常日頃、黄砂に乗せて、有害物質を送り込んでいるというのに
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成23年(2011)3月15日(火曜日)
通巻第3262号 <臨時増刊号>
被災地の皆様、被災者関係各位殿
衷心よりお見舞いを申し上げます。
宮崎正弘事務所
**************** ♪
緊急寄稿
福島原発事故とチェルノブイリを同一視するな
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@
川口マーン恵美(在独作家)
△
原発の話です。
ドイツでは、福島原発の事故について、日本全体がまもなくチェルノブイリになるかのような、エキセントリックな報道をしています。
SPDと緑の党が、30年来の原発賛否論に決着を付けられると思い、福島の事故を利用しているのはわかりますが、なぜ、すべてのマスコミが、それに乗ってしまうのか。ドラマティックな話は、人々をひきつけるのでしょうか。
ドイツは、今年、大きな州選挙を三つも抱えているので、それに原発が利用されているのは、大変遺憾です。ちなみに、原発容認派(CDUなど)は、原発がベストだといっているわけではありません。ただ、いっぺんに廃止することは現実として無理なので、代替エネルギーの供給と価格が現実的になるための努力をしながら、段階的に廃止していくべきだといっているのです。いっぺんに原発を廃止したらどうなるかは、東京の住民が、今、身に染みて感じているところです。
中国でも、一昨日の日曜日、福島の原発事故についての対策を練るため議会を開き、テレビは一日中、自分たちが大いなる危険に晒されているということを報道していたそうですね。
常日頃、黄砂に乗せて、有害物質を送り込んでいるというのに、今では、政府は、国民の健康が、日本によって損なわれることを深く憂慮しているのです。出演していたコメンテーターの中国人学者が、かつて日本の大学に留学していたということで、東北の惨状を見て泣き出すという感動的なシーンもあったそうです。
それを聞いて、昔読んだ、文化大革命の光景を思い出しました。いずれにしても、今の状況では、福島から放射性物質が何千キロも飛んで、隣国の国民の健康に悪影響を及ぼす可能性のないことは、物理学者なら、誰でもわかるはずです。一般市民は騙されますが。
私の知り合いのご主人が、 日本の原子力の父ともいえる人物で、その人の話では、福島で起こっていることが、チェルノブイリになる可能性はないとのこと。チェルノブイリのとき、放射性物質が遠くまで飛んだのは、大火災があったからで、福島は、最悪のシナリオでも火災はない。だから、局地汚染は起こりうるが、それでも20キロも離れれば、被爆はないそうです。日本政府が発表していることに、嘘はないということです。ドイツや中国が報道していることは、嘘ではないが、起こる可能性としては非常に小さいので、政府がそれを発表しなくても当然だというのが、彼の意見です。
なお、水素の爆発で放出される放射能は、微量で、今のところ一切問題がないということです。
服についた少々のチリも、あまりにも性能のよい検査器が見つけてしまい、その人は被爆とされてしまうらしい。ただ、テレビには、宇宙服のような装備の隊員が、動かなくなった被爆者を担架で運んでいるようなショッキングな映像がでますから、それを見た人は、日本は大変なことになっていると思うわけです。
日本にいるドイツ人たちはパニックになって、怒涛のごとく、日本を逃げ出しました。私の元にも、ドイツの友人たちから、すぐに帰って来いというメールがひっきりなしです。今、飛行機のチケットは、すべて向こう7日ぐらい、売り切れています。今日、残っていたのは、カタール経由の南回りだけでした。
今朝の報道では、フジテレビのコメンテーターで、初めて、「海外では、日本全体が放射線に汚染されたような報道がなされている。官房長官は、海外に向かって、真実を発表すべきだ」と述べた人がいました。まったく同感です。
いずれにしても、ドイツの40年来の原発論議にも、これで終止符が打たれる模様。地震の翌日の土曜日には、わが州バーデン・ヴュルテンベルク州の州都シュトュットガルトから、ネッカー川のほとりの原発までの24キロを、原発反対派の人たちが手に手を取って、人間チェーンを作ったのです。SPDの党首ガブリエルは、しめしめと思っているのでしょうが、「この悲惨な事故を、今、政治の論議にするのはやめたい」などと、余裕の発言をしています。
