「きちんと命令してあげないといけないと言ってきたんです。」山下教授 | 日本のお姉さん

「きちんと命令してあげないといけないと言ってきたんです。」山下教授

「福島原発のリスクを軽視している」 「安全説」山下教授に解任要求署名
J-CASTニュース 6月14日(火)20時22分配信
 福島第1原発から放射性物質が放出されて続けている問題で、一貫して「安全・安心説」を唱えていると受け止められている識者が、福島県放射線健康リスク管理アドバイザーの山下俊一・長崎大学教授だ。1年間に許容される被曝量として「20ミリシーベルト」という数字が議論になるなか、山下氏は「100ミリシーベルト以下のリスクは分からない」との立場を崩していない。これが「リスクを軽視している」と批判を浴びており、NGOは、解任を呼びかける署名活動を始めている。

 山下氏は、長崎市生まれの被曝二世。1991年から約20年間にわたって、チェルノブイリやセミパラチンスクでの被曝者治療に携わっている。05年から2年間は、世界保健機関(WHO)のジュネーブ本部で放射線プログラム専門科学官を務めている。福島県の放射線リスク管理アドバイザーには3月19日に就任し、県内の講演会で「放射能を『正しく恐れる』ことが大事」などと説いている。

■「年間100ミリシーベルト」の評価

 山下氏に対して解任要求をしているのは、FoE Japanやグリーンピース・ジャパンなどの環境NGO。6月10日に菅首相や佐藤雄平福島県知事に宛てた要請文の中で、(1)特に放射線量が高い地域において、避難・疎開・夏休みの前倒しを促進すること(2)子どもを含む県民の内部被ばく検査の実施、など4項目を要求。そのなかの一つに、山下氏の解任が入っている。要請文では、

  「低線量被ばくのリスクを軽視し、『100ミリシーベルトまでは、妊婦も含めて安全』との言動を福島県内で繰り返しています」

と山下氏を批判。署名活動を7月6日まで展開するという。

 山下氏の発言で主に批判が集中しているのは、「100ミリシーベルト」の評価と、住民を避難させる範囲についてだ。

 例えば、5月3日に、福島第1原発から50キロ以上離れた福島県二本松市で行われた講演会では、山下氏は

  「100ミリシーベルトで、5人くらいがんのリスクが上がることが、長年の調査結果で分かっている。100ミリシーベルト以下は分からない。明らかな発がんリスクは観察されていないし、これからも、それを証明することは非常に困難」

と発言。

 「二本松は危険だから逃げろ」という声があることについては、

  「とんでもないこと」

と反論。

  「皆さん、現実、ここに住んでいるし、住み続けなければならない。広島、長崎もそうだったし、チェルノブイリもそういう状況。そういう中で、明らかな病気は、事故直後のヨウ素による子どもの甲状腺がんのみ。このような現実をもって話している。国の指針が出た段階では、国の指針に従うのが国民の義務だと思うので、そのような内容でしか答えられない」

と発言し、「国の指針に従うのが国民の義務」という発言が、さらに地域住民の反感を読んだ模様だ。

■「30キロ圏外でも必要ならば避難させなきゃだめ」

 その後も、山下氏は「100ミリシーベルト以下のリスクは確認出来ていない」との立場を崩しておらず、5月24日発売の「週刊朝日増刊 朝日ジャーナル 原発と人間」の中では、

  「1回、100ミリシーベルト浴びると、例えば細胞に傷が100個できます。1ミリシーベルト受けると細胞に傷が1個できます。100個の傷にはときどきエラーが起きますが、1個の傷は体がすぐ治します。遺伝子は傷がついても治るという生物学的な生命現象が大前提としてあるので、僕は、微量の被曝には過敏になるな、と言っているんです」

と主張。「潮」11年6月号では、

  「原発の放射性物質によってがんにかかりうるといっても、がんは日本人の3人に1人がかかる病気だ。確率論的に誰にでも起こりうる病気なのに、『放射線のせいでがんにかかる』と心配して生活を台無しにしても仕方がない」

