福島フィフティは立場の弱い下受け会社の社員で、仕事を断れないだけ?
家の建築でも大手が受けて
下受けに丸投げする。下受けは、孫請けに丸投げする。
そうしているうちに、実際に道路や家にかかる費用は
半分以下になっていて、いろんなところで
儲けをとるために、安い材質が使われたり、手抜き工事が行われたりする。
手抜き工事が判明しても、「下受け会社がしたから。」と言って大手の会社はしらんぷりする。なんとかハウチュも、実際の建築は、下受けや孫請けがやるから、最初の約束とは違う工事をされたりする。
文句を言っても大工さんたちに「できないです。」と言われる。
友人は、激怒して大手に文句を言いに行ったので、なんとか、最初のデザインと材質で家を建てることができたそうです。家を建てる時は、実際に動くのは、孫請け会社なので、気をつけていないと「できない、できない。」で、どんどん最初の約束から外れたものができあがる。
知っている教会は、頼んだ会社に渡した金額の半分の値段で下受けに丸投げされて、安っぽい建物ができあがってしまったそうだ。できてからそれを知って文句を言ったそうだが、「どこでも、そういうもんです。」と言われたとか。
原発でも、東電は、下受けに危険な仕事をやらせているようだ。中には、7次下受けまでいるらしい。
作業員は、途中でピンハネされて、手取りは少ししかないのかなあ。
一日17万円でも、70ミリシーベルトで多発性骨髄腫を発症した人もいる。
安いと思う。
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福島第1原発 作業員の被ばく線量 管理手帳に記載せず
毎日新聞 4月21日(木)7時24分配信
東京電力福島第1原発の復旧を巡り、作業員の被ばく線量の上限を100ミリシーベルトから250ミリシーベルトに引き上げた特例措置が現場であいまいに運用され、作業員の放射線管理手帳に線量が記載されていないケースがあることが分かった。関係法を所管する厚生労働省は通常規則に基づき「100ミリシーベルトを超えると5年間は放射線業務に就けない」とする一方、作業員の被ばく線量を一括管理する文部科学省所管の財団法人は「通常規則とは全く別扱いとする」と違う見解を示し、手帳への記載法も決まっていないためだ。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110421-00000002-maip-socihttp://mainichi.jp/select/weathernews/20110311/news/20110421k0000m040167000c.html
福島第1原発:作業員の被ばく線量 管理手帳に記載せず
被ばく線量と健康への影響の目安
東京電力福島第1原発の復旧を巡り、作業員の被ばく線量の上限を100ミリシーベルトから250ミリシーベルトに引き上げた特例措置が現場であいまいに運用され、作業員の放射線管理手帳に線量が記載されていないケースがあることが分かった。関係法を所管する厚生労働省は通常規則に基づき「100ミリシーベルトを超えると5年間は放射線業務に就けない」とする一方、作業員の被ばく線量を一括管理する文部科学省所管の財団法人は「通常規則とは全く別扱いとする」と違う見解を示し、手帳への記載法も決まっていないためだ。
◇上限あいまい運用 補償不利益も
運用があいまいだと作業員の安全管理上問題がある上、将来がんなどを発症した際の補償で不利益になる可能性もあり、早急な改善が求められそうだ。
作業員の被ばく線量は、原子炉等規制法に基づく告示や労働安全衛生法の電離放射線障害防止規則で、5年間で100ミリシーベルト、1年間では50ミリシーベルトに抑えるよう定めている(通常規則)。ただ、緊急時には別途100ミリシーベルトを上限に放射線を受けることができるとの条文があり、国は福島第1原発の復旧に限り、250ミリシーベルトに引き上げる特例措置をとった。国際放射線防護委員会の勧告では、緊急時は500ミリシーベルトが上限だ。
問題となっているのは特例措置と通常規則との兼ね合い。厚労省は「通常規則は有効で、今回の作業で100ミリシーベルトを超えた場合、5年間は放射線業務をさせないという方向で指導する」とし、細川律夫厚労相も3月25日の参院厚労委の答弁で全く同じ認識を示した。