前述の知り合いの原子力の父は、自分たちが築き上げた、日本の原子力発電所の世界一の技術を誇りに思っていた人で、今回のことでは、ショックを受けています。なぜかというと、耐震技術というのは、非常に高度で、お金も掛かる。そして、それは完璧だった。ところが、今回の事故は、揺れによるものではなく、単に、注水に関わる部分に、たくさん海水が被ってしまったことによって起こったものだった。要は、まさか5m以上の津波が来ることを考えていなかったというだけのことなのです。これを防ぐことなど、たいした技術もいらず、お金も掛からなかったはずです。
でも、これで原発の未来はなくなるだろうし、では、自分が一生熱中してやってきたことは何だったのだろうと思うと、とにかく無念だということです。
長くなって、申し訳ありませんでしたが、ドイツ人が全員、逃げ出す様子を目の当たりにしたので、先生に、このドイツの報道の横暴さをお伝えしたくて。チケットが買えなかったドイツ人は、九州や関西に逃げています。
(川口マーン恵美女史はたまたま来日中でした)
◎▽◎
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
読者の声 どくしゃのこえ ドクシャノコエ DOKUSHANOKOE
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
♪
(読者の声1)ボランテイアでも、正規軍でもリビア内戦に外国軍は手を出せないと思う。
米国は手がいっぱい。財政再建が優先。米軍介入は米国議会の承認が必要。州政府も、連邦政府も、支出緊縮が討論されている時に、もうひとつの戦争は不可能です。チャイナは公定利息をまだまだ上げる。温家宝が、"消費者中心に内需を興す。一方で企業を活性化する”と二律背反することを堂々と言っている。
いくら願望があっても、財政がゆるさない。当面、米国はリビア資産の凍結だけですね。反政府派に闇金も出せない。アル・ジャジーラがすっぱ抜くから。
(伊勢ルイジアナ)
(宮崎正弘のコメント)そしてカダフィ政府軍、傭兵と近代兵器でたちまち反政府拠点を奪回したようです。
◇ ◎
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
◎毎日一行●東日本大地震、戦争勃発の場合の日本の対応ぶりが試されている。菅は能なし、民に活力あり。
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♪
(読者の声2)貴誌通巻第3261号 読者の声1 東海子さんの投稿に関連し、丁度タイミング良く3月7日「産経新聞」朝刊の「正論」コラムに、志方俊之(帝京大教授)氏が「核は「持てるが持たぬ」が賢明だ」と論説しておられますが、小生はこの志方氏の論に、現実対処論としてほぼ全面的に賛成です。
日本がNPT体制離脱、IAEA脱退に踏み切れば、「ウラン輸入は停止され、原油が食料の輸入も、日本関連船舶の国際海峡の通過も制約されるなど、地球規模の制約を覚悟せねばならない」という志方氏の指摘は傾聴すべきと思います。
なお、「核兵器 の抑止力」については、あまり語られませんが、「核の抑止力は、広島・長崎への実際の原爆投下の大惨禍の事実直視」から発生していることを認識すべきです。
しかしながら、広島・長崎以降、この地球上で核爆弾は実戦使用されたことは一度もなく、「人類の核爆弾不使用の実績」は65年を経過しています。 この事実は、見事に核爆弾の「抑止力の威力」が立証されているものだ、と私は認識しています。
またこの間、幾多の大小の戦争があったにかかわらず、特に米国、旧ソ連の歴代指導者達が、「一度も核兵器 を使用しなかった。使用を自己抑制した」ことは、超大国指導者達の「人類の英知」を示すものとして、彼らに「ノーベル平和賞」を与えてしかるべき、と私は考えます。
このような認識が広島・長崎での原水爆禁止反対運動には、いままでのところ全く欠落しているのは残念に思っています。
原子エネルギーの解放は人類の英知です、が「核爆弾不使用(不所持ではない)65年+α」も人類の英知と思うのですが、あまり自説への賛同者はおらず、宮崎先生のご意見を拝聴いたし度く。
(KI生、尼崎市)
(宮崎正弘のコメント)小生の海外取材出発前にいただきました。ちょっと福島原発以後、状況が激変したかと想いますのでコメントを控えます。
♪
(読者の声3)産経新聞の報道で、福島瑞穂氏が未帰化人である事を知りました。つまり、前原議員へ献金をして問題となった、焼き肉屋のオバサンと同じ未帰化人です。
献金が禁止された未帰化人である福島瑞穂氏が日本の国会議員であり、大臣まで努めた事が疑問です。
前原さんの献金問題なんてどうでも良いくらいに大問題だと思うのですが。
一体、日本はどうなるのでしょうか?
