NHKのニュース
警察官が乗客など40人救う
3月29日 6時59分
今回の震災で、福島県では、JR常磐線の電車が津波に飲み込まれましたが、乗客などおよそ40人は、高台に避難したため無事でした。電車に乗り合わせた2人の警察官の的確な判断が乗客の命を救いました。
震災当日、11日午後2時40分すぎ、仙台から福島県南相馬市の原ノ町駅に向かっていたJR常磐線の4両編成の普通電車が、福島県新地町の新地駅に停車中、津波に飲み込まれました。警察などによりますと、電車には、乗客や運転士などおよそ40人が乗っていましたが、乗客は、およそ1キロ先の新地町役場に避難し、全員が無事でした。乗客を誘導したのは、電車に乗り合わせていた福島県の相馬警察署の齋藤圭巡査と吉村邦仁巡査の2人で、28日、当時の状況について取材に応じました。それによりますと、2人は車内で大きな揺れを感じたあと、ほかの乗客の携帯電話のワンセグで大津波警報が出たことを知り、高台に逃げようと判断したということです。2人は、乗客を誘導して電車から降ろし、駅前の広場に集めたあと、吉村巡査が、ばらばらにならないよう声をかけながら、役場まで一緒に歩いて避難したということです。さらに齋藤巡査は、通りがかった車を止め、乗客の中にいたお年寄りの女性と、近くの路上にいた別の2人のお年寄りを車に乗せ、一緒に移動したということです。避難の途中、車や住宅を飲み込んだ津波が数百メートルの距離まで押し寄せてきたということですが、およそ20分で全員が役場まで避難できたということです。齋藤巡査は「あと5分でも判断に迷ったら、間に合わなかったと思います。警察官としての使命感から必死にやりました」と話していました。また、吉村巡査は「被害に遭った住民の方々がまだ、たくさんいるので、引き続き支援を続けていきたい」と話していました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110329/k10014959981000.html
死亡・不明 2万8000人超
3月29日 11時23分
警察庁によりますと、今回の大震災でこれまでに死亡が確認された人は合わせて1万1063人に上り、警察に届け出があった行方不明者を合わせると2万8000人を超えました。
警察庁によりますと、東北関東大震災でこれまでに死亡が確認された人は、東北地方では、▽宮城県で6744人、▽岩手県で3264人、▽福島県で997人、▽青森県で3人、▽山形県で1人となっています。宮城県だけでも阪神・淡路大震災で亡くなった6434人を上回っています。また、関東地方では、▽茨城県で20人、▽千葉県で17人、▽東京で7人、▽栃木県と神奈川県でそれぞれ4人、▽群馬県で1人となっていて、▽北海道でも1人の死亡が確認されています。これまでに死亡が確認された人は、合わせて1万1063人に上り、このうち8473人は身元の確認が終わり、8033人はすでに家族などに遺体が引き渡されたということです。また、警察に家族などから届け出があった行方不明者は1万7258人で、死亡した人と合わせて2万8000人を超えました。沿岸部の自治体では、津波で壊滅的な被害を受け行方不明者の人数を把握できていないところもあるほか、避難指示の対象となっている福島第一原子力発電所から半径20キロの地域では捜索活動が中断されています。このため震災の犠牲者の人数は、さらに大幅に増えるおそれが強くなっています。http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110329/t10014964951000.html
首相 視察で初動の遅れはない
3月29日 12時6分
菅総理大臣は、参議院予算委員会で、震災発生の翌日に福島第一原子力発電所を視察したことについて、「現地の状況を把握することが重要だと考えた」と述べ、視察を行ったことで初動対応が遅れたという指摘は当たらないと強調しました。
参議院予算委員会は、29日、菅総理大臣とすべての閣僚に出席を求めて、平成23年度予算案の締めくくりの質疑を行い、菅総理大臣は、東北関東大震災の発生後、初めて国会で答弁に立ちました。この中で、自民党の礒崎陽輔氏は、菅総理大臣が震災発生翌日の今月12日に福島第一原子力発電所を視察したことで、原子炉内の圧力を下げる「ベント」など初動の対応が遅れたと指摘し、その対応を批判しました。これに対して、菅総理大臣は「まずは、地震・津波の被災現場を見て、原子力災害の現地の状況を把握することは、大変重要だと考えた。短時間だが、現地で指揮を執る人の話を聞いたことは、その後の判断に役に立った」と述べ、視察は現地の状況把握のために必要だったという認識を示しました。そのうえで、菅総理大臣は「政府としては、12日の午前1時30分に『ベントをすべきだ』という姿勢を明確にして、一貫してその方針を東京電力にも伝えていた。私が視察に行ったことによって、作業が遅延したという指摘は当たらない」と述べました。また、菅総理大臣は、今回の事故を受けて、政府と東京電力による統合対策本部を発足させ、今月15日に菅総理大臣みずからが東京電力本店に出向いたことについて、「東京電力が本店と現場との間で情報が迅速に伝わらない場面もあったし、東京電力側が『放射線の線量が少し高いがどうしようか』などと対応への動揺もあり、東京電力と直接やり取りする統合本部をつくり、私も初会合に出席した。今は東京電力側といろいろなことを相談できる体制となり、大変効果が出ている」と述べました。そのうえで、菅総理大臣は、福島第一原子力発電所の事故について、「予断を許さない状況が続く。