横浜地裁の「無罪」判決に賛意を表したいと思います。 | 日本のお姉さん

横浜地裁の「無罪」判決に賛意を表したいと思います。

日本の進路★0849★110513★海自危機管理体制の再構築

「日本の進路」  日本戦略の研究会   No.0849   2011/05/13

★ 表題: 横浜地裁の無罪判決を支持するも、海上自衛隊危機管理体制の再
構築が肝要
鈴木良吾 
sqll5@yahoo.co.jp


海上自衛隊第3護衛隊群(京都府舞鶴市)所属の新鋭イージス護衛艦7700トン「あたご」(浦賀市へ進行中)と千葉県勝浦市新勝浦漁業協同組合所属のマグロはえ縄漁船7.3トン「清徳丸」(三宅島方面へ進行中)が、2008年2月19日午前4時7分頃、房総半島沖約40kmの太平洋上において衝突しました。

「清徳丸」は船体が二つに割れ、乗船していた親子二人が行方不明となり、三ヶ月後に死亡の認定を受けました。

海難審判による2009年1月の裁決は、事故の主因がイージス艦「あたご」側にあったと結論付け、防衛省が2009年5月に公表した事故の最終報告書は、「あたご」側の責任を認めています。

横浜地検は、衝突前の当直士官で元水雷長の長岩友久3佐37歳及び衝突当時の
当直士官の後潟桂太郎3佐38歳を、業務上過失致死罪と業務上過失往来危険罪
で起訴し、禁固2年を求刑していました。

横浜地裁(秋山敬裁判長)は2011年5月11日、『検察側が恣意的(自分勝手)に描いていた通りの(誤った内容の)供述調書である旨を、僚船の船長が証人尋問で述べる等をしたため、検察の主張する航跡図は信用出来ないと否定、清徳丸側に回避義務があったと認定し、前項の2被告人を無罪』とする判決を下しました。


私共は、刑事事件としては、横浜地裁の「無罪」判決に賛意を表したいと思います。


検察は、自分達に都合の良いように(有罪への無理強いを企図し・当初の思い込み通りに)、関係者を身勝手に誘導して、供述調書等を歪めるケースが、相当数発生しており、秋山敬裁判長らの英断を、高く評価したいです。

しかしながら、海上自衛隊側にも、以下の如き危機管理体制の再構築を要請するものであります。

 1、「連絡体制・システム」が軍の組織として、全く落第と言わざるを得ません。事故報告は、末端の担当者から、上司・上官・所属組織だけではなく、艦隊司令部・幕僚部・防衛大臣・官房長官・首相へも、相次いで報告する体制へと、抜本的に改変すべきであります。

 2、「自動操舵」は、極めて疑問があり、撤廃すべきであります。先ず、多数の船舶で混雑している海域での「使用厳禁」とする事は当然であります。更に、新鋭のイージス艦は、テロゲリラの自爆テロの標的となる可能性を秘めています。理由は「自動操舵」中の場合、警戒心が落ちて来る可能性が高く、その隙を敵に突かせてなりません。

 3、自爆テロの如き小舟は、絶対に灯光を点けません。つまり、現行の目視方式は、夜間の場合、効果(価値)が極めて低い事を前提にして、警戒(自艦艇防御)態勢を再構築して置く必要があります。近づく小型船舶発見用のレーダーを完備する事が肝要と申せます。

『参考』引用開始──重複部分を一部省略──筆者了解済み

日本の進路★0381★080223★イージス艦事故を福とせよ

「日本の進路」  日本戦略の研究会   No.0381   2008/02/23

★ 表題: イージス艦事故によって、海上自衛隊の弱点(問題点)が暴露さ
れた、危機管理体制の再構築が緊急課題
                     林 凛明 
kxnb@104.net
・・・・・
自動操舵で直進していたイージス艦の見張り員が、清徳丸の灯光を目視で確認
したのは、19日午前3時55分(衝突の12分前)でした。しかし、イージス艦は
、4時6分までは従来通りの自動操舵を続け、衝突1分前の時点で、急遽逆推進
(後退する体制・ブレーキをかけた状態)に切り替えたものの、間に合わず衝
突したと言われています。

通知連絡報告の時系列が、次の通りでした。

 4:07 衝突事故発生
 4:23 イージス艦から第三管区海上保安本部へ連絡
 4:48 護衛艦隊司令部が海上幕僚部へ事故報告
 5:頃 防衛省の内部部局へ連絡
 5:36 付近の試験艦・護衛艦が到着
 5:40 石破防衛大臣へ連絡
 5:50 町村官房長官へ連絡
 5:55 官邸に情報連絡室を設置
 6:00 テレビが第一報
 6:05 福田首相へ連絡
 6:18 防衛省に連絡室を設置

「清徳丸」は単独航行ではなく、同じ漁場に向かう仲間の漁船(金平丸・幸運丸・康栄丸)と行動を共にしていました。

イージス艦としては、「避航路の原則」(右側通行、相手の船を右側に見る船が衝突を避けるために回避せよ)から見ると、イージス艦側に回避する義務があります。

しかしながら、緊急時は、臨機応変の対応が必要です。例えば、大型トレーラー側(大型船舶)に多少の違反があったとしても、子供用の三輪車(イージス艦の1000分の1の清徳丸)が、とっさに急転回をしてでも、衝突を避けるのが通例であります。

前項の三隻(金平丸・幸運丸・康栄丸)は、巧みな操舵を駆使して、衝突を避けるために左側通行をしています。「清徳丸」だけは、自分は正しいと信じていたのか、少々右側に舵を切っただけで、直進するイージス艦の直前を横切ろうとして、自殺に近い行動に走り衝突しました。

・・・・・
『参考』引用終了

(日本の進路、No.0849、横浜地裁の無罪判決を支持するも、海上自衛隊危機
管理体制の再構築が肝要、完)

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