないできたという歴史を無視するのか。


旧宮家の方々の宮家復活は国民の理解が得られないと何故決めつけるのか。旧宮家の方々は皇族復帰を望んでないとか何故勝手に決めつけるのか。(実際には協力しても良いという旧皇族の方あり)
そもそも歴史上の名門名家は皇室に限らず男系を貫いてきました。女系の家系は別王朝になりやがて皇室としての権威は低下し、そして人類平等論の前に滅びます。
鎌倉幕府も4代5代は頼朝の妹の嫁ぎ先京都の九条家から持ってきましたが、歴史からは退場しています。豊臣家も徳川家も織田家の女系にあたりますが、誰もそれは言いません。
要するに女系になった途端、意味の無いものになってしまうということを知るべきです。
(SF生岡山)


(宮崎正弘のコメント)皇室典範を国会や「有識者」が議論するということが、そもそもおこがましい限りで、皇室のしきたり風習は古来よりの不文律でいけばいいのです。旧宮家の復活は当然のことでしょう。
 それにしても諸悪の根源が占領基本法(現行憲法)にあることは論を俟たないことです。

  ♪
(読者の声5)大阪市長選で圧勝した橋下氏の提唱する「大阪都構想」で東京以外が「都」を名乗る事についての違和感を私のブログで先生の言葉を引用して述べたところ、「東京は都ではない」という反対のコメントが寄せられ、訪問者の間で果てしない論争が続いております。
管理人の私は浅学の身ですので、先生ならなんとおっしゃるか教えて頂きたくメールしました。
 橋下圧勝に沸き立つメディア
http://blogs.yahoo.co.jp/nipponko2007/38459301.html
 (「反日勢力を斬る2」管理人)


(宮崎正弘のコメント)東京から皇居が遷都すれば、そこが都です。東京都は東京市にもどります。

  ♪
(読者の声6)「戦略・情報研究会 2011年度東京第9回講演会」のお知らせ
 ~ 現場と文書から見たユーラシア情勢最前線
            -国境問題や地政学をめぐる国際情報戦 ~

日 時: 2011年12月11日(日)18:00~20:00(開場17:30)
場 所: 文京シビックホール 会議室(文京シビックセンター3F)
     http://www.b-civichall.com/access/main.html
講 師: 名越 健郎 氏(拓殖大学客員教授、元 時事通信社モスクワ支局長)
<昭和28年、岡山県生まれ。東京外国語大学ロシア語科卒業。時事通信社に入社、外信部、バンコク支局、モスクワ支局、ワシントン支局、外信部長、仙台支局長を歴任。
著書に『クレムリン秘密文書は語る -闇の日ソ関係史』(中公新書)、『独裁者たちへ!! -ひと口レジスタンス459』(講談社)、『ジョークで読む国際政治』(新潮新書)など>

参加費: 1000円(事前申し込みの学生500円)
定 員: 90名(定員になり次第申し込み締切)
お申込/お問合せ先: 久野 潤 kunojun@amethyst.broba.cc
 [当日] 090-2933-8598
<御名前・御通勤御通学先を明記のうえ事前お申込頂きますと当日の御記帳無しで入場頂けますので御協力頂ければ幸いです>

『日本の選択』 ~日本の再建を考えるシンポジウム~
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日本の危機を救う6人の論客緊急集合! ここに未来への答えがある!
12月18日(日)13時 日本の乱世を生き抜くオオカミが吼える。
出光豊、ペマ・ギャルポ、南出喜久治、戸塚宏、丸山直樹、森山繁成
マスコミでは語られない! 六人の狼が、日本の企業、外交、政治、憲法、教育、環境問題に牙をむく!
一般8000円、学生5000円(12/10までにお申し込みの方は2000円引き)
宮崎先生のメールマガジンからご登録の場合、一般席5000円、学生席3000円でご案内します。
【宮崎先生メールマガジンから】と一言お書きください。
場所: JR 有楽町駅前  電気ビル20F
主宰者:松本道弘のブログに告知文を載せました。URLはこちらです。
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(5)「中国新幹線を乗りつくす <最終回> 九江から南昌の脇道で」(『エルネオス』、12月号。発売中)
(6)「高杉晋作をささえた陰の男」(『別冊正論』。発売中)
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『世界が仰天する中国人の野蛮』(黄文雄氏との対談。徳間書店、1575円)
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 宮崎正弘のホームページ http://miyazaki.xii.jp/
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(C)有)宮崎正弘事務所 2001-11 ◎転送自由。転載の場合、出典を明示。
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