一人しか殺してないから無期懲役? | 日本のお姉さん

一人しか殺してないから無期懲役?

市橋被告第4回公判(1)殺害後12時間も意識失う
配信元:
2011/07/08 11:41更新
市橋被告が語り始める…第3回公判
 《千葉県市川市のマンションで平成19年、英国人英会話講師のリンゼイ・アン・ホーカーさん=当時(22)=が殺害された事件で、殺人と強姦(ごうかん)致死、死体遺棄の罪に問われた無職、市橋達也被告(32)の裁判員裁判の第4回公判が8日、千葉地裁(堀田真哉裁判長)で始まった。7日の第3回公判では弁護側が市橋被告本人への被告人質問を行ったが、今回は検察側による質問が予定されている》
 《市橋被告は第3回公判で、リンゼイさんとの出会いから、暴行、死に至らしめた経緯などを詳細に語った。だが、公判の最大の争点となっている殺意については「(死んでもいいとは)思っていませんでした」と明確に否定。左腕を巻き付け、リンゼイさんに覆いかぶさったとされる時間も「短かった」などと証言した》
 《検察側は「強姦後に犯行を防ぐ目的があり、3分以上、相当な力で首を圧迫し続けた」と主張しており、市橋被告の証言と対立している。また、英語のレッスン料を忘れたため、リンゼイさんと一緒に自宅に取りに行ったとする市橋被告に対し、検察側は「強姦目的の口実」としており、この点でも大きな隔たりがある》
 《午後からはリンゼイさんの父、ウィリアムさんに対する証人尋問も予定される。被害者参加人として参加してきた公判では、指を立てるしぐさを見せたり、にらみつけたりと、市橋被告への怒りを隠さなかったウィリアムさんは、何を訴えるのか》
 《午前9時58分、ウィリアムさんと、リンゼイさんの母、ジュリアさんが入廷し、傍聴席右側の検察官席の後ろに着席した。2人は時折、笑顔も見せながら通訳と打ち合わせをしている》
 《9時59分、市橋被告が左側の扉から入廷した。白い長袖のワイシャツに黒のジーンズ姿。顔は青白く、うつむいたままで、ウィリアムさんらに軽く一礼した。ウィリアムさんらの笑顔は消え、市橋被告に厳しい視線を向けた》
 《市橋被告は初公判で、ウィリアムさんらに土下座し、改悛(かいしゅん)の意を示した。しかし、犯行後に約2年7月に及ぶ逃亡生活を送った点について、市橋被告の口からは語られていない》
 《続いて裁判長、裁判官、裁判員6人も入廷。全員が起立、一礼した後の午前10時、堀田裁判長が開廷を告げた。まずは7日に続き、弁護側による被告人質問だ。市橋被告がゆっくりと証言台に向かい、裁判長にうながされて椅子に腰を下ろした》
 弁護人「あなたはリンゼイさんに人工呼吸をしたり、心臓マッサージをしたと言いましたね」
 被告「はい」
 弁護人「それでも被害者の意識は戻らなかった?」
 被告「はい」
 弁護人「そのあと、どういう行動を取りましたか」
 被告「リンゼイさんは動きませんでした。それを見たら、私は全身の力がなくなって、意識がなくなっていました」
 弁護人「事件は(19年)3月26日午前2時から3時ころと言われましたね。あなたの意識が回復したのは、どれくらいたってからですか」
 被告「26日の午後2時か3時の間でした」
 弁護人「約12時間くらい、意識がなかったと」
 被告「はい」
 弁護人「目覚めた事情は」
 被告「事情はありません。リンゼイさんに人工マッサージを繰り返したけど、全く動かなかった。そこから全く覚えてなくて、目が覚めたら外が明るかった」
 弁護人「その時の精神状態はどうでしたか」
 被告「これが現実なのか、夢なのか分かっていなかった。分かっていませんでした」