(T.H生)
(宮崎正弘のコメント)菅首相への献金も大津波にのみこまれてうやむやですね。
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平成23年(2011)3月15日(火曜日)
通巻第3262号 <臨時増刊号>
被災地の皆様、被災者関係各位殿
衷心よりお見舞いを申し上げます。
宮崎正弘事務所
**************** ♪
緊急寄稿
福島原発事故とチェルノブイリを同一視するな
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@
川口マーン恵美(在独作家)
△
原発の話です。
ドイツでは、福島原発の事故について、日本全体がまもなくチェルノブイリになるかのような、エキセントリックな報道をしています。
SPDと緑の党が、30年来の原発賛否論に決着を付けられると思い、福島の事故を利用しているのはわかりますが、なぜ、すべてのマスコミが、それに乗ってしまうのか。ドラマティックな話は、人々をひきつけるのでしょうか。
ドイツは、今年、大きな州選挙を三つも抱えているので、それに原発が利用されているのは、大変遺憾です。ちなみに、原発容認派(CDUなど)は、原発がベストだといっているわけではありません。ただ、いっぺんに廃止することは現実として無理なので、代替エネルギーの供給と価格が現実的になるための努力をしながら、段階的に廃止していくべきだといっているのです。いっぺんに原発を廃止したらどうなるかは、東京の住民が、今、身に染みて感じているところです。
中国でも、一昨日の日曜日、福島の原発事故についての対策を練るため議会を開き、テレビは一日中、自分たちが大いなる危険に晒されているということを報道していたそうですね。
常日頃、黄砂に乗せて、有害物質を送り込んでいるというのに、今では、政府は、国民の健康が、日本によって損なわれることを深く憂慮しているのです。出演していたコメンテーターの中国人学者が、かつて日本の大学に留学していたということで、東北の惨状を見て泣き出すという感動的なシーンもあったそうです。
それを聞いて、昔読んだ、文化大革命の光景を思い出しました。いずれにしても、今の状況では、福島から放射性物質が何千キロも飛んで、隣国の国民の健康に悪影響を及ぼす可能性のないことは、物理学者なら、誰でもわかるはずです。一般市民は騙されますが。
私の知り合いのご主人が、 日本の原子力の父ともいえる人物で、その人の話では、福島で起こっていることが、チェルノブイリになる可能性はないとのこと。チェルノブイリのとき、放射性物質が遠くまで飛んだのは、大火災があったからで、福島は、最悪のシナリオでも火災はない。だから、局地汚染は起こりうるが、それでも20キロも離れれば、被爆はないそうです。日本政府が発表していることに、嘘はないということです。ドイツや中国が報道していることは、嘘ではないが、起こる可能性としては非常に小さいので、政府がそれを発表しなくても当然だというのが、彼の意見です。
なお、水素の爆発で放出される放射能は、微量で、今のところ一切問題がないということです。
服についた少々のチリも、あまりにも性能のよい検査器が見つけてしまい、その人は被爆とされてしまうらしい。ただ、テレビには、宇宙服のような装備の隊員が、動かなくなった被爆者を担架で運んでいるようなショッキングな映像がでますから、それを見た人は、日本は大変なことになっていると思うわけです。
日本にいるドイツ人たちはパニックになって、怒涛のごとく、日本を逃げ出しました。私の元にも、ドイツの友人たちから、すぐに帰って来いというメールがひっきりなしです。今、飛行機のチケットは、すべて向こう7日ぐらい、売り切れています。今日、残っていたのは、カタール経由の南回りだけでした。