◇「労災申請時などに困らないよう記載方法検討」
一方、作業員の被ばく線量を一括管理する財団法人・放射線影響協会の放射線従事者中央登録センターは「250ミリシーベルト浴びた労働者に通常規則を当てはめてしまうと、相当年数、就業の機会を奪うことになる。全く別扱いで管理する」と説明。さらに「労災申請時などに困らないよう、手帳に記載する方法を検討している」とし、放射線管理手帳への記載方法が決まっていないことを明らかにした。
復旧作業にあたる2次下請け会社の男性作業員(30)は3月下旬、現場で元請け会社の社員から「今回浴びた線量は手帳に載らない」と説明された。「250ミリシーベルト浴びて、新潟県の東電柏崎刈羽原発で働くことになっても250ミリシーベルトは免除される」と言われたという。
作業員が所持する線量計のデータは通常、原発から同センターのオンラインシステムに送られ一括管理されるが、福島第1原発では事故後、オンラインシステムが使用できないという。また、作業員の被ばく線量の登録管理を巡るルールは、同協会と電力会社、プラント会社など関係約70社で話し合われるが、事故後は会議を開けない状態が続いているとされる。【市川明代、袴田貴行、森禎行】
【ことば】放射線管理手帳
作業員一人一人の被ばく線量や健康診断結果などを記載する手帳で、これがないと放射線管理区域には入れないことになっている。ただし法的根拠はなく、財団法人・放射線影響協会の放射線従事者中央登録センターと電力各社、元請け会社、主な下請け会社などで自主的に運用している。作業中は本人たちの手元にはなく、会社側が預かっているケースが多いとされる。
http://mainichi.jp/select/weathernews/20110311/news/20110421k0000m040166000c.html
東日本大震災:福島第1原発事故 被ばく作業員、線量計の警報無視 故障と思いこみ
東京電力福島第1原発3号機で作業中の作業員3人が被ばくした問題で、東電は25日、線量計は正常に警報が鳴ったものの、3人は線量計の故障と思って作業を続けていたと説明していることを明らかにした。東電の作業員に対する放射線管理の徹底に問題があったとして経済産業省原子力安全・保安院は25日、口頭で再発防止と改善を指示した。西山英彦審議官は(1)作業前の調査が適切に行われていなかった(2)靴の中に水が入るなど、作業員の装備が不適切だった(3)個人の線量計のアラームが鳴っていたが、長時間にわたって作業を継続していた--などの問題点を指摘した。
3人の作業員のうち、両足に放射性物質が付着し、ベータ線による熱傷も疑われた2人は、福島市の福島県立医科大病院に搬送された。2人は25日昼に同病院をたち、千葉市の放射線医学総合研究所に向かった。
東電によると、被ばく事故では当日、現場の放射線調査をしていなかった。前日の23日午後5時ごろに東電社員が現場を巡回し、1時間当たり0・5ミリシーベルト程度の被ばく線量で、水も少ないことを確認していた。このため被ばくした作業員らは線量計が20ミリシーベルトを観測して警報が鳴ったにもかかわらず、誤作動と思って作業を中断しなかったという。同じ時間に作業していた別の作業員も56・72ミリシーベルト被ばくしたが警報を無視していた。
東電は「放射線管理を徹底したい。放射線管理員の増員も検討している」としている。
作業員が被ばくした3号機のタービン建屋では25日朝から汚染された水の排出作業の準備を始めた。
東電は同日の作業を始めるにあたり、放射線の管理を徹底するよう社員や協力企業作業員に周知した。
作業前に放射線データを確認し、異常があれば作業を中断して本部に指示を仰ぐことや、線量計の警報が鳴った場合や水にぬれた場合は作業を中断して検査を受けるよう求めた。
25日は1~4号機で冷却機能の復旧を目指して機器の健全性の確認を進める予定。順調に作業が進めば2号機の中央制御室の照明が点灯される。【関東晋慈、平川昌範、足立旬子】
http://mainichi.jp/select/weathernews/news/20110325dde001040032000c.html
福島第1原発:作業員被ばく 搬送の2人は関電工社員
