東京電力・勝俣恒久会長会見の一問一答
東京電力・勝俣恒久会長会見の一問一答(1/4ページ)
2011年3月31日1時41分
http://www.asahi.com/business/update/0331/TKY201103300554.html
東京電力の勝俣恒久会長との一問一答は以下の通り。
【原子炉の現状について】
――原子炉が安定しているという発言があったが、原子炉は健全なのか。
「これまで毎日いろいろなことが起きたが、それを一応克服し、多少安定してきたのがこの1週間ぐらい。今は最終冷却を含めて、より積極的な安定を求めている」
「(炉内の)冷却がうまく進むのが当面の課題だが、その後も、天井がなくなって放射能が出ているとか、使用済み燃料プール内での、ちょっと不透明な燃料の漏れ出しとか、(放射性物質の)閉じこめといった課題はある」
――人災の側面についてどう受け止めているか。
「私自身、まずさは感じていない。現場は電気がついていない、通信ができない、そういう中で作業しなければならないから、長くかかった。意図せざる遅れがあったと思う」
――津波対策を怠った責任はどう考えているか。
「津波が大惨事を引き起こしたという意味で対策が不十分だったということになる。これまでの経緯をふまえて、十分だったのか、今後つめていきたい」
――柏崎刈羽原発は安全なのか。
「柏崎刈羽原発は余裕のある設計になっている。だが、原子力安全・保安院から電源車をしっかりする、冷却ポンプをしっかりする、と言われており、足りないことは充足させていきたい」
――もっと早く海水を注入すべきではなかったか。
「遅さは感じていない。ただ今後、客観的に調査したい。悪いところは悪いとする。ベストを尽くしたと思っている」
――海水を注入した福島第一原発1~4号機の廃炉はどうか。
「客観的に見ると、おそらく廃止せざるを得ない」
――福島第一原発5、6号機や、福島第二原発はどうするのか。
「総点検しないと分からないが、基本機能は維持している。社会的にご心配、ご迷惑をおかけしている状況で、どう対応するかは、国と地域の皆様のご意見などをうかがいながらと考えている」
――廃炉の費用はどうみているか。
「いろんな手段を検討して実現したいと思うので、まだ試算する状況にはない」
――避難した方は、いつ戻れるか。数週間か数カ月か。
「(原子炉が)最終的に安定するには、かなり時間がかかる。地域への影響の評価もやるとなれば、今の段階で申し上げるのは難しい。私自身の見解では、数週間というのは厳しい。大変申し訳ない」
【放射性物質の拡散による被害の賠償について】
――原子力損害賠償法に基づいて被害者への賠償をするというが、東電の負担はどうなるのか。
「原子力損害賠償法は、免責についても、(賠償費用の負担をめぐる)スキームもはっきりしていない。政府がこれからどのように具体的に制定するかによるところが大きいと考えている」
――補償などにより、東電が債務超過に陥る可能性はどうか。そうなっても補償を優先するのか。
「東電の今後については、重要な要因が分からないことが多い。最大限の補償、おわびをしたいが、全体としては法の枠組みのなかで政府と考えていきたい」
――補償の範囲はどうなると考えるのか。
「法がどうなるのか、政府とよく協議しながら考えていく」
――勝俣会長が個人として賠償する考えはあるのか。
「プライベートにかかわる問題なのでお答えは控える」
【経営問題について】
――電力供給量の増加の見通しは。
「(夏までに)4650万キロワットを確保。今、種々の新しいガスタービン(発電機)のかき集めとか、復旧見通しとか、検討している。今後、さらにつめて、最大限確保したいと考えている。そうしたなかで節電をお願いしているが、何とか夏場までは計画停電をしないようにいきたいと、全力を尽くしている」
――清水正孝社長から辞任の意向や、取締役会で代わりを選任するという動きは。
「社長から辞意は出ていない。取締役会でもまだ、そういう議論はない」
――(清水社長から)指揮を代わるという判断はしなかったのか。
