TPP(環太平洋パートナーシップ協定)に反対しよう | 日本のお姉さん

 TPP(環太平洋パートナーシップ協定)に反対しよう

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
      平成23年(2011)4月20日(水曜日)貳
       通巻第3309号 
 TPP(環太平洋パートナーシップ協定)に反対しよう

*********************** 

TPPはアメリカの陰謀であり、これに賛同するのは馬鹿の骨頂だが
  なぜマスコミは情報操作に引っかかっているかを分析する二冊の好著! 
  ♪
浜田和幸『恐るべきTPPの正体』(角川マーケッティング)
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@

 嘘を売り歩いている『御用学者』「官僚エコノミスト」『偽ジャーナリスト』らがいる。
 TPPが「第三の開国」だと彼らが大声で根拠の薄いことを触れ回っているが、もしこんなものを締結したら、日本の大不況からの離脱はあり得ず、景気は回復どころか沈降し、失業があと390万人増え、農業は壊滅する。
 フクシマ以上の災禍が日本にふりそそぐのだ。
 TPPは目先の利益に目がくらんだ経団連や大手メーカーが民主党政権と組んで推進しており、マスコミは(あろうことか産経も含めて)こぞって賛成しているため、反対論が埋没したかにみえる。
 ところが個々のイシューとなると、郵貯も農協も医師会も弁護士会も弁理士会も看護師にゼネコンに、反対は増える。
 そうだ、これはアメリカの日本改造計画である。
 そもそも米国の法律である独占禁止法を押しつけられ、それを遵守する日本は伝統的美徳とされた談合制度を自ら破壊し、公共事業の弱体化によりGDPの3%ほどが失われた。
談合、系列は「非関税障壁」といわれ、日本の企業風土の破壊が進んでしまった。パナソニックもSONYも外国人株主に振り回され、つぎに日本の多くの企業が中国のカネに支配されようとしている。
 推進派が喧伝する「TPPに加盟すればGDPが2%増加になる」というのは真っ赤な嘘であり、実際にはGDPが2%凹む懼れが強い。
著者の浜田氏はそれを実証していく。
 そもそも「TPPには国境や国家主権をなくすという毒薬が仕込まれている」とする浜田氏は現職の参議院議員であり、菅首相に質問を投げるが、明確な回答がない。
 農業大国アメリカから穀物、牛肉、そして遺伝子組み換え食品がどっと日本市場へ乱入することになるのがTPPの骨子にある。
 となれば、日本の米農家は90%、小麦は99%、デンプン原料作物は100%の悪影響を受けるばかり。そればかりではない。食糧自給率(カロリーベース)は40%から14%に下がると計測される。
 大変な事態が予測されているのである。

