つづき
界面接触型水の中に金属溶融体のような熱い細粒物質が落ちると、その周囲に薄い水蒸気の膜が形成される。
この薄膜はしばらく安定に存在するが、何らかの原因により不安定化し、衝撃波とともに破壊される。
この破壊現象を界面接触型の水蒸気爆発と呼ぶ。原子炉で炉心溶融が発生したときに冷却水の中に高温物質が落下すると、
このタイプの水蒸気爆発が発生する可能性がある。
小出裕章氏:空焚き1号機は溶融した核燃料が圧力容器の外に細野補佐官
メルトダウンは想定外
東京電力の福島第一原子力発電所1号機で、核燃料が溶け落ちる、いわゆる“メルトダウン”が起きていたとみられることについて、原発事故を担当する細野総理大臣補佐官は「私も想定しておらず、認識が甘かったと反省している」と述べたうえで、原子炉の状態を表す過去のデータを検証する考えを示しました。細野総理大臣補佐官は、13日の記者会見で「原子炉の水位計などのデータが正しいとすると、1号機の原子炉の状態はいわゆる“メルトダウン”の定義が当てはまると思う。原子炉の底のほうにほぼすべての燃料が溶けて集まっているとは私も想定しておらず、認識が甘かったと反省している」と述べました。また、細野補佐官は「反省しなければならないのは、これまで既存の計測器をある程度信用できるものと考えていたことだ。現在のデータが本当に正しいのか検証し、信用できるデータに基づくと1号機から4号機でどの程度燃料が溶けているのか、検証できる部分は検証する」と述べたうえで、こうしたデータを前提にして17日に工程表の見直しを発表する考えを示しました。「メルトダウン」という言葉はやめよう
つまらない話だが、いまだに「お前はメルトダウンしないと言ったじゃないか」という類のコメントが来るので、整理しておく。問題を混乱させたのは、細野首相補佐官(原発担当)の発言である。彼が「1号機の原子炉の状態はいわゆる“メルトダウン”の定義が当てはまると思う。
原子炉の底のほうにほぼすべての燃料が溶けて集まっているとは私も想定しておらず、認識が甘かったと反省している」と謝罪したため、メディアが「初めてメルトダウンを認めた」とか「今まで隠蔽していた」とか騒いでいるが、これは彼の個人的な定義にすぎない。
私は3月12日の記事で、保安院の資料に「燃料溶融」という言葉があることについて「燃料溶融」が完全なメルトダウン(炉心溶融)を意味するわけではない。
核分裂が暴走して炉心溶融で圧力容器が破壊されると、核燃料が水蒸気と反応して爆発し、大量の放射性物質が大気中に放出される。
これがチェルノブイリのような最悪の事態だが、今回は緊急停止で制御棒が入っているので核分裂は止まっており、その心配はない。と書いた。
これが業界の標準的な定義であり、この意味でのメルトダウン(チェルノブイリ型事故)は起きていない。
しかし枝野官房長官が記者会見で「炉心溶融」という言葉を使い、それを海外メディアがmeltdwonと訳したため混乱した。さらに自称ジャーナリストが「少しでも燃料が溶けていたらメルトダウンだ。政府は問題を隠蔽している」などと騒いだため、混乱が拡大した。
もともとmeltdownという言葉は、軽水炉では典型的には次のような大事故のことをいう。
1. 冷却水が失われて燃料棒が空だきになり
2. 制御棒が挿入できずに緊急停止に失敗し
3. ECCSが作動せず
4. 燃料棒が過熱して2700℃(鉄の融点を上回る)以上になり
5. 溶融した核燃料が圧力容器を溶かして格納容器に漏れ出し
6. 水蒸気爆発を起こして格納容器も破壊し、
大量の死の灰が周辺に降り注ぐ初期にはこの一連の過程は不可避と考えられていたため、
炉心溶融=原子炉の破壊という意味でmeltdownが使われた。
しかしスリーマイル島の事故で、このような認識は間違っていることが判明した。
このときも炉心の大半は溶けたが、それは圧力容器の中に収まり、放射性物質を含む蒸気が格納容器の外に漏れただけだった。
