残留孤児の「育ての親」「その親戚」一部には戸籍をでっちあげて日本に渡った。その数およそ十万。 | 日本のお姉さん

残留孤児の「育ての親」「その親戚」一部には戸籍をでっちあげて日本に渡った。その数およそ十万。

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
       平成23年(2011) 8月6日(土曜日)
          通巻第3391号 <8月5日発行>

 日本人のお墓を中国国内に建てるとは何事かと。
  反日カルト「保釣連合会」が破壊工作を開始か
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 中国黒龍江省ハルビン市方正県。
 ハルビンからバスで二時間ほどの距離だが、ここが有名な「方正マフィア」の出身地。
 日本の残留孤児がもっとも多い。偽残留孤児の親戚も夥しい。街を歩いて驚かされたのは、看板に日本語が並記されていたことだった。

 方正県の中心から車で十五分ほど郊外に大規模な陵墓がある。満州開拓団の犠牲者を祀る「日本人公墓」があり、ここを「日中友好園林」とも呼称している。敷地の半分は中国人の墓地で、豪華な墓石がならんでいる。

 異変が起きた。
 8月4日午後三時、尖閣奪還をさけぶ狂信的排外主義カルト=「保釣委員会」の五人が北京からやってきて、「侵略軍日本の墓地をまつるとはなにごとか」「中国人をなめているのか」と叫び、墓園を破壊しようとしたのである。

 そもそも日本人公墓が建てられたのは最近のことであり、縦3・8メートルの祈念碑、周辺には残留孤児育ての親たちへの感謝碑もあり、増築がなされていた。
とくに2011年7月28日に犠牲者250名の日本人の名前を新しく石碑として建て、除幕式には瀋陽総領事の松本盛雄が出席した。

 発端はネット世論だった。ひとりの反日分士が日本人墓地問題を投稿し、反日に火がついた。テレビでも「新聞1プラス1」という番組が批判的に取り上げた。

はじめて方正県に日本人公墓があることを知った反日カルト五人が北京から急いで方正県の墓地に駆けつけた。
尾行してきた(らしい)公安により警官隊五十名が忽然と現れて、反日カルト過激派を排除した(博訊新聞網、8月5日)。


 ▲政敵の墓を暴き、死体に鞭打つ中国人ゆえに

 ネットでは日本人の墓をまつるのは日本の軍国主義を礼賛すると同義だとか、まったく歴史に無知な投稿がめだつ。
 「保釣連合会の五人は壮士である」「歴史に残る勇士である」とかのトンデモ投稿も多い。

 日本人およそ五千名が祀られる公墓は、1945年に満州開拓団があちこちから方正県に集合し、この地でさらに五千人が死亡し、その骨を集めることは二十年間禁止された。中国人は政敵の墓を暴き、死体を掘り出して鞭打つ、爆破する習慣があるため、日本人の暮礼に関しては、まったく理解がない。

 次の反日カルトの目標は、この日本人墓地破壊におかれたかも知れない。


 ▲方正マフィアと日本への移住組

 方正マフィアと日本人墓地について筆者は拙著『上海バブルは崩壊する』、2010年、清流出版)のなかで既に次のように書いている。

 (引用開始)
「『残留孤児』と言えば黒竜江省と相場がきまっていたがその内実の詳細を調べるとハルビン近郊の「方正県」がトップだ。前々から奇妙な現象と考えてきた筆者は(2010年の)四月から五月にかけての黄金週間を利用して実際に黒竜江省の方正県に行ってみた。
 ハルビンからぶっ飛ばして二時間半ほど。田舎町なのに異様な光景が飛び込んできた。金持ちがリムジンを疾駆しているのではない。走っているタクシーもぼろぼろ、しかし相乗り。異様と思える光景は町の看板が殆ど日本語併記だったことだ。「六本木の味うま」「くつろげ味」「したし味」とか、意味不明の表現も多いが、どうしてこの方正県だけが?
 郊外に中国でおそらく唯一例外の日本人墓地がある。
 そうだ。満州帝国が潰え、ソ連が侵攻してきたとき、開拓民が一斉にハルピンをめざし逃避行を始めた。方正県は桂木斯、鶴岡、牡丹江などからの通過地点だった。だから引き揚げ途中で餓死したり、ソ連兵に殺されたりした犠牲者を祭る日本人墓地は五千坪ほどの敷地、西麻山自決事件(四百数十名の日本人開拓団がソ連軍を前に集団自決した)で犠牲となった日本人も合同埋葬されている。
 日中国交回復以後、日本の政策の中心に日本人残留孤児さがしが国をあげて行われたことはご記憶だろう。相当数の「孤児」がDNA検査などでわかり、日本の親戚に引き取られた。その後、残留孤児の「育ての親」「その親戚」が(日本に)やってきたが、一部には戸籍をでっちあげて日本に渡った。その数およそ十万。そのうち四万人から五万人が方正県出身なのである。かれらがいつの間にか、池袋に進出していたのだ」。
 (引用止め)
  ♪
(読者の声1)貴誌前号ビジネスウィークのことで、思い出しました。宮崎先生は過去に『ビジネスウィークの読み方』とか『ウォールストリート・ジャーナルでよむ日本』とかの編著がありましたね。
たしか『海外情報の集め方、読み方』『新・数字情報利用術』とかも、わたしも商社マン時代に愛読したものでした。
 情報の仕分け方から、偽情報に見分け方など、いろいろと学んで有益でした。貴誌は、その“伝統的文脈”<?>のうえに成立していると改めて思いました。
  (老兵あきんど)