これからも最大限の緊張感を持って取り組みたい」と述べました。また、菅総理大臣は、原子力発電所の津波に対する設計基準に関連して、「福島第一原子力発電所は51年前のチリ地震のあとに出来た原子炉だが、チリ地震の津波に対応する基準も満たしていなかったのは、相当、問題だ。津波に対する認識が、結果として、大きく間違っていたことは否定しようがない」と述べたほか、今後の国のエネルギー政策の在り方について、「太陽光やバイオマスも含めて、どうするか、改めて議論をする必要がある」と述べました。一方、菅総理大臣は、今後の震災復興について、「被災者の中でも、特に親を亡くした子どもたちを孤立させず、最後まで生活再建に責任を持つことを約束したい」と述べました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110329/t10014965731000.html
保安院 トレンチの調査を指示
3月29日 12時6分
福島第一原子力発電所2号機のタービンが入っている建物の外にある「トレンチ」と呼ばれるトンネルで、たまっている水の表面から1時間当たり1000ミリシーベルト以上の強い放射線が計測された問題で、経済産業省の原子力安全・保安院は、東京電力に対してトレンチにたまっている水の水位やモニタリング調査を行うよう指示しました。
福島第一原発の2号機では、タービン建屋の外にある「トレンチ」と呼ばれる配管などを通すためのトンネルにたまっている水の表面で、1時間当たり1000ミリシーベルト以上の強い放射線が計測されました。これについて、経済産業省の原子力安全・保安院は、29日午前の記者会見で、「トレンチから現時点で水があふれ出ているという情報はない」と述べました。原子力安全・保安院によりますと、トレンチは、海とは直結していませんが、地上の開口部までの水位は、28日の時点で、▽1号機は残り10センチ、▽2号機は残り1メートル、▽3号機は残り1.5メートルしかないということです。このため、原子力安全・保安院は東京電力に対し、継続的に水位を調査するほか、水のモニタリング調査を行うよう指示しました。東京電力では、トレンチにたまった水が海にあふれ出ないように、地上の開口部の周囲に土のうやコンクリートを積んで対策を取っているということです。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110329/t10014965841000.html
“冷却のための注水は継続”
3月29日 12時6分
枝野官房長官は、記者会見で、福島第一原子力発電所の2号機のタービン建屋の地下などにたまっている水の表面で強い放射線が計測されたことに関連し、「原子炉が『空だき』になることは優先的に阻止しなければならない」と述べ、冷却のための注水作業は継続していく考えを示しました。
福島第一原子力発電所の2号機では、タービン建屋の地下や、建物の外にある「トレンチ」と呼ばれる配管などを通すためのトンネルにたまっている水の表面で、強い放射線が計測され、原子炉の入った格納容器から漏れ出しているとみられますが、原子炉を冷やすためには注水が欠かせず、放射性物質が漏れ出すリスクとの間で難しい対応を迫られています。これについて、枝野官房長官は記者会見で、「注水を止めることで、原子炉や燃料棒が『空だき』になり、高熱の状態になることは、優先的に阻止しなければならない。できるだけ注水の量を少なくするなかで、燃料棒の温度が上がらない状況をキープする努力は進めてもらっている」と述べ、冷却のための注水作業は継続していく考えを示しました。そのうえで、枝野長官は「抜本的には、たまっている水を抜いていく作業をできるだけ早く進めなければならない」と述べ、2号機の地下などにたまっている水を排出する作業についても急ぎたい考えを示しました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110329/t10014965441000.html
“農家への仮払い 検討急ぐ”
3月29日 12時6分
鹿野農林水産大臣は、閣議のあとの記者会見で、農産物から国の暫定基準値を超える放射性物質が検出された問題を巡って、出荷制限などで収入を失う農家に正式な補償が行われる前に、国による仮払いを行うよう検討を急ぐ考えを示しました。
農産物から国の暫定基準値を超える放射性物質が検出され、政府が出荷制限などの指示を出していることについて、生産者からは収入を失い、生計が立ち行かないとして速やかに補償を求める声が相次いでいます。これについて、鹿野農林水産大臣は閣議のあとの記者会見で、「どういう形で農家の生活の糧になる資金を行き届かせるかについて、きのう総理大臣官邸に農林水産省の考え方を示した。できるだけ早く政府としての考え方をまとめるように強く要請したところだ」と述べ、東京電力や国による正式な補償が行われる前に、政府として、当面の生活資金や必要な経費の仮払いを行うよう検討を急ぐ考えを示しました。また、鹿野大臣は、水産物を補償の対象に含めるかどうかについて、「各県で行っている調査では、水産物から放射性物質はほとんど検出されていないし、検出された場合でも暫定基準値よりも低い。今のところ支障があるという報告は受けていない」と述べ、現時点では補償の対象に含めない考えを示しました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110329/t10014965981000.html