中国の「南北問題」相互接続性が悪い
どうでもいいニュースも読んでおかねば。
日本と関係があるかもしれないではないか。
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中国の「南北問題」
japan.internet.com 7月11日(月)10時1分配信
中国のネットワーク接続の現状
今回は EC ビジネスに重要な Web サイトの開設にまつわる、中国ならではの事情、「南北問題」についてお話します。
【これは、中国国内から中国の Web サーバーにアクセスしているにも関わらず、とてもアクセス速度が遅かったり、場合によっては繋がりにくかったりする現象を指します。原因としては、中国の主要 ISP の2社である中国電信 (China Telecom)と中国聯通(China Unicom)のネットワークの相互接続性が悪いことが挙げられます。
例えば、中国電信の ISP に接続しているユーザーが、中国聯通のデータセンターにあるサーバーにアクセスする場合、通常ならば直接中国聯通に接続すればよいところを、かなりの割合でアメリカなど別の国の ISP を経由して接 続する現象が起こっています。
一般に、日本やアメリカ、ヨーロッパなどでは、10年以上前から ISP 同士が相互接続をするインターネットエクスチェンジ(IX:Internet eXchange)が発展してきており、またお互いにデータの流 量が多い場合には、プライベートピアリング(Private Peering)という直接 ISP やデータセンター事業者同士が接続するという文化が形成されています。そのため、これらの国では中国の南北問題のような事象はほとんど発生していません。
しかし中国の場合、二大 ISP である中国電信と中国聯通、そしてモバイルキャリアである中国移動の3社のインターネット網は、ほぼ相互に接続されておらず、これによってユーザーは、自分の契約している ISP 以外のネット ワークにあるサーバーに繋ごうとすると、前述のとおりアクセス速度が遅くなるなどの影響を受けることになってしまいます。
この「南北問題」について、企業などが Web サイトを開設する際に気をつけなければならない点は、ユーザーからのアクセス速度です。
もしサーバーを置くデータセンターが中国電信もしくは中国聯通のいずれかとしか接続していない場合、もう片方の ISP から接続してきているユーザーにとってはアクセス速度が遅く なります。
例えば Flash や Silverlight を使ったリッチコンテンツでは、全てのページが表示されるまでに時間がかかることがあるばかりか、そもそも Web ブラウザが Web ページを表示する前にタイ ムアウトしてしまい、Web サイトにたどり着いてもらえない可能性も出てきてしまいます。
その結果、二大 ISP のいずれかからアクセスしてくるユーザーにとっての利便性を損なうことになり、極端にいえば中国市場の半分にリーチできていない状況を作ることになります。
一方、「南北」問題というと、中国の地理的な南北にこの問題の境界があるように捉えられることがありますが、実際にはそうではありません。南北問題の「南北」は、その昔、中国の固定電話網が国から企業に移管される際、中国電信のテリトリーが中国の南側、中国聯通(旧中国網通と旧中国網通の固定通信事業が合併)のテリトリーが中国の北側だったことに由来する表現で、実際には各社共に中国全土でサービスを提供しています。
ですから南北問題は同一都市の中でも起こりうることで、上海のユーザーが中国電信の ISP を利用し、その接続先が中国聯通のインターネットバックボーンに接続されている上海のデータセンターだった場合でも、接続速度が遅いという事象が考えられます。
地理的な問題ではないとはいえ、特定の地域・都市ごとにどちらの会社が強い、という傾向はあります。例えば上海では中国電信が強いが、大連では旧中国網通が強かったことで現中国聯通が強い、などです。ただし、競争は激化しており、逆にその都市でシェア二位の会社の方がサービスが良い、という実態もあります。
また、南北問題が解決できていないもう一つの背景には、中国のデータセンターの特殊な事情があります。中国国内のデータセンターの多くは、中国電信や中国聯通など通信事業者が持つ設備で、互いにそれぞれの回線の引き込みを許していないケースが多く、キャリアニュートラルではないという問題があります。
日本やアメリカのデータセンターの場合、一部を除けばどのデータセンターでも複数の通信事業者の回線を引き込むことができるため、こうした問題はほぼありません。もちろん、中国でも最近は、中国電信や中国聯通のデータセンターにおいて、あくまで建前としては他の通信事業者の回線を引き込むパターンも見られますが、実際にはその回線は利用されていないケース、物理的には接続していてもネットワーク的に接続されていない状況などもあり、取り組みはあまり進んでいないといえます。
最後に、企業が Web を中国国内から国内向けに発信するにあたり、南北問題を解決する方法について、いくつかの選択肢をご紹介します。
一つは、最も原始的な方法として、中国電信と中国聯通のデータセンターの両方を契約し、それぞれのデータセンターに同一の内容の Web コンテンツを置く方法です。
トップページにはそれぞ れのデータセンターへのリンクを貼り、中国電信の ISP からアクセスしてきたユーザーには「電信」をクリックさせて、よりユーザーに近い環境へ誘導するものです。
例として挙げた大連市政府の Web サイトを見てみる と、トップページには「電信」と「聯通」の文字があり、それぞれのデータセンターに収容されている Web コンテンツにリンクされています。
二つ目に、キャリアニュートラルであるデータセンターを選択することです。中国には21vianet や GDS、Shanghai Data Solution など、民間のデータセンター事業者もい
くつか存在します。実際、これらのデータセンターを使ったサービスを展開している日系事業者が数社あります(筆者が経営するクララオンラインも同様です)。
最後に、中国国内で展開している CDN(コンテンツデリバリネットワーク)事業者のサービスを利用することです。CDN 事業者は、中国電信と中国聯通のそれぞれのネットワークに配信 ノードを張り巡らせているため、南北問題を解消する一つの選択肢と言えそうです。中国国内の CDN 事業者では、China Cache、Akamai、CDNetworks などがその代表的な存 在です。
日系企業も含め、企業にとって中国での Web サイトの開設の際、南北問題を軽視することは、中国のインターネットユーザーの約半分との接点を遠ざけることに繋がりかねません。また、既に中国向けに Web サイトを開設され ている場合には、改めて南北問題への対策の有無について確認されることをおすすめします。
(執筆:株式会社クララオンライン 家本賢太郎)
記事提供:株式会社クララオンライン
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110711-00000004-inet-inet