 弁護人「なぜそんな心理になったのですか」
 被告「最悪な状態になりました。これが夢であってほしいと思いました。現実が分からなくなっていました」
 《市橋被告は涙声になった。弁護側は続いて、リンゼイさんが大声を出さないよう口などに貼ったとされる粘着テープについて質問した》
 弁護人「いつの時点で、被害者にテープを使ったかは覚えていますか」
 被告「覚えています」
 弁護人「それはいつ?」
 被告「私は3月25日の昼にリンゼイさんを殴っています。そのあと、リンゼイさんが大声を出さないよう、口や、口から頭のまわりにかけて粘着テープを貼っています」
 弁護人「それで、どうなりましたか」
 被告「口に貼ると声が出ないと思いましたが、リンゼイさんが口をもごもごさせると、唾液がついて、すぐテープが口からはずれました。何回かやってもはずれるので、諦めてはずしました」
 弁護人「粘着テープは、なぜ家にあったのですか」
 被告「私は以前から、床の掃除に粘着テープを使っていました」
 《第3回公判で、市橋被告はリンゼイさんの拘束に使った結束バンドについて、配線コードをまとめて壁にかけるため平成18年に購入したと証言していた。弁護側はこの粘着テープを含め、市橋被告の犯行に計画性がなかったことを主張したいようだ》
 《続いてリンゼイさんを入れていた浴槽の図面が、法廷の大型モニターに映し出された。頭を置く傾斜部分がA面、足を置く部分がC面と記されている》
 弁護人「リンゼイさんの入れ方は、A面の部分に背中がつく形でいれたのですか」
 被告「そうです」
 弁護人「足はC面ですか」
 被告「そうです」
 弁護人「リンゼイさんは同じ姿勢で座っていたのですか」
 被告「リンゼイさんはじっとしていませんでした。時々、動きました」
 《父親のウィリアムさんは市橋被告をにらみつける。母親のジュリアさんは隣に座る通訳の方に顔を向けたままだ》
 弁護人「あなたはリンゼイさんを2回殴ったと言っていましたが、どこを殴ったのですか」
 被告「私も浴槽に入るようにして、顔を殴りました」
 弁護人「入るようにしてとは、被害者と相対する形ですか」
 被告「そうです」
 弁護人「あなたはリンゼイさんに電話番号や似顔絵を書いて渡していますよね。被害者と連絡が取れないことを不審に思われ、すぐ、あなたに結びつくとは思いませんでしたか」
 被告「思いました」
 弁護人「あなたはリンゼイさんと人間関係を作って、早く帰そうと思っていたとも話していましたが、どのくらいで帰そうと思ったのですか」
 被告「彼女に悪いことをした気がしたので、許してもらえたら、彼女を帰したかった。でも、私は、彼女を殴ってしまったのです」
 《市橋被告の声は、徐々に小さくなっていった》
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/event/trial/517011/