だからメルトダウン=炉心溶融は致命的な事故ではないのである。
他方、チェルノブイリは黒鉛減速炉なので少し違うが、結果的には原子炉が全壊して死の灰が大量に放出される事故が起こった。
これは炉心溶融そのものと区別してチャイナ・シンドロームと呼んだほうがいいが、
これをメディアがmeltdownと呼んだために誤解が定着してしまった。
福島第一原発の事故では、配管は破断していないので1は起こらず、制御棒が挿入されたので2も起こらなかった。
電源が切れたため3が起こったが、冷却水が失われなかったので
4以下は起こらなかった。ただ冷却水が循環しないため、燃料棒がゆるやかに過熱して溶融した。
これは初期の段階で予想されたことで、細野氏がそれを「想定していなかった」とすれば、彼が事態を理解していなかっただけだ。
いずれにせよメルトダウンという言葉は、燃料が部分的に溶けることから原子炉が全壊することまでさまざまな現象を示すので、使わないほうがいい(専門家は使わない)。
記者会見では保安院も「・・・と定義すると」と答えていたが、メディアはその但し書きを無視して「致命的な事故」という意味で使うので、つねに事態が誇大に伝わるバイアスを生み出してしまうからだ。
4号機プールの核燃料、発熱突出 まだ使用途中の燃料も
3月18日23時31分 東京電力は18日、福島第一原発1~6号機(福島県)の使用済み核燃料貯蔵プールの保管状況を公表した。
全基のプールにある核燃料集合体は計4546本。
建屋で火災が起きた4号機のプールにある核燃料の発熱量がとくに大きいことが明らかになった。
プールに水を補給する冷却システムが働かず、燃料の熱で水が蒸発し、過熱した燃料が損傷する恐れがある。
六つの原子炉がある福島第一原発のうち、4号機のプールの発熱量はとくに大きい。
使用済み燃料783本のほか、まだ使い終えていない燃料548本が保管されている。
機器の交換のため炉内から取り出されていた。
使い終えていない燃料の方が使用済み燃料より熱が大きいことも発熱量の大きさに影響している。
4号機のプールでの発熱量は毎時約200万キロカロリー。
約1400立方メートル入る貯蔵プールの水の温度を、単純に計算すると1時間あたり約2度上げることになる。
地震で機能しなくなった冷却装置が再び動けば、水温をセ氏40度以下に保つことができる。
11日の地震による津波で冷却装置が動かなくなり、この状態では燃料棒からの熱で水が沸騰し始めるまで1日強。
完全に干上がるには、さらに10日程度かかる計算だ。
17日に東電社員がヘリコプターで確認したところ、4号機のプールに水らしいものが見えたという。
これ以外の原子炉に設けられたプールでは、使用済み核燃料は、もっと発熱量が小さい。
発熱量はプールの容積と燃料の本数などで決まる。
放水車やヘリによる放水・冷却作戦が続いている3号機のプールにある燃料は容量の半分近くで、4号機より少ない。
このため発熱量は10分の1ほどだ。
しかし16日に、損傷した3号機の原子炉建屋から白煙が出ており、プールの状態は確認できていない。 2番目に発熱量が大きい5号機では、燃料の本数は許容量の3分の2ほどを占めているが、発熱量は4号機の3分の1ほど。
1~4号機と違い、水を循環させるポンプが作動しているため、18日午後2時の水温が66.3度にとどまっている。しかし、今回の震災による停電で冷却装置は動いていない。
■結果陰謀かどうかなんて、素人な私にはわかるわけないです。燃料棒が仮に抜けていたとすれば、発電量は少ないはずですよね?
3.10の発電量とかの履歴があれば説得力ありそうな気もしますが。
そして、仮に抜いたとすれば、その発電量は少ないので、東電の現場社員は知っていることになります。
なぜメルトダウンしたのに水蒸気爆発しないのか? 謎です。ありがとうございました。