とも述べている。

 ただし、住民を避難させる範囲については、前出の朝日ジャーナルの中で

  「僕は飯舘や浪江、川俣の一部の数値が高いのを見て、自主避難ではだめだ、きちんと命令してあげないといけないと言ってきたんです。国に対しても、30キロ圏外でも必要ならば避難させなきゃだめだとも言ってきました」

と述べており、講演会での発言との整合性を問われる可能性もある。

 6月13日に行われた福島県議会の特別委員会でも、山下氏のアドバイザー解任を求める声があがっており、今後も波紋は広がりそうだ。

【関連記事】
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110614-00000005-jct-soci  

Journal of American Physicians and Surgeons Volume 16 Number 2 Summer 2011
電離放射線の生物学的効果: 日本に贈る一視点
T. D. ラッキー, PhD (有志グループ訳)

世界のメディアの大半が放射線は全て有害であると思いこんでいる。
もし日本の政府が、2011年3月の地震と津波がもたらした福島原発事故への対応に当ってこうした思いこみに支配されるならば、既に苦境に喘ぐ日本経済が途方もない無用の出費に打ちのめされることになろう。

ミハイル・ゴルバチョフが遅きに失して思い知った次の教訓を日本も学ばなければいけない。
「20年前にチェルノブイリで起った原子炉のメルトダウンが、恐らく5年後のソ連崩壊の真の原因であった」1。

電離放射線(以下放射線とする)にはホルミシスの性質がある。
ホルミシスという概念は、メディアにも政府にも一般的に理解されていないのだが、少量なら有益である一方大量では有害、というものである。

このような効果は約40種の必須栄養素、全ての薬品、及び他の大多数の物質において生じることが知られている。

慢性、急性いずれの放射線被曝にもホルメシスが見られる。
核降下物の重要性の理解には、有益から有害までの全域にわたる放射線の考察を欠かすことができない。

低線量放射線の有益性を示す何千もの科学論文が発表されている2,3,4。
日本は国内に服部禎男博士(元日本電力中央研究所理事)5という世界的な権威がいて指導を仰ぐことができるのだが、現実はそれと違って広島の放射線影響研究所(RERF)に頼る傾向がある。
RERFは放射線の害の研究に何百万ドルもの資金を費やしているが、放射線の健康への恩恵に関しては信頼すべき情報源ではない。

放射線は生命にとって不可欠
適切な遮蔽の下に行われた塩水小エビ6、原生動物7,8、マウス及びラット9を対象とする実験から、放射線が生命にとって不可欠であることを示す説得力のある証拠が得られている。
筆者自身の原生動物を使った研究、及びクージンのマウスとラットによる研究では、天然(放射性)カリウムに代えて非放射性カリウム-39を用いることにより放射線不足の状態を創出した。これらの報告は、放射線も人間にとって不可欠の物質であることを示唆している。

我々が放射線不足の状態にあるという考えは、低線量被曝が実験動物にも人間にも健康に良い刺戟を与えることを示す2,000を超える科学論文によって裏付けられている3,4。
これらのデータは、世界を通じての放射線の自然レベル、3ミリシーベルト/年(mSv/y)10 p198、が真の健康のためには不十分であることを示している。

例えば、我々が適量の放射線を受ければガンは稀な病気になるであろうことを示唆する研究結果がある。

2
慢性(継続的)被曝
総線量率応答曲線(図1)が示すところでは、最低発ガン死亡率と最長寿命につながる最適放射線量率は約100ミリグレイ/年(mGy/y)である11。
健康に良い効果と悪い効果とを分けるゼロ相当点(zero equivalent point = ZEP)は約 10,000mGy/yである。
ZEPを上回る被曝率においては、放射線疾患の諸症状や死をもたらす可能性がある。

この考え方を裏付ける事例が台湾の台北にある12。1982年から1984年にかけて、放射性のコバルトで汚染された鋼材が或るマンションの梁に使用された。
その後約20年間、約1万人がこの高濃度の放射性環境の中で生活した。平均被曝線量は50mSv/yであった。
これは最適線量である100mSv/yに近い。(新しい評価法ではSvとGyはほぼ等値)13。