市橋被告第4回公判(2)「警察に言わないから私を帰して!」
配信元:
2011/07/08 12:13更新
(1)殺害後12時間も意識失うに戻る
 《英国人英会話講師のリンゼイ・アン・ホーカーさん=当時(22)=に対する殺人と強姦(ごうかん)致死、死体遺棄の罪に問われた無職、市橋達也被告(32)の裁判員裁判第4回公判は、男性弁護人による市橋被告本人への被告人質問が進められている》
 《リンゼイさんを乱暴した後もかなくなに解放しようとせず、自宅に監禁し続けた市橋被告。この状況について質問する弁護人に対して「リンゼイさんに許してもらえたら帰したかった」との弁解を続けた》
 被告「リンゼイさんからは『警察には言わない。言わないから私を帰して!』と言われました」
 弁護人「それを聞いて?」
 被告「帰してあげたかった」
 弁護人「なぜ帰さなかったのですか」
 《弁護人はやや語気を強め、ゆっくり質問する。涙声で話し続けている市橋被告が、はなをすする音が法廷に響く》
 被告「私が顔を殴ったせいでリンゼイさんの目の下が黒くなっていました」
 「いま帰したらリンゼイさんが警察に言わなくても、ルームメートや周囲の人たちが問題にする。『今は帰せない』と思いました」
 《検察官の後ろに座るリンゼイさんの父、ウィリアムさんは、鋭い目つきをしたまま、女性通訳の言葉に耳を傾けている》
 弁護人「だから当時、付き合っていた女性に『1週間ぐらい会えない』とメールを出したわけですね?」
 被告「はい」
 《これまでの公判では、市橋被告がリンゼイさんに乱暴し、監禁した後の平成19年3月26日午前0時半ごろ、交際していた女性に『1週間ぐらい部屋にこもって勉強する。1週間電話しない』とメールを送ったとされる》
 《ここで弁護人が質問の内容を変える》
 弁護人「逮捕されたとき、あなたは最初から黙秘していた?」
 被告「事件のことは、黙秘していました」
 《傍聴席から向かって正面に座るいずれも男性の裁判員6人は、一様に真剣な表情でメモをしたりしながら証言を聞いている》
 弁護人「勾留質問で裁判官に何か言ったことは?」
 被告「あります」
 《逮捕後に行われた市橋被告に対する勾留の必要性を判断するための裁判所での答弁の内容を指しているようだ》
 弁護人「何と?」
 被告「『亡くなった方はもう何も話すことはできません。自分が間違ったことを訂正したり、自分に有利になることは言うことができないので、何も言いません』と言いました」
 弁護人「起訴の直前に事件の概要を話していますね?」
 被告「はい」
 弁護人「供述調書に取られていますね?」
 被告「はい」
 弁護人「なぜ、話す気になったのですか」
 被告「取調官からリンゼイさんの家族が来日していると聞きました。事件のことを話すことはありませんでしたが、謝罪はしたかった」
 《事件後、リンゼイさんの両親は、何度も来日し、事件解決を呼び掛け続けてきた。一言一言、言葉を選ぶように話す市橋被告は、感極まってきたのか、声の震えが大きくなった》
 被告「事件のことは話せない…。私は弱い人間です。事件のことを話すと、自分に有利な方に話をしてしまう。でも、謝罪だけはしたかった。でも、しゃべれない…」
 《市橋被告は震える声で供述に至った心の揺れを告白していく。法廷は市橋被告の声だけが響き、静まり返っている》
 被告「家族は、家族がどんなふうに亡くなったのか、どんな状況で亡くなったとしても、聞きたいと思っていると(取調官から)聞かされました」
 「私は、どんなふうに亡くなったか、なんて(家族は)聞きたくないと思っていました。それ(取調官の話)を聞いて事件のことを話さないといけないと思いました。でも…」
 《心の葛藤を話す市橋被告の言葉を女性通訳がはっきりした口調で英語に翻訳していく。ウィリアムさんの隣に座るリンゼイさんの母のジュリアさんは、あごに手を当て、考えるような表情をしながらメモを取っている》
 弁護人「調書は、読み聞かせてもらいましたか」
 被告「はい」
 弁護人「内容に間違いは?」
 被告「事件の経過については正しいです。しかし、リンゼイさんが動かなくなったときの様子は違っていました」
 弁護人「内容が違っているのに、署名をしたのはなぜ?」
 被告「私は、これでよかった。事件の流れがリンゼイさんのご両親に伝わればよかった。(両親に対する)謝罪の言葉をのせてもらった。それで十分でした」
 《ジュリアさんは首を軽く左右に振った。考え込むような表情のままメモを取り続けている》
 弁護人「最後の質問です」
 「あなたの供述を検察官は信用してくれましたか」
 被告「信用してくれませんでした」
 弁護人「以上です」
 《ここで堀田真哉裁判長が5分間の休憩に入ることを告げた》
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/event/trial/517017/