 学者もマスコミも産業界も、目先の宣伝文句に引っかかって、TPPをよく知らないで、というよりこのTPPの裏に潜む米国の本当の意図に気がつかないまま、いたずらに賛成賛成と言いふらす手合いが多いのである。
 これまでにも日本はどれほどの煮え湯を飲まされたか? 
ドル兌換離脱(つまりニクソンショック)で輸出産業は真っ青になり、プラザ合意であらかたの中小企業は円高に耐えきれずにつぶされ、変動相場制度の導入によって日本の富をごっそりとさらわれた。
幕末の金銀交換レートの悪用で、日本の金貨がどっさりと海外へ持ち出されたように。
橋本政権では欧米から「ビッグバン」を押しつけられ、東京市場は日本人ではなくウォール街主導に陥り、盛んに空売り、先物を仕掛けられた。株式はずたずたになった。日本企業は簡単に外国に乗っ取られるようになった。
 大店法を呑んだため駅前商店街はシャッター通りとなった。
 自由化を認めたら、酒屋も珈琲屋もあらかたが潰れていた。
 ビジネスの視点だけでみると、そういう被害。しかし物理的な損害のレベルではない。最も重要なのは価値観である。伝統、歴史、文化という視点から言えば、全国に郵便局がなくなって国家最後の拠点が消え、コメの自由化を、いまかろうじて高関税で防御しているが、TPP加盟となれば99%の米農家は潰れるだろう、と浜田氏はいう。
 にもまして、最も深刻なのは我が国の皇室の伝統的行事はコメが基軸の祈りであり、これを外国米で実践するわけにはまいらぬ。それは文化と歴史の否定である。
 『開国』ではない。日本がするべきは『平成の鎖国』なのである。
 したがってTPPには反対である。
    ◎
~~~~~~~~
  ♪
三橋貴明『日本の大復活はここから始まる!』(小学館)
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@

 最近、或るテレビの討論番組で「中国からレアアースがはいらなくなると代替鉱区開発までの期間はこまるが、ほかに中国無しで日本が困る? 強いて言えば割り箸と備中炭くらいでは」と発言したら、小生より過激に中国無用論を力説する人がいた。それが三橋氏だった。
 氏の言説と酷似しているポイントが多く、こんどの新刊では「なるほど!」と頷く箇所が目立つが、本稿ではTPPに絞り込んで論じてみる。
 三橋氏はTPP加盟と平成の開国という人は『馬鹿』と決めつける。
 つまりグローバリズムとか構造改革とか、米国経済の直近の流行語に駄馬櫨のように食いついた留学帰りの亜流と官庁省益誘導組が合奏する嘘の論理だ。
 で「TPPとはとどのつまり、アメリカが日本に農産物や金融サービス、法律サービスなどを売りこみたいだけのスキーム」であり、「そうして分野の供給能力をアメリカが国内で消化しきれないために、日本の需要を狙っている」だけのことと三橋氏はばっさり。
 あんまりに切れ味がよくて、つい続きを読みたくなるだろう。
 三橋さんはこういう。
 「将来の日本をどうしたいのかというグランドデザインもないままに、開国などという、幕末の志士気取りのフレーズだけで、日本を金融バブルの元凶である投資銀行や、加入者よりも株主ばかりを重視する保険会社の草刈り場にしても良いのだろうか」
 そればかりか裁判はアメリカの陪審員制度で裁かれ、盲腸は一日で退院しなければいけなくなるという医療保険の『非道な遣り方が』まかりとおる日本になりさがってしまうゾと警告するのである。
   ◎
<宮崎正弘の新刊予告>
 『震災大不況で日本に何が起こるのか』(徳間書店、1260円、28日発売予定)
 『自壊する中国』(文藝社文庫。6月5日発売。定価未定)
  ♪
<宮崎正弘の新刊 絶賛発売中>
 『中東民主化ドミノは中国に飛び火する』(双葉社新書、880円)
 『ウィキリークスでここまで分かった世界の裏情勢』(並木書房、1470円)
『オレ様国家 中国の常識』(新潮社、1470円)
『上海バブルは崩壊する』(清流出版、1680円)
『中国ひとり勝ちと日本ひとり負けはなぜ起きたか』(徳間書店、1680円)
『トンデモ中国、真実は路地裏にあり』(阪急コミュニケーションズ、1680円)

<宮崎正弘の対談シリーズ>
『猛毒国家に囲まれた日本』(佐藤優氏との対談。海竜社、1575円)
『増長し無限に乱れる「欲望大国」中国のいま』(石平氏との対談。ワック、945円)
『絶望の大国 中国の真実』(石平氏との対談。ワック、933円)
『日米安保、五十年』(西部邁氏との対談。海竜社、1680円)
『世界が仰天する中国人の野蛮』(黄文雄氏との対談。徳間書店、1575円)

<宮崎正弘 全著作リスト>
 
http://miyazaki.xii.jp/tyosyo/index.html


◎宮崎正弘のホームページ http://miyazaki.xii.jp/
著作権マーク(C)(有限会社)宮崎正弘事務所 2001-2011 ◎転送自由。
ただし転載は出典を明示してください。