欠落の代表選、野田佳彦君を悲しむ 西村 眞悟 | 日本のお姉さん

欠落の代表選、野田佳彦君を悲しむ 西村 眞悟

欠落の代表選、野田佳彦君を悲しむ
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 西村 眞悟

平成5年、彼と初めて顔を合わせた。いわゆる当選同期だ。

彼は、くりくりとした体格で目立たない男だったが、いつの頃からか、仏頂面をしておれば、大物ぶってみえると思い込んだのではないか。ぶすっとして顔だけ大きくなった。

その彼が、29日、民主党の代表に選ばれ、30日、何事もなければ、まっとうな国なら、何事かあらねばならないが、報道によれば総理大臣に指名されることになった。従って、マスコミは彼のことを色々報道し党内人事に注目している。

そこで、マスコミの関心とは離れて、彼が、如何なるところで出世しようとし、如何に出世したかを概観したい。

そうすれば、彼のために悲しみ、こういう出世街道を生み出している戦後日本を憂えざるをえない。これを見れば、日本に誇りも夢もなく、野生が乏しくなり矮小化するのと合わさって、戦後の「敗戦利得者」が反戦平和を唱えて出世したように、現在も、戦後左翼に同調すれば出世できるという構造がますます根強くなっていることがわかる。

何しろ、我が国では、国防と外交に何の見識も示さずに総理大臣になれるのだから。

強く言っておきたいが、我が国を取り巻く現在の状況下で、国防と外交に何も見識を示さないと言うことは、即ち、既に中国に屈服しているということなのだ。
 
彼は、松下出世塾に学んだという。創業者は、松下政経塾と名付けたが、塾出身を経歴にぶら下げている彼らにとっては出世塾である。従って、野田君を初めとして政界にいる出世塾出身者は、彼と代表を争った者も含めて、政治家のパッションつまり劇的なところはなにもなく、顔をてかてかさせて、ただ「若いのにうまいなー」という感じてスマートに民主党で生きてきた。

従って、この度の総裁選の争点を見られたし。国家と民族の観点は何もない。つまり、彼らの存在自体が人として矮小化している。これが我が国の与党の代表争いだ。悲しいではないか。

野田君を含めて、この度の候補者が代表選で言ったことは、?復興と増税、?経済政策、原発・エネルギー政策、?マニフェスト見直し、?大連立、?小沢氏の処遇、に限定されていた(田久保忠衛さんの分析、産経新聞正論、本日朝刊)。なんじゃ?は!?。

野田君も含めて、彼らは昨年九月、中国漁船が尖閣に侵入した時の管内閣の閣僚ではないか。また、代表選直前の八月二十四日に、中国の漁業監視船が尖閣の我が国領海を侵犯しているのだ。

この事態に、彼ら現職閣僚として、何も言わず、我が国の国防・外交について語らないとは何事か。このことだけで、閣僚として既に失格ではないか、いわんや、総理としては全員重大な欠格者ではないか。これでは、菅を続投させても同じではないか。

しかし、この欠格者達から総理が選ばれる我が国の現状、憂い深まる。
そして、このような矮小化した生き物となった彼らを悲しむ。

考えても見られよ。今、中学校の授業で自国の社会を学んでいるとする。
先生が、5人の生徒を指名し、今の日本の問題を語らせ、どうすればよいだろうか、と問いかけ、各々前で自由に話させたとする。

彼ら中学生でも、北朝鮮による日本人拉致問題や尖閣への中国の侵略を語り、教育の改革を語るであろう。これを、こともあろうに、民主党の面々は野田君を含めて欠落しているのだ。

「領土を如何に守るか、国民を如何に救うか、国民を如何に育てるか」、
尖閣、拉致、教育、この最重要問題に全く言及しない者は、我が国の公職どころか、そもそも日本国民の資格が無いのではないか。

さて、何故彼らは、こういう低次元なのか。それは、彼らが民主党の中で「出世」してきたからである。その民主党は、左翼・反日勢力の支えている左翼政党である。

彼らは、この左翼政党の中で、「政治家」ではなく「政党官僚」として出世してきた。従って、中学生でも持っている祖国の課題、国民の課題への感受性を失っているのである。
 
この中で育てば、鳩山や菅のように、我々からは歪に見えても、民主党内では正常なのだ。この中で、野田佳彦も、鳩山、菅のようになるのか。

我が国の厳しい内外の情勢を思えば、政治家としての肝腎の部分を欠落させ、政党官僚として仏頂面だけ大きくなって「出世」した野田君を祝福するより、悲しむのが自然だろう。