状況が激変すれば立場を変えるのは中国人の常識 | 日本のお姉さん

 状況が激変すれば立場を変えるのは中国人の常識

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
     平成23年(2011) 8月26日(金曜日)
        通巻第3407号  

 中国、カダフィとの親密な関係を否定しはじめた
  リビアへ投下した200億ドル「あれは投資ではない」と主張
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 中国はカダフィ政権と親密ではなかった、と言い出した。
 また「中国がリビアにおける50件のプロジェクトを展開しているのは事実だが、あれはすべてリビア政府との契約に基づく委託工事であって、中国の直接投資ではない」と奇妙な修辞で、急場を取り繕いはじめた。

 日本経済新聞の予測ではリビアにおける中国の損失は3800億円といわれたが、投資総額は200億ドル(お邦貨換算で1兆5000億円強)にものぼることが判明した。

 カダフィの首には一億二千万ドルの「懸賞金」がかけられたが、中東メディアはジンバブエの亡命説を流している。
 このカダフィと中国は親密な関係を築いたのが1978年。台湾と断交させ大使館を開設、それまであった台湾大使館(中華民国大使館)は、台湾商務代表処としてトリポリに残った。東京では中華民国大使館を敷地ごとせしめて『中国大使館』に塗り替えるなど、あこぎな外交も、カダフィには適用しなかった。

しかし国際社会の対リビア制裁のため、台湾は自らリビアから1998年に撤退した。
 2006年1月18日、台湾の陳水扁総統が突如リビアを訪問し、事後、台湾はトリポリに「台北代表処」を再開設した。

 状況が激変すれば立場を変えるのは中国人の常識であって驚きには値しないが、昨日までの友人を「それほど親しくはない」と臆面もなく言ってのけ、しかも反体制派に突如ゴロニャンと擦り寄る。

あまりに露骨な処世は不愉快だが、美的感覚がない中国はいっこうに気にせず、しかも多維新聞網(8月25日付け)によれば、中国は民生の安定と復興のため、5000万ドルの寄付を反体制派『国民評議会』に申し出ているそうな。

 フランスのサルコジ大統領は昨日、北京を訪問。胡錦涛と会談したが、議題はもっぱらリビア問題で、サルコジは九月にパリで開催するリビア復興会議に中国も招待すると、譲歩した。
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ペンタゴンの『中国の軍事力報告』(PDF,94ページ)
http://www.defense.gov/pubs/pdfs/2011_CMPR_Final.pdf
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(読者の声1)フジテレビ前の「韓流番組偏向」を糾弾するデモに一万五千前後の人々が参集した抗議行動を、世界のマスコミが伝えていますが、なかでも中国の『人民日報』ネット版が画像を含めて大きく伝えています。
 この中国のメディアの遣り方にはなにか裏の意図がありますか
   (UJ生、茨城)


(宮崎正弘のコメント)気になって仕方がないのですよ。池袋のチャイナタウンに民族派が宣伝カーを乗りつけて、「シナ人は返れ」と街頭宣伝をしたときも、池袋の中国人達は戦々恐々となったそうです。
 そして嘘でかためた政治宣伝映画「南京南京南京」が日本でも上映が始まりましたが、保守系は騒がず、まったく無視する作戦のようです。喧しく騒げば、かえって中国の思うつぼにはまりますから。無視、それも徹底的無視という遣り方も、これからの抗議行動の戦術として駆使するべきでしょう。

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