この建物の住民のガンによる死亡率は10万人年当り3.5に過ぎなかった。



15 RERFは広島・長崎の生存者のガン死亡率を爆心地から3-10キロ離れていた人々(「市内対照群」)のそれと比較した。

これらの対照群は原爆からある程度の放射線を浴び、多くが残留放射線が高い内に爆撃された地域に立ち入った。
原爆生存者120,321人における総(全原因)死亡率が490mSv未満の線量において増加することはなかった。16, p46

広島と長崎で10-19mSv被曝した生存者7,430人のガン死亡率は対照群のそれの68.5%(P
<.01)であった。

被曝線量200mSv未満の生存者28,423人(全生存者の69%)におけるガンによる死亡数は1,000人当り76.6であった(図2参照)。

これは被曝を免れた広島の北西の村落居住者に係る相当数値、1,000人当り77、に近い。


この「市外」対照群の1,000人当りガン死亡数がRERFの「市内」対照群のそれよりも大きかった ― RERFはこの比較をしようとしない ― ことに注目されたい。

200mSv超の被曝例においては、線量の増加に呼応するガン死亡率の上昇が見られた。
即ち、急性放射線被曝におけるZEP値は約200mSvであった。
200mSv超の被曝は放射線疾患の原因となった。

放射線被曝の効果に関する更なる証拠が、1954年3月、ビキニ環礁での水爆実験による放射性降下物を浴びた23人の若い日本人漁夫の事例から得られる。

全員が重度の放射線疾患に罹った。
アイゼンバッドの表12.1によると、全身被曝線量は170-590cSv(1,700-5,900mSv)であった。

10 甲状腺の被曝は300-1,000cSvに達した。
最大線量の被曝者は被曝の206日後に死亡した。
その他の人々はガンを患うことなく20年以上生存した。

図2.累積ガン死亡率。
広島、長崎の生存者について推定被曝線量に対する1,000人当りのガン死亡率を示す。

横座標の上の数値は各点ごとの人数(千人単位)、即ち線量?Xを被曝した人の数を示す。

水平の破線はRERFの「市内(爆心地から3-10km)対照群」を表わす。
約1cSvの被曝者の死亡率はRERFの対照群におけるそれより有意に低い(P <.01)。
直線は広島の北西に位置する諸村の住民のガン死亡率を表わす。

4放射線被曝者のための推奨指針上述の情報は、線量を異にする放射線の慢性又は急性被曝者の処置についての当面の指針を提供している。
核事故あるいは核爆発後の推奨指針は最大多数の人々に最大の善をもたらすものである。

急性放射線被曝者のための推奨指針には、通常、被曝以外の問題の考慮が含まれる。
例えば心理的反応、肉体的能力不全、破片による負傷、食料・水・住居の不足など。
急性被曝者用推奨指針での主たる問題は直接被曝による外傷である。
これは原爆に起因する全傷害の約5%を占める。
19 推奨指針はまた、多数の体外及び体内放射性核種からの放射線被曝を含む。
核爆発による全傷害の約10%がこれらの問題である。全体の80%は爆風と高熱を原因とする。
これらのガイドラインの核事故の場合の効用は限定的である。
放射線推奨指針は、体外照射源からの慢性的被曝者については比較的簡単である。
10Gy/y(約1mGy/h)未満 の体外放射線被曝者は、直ちにより重度の被曝者の救護に当ってよい。
2-10mGy/hを長時間にわたって浴びた人々は要観察である。(日焼けのような)皮膚の紅潮は軽度の被曝過剰の徴候である。
11-100mGy/hを長時間にわたって浴びた人々は放射線疾患の恐れがあり、加療を要する。

