頂門の一針ーチュウゴク人は脅して利益があればどんどん脅してくる
『中国人の正体』に体験談
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泉 幸男
昭和37年生まれ、中国四川省成都出身の日本人、石 平(せき・へい)さんとゆっくりお話できる機会をいただきました。
中国共産党に媚びず中国のことをゆがみなく語る石平さんの評論は定評があります。
その石平さんの新著『中国人の正体──中華思想から暴く中国の真の姿!』(宝島社、933円+税)のために泉の話も聞いてみたいと連絡がありましてね、
3月22日の夜、仕事帰りに宝島社へ行き、声の大きな石平さんや編集者、ライターの皆さんと2時間あまりおしゃべりしたのから拾っていただきました。
209ページから216ページに、泉が実名で登場しています。
95ページから98ページに登場する「大手メーカー勤務の池尻さん(仮名)」というのも、じつはわたし。 ゲラ刷りを見たときはちょっと驚きましたが。
“池尻さん”の話は、広東省のプロジェクトの失注体験です。関係者が読めば、「あぁ、あれね!」とわかる話ですが、 20年ほど前の出来事なので、もう時効でしょう。
え? 20年前の出来事じゃ古すぎるじゃないかって?国民性は変わらないんですねぇ。次にもう一度、「文化大革命」級の10年間でも経ないかぎり。
■ 泉が話したこと ■
泉が実名で語った部分(209~216ページ)では、
・ 成果主義でしばることで動く中国の組織はムチだけでなく昇進というアメもうまく使う
・ トップダウンの原理が浸透している中国の企業は 東南アジア企業より仕事がしやすい面もある
・ 回収に5年以上かかる投資は再考すべき
・ 尖閣諸島占領→自衛隊反撃→日本企業の工場を接収、と いうシナリオが現実にありうること
・ そのとき予想される中国側の言い草
などが書かれています。
池尻さんの名でまとめれらた部分(95~98ページ)は、「あなたが中国で体験したことのうち、いちばんショックだったのは何ですか?」という質問に答えたもの。
外国企業が三つ巴(どもえ)で争い、技術者を何十人も繰り出して1年ごしの契約交渉をした挙句、あっさり「やっぱ、国産プラントに決めた。
輸入品は高いから」と言われたときの「わなわな」なんですね、わたしの大ショックって。
■「利益極大化の原則」■
石平さんの本の副題は「中華思想から暴く中国の真の姿!」とありますが、わたしなら「<利益極大化の原則> で全て読み解ける」とでも したいところ。
本の帯にあるとおり「現代の中国13億人は <利益> という唯一のルールで動いている」というのが主題。
一読すれば帯ウラの「日本人が大切にする <美徳> という概念は中国人にはわかりません」という謎が解ける仕組みです。
現代中国人の単純な行動原理をあっさり明かしているから、日本人としての対策も立てやすくなる。
■「攻めて来たら損するぞ」■
「中国軍が尖閣諸島や先島諸島に侵攻したあと、日本軍から反撃を食らったときの言い分は きっとこうでしょうね。
『そんなに怒るんだったら、日頃からもっと怒ってよ。日頃からもっと備えてよ。
日本側がいい加減な対応ばかりするから、てっきり大丈夫と思って攻めたんだ。攻めて損するのが分かってれば、最初から攻めないよ』
中国軍は、利益になりそうだと思えば攻めてくる。日本側としては中国側へ “攻めると損するぞ” という強烈な警告メッセージを、見苦しいくらいに発しつづけるべきですよね」
と、わたしが言うと、石平さんは部屋じゅうに響く声で「そうだ、そのとおりですよ」と応じてくれた。
本のなかでは、たとえばこんなところに石平さんの答えがある:
≪べつに、中国人はいつも凶暴なわけではない。利益になるなら凶暴になり、利益にならないなら凶暴性を引っ込める。≫(156ページ)
≪恐喝が効けば恐喝をする。しかし、相手が強く出てくれば── ここがまた柔軟なところだが ── すぐに引く。有利だと思えばとことん押す。不利だと思えば、撤退するのも速い。
中国からしてみれば、日本はいつでも恐喝に屈する国だから、強気に押すのが当たり前となる。≫(157ページ)
■ ざっくりと ■
ひとこと断っておくと、中国に詳しくないライターさんたちが石平さんとの対話をもとに原稿を書いたので、荒削りなところや稚拙なところも若干。
同一のページで、“曹桂芳”には「そうけいほう」と音読みでルビを振り、“王金良”には「わんじんりぁん」と現代中国音もどきでルビを振っているのなど、ちょっと堪えがたいものがありますが。
わたしがゲラ刷りを読んで直したのは、自分に関係する 95~99ページと209~217ページだけ。
こんなことなら、他のページもチェックさせてもらいたかった。ちょっと残念です。
でも、そういう細部はさておき、中国人の行動原理をざっくり理解するのには、とてもいい本です。
◆■■■国際派時事コラム「商社マンに技あり!」■■■◆
http://www.f5.dion.ne.jp/~t-izumi/
