サマータイムよりも昼休み2時間
わが社は、関西にあるのに
エアコンは27度になるまでつけるなと言われている。
昨日とおとといは、事務所内の温度が31度になっているのに、
みんな遠慮して誰も事務所のエアコンをつけるものがいなかった。
おかげで、暑くて頭がぼおっとして仕事にならなかった。
それでも、一日中パソコンの前で
汗だくになってがんばっていたのだが、妙に疲れた。
今日は、雨が降っていてそんなに暑くないから助かった。
これから夏に向けてどうなるのだろう。
今日は、事務所の壁についている扇風機が
回っていて快適、快適。
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「サマータイムよりも昼休み2時間」が、
夏場のピーク時電力削減に大きな効果を上げる理由
エアコンの設定温度を上げろは、
真夏に本当に効果があるのか?
http://diamond.jp/articles/-/11984
4月8日、官邸で開催された電力需給緊急対策本部において経済産業省は、『夏期節電対策の具体例』として大口・小口需要家ならびに家庭での節電対策の具体例を提示した。
今連載のテーマである企業(とくにオフィス)の節電に関する対策を見ると、
●空調温度の引き上げ(目安温度の設定)
●照明の削減
●OA機器の使用削減 etc.
となっている。
これらは東京電力のCMでも見られる内容だが、効率的かつ効果的に電力需要を抑制する対策としては、残念ながら、少々的外れのものが多い。
繰り返しになるが、何度でも言う。
今夏の節電の最重要ポイントは「ピーク時の電力需要を抑える」ことだ。この発想なくして計画停電を回避する大規模節電はなし得ない。
前回、企業の節電対策はエアコン・空調に的を絞って実施すべきだと申し上げた。エアコンに関する経産省の具体策を見ると、『空調温度の引き上げ(目安温度の設定)』とある。
しかし、これも基本的な発想がまるっきり欠如している。この表現のあいまいさが誤解を呼ぶ恐れもある。
重要なのは「どうすればピーク時電力を抑えられるか」だ。
たとえば経産省の対策を見て、「わが社では、この夏の就業時間中、朝から晩までずーっとエアコンの設定温度は30度にします」という対策をとったとしよう。残念ながら、この方針は皆に苦労を強いる割には、あまり効果がないと言える。
エアコンは、つねに30度ではなく、
ピーク時だけ完全OFFにせよ
真夏にエアコンの設定温度を1度上げることによる業務効率の低下はものすごく大きい。それはそうだろう。ムッとするオフィスで暑さを一日中ガマンし、したたる汗を拭きながらでは、業務に集中できるはずもない。設定温度が高すぎると、蒸し風呂オフィスの中で熱中症などのおそれも出てくる。
言うまでもなく、四六時中オフィスの設定温度を上げても、それだけでは「ピーク時電力を抑える」ことの解決にはならない。
一日中暑い思いをしても、仕事ははかどらない挙句、今、求められている節電効果もさして上がらない。
企業にとっては、節電効果よりも業務効率や社員の士気の低下などデメリットのほうが大きいのだ。
今、必要とされているのは、設定温度を「つねに1度上げる」のではなく、「ピーク時に完全にカットする(使わない)」ための対策なのだ。
ちなみに、経産省ホームページによると、設定温度1度で得られる節電効果は、エアコン(6畳用・2.2kW エアコンの場合)「10 パーセントの消費電力を削減できます」とある。しかし、それでは真夏のピーク時を乗り越えるには足りないだろう。当たり前だが、エアコンを止めてしまえば、100パーセントの消費電源の削減になる。
「ピーク時」に的を絞る、年間の最大電力使用が見込まれる真夏に絞ると、いっせいに「使わない」が、最大の節電効果になるのだ。
一日の電力需要の最大ピークは13~15時の2時間。この時間帯のエアコン使用を、企業レベルでいかにして止めるかを、今まさに、真剣に考えるべきなのである。
電力需要のすき間、
「昼休みの凹み」に着目する
ピーク時に的を絞ってエアコンを止めよ。
具体的には、電力需要の最大ピークとなる「13~15時の2時間、企業のエアコンを完全にオフにする」ことを提案したい。
この命題を念頭において、当連載ではもうおなじみの「電力需要のピーク時間帯の図」を改めて検証すると、ひとつの大きなヒントが見えてくる。
着目すべきは、「12~13時」の時間帯だ。
図1 1日の電気の使われ方(拡大画像表示)
