頂門の一針 のりがえがない 山堂コラム 371
のりがえがない
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山堂コラム 371
作詞家故星野哲郎さんと同じ周防大島で生まれ育ったオラの友人。
知る人ぞ知る故・元民社党代議士の息子だが、
小学校に上がる前に本土(柳井)に来て初めて馬を見たとき何と言ったか。
「おう、見てみい。でっけえ犬がおるど!」
震災復興・原発に取り組む菅総理―――彼を馬に見立てて「急流で流されている馬は乗り換えるべき」とボロクソに貶しているのは、同党から出した西岡参院議長。
これに対し、野党の自民党。阪神大震災の時の担当大臣だった小里利元氏は「こういう時に馬は変えるな」と明言(5月17日・自民党本部)。
上っ面だけみると与野党間で腸捻転を起こしている発言だが、オラに言わせれば小里氏は冷静。西岡議長は頭に血が昇っている。前にも書いたが西岡議長の菅憎しは、地元の「諫早干拓」に待ったをかけられたことへの私憤。それに尽きる。つまらん話よ。
政治記者になった時からこの人のことは知っているが、永田町では3キ(奇)人の1人としてつとに有名だった。議長になれたのが不思議だが、まあ菅内閣の方も前参院議長を法務大臣に「還俗」させている(江田五月)。
だから「議長の権威がどうだとか、三権分立がどうだとか」菅も偉そうなことは言えんがの。
そう馬と犬の話だった―――乗り換えろ乗り換えろと言うが、宇治川戦陣の「いけずき」や「する墨」のような(平家物語第9巻)馬はいねえ。
「のりがえ」がない。チャーチルはいないのよ。残っているのは馬ではなくて犬ばかり。
野良犬、二世ペット犬。復興利権に目が眩んだ欲ボケ老犬。はやくも原発安全安全だと吠え始めた電力会社の番犬・・・狂犬病に罹っているヤツだと噛まれると100%死ぬぞ。
震災復興の第2次補正予算の扱いをめぐって国会を延長するかどうか。
与野党攻防の焦点となってきた。6月22日までの会期。当初政府与党も延長する予定だった。
しかし「復興構想会議の1次提言」が6月末になることや、被災地である自治体・県などの再建復興計画も7~8月になる見通し。したがって第2次補正予算の編成が遅れる。
だから一旦閉めてしまおうとなったのだが、野党は菅の延命策だと反対。
まあ野党のいう通りだろう。
ただはっきりしているのは、国会が閉会しようが延長になろうが「菅が自ら辞める」ということは絶対ないということ。常識で考えればすぐ分かる。
いくらバカだグズだと言われても、ここで辞めれば当然敵前逃亡の誹りを免れない。末代歴史に残る。だから菅は自ら辞めるということはないのだ。
本気で辞めさせるのなら、ちゃんと「のりがえ」仕立てて堂々内閣不信任案を通すこと。それが憲政の常道である。長崎ちゃんぽんのような痩せ犬の遠吠や、野次馬の嘶(いなな)き程度では山は動かぬ。
実現しないことを喚きまくっても、それは復興を妨害する程度の豆鉄砲効果しかない。
それにしても日本の政治―――、与党も野党も落魄れ果てたもの。この日本国の難儀な、福島原発の放射能噴出止まらず経済の先行きも危ういという大国難の時、仲間喧嘩に身内同士の足の引っ張り合い。チャンやチョンのガイコツ人、サミット米英7カ国、みな本心では嘲笑(あざわら)っているのだ。放射能汚染200ミリシーベルトの永田町。(了)