中国人母は「タイガー・マザー」 チュウゴク式スパルタ教育の脅威 | 日本のお姉さん

中国人母は「タイガー・マザー」 チュウゴク式スパルタ教育の脅威

中国人母はタイガー・マザー 子供を「あんたなんかゴミ」と叱る
2011.02.18 10:00
 おぐにあやこ氏は1966年大阪生まれ。元毎日新聞記者。夫の転勤を機に退社し、2007年夏より夫、小学生の息子と共にワシントンDC郊外に在住。著者に『ベイビーパッカーでいこう!』『魂の声 リストカットの少女たち』などがある。おぐに氏が、米国で跋扈する「タイガー・マザー」について解説する。
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 日本では「タイガー・マスク」が話題だったらしいけど、アメリカでは「タイガー・マザー」がすごいことになっている。虎母―超スパルタ教育で子を育てる中国の母親のことだ。
 イエール大学のエイミー・チュア教授が自分の子育て体験を本にまとめ、「中国式子育て」をこう称した。この本、今やベストセラーだ。


「虎母」の子育ては、「オールA」の成績以外は認めない。友達との放課後遊びもテレビもゲームも禁止。ピアノかバイオリンを毎日数時間は練習させ、できなきゃトイレも食事も睡眠もなし。子供が失敗すれば、他人の前で「あんたなんかゴミよ!」と平気で罵倒する……。
 その甲斐あってか、チュア教授の長女は14歳のとき、カーネギーホールでピアノ独奏デビューを果たしたんだそうな。
 この「中国式(?)」の子育て論にアメリカ人のママたちはびっくり仰天! なにしろ「子供をほめまくって自尊心を高めましょ~」のアメリカ式とは、まさに対極だものね。

私の周囲でも批判の声が多い。

「あんなの児童虐待よ」「今は優秀でも必ずひずみが出る」「自主性も独創性も育たないわ」と。


 かといって、「中国式」を完全に無視できないのが、今のアメリカの母親たちのツライところだ。

「確かに、アメリカのトップクラスの大学なんて中国、インド、韓国人の学生ばかり」「娘の小学校でも、難易度の一番高い算数クラスもアジア人が目立つわ」「学生オーケストラもそうよ」「アメリカの子育てってこのままでいいのかしら……」


 世界金融危機後のアメリカの自信喪失と、台頭する中国への脅威も手伝って、「虎母」を全否定できなくなっちゃってるんだろうな。
※週刊ポスト2011年2月25日号
(「ニッポン あ・ちゃ・ちゃ」第133回より抜粋)

http://www.news-postseven.com/archives/20110218_12853.html


謙遜する日本人母 米国で子供の「ダメ自慢」すると虐待親扱い
2011.05.02 16:00
おぐにあやこ氏は1966年大阪生まれ。元毎日新聞記者。夫の転勤を機に退社し、2007年夏より夫、小学生の息子と共にワシントンDC郊外に在住。著者に『ベイビーパッカーでいこう!』や週刊ポスト連載をまとめた『アメリカなう。』などがある。おぐに氏が、アメリカの「自慢」事情を解説する。
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アメリカ暮らしに慣れた今も、子供自慢合戦だけはやはり苦手だ。だって、どれだけ心で我が子を誇りに思っていても、人前では「ダメダメぶり」をあえて誇張するのが日本流、だもの。
「うちの子は忘れ物がひどい」だの「手伝いをしない」だの、子供の「ダメダメ自慢」だったら、アメリカの誰にも負けないんだけどなあ!


ところが、これをアメリカでやると大変! 「うちの子なんて、英語はまだまだだし、日本語はどんどん忘れるし、トホホなのよ~」なんて言った瞬間、周囲のママたちに広がる、何とも言えない戸惑いの表情。
「息子のことをここまで悪く言うなんて、子供が相当ひどいか、虐待親なのか、どっちかよね」と思われちゃう。
「自慢はダメ」という日本のオキテ、思った以上に私の骨の髄まで染み込んじゃってるみたい……。
※週刊ポスト2011年5月6日・13日号
(「ニッポン あ・ちゃ・ちゃ」第143回から抜粋)
http://www.news-postseven.com/archives/20110502_18737.html


米国の小学生 3人に1人が「僕はかしこい」と自画自賛する
2011.04.30 16:00
おぐにあやこ氏は1966年大阪生まれ。元毎日新聞記者。夫の転勤を機に退社し、2007年夏より夫、小学生の息子と共にワシントンDC郊外に在住。著者に『ベイビーパッカーでいこう!』や週刊ポスト連載をまとめた『アメリカなう。』などがある。おぐに氏が、アメリカの「自慢」事情を解説する。
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アメリカに来たばかりの頃、小学3年だった息子はいつも不思議がっていた。「アメリカじゃ、自慢しても嫌われないのかなあ……」
息子の通う小学校に行ってみて、息子が不思議がる理由を知った。

学校の廊下の壁一面に、低学年の作文が張り出されている。テーマは「自分の性格や特性」。最初に目に飛び込んできたのは、こんな作文だ。
「I am intelligent. Because I am the only 3rd grader in 5th grade math class」(僕はかしこいです。なぜなら5年生向け算数クラスにいる唯一の3年生だからです)
はぁぁ? フツー、自分で言うか? 「僕はかしこい」なんて!
ところが、壁の作文を片っ端から読み始めてビックリ仰天。なんと3人に1人が自分を「かしこい(intelligent)」と書いているのだ。

おいおいこの学校、優等生だらけなの?
日本でこんな作文を書いたら……やっぱり顰蹙かうよねえ。
そんな話を友人クリスティーナにしたら、彼女は「まだ低学年だからよ。中学生にもなれば、アメリカだって自慢する子は仲間に煙たがられるわ」と言う。でも、今や中学生の息子に聞けば、「いやいや、中学生になっても『俺、おまえより頭いいもんね~』『ウソつけ。算数の授業、まだ6年生のだろ? 俺は2年も先取りしたクラスだぜ』みたいな会話、フツーにやってるよ」だって。


思い返せば6年前、息子は日本の小学校に入学してわずか数か月で、私にこう説教したもんだ。「母ちゃん、自慢はダメなんだよ。人に嫌われるんだよ」と。誰かにそう吹き込まれたのか、あるいは、クラスの人間関係から学んだのか。日本では小学1年生ですら「自慢は嫌われる」と自ずと学んじゃうんだな。


それはそれで窮屈な気がするけど、アメリカみたいに、子供だけでなく、親まで自慢しまくる社会ってのも、なんだかなあ。「うちの娘はビオラが上手。芸術家なのよ」「息子には文章の才能があるの。とってもクリエイティブなんだもの」「3歳でローリングストーンズを歌ったの。天使の声だったわ~っ!」が、その辺のフツーの親の会話なのだ。


ちなみに、「ビオラが上手」という母親に「何年くらい習ってるの?」と聞いたら、「2か月」だって。それ、日本じゃ、「ビオラを弾ける」とすら言わないわよー。
※週刊ポスト2011年5月6日・13日号
(「ニッポン あ・ちゃ・ちゃ」第143回から抜粋)


http://www.news-postseven.com/archives/20110430_18689.html