被ばくした3人の作業員について東電は企業名を明らかにしていないが、ベータ線による熱傷の疑いのある2人が、電気設備工事大手の関電工(東京都港区)の社員であることが分かった。
同社によると、被ばくしたのは原子力担当の30代と20代の男性社員で、通常は第2原発に勤務していた。前日の23日に別の社員が作業に当たったときには水はなかったため、長靴を履いていなかった。同社では約200人の社員が作業に参加しているという。【杉本修作】
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20110325k0000e040087000c.html
福島第1原発:作業員、厳しい環境 食事2回、夜は雑魚寝
東京電力福島第1原発での可搬式発電機への燃料補給作業=2011年3月23日正午ごろ撮影(原子力安全・保安院提供)
経済産業省原子力安全・保安院の検査官が28日会見し、東京電力福島第1原発の敷地内で復旧作業に当たる作業員の状況を「作業環境は厳しい」などと語った。
同原発に駐在する原子力保安検査官事務所の横田一磨(かずま)所長(39)は22日に震災後初めて原発施設内に入り、5日間駐在した。
現地には約400人の作業員がおり、原子炉建屋近くの「免震重要棟」という建物で寝起きしている。建物内でも1時間当たり2~10マイクロシーベルトの放射線量があるため、放射線を遮る鉛が入ったシートを床に敷いている。
食事は1日2回。朝にビスケット30枚程度と小さな野菜ジュース1本、夜は非常用のレトルトご飯と缶詰一つ。当初は飲料水も限られ、1人当たり1日ペットボトル1本(1.5リットル)だったという。
作業は、全身を放射線から守る防護スーツに全面マスクで行う。手袋を二重にし、靴にはカバーを着けている。
作業ができない夜はミーティングを一本締めで終えた後、会議室や廊下、トイレの前などで毛布にくるまり雑魚寝をしている。
食料などの物資を積んだバスが1日2回、施設外から免震重要棟に到着。一部の作業員の交代もこのバスを使う。
横田所長は「下着が替えられないことへの不満の声もある。作業を続ける上でのエネルギーを得るのが食事なので、より多くの物資を運ぶ方策を考えている」と話す。
横田所長も作業員に同行して中央制御室での作業の様子を写真に撮影するなどした。敷地内に滞在した5日間で計883マイクロシーベルトの被ばくをしたという。
復旧作業の進行状況について横田所長は「タービン建屋地下で見つかった汚染水の処理で作業が進まない。職場環境の改善なども国が協力できる限りしていきたい」と話した。【関東晋慈、松本惇】
◇福島第1原発での作業の流れ◇
午前6時ごろ 起床
7~8時 免震重要棟でミーティング
8~10時 朝食(ビスケットと野菜ジュース)
10時ごろ 建屋で作業開始
午後5時ごろ 作業終了
5~8時 夕食(レトルトご飯と缶詰)
8~10時 免震重要棟でミーティング
10時ごろ 夜勤の作業員を除いて就寝
毎日新聞 2011年3月28日 21時56分(最終更新 3月29日 9時50分)
【果てしなく続く復旧作業】「ババ引くのは作業員」嘆く原発下請け社員
◇上限あいまい運用 補償不利益も
運用があいまいだと作業員の安全管理上問題がある上、将来がんなどを発症した際の補償で不利益になる可能性もあり、早急な改善が求められそうだ。
作業員の被ばく線量は、原子炉等規制法に基づく告示や労働安全衛生法の電離放射線障害防止規則で、5年間で100ミリシーベルト、1年間では50ミリシーベルトに抑えるよう定めている(通常規則)。ただ、緊急時には別途100ミリシーベルトを上限に放射線を受けることができるとの条文があり、国は福島第1原発の復旧に限り、250ミリシーベルトに引き上げる特例措置をとった。国際放射線防護委員会の勧告では、緊急時は500ミリシーベルトが上限だ。
問題となっているのは特例措置と通常規則との兼ね合い。厚労省は「通常規則は有効で、今回の作業で100ミリシーベルトを超えた場合、5年間は放射線業務をさせないという方向で指導する」とし、細川律夫厚労相も3月25日の参院厚労委の答弁で全く同じ認識を示した。
◇「労災申請時などに困らないよう記載方法検討」