■■■■第323号■■平成23年6月13日発行■■■◆
(転載許諾済)
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泉 幸男
昭和37年生まれ、中国四川省成都出身の日本人、石 平(せき・へい)さんとゆっくりお話できる機会をいただきました。
中国共産党に媚びず中国のことをゆがみなく語る石平さんの評論は定評があります。
その石平さんの新著『中国人の正体──中華思想から暴く中国の真の姿!』(宝島社、933円+税)のために泉の話も聞いてみたいと連絡がありましてね、
3月22日の夜、仕事帰りに宝島社へ行き、声の大きな石平さんや編集者、ライターの皆さんと2時間あまりおしゃべりしたのから拾っていただきました。
209ページから216ページに、泉が実名で登場しています。
95ページから98ページに登場する「大手メーカー勤務の池尻さん(仮名)」というのも、じつはわたし。 ゲラ刷りを見たときはちょっと驚きましたが。
“池尻さん”の話は、広東省のプロジェクトの失注体験です。関係者が読めば、「あぁ、あれね!」とわかる話ですが、 20年ほど前の出来事なので、もう時効でしょう。
え? 20年前の出来事じゃ古すぎるじゃないかって?国民性は変わらないんですねぇ。次にもう一度、「文化大革命」級の10年間でも経ないかぎり。
■ 泉が話したこと ■
泉が実名で語った部分(209~216ページ)では、
・ 成果主義でしばることで動く中国の組織はムチだけでなく昇進というアメもうまく使う
・ トップダウンの原理が浸透している中国の企業は 東南アジア企業より仕事がしやすい面もある
・ 回収に5年以上かかる投資は再考すべき
・ 尖閣諸島占領→自衛隊反撃→日本企業の工場を接収、と いうシナリオが現実にありうること
・ そのとき予想される中国側の言い草
などが書かれています。
池尻さんの名でまとめれらた部分(95~98ページ)は、「あなたが中国で体験したことのうち、いちばんショックだったのは何ですか?」という質問に答えたもの。
外国企業が三つ巴(どもえ)で争い、技術者を何十人も繰り出して1年ごしの契約交渉をした挙句、あっさり「やっぱ、国産プラントに決めた。
輸入品は高いから」と言われたときの「わなわな」なんですね、わたしの大ショックって。
■「利益極大化の原則」■
石平さんの本の副題は「中華思想から暴く中国の真の姿!」とありますが、わたしなら「<利益極大化の原則> で全て読み解ける」とでも したいところ。
本の帯にあるとおり「現代の中国13億人は <利益> という唯一のルールで動いている」というのが主題。
一読すれば帯ウラの「日本人が大切にする <美徳> という概念は中国人にはわかりません」という謎が解ける仕組みです。
現代中国人の単純な行動原理をあっさり明かしているから、日本人としての対策も立てやすくなる。
■「攻めて来たら損するぞ」■
「中国軍が尖閣諸島や先島諸島に侵攻したあと、日本軍から反撃を食らったときの言い分は きっとこうでしょうね。
『そんなに怒るんだったら、日頃からもっと怒ってよ。日頃からもっと備えてよ。
日本側がいい加減な対応ばかりするから、てっきり大丈夫と思って攻めたんだ。攻めて損するのが分かってれば、最初から攻めないよ』
中国軍は、利益になりそうだと思えば攻めてくる。日本側としては中国側へ “攻めると損するぞ” という強烈な警告メッセージを、見苦しいくらいに発しつづけるべきですよね」
と、わたしが言うと、石平さんは部屋じゅうに響く声で「そうだ、そのとおりですよ」と応じてくれた。
本のなかでは、たとえばこんなところに石平さんの答えがある:
≪べつに、中国人はいつも凶暴なわけではない。利益になるなら凶暴になり、利益にならないなら凶暴性を引っ込める。≫(156ページ)
≪恐喝が効けば恐喝をする。しかし、相手が強く出てくれば── ここがまた柔軟なところだが ── すぐに引く。有利だと思えばとことん押す。不利だと思えば、撤退するのも速い。
中国からしてみれば、日本はいつでも恐喝に屈する国だから、強気に押すのが当たり前となる。≫(157ページ)
■ ざっくりと ■
ひとこと断っておくと、中国に詳しくないライターさんたちが石平さんとの対話をもとに原稿を書いたので、荒削りなところや稚拙なところも若干。
同一のページで、“曹桂芳”には「そうけいほう」と音読みでルビを振り、“王金良”には「わんじんりぁん」と現代中国音もどきでルビを振っているのなど、ちょっと堪えがたいものがありますが。
わたしがゲラ刷りを読んで直したのは、自分に関係する 95~99ページと209~217ページだけ。
こんなことなら、他のページもチェックさせてもらいたかった。ちょっと残念です。
でも、そういう細部はさておき、中国人の行動原理をざっくり理解するのには、とてもいい本です。
◆■■■国際派時事コラム「商社マンに技あり!」■■■◆
http://www.f5.dion.ne.jp/~t-izumi/
■■■■第323号■■平成23年6月13日発行■■■◆
(転載許諾済)