一日の中でいちばんのピークは13~15時だが、その直前の「12~13時」の電力需要が、一瞬ではあるが微減していることが分かる。グラフの頂点が凹んでいるのだ。ピークに向かって上昇を続ける電力需要の〝すき間〟とも言える(図1)。
これは何を意味するのか。
答えは簡単。この時間帯は、ちょうど企業の昼休みと合致しているのだ。
出社時から上がりはじめ、昼休みに一瞬だけやや下降し、再び上がってピークを迎え、その後は徐々に下がり始めて、終業時を境にグンと下がる。
これがビジネスタイムにリンクさせた、真夏の電力需要の推移ということになる。
節電対策のヒントは、
工場にあり
お昼休みに一瞬訪れる電力需要の低下。実は、これにも企業のエアコン使用状況が大いに関係している。
確かに「昼休みはオフィス全体のエアコンを切っている」という企業はほとんどないだろう。それなら、なぜ昼休みに需要が下がるのか。
昼休みの需要低下に影響を及ぼしているのは、オフィスではなく工場なのだ。
昼休みの間、オフィスではつけっぱなしでも、工場ではエアコンも照明も電源も一斉に切っているという企業は、意外に少なくない。
業種に関わらず、工場では、従来から省エネのために独自の電力削減プログラムを実施しているところが多く、昼休みには極力、空調やエアコンを切るという習慣がオフィスよりも浸透しているのだ。
そして、ここでいちばん大事なのは、昼休みに工場がエアコンを切るだけで、全体の電力需要が目に見えて下がっているという点だ。
確かに工場といっても全体の電力需要からしたら、占める割合はわずかなものだ。しかし、その工場の、それもすべてではなく一部の工場がエアコンを切るだけで、目に見えて電力需要が下がっているのである。
ここにこそ、企業の節電対策のヒントがある。
昼休みを需要ピークの
13~15時に変更
4月8日、東証が、夏場の電力不足に対する節電対策の一環として、5月9日から実施予定だった株式市場の昼休み時間の短縮を秋以降に延期すると発表した。
ピーク時やエアコンカットに言及してはいないが、昼休みという電力需要のすき間に着目した東証の判断は評価してもいいと思う。
だが今回、私が提案するのは、もっと突っ込んだ「昼休み対策」だ。
ピークは2時間、13時~15時である。ここの電力を一気に抑える作戦だ。
その2時間を、エアコンをオフにする。つまり「昼休みを13時~15時の2時間にする」というものである。
ほとんどのオフィスでは、昼休みは12~13時の1時間だろう。だが一日の中でいちばんのピークは13~15時。
ならば、オフィスで昼休みを最大ピークの時間帯に移行してしまえばいい。昼休みを13時から15時にして、その時間帯はオフィスのエアコンを一斉に切ってしまうのだ。もっといえば、照明やエレベーターなどの電源もオフにし、「完全昼休み休業」にするのが理想である。
全社・ビルごと停電でなければ
意味がない
ただし、この提案には、ふたつのハードルがある。
ひとつは、昼休みの変更は、全体で一斉に実施する必要があるということ。
たとえばひとつの企業で、「営業部門は昼休みを変更するが総務・管理部門は従来どおり」では意味がない。会社単位、事業所単位で、徹底してエアコンを切ることが重要なのだから、誰かがオフィスに残って、エアコンをつけてお弁当を食べていたら意味がない。
「このビルは13~15時の2時間、エアコンを完全に止めます。外にお昼を食べに行きましょう」と、会社側が昼休みの外出を喚起するくらいの徹底さが求められるのだ。残業禁止の企業が、18時を過ぎたら強制的に空調や照明を落としてしまうアレと同じである。
また、テナントでいくつもの企業が入居しているオフィスビルの場合は、「ビル単位」で昼休み対策を実施する必要がある。
テナントごとに個別の空調システムがあれば企業単位で実施できるが、それがない場合はテナント企業が連帯して、ビル全体でエアコンを止めることになる。足並みが揃わず、抜け駆けする企業があると、せっかくの節電対策が機能しない。ビルの空調が稼働したままでは、効果はそれほどでもないからだ。
この対策には企業同士、ビルのテナント同士の連携・連帯が求められるのだ。
もうひとつは、この対策を社則なり就業規則に盛り込む場合、労働基準法に抵触しないか確認が必要なケースが出てくる可能性があるということ。
休憩時間と拘束時間の問題、雇用形態と勤務時間の関係など、労基法をクリアできるような就業体制を新たに構築するとなると、それには相応の時間がかかる。その手間がネックになって昼休み対策を敬遠する理由になってしまうことも考えられる。