一方、作業員の被ばく線量を一括管理する財団法人・放射線影響協会の放射線従事者中央登録センターは「250ミリシーベルト浴びた労働者に通常規則を当てはめてしまうと、相当年数、就業の機会を奪うことになる。全く別扱いで管理する」と説明。さらに「労災申請時などに困らないよう、手帳に記載する方法を検討している」とし、放射線管理手帳への記載方法が決まっていないことを明らかにした。
復旧作業にあたる2次下請け会社の男性作業員(30)は3月下旬、現場で元請け会社の社員から「今回浴びた線量は手帳に載らない」と説明された。「250ミリシーベルト浴びて、新潟県の東電柏崎刈羽原発で働くことになっても250ミリシーベルトは免除される」と言われたという。
作業員が所持する線量計のデータは通常、原発から同センターのオンラインシステムに送られ一括管理されるが、福島第1原発では事故後、オンラインシステムが使用できないという。また、作業員の被ばく線量の登録管理を巡るルールは、同協会と電力会社、プラント会社など関係約70社で話し合われるが、事故後は会議を開けない状態が続いているとされる。【市川明代、袴田貴行、森禎行】
【ことば】放射線管理手帳
作業員一人一人の被ばく線量や健康診断結果などを記載する手帳で、これがないと放射線管理区域には入れないことになっている。ただし法的根拠はなく、財団法人・放射線影響協会の放射線従事者中央登録センターと電力各社、元請け会社、主な下請け会社などで自主的に運用している。作業中は本人たちの手元にはなく、会社側が預かっているケースが多いとされる。
福島第1原発:「ババ引くのは作業員」嘆く下請け社員
操作室でがれきの撤去作業をする作業員=東京電力提供
福島第1原発の復旧作業を担う作業員の被ばく線量を定めた特例措置があいまいに運用され、作業員の放射線管理手帳に記載されていないケースがあることが明らかになった。現場の作業員はあいまいな運用に不安を漏らすとともに「結局、ババを引くのは作業員」と嘆く声も聞かれた。関係者からは「線量管理がいいかげんだと、訴訟になった時に証拠が得られない可能性もあり、問題」との指摘も上がる。【袴田貴行、森禎行、日下部聡】
◇訴訟時、証拠ない恐れ
「今回食った(受けた)分の放射線量は手帳に載らないから。安心していいから」。3月末に福島第1原発の復旧に従事した2次下請け会社の男性(30)は、作業開始直前、1次下請け会社の社員にそう告げられた。
男性は3月下旬、所属するポンプ点検会社の社長から「上の会社から3日だけ人を出すよう頼まれた。(現場の状況が)ひどかったら途中で帰ってきていいから、とりあえず3日間だけ行ってくれないか」と言われ、同原発へ。作業内容は不明のまま駆り出されたが、現地に着くと、使用済み核燃料共用プールの電源復旧のためにケーブルをつなぐ専門外の作業を指示された。「とにかく人をかき集めて電源復旧をやっている感じだった」
現場で経験者から指導を受けながら作業を進めたが、「初めてなので手間取って時間もかかったし、余計な線量を食った」。当時は線量計が足りず、6人のグループに1台だけ渡されたという。
作業は放水の合間だったため、午前2時までかかったり、朝6時から始めたことも。待機場所の免震重要棟は「すし詰め状態で大人1人が寝っころがるのがやっと。仮眠も取れないのがきつかった。まともにやったら2日で限界」と振り返る。
結局、3日間で計約12時間働き、線量計の数値は国が特例として引き上げた上限の5分の1、以前の上限の半分に当たる約50ミリシーベルトに達していた。「普段そんなにいくことはまずない」。日当は通常なら1日1万5000円程度だが、今回は事前に決まっていない。ただし「同じような仕事の募集が日当17万円だったらしい」。3日で50万円になる計算だ。
男性の放射線管理手帳は、この作業時とは別の、震災前に登録していた元請け会社が管理しており、手元にはない。「ずっと自分の手元に帰ってきてないから(今回の線量が)載っているかどうかは分からない」。確認しようにも震災前の元請けは震災後、事務所が機能していない。「自分の手帳を戻すのは困難」と、今後に不安を募らせる。
