中国、強まる「軍国化」傾向
中国、強まる「軍国化」傾向
配信元:
2011/06/23 10:50更新
【石平のChina Watch】
今月10日、共産党機関紙人民日報は、中国国防大学の教育活動に関する注目記事を掲載した。
配信元:
2011/06/23 10:50更新
【石平のChina Watch】
今月10日、共産党機関紙人民日報は、中国国防大学の教育活動に関する注目記事を掲載した。
解放軍の「最高学府」である国防大学が現在、外部向けの「国防研究コーナー」を開設して、中央官庁や各地方政府の幹部などを順番に集め研修をさせているという。
国有大企業の経営陣までがその対象に含まれているようである。
彼らの「国防意識と能力」を強化させることがその目的であるらしいが、記事の中で、たとえば中国人民対外友好協会の会長を務める陳昊蘇氏が研修を受けた感想として「軍事闘争に勝つ自信を深めた」と述懐しているのがとりわけ印象的である。
2001年に中国で「国防教育法」が制定されて以来、全国の小、中学校、高校、大学の学生、生徒も何らかの形で「国防教育」を受けることになっている。
当局が公表した資料によると、この法律が制定されてから2010年末までの間、全国で2万校以上の小、中学校で「少年軍事学校」が開設されるようになり、高校と大学で実施されている軍事訓練の参加者は毎年2千万人に達しているという。
軍事訓練は時々、小学生以下の子供にも及んでいる。
去る5月31日、地方紙の「広州日報」は6月1日の「児童節(こどもの日)」を記念して幼児園(幼稚園)児に関する記事を掲載したが、それによると、広州市内の龍華富通天駿幼児園の子供たちは5月30日、近所の解放軍駐屯地を訪問して見学した後に、解放軍兵士による1時間弱の軍事訓練を受けたという。
この記事はまた、広州市内の多くの幼児園も6月1日を前後にして類似するような活動を展開していると報じている。
このように今の中国では普段なら「国防」の仕事とは直接に関係のない中央官庁や地方政府の幹部たちが順番に軍事研修に参加したり、全国の小、中学生が「少年軍事学校」に通わせられたり、年間2千万人以上の高校生や大学生が軍事訓練を受けたりしてまさに「老弱男女軍事一色」の国民的「軍国化」体制づくりが進められている。
こうした「軍国化」体制づくりの傾向は実は、近年になって強まってきている節がある。
冒頭の人民日報記事によると、共産党が「党中央公文書」と称する正式文章を伝達して、「各級幹部の国防教育の強化及び国防大学の『国防研究コーナー』の開設の継続」を指示したのが今年の4月11日のことであるという。
また「国防教育法」制定11年目の今年の6月から、法律実施の状況を検分するためのキャンペーンが教育部と中央軍事委員会の連携で始まっている。
もちろん、法律の実施に関する今までの成果を確認した上で、「国防教育のよりいっそうの強化」をはかることがキャンペーン展開の目的である。
ちょうどこの6月に西太平洋や南シナ海で中国海軍の危うい動きも再び見られるようになっている。
それと連結して考えてみれば、中国国内の「軍国化」傾向の持つ意味はよく分かってくるのであろうが、このような中国にどう対処すべきなのかは、まさに日本にとっての最重要課題である。
【プロフィル】石平(せき・へい) 1962年中国四川省生まれ。北京大学哲学部卒。88年来日し、神戸大学大学院文化学研究科博士課程修了。民間研究機関を経て、評論活動に入る。『謀略家たちの中国』など著書多数。平成19年、日本国籍を取得。
日米基軸に「中国包囲網」模索も…2プラス2
読売新聞 6月22日(水)14時59分配信
【ワシントン=向井ゆう子】21日に米国務省で開かれた日米の外務、防衛担当閣僚による「日米安全保障協議委員会(2プラス2)」の中で、日米両外相が、海洋活動を拡大している中国に強い警戒感を示し、地域の安定に向けた方策を活発に議論していたことがわかった。
4閣僚は、韓国、オーストラリア、インドや東南アジア諸国連合(ASEAN)と連携して中国に国際規範の順守を求める方針で一致したが、日米が同盟関係を基軸に「中国包囲網」の構築を模索し始めたとの見方が出ている。
外務省などによると、会談では、松本外相が「東シナ海、南シナ海において航行の自由との関係で摩擦を起こしている」と指摘した上で、「ASEAN地域フォーラム(ARF)などの枠組みでの協力も効果的だ」と述べ、東南アジア諸国なども交えて日米でルール作りを主導したいとの考えを示した。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110622-00000677-yom-pol
読売新聞 6月22日(水)14時59分配信
【ワシントン=向井ゆう子】21日に米国務省で開かれた日米の外務、防衛担当閣僚による「日米安全保障協議委員会(2プラス2)」の中で、日米両外相が、海洋活動を拡大している中国に強い警戒感を示し、地域の安定に向けた方策を活発に議論していたことがわかった。
4閣僚は、韓国、オーストラリア、インドや東南アジア諸国連合(ASEAN)と連携して中国に国際規範の順守を求める方針で一致したが、日米が同盟関係を基軸に「中国包囲網」の構築を模索し始めたとの見方が出ている。
外務省などによると、会談では、松本外相が「東シナ海、南シナ海において航行の自由との関係で摩擦を起こしている」と指摘した上で、「ASEAN地域フォーラム(ARF)などの枠組みでの協力も効果的だ」と述べ、東南アジア諸国なども交えて日米でルール作りを主導したいとの考えを示した。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110622-00000677-yom-pol
