ボランティアとして駆けつけた看護師たちは素晴らしく活躍しています。 | 日本のお姉さん

ボランティアとして駆けつけた看護師たちは素晴らしく活躍しています。

2011年7月13日発行JMM [Japan Mail Media] No.644 Extra-Edition3
http://ryumurakami.jmm.co.jp/
supported by ASAHIネット
□ どうなる?訪問看護の規制改革!!!
被災地の訪問看護の規制改革推進が重要
■ 菅原 由美:全国訪問ボランティアナースの会キャンナス代表
 ■from MRIC
 病院から在宅へ…という流れのなか、家での療養生活には、訪問看護師の働きが不可欠です。そして地域には、訪問看護ステーションが必要です。

 全国訪問ボランティアナースの会キャンナス代表で、開業看護師を育てる会代表
菅原由美は、中学校区にひとつの訪問看護ステーション、全国に「星降るほどの訪問看護ステーションを」と呼び掛けてきました。

そのためには、常勤看護師2.5人の訪問看護ステーションの人員基準を緩和して、看護師1人からでも開業できるようにしてほしい…地域を良くしたい、役に立ちたいと考える看護師が、フットワークよく動けるようにして欲しいとお願いをしてきました。

 昨年は、日本を元気にする規制改革100のうちのひとつに選ばれ、今年3月6日の
「規制仕分け」では、重点12項目のひとつに選ばれました。その結果、見直し8名、
しない1名。「ひとり開業をみとめない正当な理由が見当たらない」ということで一
定の要件のもと一人開業を認めることになりました。

 しかし、3月11日に震災が起こり、棚上げに…

 そして4月22日、厚労省が被災地での一人開業を認める省令を出しました。「東日
本大震災に対処するための基準該当訪問看護の事業の人員、設備及び運営に関する基準」(平成23年4月22日厚生労働省令第53号)で基準該当で訪問看護事業所をスタート、運営できることになったのです。

 ところが、わずか2か月半後の7月5日、民主党の成長戦略・経済対策プロジェクト
チームのライフ・イノベーション小委員会終了後、足立信也委員長が、マスコミに対
して、被災地で特例として認められている訪問看護ステーションの一人開業の実例が1例もないことをあげて、「「特例的に認めたことが一つもないということは、(全国
で)それを推奨する意味がなくなる」との考えを示した。」(キャリアブレイン)と
の報道がありました。このタイミングで、このようなコメントは非常に残念です。

 震災から3か月。

 それまで雇用されていた被災地の看護師が、自営業になる、と気持ちを切り替えられる余裕はまだないと思います。

 キャンナスに「働きたい」と相談してこられた方がいました。

 母子家庭で、母親が働かねばならない。でも、震災で数日間、子どもと別れ別れで、 いまは子どもが「離れないで」「働かないで」と訴える…働き方に迷っているナースからのご相談を受けましたが、気持ちが落ち着かない、疲れやすい、気づかないうちに体調を崩してしまう、がれきとなってしまった土地を正面から見られずに、まだ避けているエリアがある、恐怖心を抑えながら通勤している…そういった声がありました。

 刻々と状況は変わり、県外への流出もあります。自分たちはどうやって生計を立て
ていくのか、決めかねて悩んでる方、決定しても不安を抱えている方、誰もがそうだ
と思います。

 しかも今回は2月29日までの期間限定です。その先が見えない挑戦になります。そ
こに別の規制をかけるようなことは、本当に困ります。「失敗はできない」と思ったら、躊躇してしまいます。もっと被災者の気持ちに寄り添っていただきたい。

 まだ、チャンスの周知もされていないと思います。

 そしてこれから被災した病院からの解雇が始まるといわれています。復興のため、
多様な働き方、さまざまなチャンスがあったほうがいいことは間違いありません。

 一方で、ボランティアとして駆けつけた看護師たちは素晴らしく活躍しています。
自己決定、自己責任で活動しています。国家ライセンスをもった看護師は、一人ひと
りが素晴らしい能力を持っているのです。

 人員基準が満たせないことを理由に閉鎖する看護ステーションが年間150あります
(全国約6000ST)。実に、閉鎖した約300STのうち半数です。利用者がいる前から2.5
人分の人件費を支払うことは、とても負担が大きく、さらに人員基準を満たすために
本来の業務よりも人員確保に苦労がある、自分で運営したくても挑戦できないという
声があります。

「被災地で看護師が立ち上がらなかったから」

 そのように被災者に負担をかけるような理由で、全国において一人から訪問看護ステーション開業できるという決定が、覆されてはなりません。訪問看護の充実は、
「最期は家で…」その国民の思いの実現に不可欠です。

 7月11日には、被災地である青森県八戸市において、中里藤枝看護師が、基準該当での事業を申請し、受理されました。あとは許可をいただき、8月1日の事業開始を待つばかりです。

 何卒、訪問看護ステーションの一人からの開業について政府の決定通り、全国で実施されること、また被災地における看護師の挑戦を温かくサポートをいただけますよう、お願いを申し上げる次第です。

 ご支援をいただける方は、ぜひML「キャンナスパワー」へご登録をお願いします。

http://don.jp/ezform101/7737/form.cgi

 キャンナスの活動の情報も流れますが、一人開業に関する情報は随時流す予定です。

 何卒、宜しくお願い申し上げます。


全国訪問ボランティアナースの会キャンナス代表
菅原 由美
    MRIC医療メルマガ通信 (
http://medg.jp
    MRICの配信をご希望される方はこちらへ > (
info@medg.jp
 ●○○JMMホームページにて、過去のすべてのアーカイブが見られます。○○●
          (
http://ryumurakami.jmm.co.jp/ )
JMM [Japan Mail Media] No.644 Extra-Edition3
【発行】  有限会社 村上龍事務所
【編集】  村上龍
【発行部数】97,902部