市橋被告第4回公判(3)「質問を正確にお願いします」検察官に注文
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2011/07/08 12:44更新
(2)「警察に言わないから私を帰して!」に戻る
 《英国人英会話講師のリンゼイ・アン・ホーカーさん=当時(22)=に対する殺人と強姦(ごうかん)致死、死体遺棄の罪に問われた無職、市橋達也被告(32)の裁判員裁判の第4回公判は約5分の休廷を挟んで再開する》
 《左側の扉から出てきた市橋被告は、証言台の前に立つと、リンゼイさんの両親に深く一礼したが、いつもと同じように顔をそむけられた》
 《検察側の被告人質問が始まった》
 検察官「先ほど、逮捕後一度話せば自分に有利なように話してしまうと言っていたのは、あなたが現実に思っていたことですか」
 《市橋被告は少し間を置いて話しはじめる》
 被告「そうはなりたくないと思っていました」
 検察官「供述調書を作成したとき、あなたはリンゼイさんの遺族に謝罪したかったのですか」
 被告「謝罪だけはずっとしたかった…」
 検察官「(供述)調書には謝罪の言葉が載っていたけれど、言葉だけで十分だと思って謝罪したんですか」
 《男性検察官は、市橋被告が逮捕後、断食して黙秘するなどの行動をとって、犯行状況について口をつぐんでいたことを指摘したいようだ。市橋被告はしばらく黙ったあと、一語一語しっかりと話しはじめた》
 被告「事件の内容と、私の気持ちが入ればよかったです」
 検察官「今述べた謝罪の気持ちってどういう気持ち?」
 被告「(供述)調書に書いてもらったことですか」
 検察官「はい」
 被告「供述調書に書いてもらったのは、『彼女の死について私には責任がある。私はその責任を取る』ということです」
 検察官「それ以上に謝罪の言葉を(供述調書に)載せてもらおうとは思わなかったの?」
 《市橋被告のはなをすする音が法廷に響く。泣いているようだ》
 被告「思いません。私がいくら言葉で謝っても、リンゼイさんは戻ってきません。私はちゃんとリンゼイさんの死について責任を取ると、それだけが言いたかった…」
 《リンゼイさんの父、ウィリアムさんの視線が宙をさまよっている。何かを考えているようだ》
 《男性検察官の質問は、犯行直前のリンゼイさんとのレッスンについてに移った》
 検察官「駅前の喫茶店で行ったレッスンについて、レッスン料を持っていないということは、レッスン開始前から気付いていたのですよね?」
 《市橋被告はしばらく黙った》
 被告「飲み物を注文して、代金を支払うときに気付きました」
 《男性検察官はため息をついた》
 検察官「『はい』、『いいえ』で答えられる質問は、『はい』か『いいえ』で答えてくれる?」
 「飲み物の代金を払うというのは、レッスンを受ける前だったのでしょ?」
 《市橋被告は、またしばらく黙った。しびれを切らしたように、男性検察官が声を荒らげる》
 検察官「黙秘したいのであれば、黙秘したいって言ってー…」
 被告「違います」
 《市橋被告が、男性検察官をさえぎって話しはじめた》
 被告「レッスンが始まったのがいつなのかを考えていて。飲み物を取ってきて席についてから始まったのか、それとも(千葉県市川市の東京メトロ)行徳駅で待ち合わせして、喫茶店に一緒に歩いて来るまでも話していたので、彼女のレッスンがどこで始まっているのか…。私は正確に答えたい。だから質問を」
 《いったん、市橋被告は口をつぐんだ》
 被告「だから質問を、もう少し正確にお願いします」
 《男性検察官は怒りを抑えているのか、腕を組んで下を向いた。後ろに座るリンゼイさんの両親を一瞬、振り返った後、質問を続けた》
 検察官「あなたがレッスン代金を忘れたと、リンゼイさんに言ったのは、喫茶店を出る直前ですか」
 被告「出る前です」
 検察官「どのくらい前?」
 被告「レッスンが、レッスンが終わる前です」
 検察官「いずれにしろ、店にいる間、レッスンの終わり際になって、リンゼイさんに代金を忘れたと伝えたんでしょう?」
 被告「そうです」
 検察官「喫茶店で、代金を払う時点でレッスン代を忘れたと気付いたなら、リンゼイさんを喫茶店で待たせて、代金を取りに行けばよかったじゃないですか」
 被告「そうです」
 検察官「あなたの話を総合すると、今後もリンゼイさんのレッスンを受けていたいということじゃないですか」
 被告「そうです」
 検察官「レッスンが終わり際の段階になって、レッスン料金取りに行く。そんな行動をすれば、信用されずにレッスンを続けられないのではないですか」
 被告「それもあります。でも、最初に喫茶店でレッスン料を払うお金がないことに気付いたとき、ここでお金がないと(リンゼイさんに)言ったら、最初のレッスンの雰囲気が悪くなると思ったので。私はリンゼイさんのレッスンを受け続けたかった。雰囲気を悪くしてはいけないと思いました」
 《男性検察官は質問を変えた》
 検察官「あなたは喫茶店に青い手提げカバンで行った?」
 被告「いいえ」
 検察官「その日は何らかのカバンを持っていってますか」
 被告「はい」
 検察官「それは何色ですか」
 被告「黒色です」
 検察官「なぜそのカバンを?」
 被告「…いつも使っているからです」
 検察官「その黒色のカバンにキャッシュカードや運転免許証を入れたポーチは入っていなかったの?」
 被告「いいえ」
 《男性検察官の隣に座った、別の年上の男性検察官が書類を眺めて、顔をしかめている》
 検察官「常に運転免許証などを持ち歩いていたのではないですか」
 被告「いいえ」
 検察官「黒いカバンはどのくらいの大きさのものですか」
 《市橋被告はすこし考えている》
 被告「形はショルダーバッグくらいで、大きさは何の負担もなく肩に掛けられるくらいです。それしか正確なことは言えません。覚えていません」
 《リンゼイさんの母、ジュリアさんが、ウィリアムさんに何かを耳打ちしている》
 検察官「喫茶店の後にタクシーに乗った?」
 被告「そうです」
 検察官「(市橋被告の)マンションの敷地内までタクシーに乗って来たのなら、現金を部屋から取ってきて、駅まで引き返して、往復の代金を払えばよかったのではないですか」 
 被告「もう一度」
 《男性検察官と市橋被告のやりとりに、男性弁護人が口を挟んだ》
 弁護人「検察官、尋問はなるべく短く区切っていただいた方が分かりやすいかと思います」
 《男性検察官は顔を赤くしたが、ワンテンポおいて質問を続けた》
 検察官「その場にタクシーが来ていたのなら、そのまま往復の代金を払って、そのタクシーで駅まで引き返せばよかったのではないですか」
 被告「私がですか」
 検察官「はい」
 被告「1人でですか」
 検察官「いいえ違います。リンゼイさんと駅までタクシーで戻ればよかったのではないですか。考えませんでしたか」
 被告「考えていませんでした」
 検察官「あなたはタクシー代を払った後に『5、6分待って』と言ったのですか。払う前にどうして言わなかったのですか」
 被告「まずはタクシー代を払わなければ信用されないと思っていました」
 《リンゼイさんの両親は、市橋被告の答えを聞いて、顔を見合わせる。証言台の前に座る市橋被告は、検察側の被告人質問が始まってから、微動だにしない》
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/event/trial/517046/