3次下請けで原発の補修に当たる建設会社社員の男性(28)は線量管理があいまいになっていることについて「そうでもしないと原発を止められない感覚があるのではないか」と指摘する。その上で「手帳の管理は下請けによって違う。将来の仕事を受注するため(社員の線量を低くしようと)下請け会社が手帳に今回の数値を載せないことも考えられる。会社は仕事をもらえるかもしれないが、結局ババを引くのは作業員だ」と訴えた。
元原発作業員が東電に損害賠償を求めた訴訟で原告代理人を務めた鈴木篤弁護士の話 原告は4年3カ月の累積70ミリシーベルトで多発性骨髄腫を発症したとして労災を認められた。250ミリシーベルトの上限自体が高すぎる。それを別枠にするなどむちゃくちゃだ。被ばく線量を証明できても裁判所はなかなか発症との因果関係を認めない。きちんと線量管理がされなければ、作業員が損害賠償を請求しようとしても基礎的な事実さえ証明できなくなる恐れがある。
毎日新聞 2011年4月21日 2時36分(最終更新 4月21日 7時36分)
毎日新聞 4月21日(木)7時24分配信
東京電力福島第1原発の復旧を巡り、作業員の被ばく線量の上限を100ミリシーベルトから250ミリシーベルトに引き上げた特例措置が現場であいまいに運用され、作業員の放射線管理手帳に線量が記載されていないケースがあることが分かった。関係法を所管する厚生労働省は通常規則に基づき「100ミリシーベルトを超えると5年間は放射線業務に就けない」とする一方、作業員の被ばく線量を一括管理する文部科学省所管の財団法人は「通常規則とは全く別扱いとする」と違う見解を示し、手帳への記載法も決まっていないためだ。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110421-00000002-maip-socihttp://mainichi.jp/select/weathernews/20110311/news/20110421k0000m040167000c.html
福島第1原発:作業員の被ばく線量 管理手帳に記載せず
被ばく線量と健康への影響の目安
東京電力福島第1原発の復旧を巡り、作業員の被ばく線量の上限を100ミリシーベルトから250ミリシーベルトに引き上げた特例措置が現場であいまいに運用され、作業員の放射線管理手帳に線量が記載されていないケースがあることが分かった。関係法を所管する厚生労働省は通常規則に基づき「100ミリシーベルトを超えると5年間は放射線業務に就けない」とする一方、作業員の被ばく線量を一括管理する文部科学省所管の財団法人は「通常規則とは全く別扱いとする」と違う見解を示し、手帳への記載法も決まっていないためだ。
◇上限あいまい運用 補償不利益も
運用があいまいだと作業員の安全管理上問題がある上、将来がんなどを発症した際の補償で不利益になる可能性もあり、早急な改善が求められそうだ。
作業員の被ばく線量は、原子炉等規制法に基づく告示や労働安全衛生法の電離放射線障害防止規則で、5年間で100ミリシーベルト、1年間では50ミリシーベルトに抑えるよう定めている(通常規則)。ただ、緊急時には別途100ミリシーベルトを上限に放射線を受けることができるとの条文があり、国は福島第1原発の復旧に限り、250ミリシーベルトに引き上げる特例措置をとった。国際放射線防護委員会の勧告では、緊急時は500ミリシーベルトが上限だ。
問題となっているのは特例措置と通常規則との兼ね合い。厚労省は「通常規則は有効で、今回の作業で100ミリシーベルトを超えた場合、5年間は放射線業務をさせないという方向で指導する」とし、細川律夫厚労相も3月25日の参院厚労委の答弁で全く同じ認識を示した。
◇「労災申請時などに困らないよう記載方法検討」
一方、作業員の被ばく線量を一括管理する財団法人・放射線影響協会の放射線従事者中央登録センターは「250ミリシーベルト浴びた労働者に通常規則を当てはめてしまうと、相当年数、就業の機会を奪うことになる。全く別扱いで管理する」と説明。さらに「労災申請時などに困らないよう、手帳に記載する方法を検討している」とし、放射線管理手帳への記載方法が決まっていないことを明らかにした。
復旧作業にあたる2次下請け会社の男性作業員(30)は3月下旬、現場で元請け会社の社員から「今回浴びた線量は手帳に載らない」と説明された。「250ミリシーベルト浴びて、新潟県の東電柏崎刈羽原発で働くことになっても250ミリシーベルトは免除される」と言われたという。