「清水社長は社内にいた。私も常時、統合本部の席にいて、発電所などとのやりとり、官邸とのやりとりにかかわっていた」
――たびたび倒れる清水社長に任せていいのか。
「社長は入院しているが、どのぐらい入院するか。そこがどうなるかによって、もし何らかの対応が必要なら。それまで肩書はないが、私が全体のところを調整する」
――会長と社長の経営責任についてどう思うか。
「思うところはあるが、当面、今の事態をいかに収束させるかが大事。そこに全力投入するのが私の最大の経営責任と考える」
――現在の東電の姿で存続できるか。
「1~4号機が収束を含めてどういうふうに落ち着くか、損害賠償についても我々がどの程度救済されるのか、わからない。一言で言えば、非常に厳しい」
――補償の資金はどうやって調達するのか。
「資金の問題は、おかげさまで2兆円を金融業界から確保した。ただし、この部分は原油が(1バレル=)100ドルとなれば、燃料代にかかる。今後の復旧費もかかる。いくらあっても足りない状況だ。こうした点も政府と協議しながら、何とか資金不足に陥らないよう努力する」
――資金がいくらあっても足りない、民間として生き残りたい、と言ったが、資金調達以外に会社のスリム化などの考えはあるか。電気料金にはね返ってくるのか。
「まだ定かでない。なかなか見通しができない。これをふまえつつ、対応をはかっていく。ひとつの民間企業として、コストダウン、スリム化をはかっていく。電気料金のはね返りについてもなかなか難しいので、この辺も今後の対応を考える」
――国民も危機を脱したい。そういう意味では工程表、どのようなものを改善するのかを国民も共有すべきだ。国民に、解決に向けた見取り図を公開するのか。
「そういったものを出していきたい。ただ、今は、スケジュールなどが不透明。できる限り、国民のみなさまの不安を解消できるようなものにしたい。今の段階は、まことに申し訳ないのですが、公開できる段階にない」
――東電の国有化という話があるが、民間として存続できるのか。
「私たちとしては、民営でありたいと考えている」
2011年3月31日1時41分
http://www.asahi.com/business/update/0331/TKY201103300554.html
東京電力の勝俣恒久会長との一問一答は以下の通り。
【原子炉の現状について】
――原子炉が安定しているという発言があったが、原子炉は健全なのか。
「これまで毎日いろいろなことが起きたが、それを一応克服し、多少安定してきたのがこの1週間ぐらい。今は最終冷却を含めて、より積極的な安定を求めている」
「(炉内の)冷却がうまく進むのが当面の課題だが、その後も、天井がなくなって放射能が出ているとか、使用済み燃料プール内での、ちょっと不透明な燃料の漏れ出しとか、(放射性物質の)閉じこめといった課題はある」
――人災の側面についてどう受け止めているか。
「私自身、まずさは感じていない。現場は電気がついていない、通信ができない、そういう中で作業しなければならないから、長くかかった。意図せざる遅れがあったと思う」
――津波対策を怠った責任はどう考えているか。
「津波が大惨事を引き起こしたという意味で対策が不十分だったということになる。これまでの経緯をふまえて、十分だったのか、今後つめていきたい」
――柏崎刈羽原発は安全なのか。
「柏崎刈羽原発は余裕のある設計になっている。だが、原子力安全・保安院から電源車をしっかりする、冷却ポンプをしっかりする、と言われており、足りないことは充足させていきたい」
――もっと早く海水を注入すべきではなかったか。
「遅さは感じていない。ただ今後、客観的に調査したい。悪いところは悪いとする。ベストを尽くしたと思っている」
――海水を注入した福島第一原発1~4号機の廃炉はどうか。
「客観的に見ると、おそらく廃止せざるを得ない」
――福島第一原発5、6号機や、福島第二原発はどうするのか。
「総点検しないと分からないが、基本機能は維持している。社会的にご心配、ご迷惑をおかけしている状況で、どう対応するかは、国と地域の皆様のご意見などをうかがいながらと考えている」