リンゼイさん最後まで生きる望み…市橋被告語る
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2011/07/08 09:35更新
 千葉県市川市のマンションで平成19年、英国人英会話講師のリンゼイ・アン・ホーカーさん=当時(22)=が殺害された事件の裁判員裁判。千葉地裁で7日に開かれた第3回公判の被告人質問で、殺人罪などに問われた無職、市橋達也被告(32)は、事件当時、最後まで生きる望みを捨てなかったリンゼイさんの様子を語った。

 「まだ声を出し、前へ進もうとしていた」

 両足首を縛られ、市橋被告に上に乗られながらも助けを求め、はって逃げようとしていたというリンゼイさんは、最後までもがき続けていたという。

 市橋被告によると、リンゼイさんは乱暴後、体を洗おうと浴室に連れて行こうとした市橋被告に「殺すつもりね」と激しく抵抗。顔を殴られた後も、リンゼイさんは「私は子供をたくさん産みたい」と将来について語ったほか、「ルームメートが外出しているから、(着衣が乱れた状態で)家に帰っても今なら大丈夫」と解放するよう説得していたという。

 事件当時のリンゼイさんの様子に触れられるたび、母のジュリアさんは顔を覆ったり、涙をぬぐったりしていた。

市橋被告、声震わせ証言「誘惑に負けた」
配信元:

2011/07/08 08:57更新

 千葉県市川市のマンションで平成19年、英国人英会話講師のリンゼイ・アン・ホーカーさん=当時(22)=を殺害したとして、殺人などの罪に問われた無職、市橋達也被告(32)の裁判員裁判の第3回公判が7日、千葉地裁(堀田真哉裁判長)で開かれ、初の被告人質問が行われた。市橋被告は争点になっている殺意を強く否定。性的暴行については「誘惑に負けた」と声を震わせた。

 市橋被告は、床をはって逃げようとするリンゼイさんに覆いかぶさり、左腕をリンゼイさんの顔に巻き付けているうち、動かなくなったと主張した。

 「首を圧迫していたのは分かっていたのか」との弁護側の質問には、「分からなかった」と泣きながら証言。リンゼイさんの両親は信じられないといった様子で、上半身をのけぞらせた。

 証言によると、リンゼイさんを初めて見かけたのは19年3月20日。「以前に個人レッスンを頼んだ女性に似ている」。そう思って声をかけ、強引に個人レッスンの約束を取り付けた。

 事件当日の25日朝。約束の時間に遅れそうになり、焦って金を自宅に忘れた。レッスン後、金を取りに2人でタクシーで自宅に戻ったとき、「このまま親密な関係になれたら」との思いがよぎったという。

 午前10時ごろに自室に入った後、「ハグがしたかった」と背後から抱きついた。しかし、強く拒絶され、リンゼイさんを押し倒した。気持ちを「誘惑に負けた」と表現した。

 乱暴後にリンゼイさんの両手足首を結束バンドで縛り、自宅和室に置いた浴槽に入れた。「話しかけて人間関係を築けば、許してもらえると思った」と、キング牧師やキリスト教などの話をしたという。

 その後、2回殴りつけ、最終的に逃げようとしたリンゼイさんに腕を巻き付けた。その間は「何とか許してもらいたい。それだけを思っていた」と釈明した。

 8日は、検察側の反対尋問などに続き、リンゼイさんの父、ウィリアムさんの証人尋問が行われる予定。

http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/event/trial/516977/


市橋被告、声震わせ証言「誘惑に負けた」
(3)「質問を正確にお願いします」検察官に注文に続く
市橋被告初公判(4)リンゼイさん「美しくても鼻にかけない優しい子」
配信元:
2011/07/04 16:46更新

(3)殴られ、たじろぐ被告…死亡の経緯詳述に戻る
 《英国人英会話講師のリンゼイ・アン・ホーカーさん=当時(22)=に対する殺人と強姦(ごうかん)致死、死体遺棄の罪に問われた無職、市橋達也被告(32)の裁判員裁判の初公判は約30分間の休廷の後、予定の時刻より3分ほど遅れて審理が再開した。市橋被告は入廷すると、向かって右側の検察側の席の後ろに座るリンゼイさんの両親に深々と頭を下げた。しかし、父親のウィリアムさんは一瞬のけぞるようなしぐさをみせたが、厳しい視線を投げかけた。母親のジュリアさんは市橋被告の方を一切見ようとしなかった》


