60代と40代で5割 | 日本のお姉さん

60代と40代で5割

【特スキミング】ネット証券取引の主役はPC世代と団塊オヤジ?
2011.06.18

 日本証券業協会がこのほど発表したインターネット取引調査によると、利用者は40歳代が最も多く、口座残高は60歳代が最多-との結果が出た。20代は投資するカネがなく、30代はケータイ育ち。50代はローンや教育資金捻出に頭を抱え、サラリーマン晩年になってパソコンに出合った団塊の60世代が、ネットトレーディングを牽引している構図が浮かび上がっている。

 ネット取引が国内で始まったのは1996年。大和証券が初めて手がけた。このころはまだ証券市場を席巻するまでには至らなかった。96年は「ウィンドウズ95」が登場して世界的なPCブームが巻き起こった時期。98年ごろにはオフィスにウィンドウズPCは必需品になった。

 入社5年目で仕事に慣れてきたこの世代がいま40歳に達している時期である。彼らの子どもはまだ小さく、教育費もさほどでない。給料はこの不況で目減りしたものの、小金稼ぎにネットトレーディングに手を染めた。

 「夢中になりすぎて会社を辞め、ネット取引仲間と株指南のグループを作って、ビギナーからアドバイス料を取って生業にしている剛の者もいる」と、ネット取引に詳しい知人が話してくれた。

 ネット取引の口座残高が一番多いのが60代というのは、説明不要だろう。4年前から本格化した団塊の世代の大量定年で、彼らが最も資産を持っているからだ。

 しかも彼らは定年前の10年間、ブロードバンドの恩恵に浴し、ネットサーフィンに熱中した。いわゆる全共闘世代はなにごとも好奇心旺盛で、住宅ローンを払い終え、不満はあるが年金暮らしの結構な身分。株や投資信託の勉強に余念がない。

 日証協の調査では、加盟290社のなかでネット取引口座は1650万。このうち残高があり、実際に取引しているのが1150万で、その内訳は60代と40代で5割近くを占めている。

 彼らがウィンドウズ95を目にしたのは、40代前半と20代後半。当然だが、PCと出合わなかったら、ネット取引の隆盛はなかっただろう。

 しかし、実はネット取引が普及したのはPCの出現だけではない。98年に証券会社の設立が免許制から届出制になり、99年に株式委託手数料が自由化されたことで、インターネット専業証券が続々生まれたことが大きい。

 ネット専業証券は手数料が安いため、デイトレーダーと呼ばれる、株式売買を1日だけやって利益や損を確定する個人投資家が多い。

 彼らは、昔の投資家のように値上がりをじっと待つ「塩漬け」など興味がなく、サッとやめてはまた戻る。それがネット取引口座数1650万のうち、残高がない口座が500万という現実を生んでいるのではないか。
http://www.zakzak.co.jp/economy/investment/news/20110618/inv1106181513001-n1.htm