――廃炉の費用はどうみているか。
「いろんな手段を検討して実現したいと思うので、まだ試算する状況にはない」
――避難した方は、いつ戻れるか。数週間か数カ月か。
「(原子炉が)最終的に安定するには、かなり時間がかかる。地域への影響の評価もやるとなれば、今の段階で申し上げるのは難しい。私自身の見解では、数週間というのは厳しい。大変申し訳ない」
【放射性物質の拡散による被害の賠償について】
――原子力損害賠償法に基づいて被害者への賠償をするというが、東電の負担はどうなるのか。
「原子力損害賠償法は、免責についても、(賠償費用の負担をめぐる)スキームもはっきりしていない。政府がこれからどのように具体的に制定するかによるところが大きいと考えている」
――補償などにより、東電が債務超過に陥る可能性はどうか。そうなっても補償を優先するのか。
「東電の今後については、重要な要因が分からないことが多い。最大限の補償、おわびをしたいが、全体としては法の枠組みのなかで政府と考えていきたい」
――補償の範囲はどうなると考えるのか。
「法がどうなるのか、政府とよく協議しながら考えていく」
――勝俣会長が個人として賠償する考えはあるのか。
「プライベートにかかわる問題なのでお答えは控える」
【経営問題について】
――電力供給量の増加の見通しは。
「(夏までに)4650万キロワットを確保。今、種々の新しいガスタービン(発電機)のかき集めとか、復旧見通しとか、検討している。今後、さらにつめて、最大限確保したいと考えている。そうしたなかで節電をお願いしているが、何とか夏場までは計画停電をしないようにいきたいと、全力を尽くしている」
――清水正孝社長から辞任の意向や、取締役会で代わりを選任するという動きは。
「社長から辞意は出ていない。取締役会でもまだ、そういう議論はない」
――(清水社長から)指揮を代わるという判断はしなかったのか。
「清水社長は社内にいた。私も常時、統合本部の席にいて、発電所などとのやりとり、官邸とのやりとりにかかわっていた」
――たびたび倒れる清水社長に任せていいのか。
「社長は入院しているが、どのぐらい入院するか。そこがどうなるかによって、もし何らかの対応が必要なら。それまで肩書はないが、私が全体のところを調整する」
――会長と社長の経営責任についてどう思うか。
「思うところはあるが、当面、今の事態をいかに収束させるかが大事。そこに全力投入するのが私の最大の経営責任と考える」
――現在の東電の姿で存続できるか。
「1~4号機が収束を含めてどういうふうに落ち着くか、損害賠償についても我々がどの程度救済されるのか、わからない。一言で言えば、非常に厳しい」
――補償の資金はどうやって調達するのか。
「資金の問題は、おかげさまで2兆円を金融業界から確保した。ただし、この部分は原油が(1バレル=)100ドルとなれば、燃料代にかかる。今後の復旧費もかかる。いくらあっても足りない状況だ。こうした点も政府と協議しながら、何とか資金不足に陥らないよう努力する」
――資金がいくらあっても足りない、民間として生き残りたい、と言ったが、資金調達以外に会社のスリム化などの考えはあるか。電気料金にはね返ってくるのか。
「まだ定かでない。なかなか見通しができない。これをふまえつつ、対応をはかっていく。ひとつの民間企業として、コストダウン、スリム化をはかっていく。電気料金のはね返りについてもなかなか難しいので、この辺も今後の対応を考える」
――国民も危機を脱したい。そういう意味では工程表、どのようなものを改善するのかを国民も共有すべきだ。国民に、解決に向けた見取り図を公開するのか。
「そういったものを出していきたい。ただ、今は、スケジュールなどが不透明。できる限り、国民のみなさまの不安を解消できるようなものにしたい。今の段階は、まことに申し訳ないのですが、公開できる段階にない」
――東電の国有化という話があるが、民間として存続できるのか。
「私たちとしては、民営でありたいと考えている」