中国が金利を急激に上げ始めたのは日本の震災不況への対応か | 日本のお姉さん

中国が金利を急激に上げ始めたのは日本の震災不況への対応か

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
      平成23年(2011)4月6日(水曜日)
     通巻第3294号 

 中国が金利を急激に上げ始めたのは日本の震災不況への対応か
  諸物価高騰を冷却するため市場から資金をごっそりと回収し始めた
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 中国は本日(6日)から利上げに踏み切る。
 貸出金利は0・25%あげて6・31%に、この措置に従い、預金金利は3・25%となる。
昨秋以来四回目の利上げだ。

 すでに3月18日に銀行に対して預金準備率を0・5%引き上げ、なんと現在の中国の銀行預金準備率は20%、市中から急速に資金を回収している実態が浮かび上がる。

 インフレ4・9%は表向き、実態は20%ほど物価が上昇しており、庶民の不満が高じている。
 大震災で中国人は数万が日本から去ったが、日本への観光客も実質ゼロ、秋葉も銀座三越も箱根も、富士山麓の温泉宿も悲鳴をあげている。
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(読者の声1)民放テレビのニュースを見ていたら、どこもかしこも自粛ムードでお金が回らない。旅館は例年の1~2割の客、東北の酒蔵は3月の売上が4割減。このままだと5月から6月にかけて倒産ラッシュ。


JRの中吊り広告も昨年から大幅減で京葉線や武蔵野線では時事系週刊誌の広告は文春・新潮のみ、あとは自社広告ばかり。震災以後はドア横の一番単価の高いスペースまで空きが出るほど。新聞も広告が減って薄っぺら。


リーマンショック以降、麻生内閣の景気刺激策にケチをつけ、民主党政権樹立に貢献したマスゴミ各社、ブーメランの大きさに驚いても手遅れかもしれません。印刷・出版業界も震災で用紙・インクの手当ができず先行き不透明。国産で同一規格とされる用紙でもメーカーが違えばインクとの相性も違うし機械との相性もあります。さらに特殊な用紙やインクは代替不可能。
子供の頃、東北の日本酒の瓶のラベルの多くは金沢の印刷所のものでした。伝統工芸の歴史に裏打ちされた見事なものが多かった。
輸入紙はサイズ・規格が異なる上に日本の品質基準では不良品率が高すぎる。ドル紙幣と日銀券、日本の文庫・新書とアメリカのペーパーバックの紙質を比べたら一目瞭然、印刷物に対する要求水準が違いすぎます。
アメリカの廉価なものはそれなりの品質と言うのも合理主義の考えでしょう、第二次大戦では戦闘機生産で耐久性に問題ない部分はリベットを使わずボルトとナットで代用することでリベット工の不足を補い生産性を上げています。
当時、クライスラーは戦車を、フォードは爆撃機を生産しましたが、リベット工も満足に集められなかったフォードの爆撃機は不良品だらけでした。
1970年代後半の学生時代、研究室の遠心分離機の試料を入れるガラスセルはアメリカ製で1本4000円もしました。
同じころ、輸入盤のレコードが安いというので買ったアメリカ盤、ジャケットの紙質は最低、印刷はひどい色ズレ、おまけにレコードの盤面にタバコの灰の跡。ベトナム戦争以後アメリカはダメになった、といっていたのを実感した瞬間でした。


それ以降アメリカは首切りの嵐で、地方によっては教育も警察もごみ収集も道路補修もままならずといった時代を経験しましたが、今の日本の状況と似ています。
日本のインフラは築50年を過ぎ、補修が必要なものばかり。それなのに公共工事費を削りまくり、土建業者の廃業が相次ぎ除雪作業もままならない。


今こそ財政出動で公共工事を大幅に増やすべきなのに、民主党は公共工事費を削減して震災復興予算に回す、などバカげたこと言っています。
原発問題が落ち着いたら一刻も早く総選挙を実施すべきでしょう。
   (PB生、千葉)


(宮崎正弘のコメント)新聞は朝刊8ページ、夕刊4ページでしたね。昭和40年あたりまで。いま、この非常時ですから、朝刊16p、夕刊廃止で良いのでは?
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◎毎日一行● 週刊朝日記者が衆議院へ? ちょっと候補者選び安易過ぎませんか?
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(読者の声2)こんどの震災はまさに国難です。さらに日本にとって不幸なのは、無能無策の管政権を、この時代に選んでしまったことで、平和をまもる自由という甘言に安住してきた日本人への天の怒りに思えてなりません。
  (TE生、草加市)


(宮崎正弘のコメント)或る評論家は「天佑」と言いましたが、これは「天譴」かも、知れませんね。
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樋泉克夫のコラム
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【知道中国 552回】                 
      ――私は党員・・・だが党は消え去るべきだ
          『反右派闘争的冩眞』(雲松亭 南嶺書屋 1990年)
  
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 「冩眞」とは日本人の思い描く写真ではない。「眞」を「冩(しる)す」ことである。
朝鮮戦争も終わり国内建設への態勢を整え国家経営に満腔の自信を持ったと思われる毛沢東は「百花斉放・百家争鳴」を掲げ、官僚風を吹かすなど硬直化しつつあった共産党政治への批判を全人民に求めた。

