国会を延長しないというのは、野党が言うように明らかな延命策です。
「サミット前に内閣不信任案を」
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西岡武夫参院議長
東京電力福島第1原発事故への菅直人政権の対応には、
東日本大震災発生の翌日から不信を持っていましたが、
メルトダウン(全炉心溶融)が起きていたことなど、
政府が当時、秘密にしていたことがだんだん明らかになってきた。
十分で迅速な対応ができていないという前に、国民に本当のことを教えていないのです。
菅首相の政治手法は「こうする」とか「検討する」とか言うだけ。
「いつまでにやる」「いつからやる」というのをほとんど聞いたことがない。
すべてが先延ばし、先送りです。
これだけの国難の中で一国の最高責任者として、国民に語るべきことを語っていないのは、首相としての資質に欠けます。
震災から2カ月が経過したのに大きなビジョンが示されていない。
復興構想会議に任せるのは大きな間違い。
ビジョンはやっぱり首相が決めなければいけません。
ビジョンなしに、平成23年度第2次補正予算案は組めないでしょう?
政権延命のため、やるべきことをやらずにずるずると来ている。
国会を延長しないというのは、野党が言うように明らかな延命策です。
菅政権はもうここら辺が限度ではないでしょうか。
「『急流で馬を乗り換えるな』という言葉があるが、
急流を渡れず流されているのであれば、馬を乗り換えなければならない」と申し上げたが、菅さんは急流を泳いでいない。
馬に乗っているのは国民全員ですよ。
このまま行けば菅さんと一緒に日本の国がおかしくなっちゃう。
とにかく、菅さんはダメですからね。
だいたい「最小不幸社会」なんてスローガンはないですよ。
不幸を前提にしているわけでしょ?
あれに菅さんの政治姿勢が象徴されているんじゃないですか。
「戦後最大の国難に菅さんが首相でいることが最大の不幸だ」
と言われているそうですが、その通りでしょうね。
ただ、辞める前に私が「後」をどうしたらいいかを言ったら戦(いくさ)にならない。
それは自民党さんも、民主党の心ある人も考えているでしょう。
とにかく、みんなで船(ふな)縁(べり)をたたいて、一斉に「辞めろ」といわなきゃだめですよ。
国会議員は自分を一度、捨てなきゃだめです。
民主党議員も、次の選挙がどうなるかとか、今のポストがどうなるかというんじゃなくて、今の日本をどうするかを考えるべきだ。
そうじゃなければ、政治家になった意味がないでしょう。
小沢(一郎元民主党代表)さんが内閣不信任案への同調者を集めているとさかんに報じられていますが、皆さんが小沢さんを特別な存在にしているだけ。
です普通の国会議員なら、小沢さんのように考えるんじゃないですか。
参院での首相への問責決議案ですか?
閣僚と首相の問責決議はちょっと違うんです。
菅さんのことですから、可決でダメージは受けるだろうけど居座りますわね。
だから衆院での不信任案可決しかないんです。
衆院で民主党が3分の2近くを占めている中で、野党が不信任案の提出時期で悩むのは分かりますよ。しかし、意思を示さなきゃいかんと思いますね。会期末に不信任案を出したって何にもならないですよ。それでは遅すぎます。
政府の原発事故対応は世界各国の皆さんも見ている。
菅さんが5月26、27両日の主要国首脳会議(仏ドービル・サミット)に行って、何を訴えるというんですか?
やはりサミット前に不信任案を出すのが常道だと思いますよ。
菅さんがサミットの場で恥をかくというよりも、世界から(底の浅さを)見透かされるのが嫌ですね。産経新聞 「単刀直言」2011.5.18 01:10 (原川貴郎)