作業員が所持する線量計のデータは通常、原発から同センターのオンラインシステムに送られ一括管理されるが、福島第1原発では事故後、オンラインシステムが使用できないという。また、作業員の被ばく線量の登録管理を巡るルールは、同協会と電力会社、プラント会社など関係約70社で話し合われるが、事故後は会議を開けない状態が続いているとされる。【市川明代、袴田貴行、森禎行】
【ことば】放射線管理手帳
作業員一人一人の被ばく線量や健康診断結果などを記載する手帳で、これがないと放射線管理区域には入れないことになっている。ただし法的根拠はなく、財団法人・放射線影響協会の放射線従事者中央登録センターと電力各社、元請け会社、主な下請け会社などで自主的に運用している。作業中は本人たちの手元にはなく、会社側が預かっているケースが多いとされる。
http://mainichi.jp/select/weathernews/20110311/news/20110421k0000m040166000c.html
東日本大震災:福島第1原発事故 被ばく作業員、線量計の警報無視 故障と思いこみ
東京電力福島第1原発3号機で作業中の作業員3人が被ばくした問題で、東電は25日、線量計は正常に警報が鳴ったものの、3人は線量計の故障と思って作業を続けていたと説明していることを明らかにした。東電の作業員に対する放射線管理の徹底に問題があったとして経済産業省原子力安全・保安院は25日、口頭で再発防止と改善を指示した。西山英彦審議官は(1)作業前の調査が適切に行われていなかった(2)靴の中に水が入るなど、作業員の装備が不適切だった(3)個人の線量計のアラームが鳴っていたが、長時間にわたって作業を継続していた--などの問題点を指摘した。
3人の作業員のうち、両足に放射性物質が付着し、ベータ線による熱傷も疑われた2人は、福島市の福島県立医科大病院に搬送された。2人は25日昼に同病院をたち、千葉市の放射線医学総合研究所に向かった。
東電によると、被ばく事故では当日、現場の放射線調査をしていなかった。前日の23日午後5時ごろに東電社員が現場を巡回し、1時間当たり0・5ミリシーベルト程度の被ばく線量で、水も少ないことを確認していた。このため被ばくした作業員らは線量計が20ミリシーベルトを観測して警報が鳴ったにもかかわらず、誤作動と思って作業を中断しなかったという。同じ時間に作業していた別の作業員も56・72ミリシーベルト被ばくしたが警報を無視していた。
東電は「放射線管理を徹底したい。放射線管理員の増員も検討している」としている。
作業員が被ばくした3号機のタービン建屋では25日朝から汚染された水の排出作業の準備を始めた。
東電は同日の作業を始めるにあたり、放射線の管理を徹底するよう社員や協力企業作業員に周知した。
作業前に放射線データを確認し、異常があれば作業を中断して本部に指示を仰ぐことや、線量計の警報が鳴った場合や水にぬれた場合は作業を中断して検査を受けるよう求めた。
25日は1~4号機で冷却機能の復旧を目指して機器の健全性の確認を進める予定。順調に作業が進めば2号機の中央制御室の照明が点灯される。【関東晋慈、平川昌範、足立旬子】
http://mainichi.jp/select/weathernews/news/20110325dde001040032000c.html
福島第1原発:作業員被ばく 搬送の2人は関電工社員
被ばくした3人の作業員について東電は企業名を明らかにしていないが、ベータ線による熱傷の疑いのある2人が、電気設備工事大手の関電工(東京都港区)の社員であることが分かった。
同社によると、被ばくしたのは原子力担当の30代と20代の男性社員で、通常は第2原発に勤務していた。前日の23日に別の社員が作業に当たったときには水はなかったため、長靴を履いていなかった。同社では約200人の社員が作業に参加しているという。【杉本修作】
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20110325k0000e040087000c.html
福島第1原発:作業員、厳しい環境 食事2回、夜は雑魚寝
東京電力福島第1原発での可搬式発電機への燃料補給作業=2011年3月23日正午ごろ撮影(原子力安全・保安院提供)
