米国情報部は従前からイランが中国製武器をタリバンに提供したことを確認してきている
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成23年(2011)3月17日(木曜日)貳
通巻第3265号
イランで静かに拡大している反政府デモ
テヘランの他、古都イスファファン、シラーズなどで治安部隊と衝突
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イランが沈黙の世界にいる。
しかし静かに政府の治安部隊の暗躍と民主活動家らの運動が続いており、他方、地域的にはバーレーンへのイランの影響力浸透に成功し、東隣国のアフガニスタンへも触手を伸ばしている事実が判明した。
アフガニスタンのカルザイ政権にイランは600万ドルの現金を供与したとニューヨークタイムズが09年に伝えたことがあるが、カブールのイラン大使館はただちにこの報道を否定した。
英国のヘイグ外相は「アフガニスタンのタリバンにイランから輸送途中のロケット弾など相当量の武器を、国際治安支援部隊(ISAF)がアフガニスタン南西のニムルズ州で押収した」と発表した。
これはヘイグ外相の2011年3月10日時点での記者会見で、「武器の押収状況から判断して明らにイランから送られてきたもので、アフガンの治安と安定に反する行為」とイランを強く非難した。
米国情報部は従前からイランが中国製武器をタリバンに提供したことを確認してきている(アルジャジーラ、3月16日)。
しかしチュニジア、エジプト、リビア、イェーメン、バーレーンと連続する中東民主化ドミノ現象の影響をうけて、イラン国内でもアハマドネジャッド狂信政権に反対し、自由と民主主義をもとめる反政府デモが各地に拡がっている。
殆どの外国メディアを追放し情報統制を実施しているイランからは実態がなかなか伝わってこない。
▼イランは核開発を政治日程にのせているが。。。。。
もとより近年の反政府デモは2009年におこなわれた大統領選挙が切っ掛けである。このとき政権側と宗教秘密警察による大規模な不正投票がおこなわれ、国民的人気のないアハマドネジェッドが当選したことへの懐疑から、公正選挙を求める反政府デモが各地で発生した。
このとき、現場で取材していたスペイン記者らを拘束し、「過剰な報道であり、反政府勢力などごく一部に過ぎない」と因縁をつけて国外追放、アルジャジーラさえ監視下に置かれた。
核開発疑惑から国連は制裁をきめ、中国は表向き、制裁に協力するとしながらも裏面では盛んに武器供与をつづけてきた。
国際的圧力を前にイラン政府は「核開発は平和利用であり、エネルギー政策への内政干渉だ」と核武装を否定してきた。
2011年2月21日にはテヘラン、シラーズ、イスファファンでも反政府デモが大々的におこなわれ治安部隊は催涙ガスを大量に打ち込んで民衆を解散させたが、一部欧米マスコミは、このときアザジ広場に近いシャリフ大学構内で死者がでた模様と報じた。またラフサンジャニ前大統領らが拘束された。
民主化運動は地下に潜り、ツィッターとフェイスブックなどで外国機関やイラン亡命組織と連絡を取っているという。
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(読者の声1)貴誌前号「在日中国大使館は「緊急布告」を通達した」云々ですが、在日中国人がこのままいなくなるのなら、それはそれで歓迎すべきことでしょう?
でも、ゴキブリと同じで、安全になったら戻ってくるのでしょうね。
また、非常時の際の自衛隊の活躍は国民として、有事の際の安堵感につながり、うれしく感じております。当方は千葉で、最大深度6弱、現在でも最大で震度4の余震がありますが、東北の方々とは比べようがない軽微の被害ですんでおります。
現在、我々にできるのは多少の不便には我慢をし、できうるかぎり自らや家族を守り、自分の仕事を非常時でも続け、生活を守ることで、被災地の足を引っ張らないことが第一と思い、できることをしています。
わずかばかりの募金もいたしました。各自できることを粛々とこなすことが、活力になると思っています。
それから菅の家族が国外逃亡したと海外メディアがすっぱ抜いたとの噂を聞いたのですが、真偽がお分かりでしょうか?
(NS生:千葉)
(宮崎正弘のコメント)逃げ出すに懸命な某国人、某国人。他方、被爆を怖れず果敢に行動する自衛隊、米軍。警察、消防。民はみています。極限状態で人間がどういう行動をとるか、を。
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◎毎日一行●中国へ脱出する在日中国人が急増し、航空券が三倍の値段になった
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(読者の声2)貴誌3264号に関する質問です。
在留中国人たちは、帰国させられた後は、どこで何をしているのでしょう? 半端な数ではないですよね。とても気になります。
本国での受け入れ態勢等は整っているのでしょうか?
