悲しい目でふりむくレイラ | 日本のお姉さん

悲しい目でふりむくレイラ

災害救助犬が1日で150体の遺体を発見する震災の惨状
NEWS ポストセブン 4月7日(木)7時7分配信
 本来、生存者を探して救助するのが救助犬の役目。しかし、今回の東日本大震災では残念ながら別のものになってしまった。民間の災害救助犬・レイラとともに被災地の岩手・大船渡市に救助に行った災害救助犬の調教師・村田忍さん(39)はこう話す。

 * * *
 レイラは生きている人を発見したら、大喜びでうれしそうに吠え、早く見つけて!とばかりにこちらへ駆け寄ってきたりします。亡くなっている場合は、私のほうを振り向いて哀しい目つきをするんです。調教師はそんな犬の表情やしぐさを読み取っていくんです。でもあのとき、レイラは次から次へと、ここにも、ここにも、と哀しい目をするんです。

「レイラ! そんなにあるわけないでしょ。もうろくしちゃったの? 真面目にやりなさい!」って私は3回も叱りつけてしまったくらいなんです。

 私たちが1日歩いた場所だけでもレイラは150回も反応し、私はそこに旗を立てて進んでいきました。その旗の立っているところを、自衛隊員のかたがたが捜索していくのですが、実際、旗を立てたところすべてから遺体が発見されたそうです。

 一刻一秒でも急げば、生存者が発見できるかもしれないと私たちは早く早くと前へ突き進んでいきました。はっと振り返ると、自衛隊員ははるか後方にいました。それを見たときに我に返り、ゾッとする思いでした。遺体が多すぎて収容する作業がついてこられなかったのです。

※女性セブン2011年4月21日号

http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20110407-00000002-pseven-pol
原発周辺の立ち入り禁止地区 「カラスが遺体に」との証言
NEWS ポストセブン 4月11日(月)7時5分配信

 災害救助犬の調教師・村田忍さん(39)は、今回の東日本大震災の救助要請を受けて、災害救助犬で愛犬のレイラとともに岩手・大船渡にはいった。そして、3月24、25日には福島に出動。しかし、福島では、むごい状況と直面することになった。

 * * *
 原発の周囲は立ち入り禁止になっているので、遺体があるとわかってもそこへ行くことができないんです。ですから、避難先の高台から双眼鏡などで自分の家のほうを見ている人たちがいるんです。たいていカラスが集まっているところに遺体があるんですが、ただ見ていることしかできなくて、

「おら! おれの爺さまがカラスに食われてる!」

 と叫んでいる人までいました。地獄ですよ。ようやく1週間前に、防護服を着た自衛隊員が遺体の収容作業にあたるようになったそうですが、愛する人も、愛する動物たちも、カラスや野良犬の餌食になっているんです。

※女性セブン2011年4月21日号
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20110411-00000003-pseven-pol

(二回目の掲載?)

被災地・大船渡の壮絶な光景 子供抱いたまま亡くなった母親も
2011.04.09 07:00
 東日本大震災の翌3月12日早朝に救助要請を受けて、岩手・大船渡へ向かった災害救助犬の調教師・村田忍さん(39)が、災害救助犬のレイラとともにそこで見た壮絶な光景を語った。

 * * *
 瓦礫の山をひたすら進んでいくうちに、海岸線沿いに出たんですね。そこからはもう…このような表現をしていいのかわかりませんが…テレビのニュースで水質汚染で大量の魚が死んで浮いているところを見たことがあるんですが、それが魚ではなく人間だった、というような光景です。

 多くの人が服を波に剥ぎ取られ、裸の状態でした。手や脚がないご遺体もありました。瓦礫の中から必死に助けを求めるかのように、手だけを突き出して伸ばしている遺体も見ました。その手だけで雄弁にメッセージを送っているようなんです。助けてくれ…って。

 そうかと思えば、津波に襲われ、車の中で息絶えた人たちは、服もそのままだし、体のどこにも損傷がなく、眠っているだけじゃないかしら、と一瞬思うくらいでした。車の中で子供を抱いたまま亡くなっているお母さんも見ました。最後の最後までこの子を助けてほしい、きっとそう願ったのでしょう、つらいお顔をしていました。子供を助けられない親の苦しみが伝わってくるようでした。そして、子供は必死でお母さんにすがりついたまま…こわかったでしょうね。