経済産業省原子力安全・保安院の検査官が28日会見し、東京電力福島第1原発の敷地内で復旧作業に当たる作業員の状況を「作業環境は厳しい」などと語った。
同原発に駐在する原子力保安検査官事務所の横田一磨(かずま)所長(39)は22日に震災後初めて原発施設内に入り、5日間駐在した。
現地には約400人の作業員がおり、原子炉建屋近くの「免震重要棟」という建物で寝起きしている。建物内でも1時間当たり2~10マイクロシーベルトの放射線量があるため、放射線を遮る鉛が入ったシートを床に敷いている。
食事は1日2回。朝にビスケット30枚程度と小さな野菜ジュース1本、夜は非常用のレトルトご飯と缶詰一つ。当初は飲料水も限られ、1人当たり1日ペットボトル1本(1.5リットル)だったという。
作業は、全身を放射線から守る防護スーツに全面マスクで行う。手袋を二重にし、靴にはカバーを着けている。
作業ができない夜はミーティングを一本締めで終えた後、会議室や廊下、トイレの前などで毛布にくるまり雑魚寝をしている。
食料などの物資を積んだバスが1日2回、施設外から免震重要棟に到着。一部の作業員の交代もこのバスを使う。
横田所長は「下着が替えられないことへの不満の声もある。作業を続ける上でのエネルギーを得るのが食事なので、より多くの物資を運ぶ方策を考えている」と話す。
横田所長も作業員に同行して中央制御室での作業の様子を写真に撮影するなどした。敷地内に滞在した5日間で計883マイクロシーベルトの被ばくをしたという。
復旧作業の進行状況について横田所長は「タービン建屋地下で見つかった汚染水の処理で作業が進まない。職場環境の改善なども国が協力できる限りしていきたい」と話した。【関東晋慈、松本惇】
◇福島第1原発での作業の流れ◇
午前6時ごろ 起床
7~8時 免震重要棟でミーティング
8~10時 朝食(ビスケットと野菜ジュース)
10時ごろ 建屋で作業開始
午後5時ごろ 作業終了
5~8時 夕食(レトルトご飯と缶詰)
8~10時 免震重要棟でミーティング
10時ごろ 夜勤の作業員を除いて就寝
毎日新聞 2011年3月28日 21時56分(最終更新 3月29日 9時50分)
【果てしなく続く復旧作業】「ババ引くのは作業員」嘆く原発下請け社員
◇上限あいまい運用 補償不利益も
運用があいまいだと作業員の安全管理上問題がある上、将来がんなどを発症した際の補償で不利益になる可能性もあり、早急な改善が求められそうだ。
作業員の被ばく線量は、原子炉等規制法に基づく告示や労働安全衛生法の電離放射線障害防止規則で、5年間で100ミリシーベルト、1年間では50ミリシーベルトに抑えるよう定めている(通常規則)。ただ、緊急時には別途100ミリシーベルトを上限に放射線を受けることができるとの条文があり、国は福島第1原発の復旧に限り、250ミリシーベルトに引き上げる特例措置をとった。国際放射線防護委員会の勧告では、緊急時は500ミリシーベルトが上限だ。
問題となっているのは特例措置と通常規則との兼ね合い。厚労省は「通常規則は有効で、今回の作業で100ミリシーベルトを超えた場合、5年間は放射線業務をさせないという方向で指導する」とし、細川律夫厚労相も3月25日の参院厚労委の答弁で全く同じ認識を示した。
◇「労災申請時などに困らないよう記載方法検討」
一方、作業員の被ばく線量を一括管理する財団法人・放射線影響協会の放射線従事者中央登録センターは「250ミリシーベルト浴びた労働者に通常規則を当てはめてしまうと、相当年数、就業の機会を奪うことになる。全く別扱いで管理する」と説明。さらに「労災申請時などに困らないよう、手帳に記載する方法を検討している」とし、放射線管理手帳への記載方法が決まっていないことを明らかにした。
復旧作業にあたる2次下請け会社の男性作業員(30)は3月下旬、現場で元請け会社の社員から「今回浴びた線量は手帳に載らない」と説明された。「250ミリシーベルト浴びて、新潟県の東電柏崎刈羽原発で働くことになっても250ミリシーベルトは免除される」と言われたという。