1Gy/h超だと重症の可能性が高い。
10Gy/h超ならホスピスでケアを受けるべきである。

広島、長崎両市を総合したデータ17は100mSv未満の急性被曝者は負傷者や病人の救護に当らせるべきことを示している。
100-200mSvの被曝者は放射線疾患の治療が必要かもしれない。
200-600mSvなら即刻入院を要する。
600mSv超の人にはホスピスでのケアが望ましい。
核爆発の線質係数(Q)は見直しが必要である。
T. D. ラッキー博士1941年コロラド州立大学(化学)、ウイスコンシン大学で理学修士(生化学)、ノートルダム大学助教授、准教授(946-1954)、ミズーリ大学生化学主任教授(1954-1968)、退職により名誉教授授与される。NASAのアポロ計画に協力し、地上の数百倍の宇宙放射環境内での安全性を追求する中で、適度の放射線被曝は「人体に恩恵をもたらすこと」を発見し、”放射線ホルミシス効果“と名付けて世界に発表した。

――――――――――――――――――――――
<参考>1 Jaworowski Z Observations on the Chernobyl disaster and LNT.
Dose-Response2010;8:148-171.2 Luckey TD. Hormesis with Ionizing Radiation.
Boca Raton, Fla.: CRC Press;1980.3 Luckey TD. Radiation Hormesis. Boca
Raton, Fla.: CRC Press; 1991.4 Muckerheide J. Low-Level Radiation Health
Effects: Compiling the Data.Needham, Mass.: Radiation Science and Health;
2003.5 Hattori S. State of research and perspective on radiation hormesis
inJapan. Am J Occup Med Toxicol 1994;3:203-217.56 Eugaster J.
Weltraumstrahlung. Berlin: Hans Huber; 1955.7 Planel H, Soleilhavoup JP,
Tixador R, et al. Influence on cellproliferation of background radiation or
exposure to very low, chronic gammaradiation. Health Physics
1987;52:571-581.8 Luckey TD. Ionizing radiation promotes protozoan
reproduction. Radiat Res1986; 108:215-219, 1986.9 Kuzin AM, Natural atomic
radiation and the phenomenon of life. ByulletenEksperimental noi Biologii I
Meditsiny 1997;123:364-366.10 Eisenbud M. Environmental Radioactivity. 2nd
ed. Academic Press; 1973.11 Luckey TD. The health effects of low-dose
ionizing radiation. J Am PhysSurg 2008;13:35-42.12 Chen WL, Luan YC, Shich
MC, et al. Effects of cobalt-60 exposure onhealth of Taiwan residents
suggest new approach needed in radiationprotection. Dose Response
2007;5:63-75.13 Luckey TD. Sv has a negative Q. Health Physics News,
submitted March,2011.14 Cohen BL Test of the linear no-threshold theory of
radiationcarcinogenesis for inhaled radon decay products. Health
Physics1995;68:157-174.15 Luckey TD. Atomic bomb health benefits.
Dose-Response 2008;6:369-382.16 Sanders CL. Radiation Hormesis and the
Linear-No-Threshold Assumption.Berlin: Springer; 2009.17 Shimizu Y, Kato H,
Schull WJ, Mabuchi K. Dose-response analysis amongatomic-bomb survivors
exposed to low-level radiation. In: Sugahara T, SagonLA, Aoyama T. Low Dose
Irradiation and Biologic Defense Mechanisms. London:Excerpta Medica; 1992:
71-74.18 Mifune M, Sobue T, Arimoto H, et al. Cancer mortality survey in a
spaarea (Misasa, Japan) with a high radon background, Jpn J Can
Res1992;83:1-5.19 Kondo S. Health Effects of Low-level Radiation. Medical
PhysicsPublishing; 1993

一般平均の考察からは1,000人年当り116例の死亡が予測された。
完全な研究は行われていないが、慢性的な低線量率放射線の被曝はガン死亡率を低下させるように見える。
この見方は、米国における屋内ラドン濃度の関数としての肺ガン死亡率によって裏付けられている。

図1.放射線の効果の範囲。放射線に対する全線量率反応曲線は放射線不足、最適放射線量、放射線毒性を示している。
(ラッキー19913、p230、図9.3を修正)。
縦座標は相対的健康指数、横座標は10を基数とする被曝の強度を示す。
自然環境値(バックグラウンド)は約3mGy/y、ZEPは約10Gy/y(10,000mGy/y)。
急性被曝
急性放射線被曝の効果についての各種の結論は、一般的に原爆攻撃から生き残った日本 人に関するデータに基づいている(図2)。3