この“誘い”に応じて民主派や知識人は一党独裁を強行する共産党を「政権を放棄すべし」とまで言い立てる。これに慌てた毛沢東は57年6月の「人民日報」に「這是為什麼(これはなぜだ)」と題する論文を掲げ、共産党を批判する民主派や知識人を「右派」「反革命」と断罪し、全国に「反右派闘争」の嵐を巻き起こす。

これを民主派・知識人を抹殺するための陰謀だと批判されると、「陰謀ではない、陽謀だ」と嘯いたというから、毛沢東も中国歴代権力者の正統な継承者だ。とてもじゃないが・・・。

57年半ば以降、反右派闘争に当たって、全国の職場や職域で予め示されたで右派や反革命分子の摘発が義務付けられたという。上から押し付けられた“数値目標”を達成させるために摘発され無理やり右派と認定された580万人に及ぶ知識人は、労働によって歪んだ精神・思想を正すという名目で58年には辺境に送られている。どれほどの知識人が、不慣れで過酷な労働と劣悪な生活環境に理不尽で悲惨極まりない死を強いられたことか。

著者は「一つの世代は知識と経験を次の世代に渡す義務がある。だが、このシステムが反右派闘争によって破壊された」と知識人抹殺に狂奔した毛沢東を論難し、糾弾する。

――苛烈な反右派闘争、つまり強要されデッチ挙げられた右派・反革命という罪状の数々、いわば無辜の知識人の逮捕、拷問、意図された飢餓・・・次々に降りかかる無慈悲極まりない暴力や人としての尊厳を踏みにじる悪罵に恐れ慄いた知識人は、毛沢東に唯々諾々と従うことが自らの人生を維持する便法であることを知ってしまった。
誰もが毛沢東によるいわれなき粛清の巨大な竈の中に相次いで放り込まれてゆく理不尽さに口を閉ざし、呆然と見守った。なぜなら、異を唱えたら、翌日には自分が巨大な竈に投げ込まれる運命にあることは、誰もが身に沁みて気づくようになっていたからだ。物言えば唇寒し・・・。

反右派闘争で生き残った知識人、たとえば郭沫若などは毛沢東に対する無原則極まりない無限の追従の見返りに、多くの“余得”を享受した。自著を大量に出版する身勝手さだけではなく、与えられた邸宅での清朝王族に勝るとも劣らない贅沢極まりない日常生活や外国からの賓客との宴会など。その様は、毛沢東に囲われた妓女そのものでしかなかった。

郭のような妓女との交友を通じ、日本など西側の“進歩派”を自認する多くの知識人が毛沢東を褒め称えた。かくて毛沢東は西側世界からの批判を気にすることなく身勝手な残虐行為に耽ることができた。それというのも、毛に対する批判には、郭を通じて手懐けた西側知識人が身を挺して防いでくれたからだ。だから、毛沢東を誉めそやした西側知識人の罪は決して軽くない。中国人として彼らを恨む。断固として許すことはできない。

毛沢東が仕掛けた反右派闘争で煮え湯を呑まされたゆえに、知識人は自分を騙し時の流れに身を任せ、国を挙げた毛沢東賛歌に積極的に唱和することが我が身を守る最良の方法だと思い知る。
毛沢東の時代以後も沈黙は許されない。知識人の沈黙は不平不満の表白と看做されたからだ。反右派闘争が知識人に与えた深い傷は、今も癒されてはいない――ならば中国でヌクヌクと生きている知識人は「権力の道化役者」。
・・・確かに。
《QED》
<宮崎正弘の新刊予告>
 『中東民主化ドミノは中国に飛び火する』(双葉社新書、880円、4月19日発売)
 『震災大不況で日本はどうなるか』(仮題、徳間書店、定価未定。4月27日発売予定)
 『中国分裂 七つの理由』(既刊の文庫化。文藝文庫。6月5日発売。定価未定)

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<宮崎正弘の新刊 絶賛発売中>
 『ウィキリークスでここまで分かった世界の裏情勢』(並木書房、1470円)
『オレ様国家 中国の常識』(新潮社、1470円)
『上海バブルは崩壊する』(清流出版、1680円)
『中国ひとり勝ちと日本ひとり負けはなぜ起きたか』(徳間書店、1680円)
『トンデモ中国、真実は路地裏にあり』(阪急コミュニケーションズ、1680円)

<宮崎正弘の対談シリーズ>
『猛毒国家に囲まれた日本』(佐藤優氏との対談。海竜社、1575円)
『増長し無限に乱れる「欲望大国」中国のいま』(石平氏との対談。ワック、945円)
『絶望の大国 中国の真実』(石平氏との対談。ワック、933円)
『日米安保、五十年』(西部邁氏との対談。海竜社、1680円)
『世界が仰天する中国人の野蛮』(黄文雄氏との対談。徳間書店、1575円)

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原子炉の建設現場でも熟練工がいなくなり、何も知らない素人が組み立てるからちょっとしたトラブルで大災害につながりかねないという。