作業員が所持する線量計のデータは通常、原発から同センターのオンラインシステムに送られ一括管理されるが、福島第1原発では事故後、オンラインシステムが使用できないという。また、作業員の被ばく線量の登録管理を巡るルールは、同協会と電力会社、プラント会社など関係約70社で話し合われるが、事故後は会議を開けない状態が続いているとされる。【市川明代、袴田貴行、森禎行】
【ことば】放射線管理手帳
作業員一人一人の被ばく線量や健康診断結果などを記載する手帳で、これがないと放射線管理区域には入れないことになっている。ただし法的根拠はなく、財団法人・放射線影響協会の放射線従事者中央登録センターと電力各社、元請け会社、主な下請け会社などで自主的に運用している。作業中は本人たちの手元にはなく、会社側が預かっているケースが多いとされる。
福島第1原発:「ババ引くのは作業員」嘆く下請け社員
操作室でがれきの撤去作業をする作業員=東京電力提供
福島第1原発の復旧作業を担う作業員の被ばく線量を定めた特例措置があいまいに運用され、作業員の放射線管理手帳に記載されていないケースがあることが明らかになった。現場の作業員はあいまいな運用に不安を漏らすとともに「結局、ババを引くのは作業員」と嘆く声も聞かれた。関係者からは「線量管理がいいかげんだと、訴訟になった時に証拠が得られない可能性もあり、問題」との指摘も上がる。【袴田貴行、森禎行、日下部聡】
◇訴訟時、証拠ない恐れ
「今回食った(受けた)分の放射線量は手帳に載らないから。安心していいから」。3月末に福島第1原発の復旧に従事した2次下請け会社の男性(30)は、作業開始直前、1次下請け会社の社員にそう告げられた。
男性は3月下旬、所属するポンプ点検会社の社長から「上の会社から3日だけ人を出すよう頼まれた。(現場の状況が)ひどかったら途中で帰ってきていいから、とりあえず3日間だけ行ってくれないか」と言われ、同原発へ。作業内容は不明のまま駆り出されたが、現地に着くと、使用済み核燃料共用プールの電源復旧のためにケーブルをつなぐ専門外の作業を指示された。「とにかく人をかき集めて電源復旧をやっている感じだった」
現場で経験者から指導を受けながら作業を進めたが、「初めてなので手間取って時間もかかったし、余計な線量を食った」。当時は線量計が足りず、6人のグループに1台だけ渡されたという。
作業は放水の合間だったため、午前2時までかかったり、朝6時から始めたことも。待機場所の免震重要棟は「すし詰め状態で大人1人が寝っころがるのがやっと。仮眠も取れないのがきつかった。まともにやったら2日で限界」と振り返る。
結局、3日間で計約12時間働き、線量計の数値は国が特例として引き上げた上限の5分の1、以前の上限の半分に当たる約50ミリシーベルトに達していた。「普段そんなにいくことはまずない」。日当は通常なら1日1万5000円程度だが、今回は事前に決まっていない。ただし「同じような仕事の募集が日当17万円だったらしい」。3日で50万円になる計算だ。
男性の放射線管理手帳は、この作業時とは別の、震災前に登録していた元請け会社が管理しており、手元にはない。「ずっと自分の手元に帰ってきてないから(今回の線量が)載っているかどうかは分からない」。確認しようにも震災前の元請けは震災後、事務所が機能していない。「自分の手帳を戻すのは困難」と、今後に不安を募らせる。
3次下請けで原発の補修に当たる建設会社社員の男性(28)は線量管理があいまいになっていることについて「そうでもしないと原発を止められない感覚があるのではないか」と指摘する。その上で「手帳の管理は下請けによって違う。将来の仕事を受注するため(社員の線量を低くしようと)下請け会社が手帳に今回の数値を載せないことも考えられる。会社は仕事をもらえるかもしれないが、結局ババを引くのは作業員だ」と訴えた。
元原発作業員が東電に損害賠償を求めた訴訟で原告代理人を務めた鈴木篤弁護士の話 原告は4年3カ月の累積70ミリシーベルトで多発性骨髄腫を発症したとして労災を認められた。250ミリシーベルトの上限自体が高すぎる。それを別枠にするなどむちゃくちゃだ。被ばく線量を証明できても裁判所はなかなか発症との因果関係を認めない。きちんと線量管理がされなければ、作業員が損害賠償を請求しようとしても基礎的な事実さえ証明できなくなる恐れがある。
毎日新聞 2011年4月21日 2時36分(最終更新 4月21日 7時36分)