もう一つ。今後の復興期に、人口が減ってしまったであろう被災地に、その種の中国人がなだれ込んでくる可能性はないのでしょうか? これまた気になります。
(TT生)
(宮崎正弘のコメント)ほとんどは国有企業ならびに国費留学生ですから、帰国後、多少の報告の後は休暇を楽しめるのではありませんか? 被災地に中国人がなだれ込むことは考えにくい事態です。カネの臭いがしない地区に彼らは見向きもしませんから。
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(読者の声3)愚生には幼少時から米国本土で暮らしている娘(46歳)がいます。その娘が本日、家内に電話してきて曰く。先ほど米国のTVで、福島原発内で50名の自衛隊員が命をかけて修復に取り組んでいる、真に賞賛すべき行為であると述べていた、と。
過去の戦争での「神風」パイロットと同じような崇高な勇士が、まだ日本にいたということが娘には非常に感動的であった由。
世界中から賞賛を浴びた今回の大地震の被災者の方々は、我々日本人に誇りと自信を与えてくださいましたが、自衛隊員の方々の活躍を伝える国内マスコミの報道は殆ど耳にしません。実に残念なことです。それにしても、政治のリーダーたちにとって、日本国民と自衛隊は豚に真珠、猫に小判と言っても過言ではありません。
(広島一老人)
(宮崎正弘のコメント)技術者五十名が危険を覚悟で福島原発施設内で戦っているというニュースはNYタイムズ電子版(16日付け)にもトップ扱いで報じられております。
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(読者の声4)岩手県の知り合いから電話がありました。彼は、地震の日、大学の研究室にいた時に地震に遭遇したが、家族もご自宅も無事である由、何よりでした。
現地で一番の問題はモノ不足、とくにガソリンがないことだそうです。大学の同僚が本日8時間も ガソリンを探し回ってようやく、しかし僅かしか入手できなかったとのこと。まことに深刻 です。
それにしても官邸で総指揮に当たるべき総理大臣が、地元の迷惑をも顧みずにパフォーマンスのために福島原発の現場視察を強行したり、東京電力で貴重な3時間余の時間を浪費したり、責任回避しか考えていない様な状態に暗然とします。
加えて、レンホウ節電啓発大臣とか 辻本ボランティア担当補佐官とか一体この内閣は何を考えているのでしょうか?
あぜんぼうぜんとはこのこと。全く悪い冗談としか思えません。
事業仕分けで自衛隊の防災予算を平然と削った のはどこのどいつだったでしょうか。自衛隊を「暴力装置」と呼んだのはセンゴク官房長官だったっけ。
反自衛隊の辻本某女がボランティア担当補佐官とは何でしょう。阪神大震災の時に神戸に流れ込んだ無統制のボランティアが結局、貴重な食糧や水を食い散らかしたことこそ今回の教訓としなければなりません。
まさにこういうときにこそ頼りになるのが自己完結能力と指揮命令系統を備えた自衛隊です。菅首相が5万人だとか10万人だとか朝礼暮改の指示を乱発して、防衛省は混乱していますが、すでに現地で自衛隊将兵は不眠不休の活動で多くの人命を救っています。
その他警察、消防あるいは福島原発で必死の消火活動をしている東電の職員たち。全く頭が下がります。まず民主党政権はこれまで自衛隊をないがしろにし、暴力装置と蔑んできた罪を自衛隊員の前に土下座して謝るべきではないでしょうか。
畏れ多くも天皇皇后両陛下におかせられては、被災地のことをご心配あそばされて既に皇居での節電に努められているとのこと。まことに畏れ多い極みです。レンホウ節電啓発担当大臣がしゃしゃり出なくても、我が家では皇恩に感激して節電にこれつとめております。
君臣一体の国体がある限り、神州不滅、この国難はきっと克服できるものと確信しております。
(武蔵国杉並住民)
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(読者の声5)小生の知人で自衛隊支援の「防人の会」の世話人の桑田さんのご意見を御紹介します。桑田さんは海兵のご出身です。
(引用開始)
「毎日、マスコミで福島・原発の報道がなされ、浮き足たって、首都圏から安全な場所に行こう、などと言っている人がいます。私は、原爆が投下された日、陸上戦闘の訓練の為、広島から約20キロ離れた郷原の陸軍演習地へ行く途中で、原爆の光と爆風を受け、演習地では、真上に黒い原爆の雲が急速に膨れ上がるのを仰ぎ見ていました。
その時、放射能を浴びた為かもしれませんが、戦後、白血球が常人の半分しか無い事が判り、投薬をうけ、1ヶ月程度で完治しました。爆心から20キロ程度の所での被爆も、その程度というと語弊がありますが、一部の人が大騒ぎするほどの事は無いと考え、聞き流していました。
今日、宮崎さんの早読みに掲載された川口マーン恵美さんの「原子力の父」のお話を読み、素人が喧伝している話は、信憑性の低い噂話に過ぎない、このような専門度の高い問題に、素人の浅知恵は禁物とさえ思っています。
従って軽々にそのような話を流布し、恐怖心を煽る事はしない方が良いと考えました(自衛隊支援「防人の会」世話人 桑田佳彦)」(引用止め)。
(東海子)
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(読者の声6)今回の災害報道が、世界各地であるいは外国人にどう受け 取られているか、以下、身の回りの事例です。
(1)チリからは、「東京では生き ていけなそうだから、ぜひチリに移住してきてください。大変心配しています」。これは本気の本気で、これに対し「問題ないから安心してく ださい」と返事したところ、2日後、今度は「日本は放射能充満で大変だろうから、本当に移住してこないか?」。ありがたい話ですが、いちいちスペイン語で返事をするのはたいへんです。
(2) フランスの金融会社で働いて いる知り合いの息子は、会社より東京は放射能の危険があるので家族ぐるみで大阪に移るよう勧告が出たそうな。大阪のホテル代は会社 負担だそうですが、びっくりします。フランス政府は、日本に在住のフランス人に脱出を指示しているというから、 これもすごいです。
以下の「読売」記事と符合します。
「フィヨン首相が15日、国民議会(下院)で明 らかにした。仏政府は、福島第一原発か ら漏れた高濃度の放射性物質が東京に到達するなどの「最悪の事態」を警戒しており、首都圏に 約2000人程度残っていると見られる自国民 に重ねて退避を勧告している。(読売)」
(3) 中国人を何人か雇用している、知り合いの会社で、これもびっくり。中国人は放射能が怖くて、帰国または大阪に逃げてしまった由。「想定外」の事態に社長は「唖 然」。新疆ウィグル地区の 中国政府の原爆実験のことは知らないらしい。
今日の産経新聞を観て、「これなら外国では、東京は放射の充満の危険都市」と思うに違いないと思いましたね。新聞がいかに末端肥大症的に、結果的にいびつな誤解を招くか、驚きです。
(TK生、世田谷区)
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