「価値観外交」推進で対中包囲網 日米2プラス2で強い危機感共有
産経新聞 6月22日(水)9時2分配信
【ワシントン=酒井充】米ワシントンで21日午前(日本時間同日夜)に行われた外務・防衛担当閣僚による日米安全保障協議委員会(2プラス2)で、出席した4閣僚は南シナ海などで海洋権益拡大の動きを強める中国への強い危機感を確認した。日米両国と自由や民主主義の価値観を共有するアジア太平洋各国との連携を深め、包括的に中国に航行の自由を守るよう圧力を強めていくことでも一致した。
松本剛明外相は2プラス2で「中国に国際規範の順守を求めることが重要だ。特に東シナ海、南シナ海で航行の自由との関係でいろいろな摩擦を生じている」と指摘。クリントン米国務長官は「中国の南シナ海の航行の問題が地域に緊張をもたらしている。日米両国が地域の諸国と緊密に協力して対応していくことが重要だ」と応じた。
2プラス2で合意した共同発表では、中国の海洋活動に関し「南シナ海」といった具体的な海域は示さなかった。だが、この日の議論では南シナ海での領有権主張のために艦船を派遣し、実力行使でベトナムやフィリピンを威嚇する中国への危機感を明確に共有。対抗策として松本、クリントン両氏はともに「価値観の共有」を挙げた。具体的には東南アジア諸国連合(ASEAN)地域フォーラム(ARF)や日米韓、日米豪に加え日米印などの枠組みを活用していく方針を確認した。
こうした「価値観外交」は自民党政権下の安倍晋三、麻生太郎両元首相時代に盛んに提唱された。中国寄りとみられた民主党政権の誕生で影は薄くなったが、外務省側は「対中警戒では必要な理念だ」(幹部)として水面下で堅持してきており、南シナ海を舞台に緊張が高まる中で再び脚光を浴びそうだ。
クリントン長官は、中国が領有権を主張している尖閣諸島(沖縄県石垣市)に関し、有事の際などに日米安全保障条約第5条の適用対象となる考えを重ねて強調。
ロシアが不法占拠する北方領土についても「日本の立場を一貫して支持している」と語った。
共同発表では、24項目を列挙した共通戦略目標の筆頭に「日本の安全を確保し、アジア太平洋地域における平和と安定を強化する」とわざわざ設けた。
共同発表では、24項目を列挙した共通戦略目標の筆頭に「日本の安全を確保し、アジア太平洋地域における平和と安定を強化する」とわざわざ設けた。
昨年は尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件やロシア大統領の初の北方領土訪問など、日本が周辺の脅威にさらされる事態が続発。
毅然とした対応をとらなかった民主党政権に対する米側の不安の表れがクリントン長官の発言につながったようだ。
また松本氏は、米海兵隊が来年10月の米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)への配備を発表した垂直離着陸輸送機MV22オスプレイに関し、地元で事故への懸念が強まっていることを受け、「情報提供をお願いしたい」と求めたが、米側から明確な回答はなかった。
松本氏と北沢俊美防衛相は21日昼(日本時間22日未明)、ワシントン発の飛行機で帰国の途に就いた。22日午後に成田空港に到着する。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110622-00000512-san-pol
また松本氏は、米海兵隊が来年10月の米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)への配備を発表した垂直離着陸輸送機MV22オスプレイに関し、地元で事故への懸念が強まっていることを受け、「情報提供をお願いしたい」と求めたが、米側から明確な回答はなかった。
松本氏と北沢俊美防衛相は21日昼(日本時間22日未明)、ワシントン発の飛行機で帰国の途に就いた。22日午後に成田空港に到着する。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110622-00000512-san-pol
<日米2プラス2>「地域に緊張及ぼす」 中国を名指し批判
毎日新聞 6月22日(水)11時36分配信
【ワシントン西田進一郎】クリントン米国務長官は日米安全保障協議委員会(2プラス2)で、南シナ海での海洋進出を強める中国について「地域に緊張をもたらしている」と名指しで批判した。松本剛明外相も「中国は東シナ海、南シナ海で摩擦を生じさせている」と指摘。2プラス2後に発表した共通戦略目標の文書では、中国への直接的な批判は盛り込まれなかったが、会議では双方が名指しで強い懸念を示していた。
今回の2プラス2で本格的に改定した共通戦略目標は、中国に「国際的な行動規範の順守を促す」と促しつつ、「(海洋)航行の自由」やサイバー空間の保護については名指しを避け、間接的な言及にとどめていた。
両氏は会談で、中国の南シナ海などへの海洋進出について、日米が東南アジア諸国と協力して対応する方針で一致。ゲーツ国防長官も「日本と米国が『一つの声』で話をしていくよう努める必要がある」と述べ、日米の一体的な対応が必要だとの認識を示した。
また、松本外相は昨年9月に沖縄県尖閣諸島沖で起きた中国漁船衝突事件の際、クリントン、ゲーツ両長官が日本への防衛義務を定めた日米安保条約5条が尖閣諸島に適用されるとの考えを示したことに謝意を表明。クリントン長官は「5条が適用されるとの米国の立場を改めて確認する」と述べた。