(宮崎正弘のコメント)『戦国武将の情報学』ってのも、書きました。


  ♪
(読者の声2)杉原誠四郎先生(新しい歴史教科書をつくる会副会長)のご講演を拝聴しました。
教科書検定の実態について大変感銘深いお話でありましたのでその要旨を以下読者の皆様にご紹介します。
杉原誠四郎先生は昭和16年生まれで東京大学大学院教育学研究科修士課程を修了された後、武蔵野大学教授を経て現在は帝京平成大学教授の職にある教育学の泰斗であります。また現在「新しい歴史教科書をつくる会」の副会長をされておられ、「新しい公民教科書」の執筆者でもあります。
(講演要旨)
1.文部省(現文部科学省)には昭和40年頃までは村尾次郎氏のような気骨ある教科書調査官がいて家永三郎などの左翼偏向学者と戦っていたが、現在はかなりの調査官がおかしくなっている。文科省でも教育指導要領などを担当する部門にはしっかりした官僚がいるが、現在の文科省の人事のあり方には問題が多い。
2.文科省の教科書調査官が偏向教科書をつくる出版社とつるんでいるのが日本の教科書のあり方の実態である。このような偏向教科書を長年放置してきたのはまさに自民党である。かつていわゆる捏造された歴史教科書書き換え問題を機に「近隣諸国条項」を教科書検定に盛り込んだのも自民党政権であった。自民党が民主党から政権奪還をしたいのであればまず過去の過ちを総括しなければならない。
3.歴史教科書についていえば前回の検定で「つくる会」が作成した教科書には実に百四十余ヶ所もの修正意見が文科省調査官から着けられた。一方で東京書籍などはわずかに6ヶ所だけの修正意見だけであった。すなわち偏向した教科書はほとんどフリーパスの状態であり、「つくる会」の教科書が文科省調査官から狙い打ちにされている。また彼らはその理由を明示しない。
たとえば「国体」という用語は一切不可である。「何故『国体』という言葉が駄目なのか?」と聞くと「駄目なものは駄目だ」という回答しか返ってこない。「つくる会」の教科書では国家論、愛国心と公共の精神、天皇の意味に関する記述、国旗と国歌の尊重などを重視して丁寧な記述につとめたが、他社の教科書は簡単な記述か、全く無視しているかである。在日外国人参政権についても、「つくる会」の教科書は憲法との関連で理由を述べて在日外国人に参政権を与えないことは決して差別にあたらない、と述べているが他社の記述は参政権を与えないことは差別であるとしている。そして議会で「在日外国人に参政権を付与することに反対」の決議をした自治体がいっぽうでそれと反対の記述をしている教科書を採択しているのである。何とおかしな話であろうか。


4.では他の教科書出版社は皆左翼イデオロギ-に凝り固まった出版社かというとそうではない。要は彼らはビシネスとして「売れる教科書」をつくるだけのことである。「売れる教科書」とはすなわち「採択される率が高い教科書」ということである。であるから教科書の出版社はどういう内容と記述にすれば、採択されやすいのか、を徹底的に研究している。その結果が今日の教科書を生んだのである。また出版社は自分の教科書を採択してもらうために教員のOBを雇い、どうすれば採択されるか、また自社の教科書を採択してもらうための営業の尖兵に使っている。まさに教科書会社と学校や教育委員会が癒着しているのである。一般に教科書がビジネスとして成り立つためには採択率が最低5%はなければといわれる。残念ながら現在「つくる会」の教科書の採択率は1%に過ぎない。当然赤字であるが、それは「つくる会」の会員のカンパや篤志家からの寄付によってしのいでいる。


5.7月名古屋市において河村たかし市長の発案で「中学校歴史・公民教科書の公開討論会」が行われた。しかし招請をうけた出版7社のうち出席したのは自由社と育鵬社の保守系2社のみで他の5社は欠席した。欠席の理由は「教科書採択には静謐な採択環境の維持が必要」とか理屈がつけられていたが、すなわち欠席した5社には自ら作成した教科書の内容の合理性、適格性を堂々と論理的に主張説明する根拠がない、であるがゆえに公開討論に耐えられないことを自ら証明して見せたようなものである。

大略以上のようなお話でありました。
本当に日本の教育の基本をなすべき教科書の検定と採択の実態がかかるものであることを知ると憤りを覚えるとともに、偏向教科書と真正面から闘っておられる杉原先生には一層のご健闘をお願いしたいと感じました。
    (HT生、杉並区)


(宮崎正弘のコメント)短時日で、まとめを有り難う御座いました。まともな教科書が横浜市教育委員会にひきつづき全国津々浦々で採用されますように。
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