 現実の、この世のできごととは思えませんでした。2日間、ほとんど不眠不休で働いたレイラは足を切ってけがをしていましたし、大船渡から自宅に帰るとぐったりと倒れてしまいました。

※女性セブン2011年4月21日号

http://www.news-postseven.com/archives/20110409_17073.html


屋内退避区域のDASH村 スタッフも動物もすでに避難
2011.04.01 07:00
 TOKIOが出演する『ザ!鉄腕!DASH!!』(日本テレビ系)の人気コーナーの「DASH村」に、存続の危機が迫っている。

 DASH村は福島第一原発の事故を受け、退避指示が出ている20km圏内ではないものの、屋内退避区域の30km圏内にあるのだ。開村以来、農業指導してくれていたおじいちゃんや動物たちはいったいどうしているのか。本誌は様子を取材するため、許可を得て、村へと向かった。

 DASH村のある福島県浪江町にはいると、のどかな山あいの集落が続くのだが、人の姿はもちろん、車もまったく見かけることはない。家にはカーテンがかかっていたり、室内には洗濯物が見えたりと、生活の痕跡はあるものの、人のにおいがまったくしない、まるでゴーストタウンのよう。

 ようやくDASH村の前に到着したが、門は固く閉ざされ、「立ち入り禁止」の貼り紙がされている。外から中の様子をうかがうことはできないが、人や動物の気配はまったくなかった。番組でメンバーに大工仕事を教えた島崎英雄棟梁に話を聞いた。

「スタッフともしばらくして連絡が取れたけど、みんな無事に避難したということだけ聞いてます。そのときに動物も怪我なく無事だと聞きましたが、その後、村から避難させたのか、いま動物がどこにいるのかは聞いてないのでわかりません」

※女性セブン2011年4月14日号

http://www.news-postseven.com/archives/20110401_16342.html

福島・浪江町の被災者「待遇いい避難所の話聞くとムカつく」
2011.04.17 07:00
「新聞やテレビは双葉町のことばかりで、なぜ浪江町のことは何も報じないんでしょうか」

 編集部に電話を掛けてきたその女性は、ひどく憤っていた。

「私は浪江町出身で、両親は浪江町から県外へ自主避難しました。集団で避難した人間がいい思いをして、個人で避難した人間が無視されるのはおかしい。浪江町の本音はネットの掲示板にあります。見て下さい」

 掲示板には、「現在の心境や気持ちなど、自由に吐いて下さい」とある。見てみると、そこには行政や東電、マスコミや隣町への不満がギッシリ書き込まれていた。

〈ニュースの人数は、避難所にいる人しかカウントされません。自主的に親戚などを頼って避難した人は、お金はかかるし損なのです。待遇のいい避難所にいる人の話を聞くと、ちょっとムカつく!〉

〈こうなったら町と町との争いですからね〉

 過激化する町民を諫めるように、

〈いくら愚痴を吐いてもいい掲示板にしたとはいえ、浪江町人だけがみていると思ったら大間違いですよ!(中略)読んでいて同じ浪江町人として恥ずかしいです(;_;)心までが原発や災害に負けてはダメですよ!〉

 と、こんな書き込みがあるほどに掲示板は荒れていたのである。

 浪江町は福島第一原発のある双葉町の隣に位置するが、東西に長い形をしているため、避難、屋内退避、その圏外と、町民の置かれた立場も様々。それだけに、町ごと避難した双葉町や大熊町ほど注目されにくいのは確かだ。

 朝のワイドショーで、新学期を迎える双葉町の子供たちに全国からランドセル79個が寄付されたと伝えられた日、浪江町の災害対策本部に電話してみると、

「ランドセルですか? 残念ながらそういうお話はありません。浪江町は双葉町さんのようにお金もないので、ランドセルを買ってあげることもできません。寄付してくださる方があれば、ありがたい話ですが、今のところそういうご支援はありません……」

 浪江町は、原発のある双葉町に比べて交付金なども少なかったのは事実。そのうえ避難先でも恵まれないとすれば、町民が愚痴をこぼしたくなるのも無理はない。

※週刊ポスト2011年4月22日号
http://www.news-postseven.com/archives/20110417_17443.html