企業の足並みを揃えて昼休み対策を徹底させるには、やはり〝国のお達し〟のようなある程度の強制力、強い推進力が必要になるのだ。
たとえばこうだ。
「昼休みを13時~15時の2時間に変更して、エアコンを切る」。これはぜひとも国が先頭に立って推進してほしい。企業や業界に任せにするのではなく、政府が指導するかたちの方策を打ち出すべきなのである。具体的には次頁のとおり。
13時~15時の時間の
有効な使い方とは
13:00~15:00、昼休み2時間の活用法について、政府から、以下のような具体的な〝お達し〟をしてほしい。
・営業であれば、13時~15時の時間に外回りや、移動時間にあてるようにする
・労働基準法の問題があれば、業務の範囲内でランチ会議・打ち合わせの時間にあて、業務扱いにする
国の施策として発表できるなら、以下のようなものも可能ではないか。
■昼休み時間の有効活用
1.朝活を昼活に(朝活は根づいてきているが、それを昼休み時間に行う)
勉強会やプログラム、フィットネス、習い事など
2.ランチ会議・打ち合わせ制度
レストランやカフェでも、無線LANがあればパソコンを使った打ち合わせもできる
3.ランチ営業の推進
取引先や顧客とのミィーティング、いわゆる営業活動をこの時間帯にランチをしながら行う。営業心理的にも温和になる時間帯でもある
4.「在食」勤務の容認
食事とる場所で仕事をすること、13時~15時の在宅勤務やいわゆる〝ノマド〟勤務を認める
昼休みの使い方ひとつで、
節電もできる、景気も上向く
さらにこの昼休み対策がもたらすものは節電効果にとどまらない。エアコンが止っているから、みんなオフィス以外の涼しい場所に集まろうとするだろう。
昼食は外で食べるようになる。そうすればランチ需要が高まれば、外食業も潤う。
また2時間も昼休みがあると、ランチの後、ちょっとしたショッピングもできる。一駅となりの百貨店に足を運ぶこともできる。本を読んだり、マッサージに行ったりする時間的余裕も出てくる。子育て世代のビジネスパーソンであれば、夕飯の買い物やクリーニング店などにも行けるのは助かるだろう。小学生の子供がいるご家庭なら、子供と一緒に昼食がとれるかもしれない。
昼休みの使い方そのものが変わることで、消費行動が活性化して経済が回る。
昼休み対策は、消費の促進、景気の向上にも効果をもたらす可能性があるのだ。
私たちが毎日何気なく過ごしている昼休みの使い方ひとつで、「経済を回しながら電力を削減し、計画停電を回避」できるアイデアと言えよう。
サマータイムよりも、
シエスタを
夏の電力不足に対応するために、サマータイム制を検討している企業がある。たとえばソニーは4月13日、午前9時~9時30分の始業時間を1時間早める「ソニー版サマータイム」を導入すると発表した。
もう皆さん、お分かりだと思う。
始業時間・終業時間をずらすだけのサマータイムでは、やはり意味がない。朝8時から仕事がはじまり、11時にランチ、12時から午後の仕事となると、最大ピーク時の電力需要に一切影響がないからだ。
それどころかピーク時の13~15時が、全員が出社を義務づけられるコアタイムになりかねない。各社が横並びでサマータイムを導入すると、下手をすると「ピーク時対策」としては、逆効果になりかねないのだ。
始業を1時間早めるなら、その分を昼休みにプラスして13時から15時までの2時間としたほうが、よほど効果的に計画停電回避に貢献できる。
●会社単位、ビル単位で昼休みをピーク時の13~15時の2時間に変更する
●その間、エアコンはすべて止める。できれば照明もエレベーターも
スペインやアルゼンチンなどの国々にはランチのあとに昼寝・午睡を取るシエスタという習慣が残っており、その時間帯(13時~16時くらい)は、企業・官公庁・商業施設などの多くが一斉に休憩時間に入る。今夏の計画停電を回避するためには、日本にもこの発想が必要なのだ。
暑いオフィスでダラダラ仕事をするよりも、労働時間を1時間短縮してでも、休みと仕事のメリハリをつけた「真夏の計画停電・大規模停電回避対策」は効果が期待できるのではないか。国をあげての促進をぜひともお願いしたい。
(次号に続く)
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昼休みが二時間あれば、
いろんなことができるなあ~。