アロカが一番のオススメ
中国製2万円ガイガーカウンターの“高性能”に専門家苦笑
2011.06.28 16:00
2011.06.28 16:00
何かと最近話題のガイガーカウンター。
テレビではガイガーカウンターを持っては「高い値を記録しました!」と叫ぶレポーターが多数登場する。
彼らが崇めたてるガイガーカウンターだが、そこには大いなる誤解がある。
このガイガーカウンター、専門用語では、「ガイガー=ミュラー計数管」と呼ぶ(以下、GM管)。
ガイガーカウンターなどの放射線測定器の校正(計測のずれを把握、補正すること)と販売の大手、千代田テクノルの担当者が説明する。
「GM管が計測しているのは放射線の『数』であり、『シーベルト(人体が放射線によって受ける影響を表す)』はわかりません。
計測値から対象物の『ベクレル(物質が1秒間に何個の放射線を出すかを表わす単位)』を推計するのがせいぜいです。
震災後は一定の計算式を用いて『シーベルト』を推計している機器が出回っていますが、GM管はそもそも生活空間の被曝量を測る機器でも、原発事故による放射能拡散を測る機器でもなく、推計値は正確とはいえません」
震災後はこのガイガーカウンターに特需が起きた。
メディアはもちろん、主婦までもが秋葉原やインターネットでガイガーカウンターを買い漁ったため、価格は高騰し、時ならぬ“ブーム”に目をつけた悪質な業者らは、普段は2万~3万円で売る安価品を7万、8万とふっかけたり、国産品がなくなると中国製、ロシア製などを大量に輸入したりしている。が、なかには粗悪品も多い。
「2万円程度でアルファ線から何から測れて『シーベルト』までわかるという中国製のGM管の仕様を見ましたが、私どもの常識をはるかに超える高スペックですね(苦笑)」(前出の千代田テクノル担当者)
GM管の特性も知らない者たちが、しかも粗悪品の怪しい数値を振りかざして「政府発表より高い値が出た」と騒ぐことがいかに現実離れしているか、わかっていただけるだろう。
※週刊ポスト2011年7月8日号
http://www.news-postseven.com/archives/20110628_24212.html
NEWSポストセブン
放射能測定器 現場では10万円以下の外国製はおもちゃ扱い
2011.06.09 07:00
緊迫した作業が続いている福島第一原発。
フリーライターの鈴木智彦氏が、福島第一原発で実際に作業員として働きながら、現場の放射能汚染対策についてリポートする。
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4月頃は、放射能を測定するサーベイメーターの不足が深刻だった。
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4月頃は、放射能を測定するサーベイメーターの不足が深刻だった。
放射能パニックによって多くの一般人が購入したため在庫が一掃され、本当に機器が必要な業者まで回らなかったのだ。
サーベイメーターとは放射線測定装置の総称で、テレビニュースでよく観た映像――完全防護服を着込んだ係員が、コードで繋がれた筒状の機器を持ち、フルノーマル(業者はマスクなしの私服をこう呼ぶ)姿の住民の体に当て、被曝線量を測る機械がそうである。
なにを計測しているかといえば、1分当たりのカウンター数で、単位はcpmが使われる。
今回の原発事故で広くその名が知れ渡ったガイガーカウンターもこの一種で、ガイガー=ミュラー計測管(GM管)を使っているためそう呼ばれる。
ガイガーカウンターは性能も値段もピンキリで、4万円から10万円程度の外国製は、気休め程度の性能と割り切ったほうがいい。
私が買った6万円の中国製は1Fの正門前で針が振り切れた。
「そんなおもちゃ捨てちまえよ」
業者に笑われゴミ箱に捨てたが、彼曰く、「正確な測定のためには、測定器を定期的に測定して補正せねばならず、まともなGMサーベイメーターなら最低、30万円はする」らしい。
後日、私が購入したのは日立アロカメディカル社(以下アロカ社)製のTGS-146Bという機種で、36万円だった。
私が就職した企業が所有している機器もアロカ社製だし、4月21日、最初に1F正門前に出向いた後、サーベイを受けに出かけた放射線医学総合研究所でも、「コストを考えないならアロカが一番のオススメ」と教えてもらった。
※週刊ポスト2011年6月17日号
http://www.news-postseven.com/archives/20110609_22475.html
※週刊ポスト2011年6月17日号
http://www.news-postseven.com/archives/20110609_22475.html