《検察側の証拠調べが始まる。女性検察官がリンゼイさんと一緒に来日した英国籍の親友の△△さん(法廷では実名)の調書を読み上げていく。内容は来日の経緯とリンゼイさんの人柄などだ》
 検察官「来日した経緯についてお話しします。私(△△さん)はリンゼイさんのことをリンズーと呼ぶほど親しかった。リンズーは日本の英会話学校で英会話の教師になるために来日しました」
 「日本の英会話学校を選んだ理由は、その学校の待遇がよかったことと、東京の景色がエキサイティングだったこと、日本は治安がよく、安全だと聞いていたからです」
 《英国の大学で知り合ったという2人。日本で英会話教師になることを決めた2人は平成18年10月に一緒に来日する。△△さんによると、リンゼイさんは知的好奇心が強く、日本でも多くの人と知り合いたい、いろんな知識を吸収したいと考えていた。日本のことが気に入り、1年間の予定だった滞在の延長も希望していたという》
 検察官「リンズーは英国に戻ったら、小学校の教師になるのが夢だった。日本での経験を生かしたいと話していました」
 《日本での勤務地は英会話学校が決めるため、2人の勤務地は別々だったという。しかし、メールや電話では頻繁にやりとりを繰り返していた。そのやりとりの中で、リンゼイさんは△△さんに知らない男に追いかけられたと告白していた》
 《19年3月20日夜、2人は千葉県市川市の行徳駅前のバーで一緒に飲食した後、リンゼイさんが『終電がなくなるから帰る』と言って先に帰宅。その後、数時間後の21日深夜に△△さんに電話をかけ、異変を伝えてきたという》
 検察官「21日午前1時12分に7分17秒の通話記録があります。そのとき、リンズーは、ねぇ、聞いて。すごく変なことがあったの。知らない男が私のことをずっと見つめてきて、話しかけてきたの。男は『洗濯機を直したのは僕です。僕のことを覚えていませんか』って言っていたわ、と話していました」
 《この会話の男は市橋被告とみられる。男はリンゼイさんに英会話の講師になってほしいと話し、(東京メトロ)東西線西船橋駅からリンゼイさんの家までついてきたという》
 検察官「リンズーは男を家に上げたと話していました。私(△△さん)が『なんでそんなことをするの』と話したら、リンズーは『息を切らして、英語の講師になってと言っていて、かわいそうだったの』って話していました。優しい子だからかわいそうだったのでしょう。日本が安全な場所と信じ切り、英国にいたときほどの警戒心がなくなっていたというのも事実です」
 《リンゼイさんと市橋被告の最初の接点だと思われる状況が、親友の調書を通じて明らかになってくると、裁判員らの表情は次第に険しさを増した。市橋被告は微動だにしないまま、前を向いてうつむき、検察官が読み上げる調書に耳をかたむけている》
 《2人は頻繁にメールや電話のやりとりを続けていたが、3月24日の夜を境に一切連絡が取れなくなったという。△△さんは警察に相談したが、そこでリンゼイさんが殺害されたことを聞かされたという》
 《続いて、リンゼイさんの人柄に話が移る》
 検察官「リンズーはとても美しかったが、それを鼻にかけることはせず、自分に誇りをもっていた。とても優しい子で、自分(△△さん)が入院したときはクリスマスでも駆けつけてくれた。とても優しい子だった」
 《人柄についての話が続くと、検察側の後ろに座っている両親は、大粒の涙を流し、懸命に目頭をハンカチでぬぐっていた》
 《その後、市橋被告とリンゼイさんのメールのやりとりが報告された。市橋被告が声をかけた翌日の(3月)22日から、犯行前日の24日夜まで、計7回のやりとりがあったという。メールはいずれも英文で送られていたが、法廷では日本語に訳されて読み上げられた》
 検察官「3月22日午後5時ごろ、市橋被告からリンゼイさんに『英語を教えてください』という件名で送られていました。内容は『こんにちは。火曜日にあなたと話した者です。家に招き入れてくれてありがとう。今週末、話す時間はありますか』などというものでした」
 《このメールに、リンゼイさんは週末の土曜か日曜に応じると答えた。また、1回のレッスン料は3500円と伝えたという。リンゼイさんは市橋被告と25日午前9時に行徳駅の喫茶店で会う約束をした》
 《その後、約束の喫茶店の防犯カメラの様子が明らかにされた。2人が喫茶店で英語のレッスンのようなことをしているのを、店員が目撃していたという》
 検察官「その後、2人は行徳駅からタクシーに乗り、市橋被告の自宅マンションに向かいました。タクシー運転手の供述によると、2人は人1人分あけ、会話がなかったそうです」
 《その直後の25日午前9時54分ごろ、自宅マンションの防犯カメラには、2人が市橋被告の部屋のある4階で一緒にエレベーターから降りる様子が、映し出されていた》
(5)「浴槽の土に白い皮膚…」詳述に体震わす遺族に続く

http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/event/trial/516174/