今朝の報道では、フジテレビのコメンテーターで、初めて、「海外では、日本全体が放射線に汚染されたような報道がなされている。官房長官は、海外に向かって、真実を発表すべきだ」と述べた人がいました。まったく同感です。
いずれにしても、ドイツの40年来の原発論議にも、これで終止符が打たれる模様。地震の翌日の土曜日には、わが州バーデン・ヴュルテンベルク州の州都シュトュットガルトから、ネッカー川のほとりの原発までの24キロを、原発反対派の人たちが手に手を取って、人間チェーンを作ったのです。SPDの党首ガブリエルは、しめしめと思っているのでしょうが、「この悲惨な事故を、今、政治の論議にするのはやめたい」などと、余裕の発言をしています。
前述の知り合いの原子力の父は、自分たちが築き上げた、日本の原子力発電所の世界一の技術を誇りに思っていた人で、今回のことでは、ショックを受けています。なぜかというと、耐震技術というのは、非常に高度で、お金も掛かる。そして、それは完璧だった。ところが、今回の事故は、揺れによるものではなく、単に、注水に関わる部分に、たくさん海水が被ってしまったことによって起こったものだった。要は、まさか5m以上の津波が来ることを考えていなかったというだけのことなのです。これを防ぐことなど、たいした技術もいらず、お金も掛からなかったはずです。
でも、これで原発の未来はなくなるだろうし、では、自分が一生熱中してやってきたことは何だったのだろうと思うと、とにかく無念だということです。
長くなって、申し訳ありませんでしたが、ドイツ人が全員、逃げ出す様子を目の当たりにしたので、先生に、このドイツの報道の横暴さをお伝えしたくて。チケットが買えなかったドイツ人は、九州や関西に逃げています。
(川口マーン恵美女史はたまたま来日中でした)
◎▽◎
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
読者の声 どくしゃのこえ ドクシャノコエ DOKUSHANOKOE
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
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(読者の声1)ボランテイアでも、正規軍でもリビア内戦に外国軍は手を出せないと思う。
米国は手がいっぱい。財政再建が優先。米軍介入は米国議会の承認が必要。州政府も、連邦政府も、支出緊縮が討論されている時に、もうひとつの戦争は不可能です。チャイナは公定利息をまだまだ上げる。温家宝が、"消費者中心に内需を興す。一方で企業を活性化する”と二律背反することを堂々と言っている。
いくら願望があっても、財政がゆるさない。当面、米国はリビア資産の凍結だけですね。反政府派に闇金も出せない。アル・ジャジーラがすっぱ抜くから。
(伊勢ルイジアナ)
(宮崎正弘のコメント)そしてカダフィ政府軍、傭兵と近代兵器でたちまち反政府拠点を奪回したようです。
◇ ◎
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
◎毎日一行●東日本大地震、戦争勃発の場合の日本の対応ぶりが試されている。菅は能なし、民に活力あり。
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(読者の声2)貴誌通巻第3261号 読者の声1 東海子さんの投稿に関連し、丁度タイミング良く3月7日「産経新聞」朝刊の「正論」コラムに、志方俊之(帝京大教授)氏が「核は「持てるが持たぬ」が賢明だ」と論説しておられますが、小生はこの志方氏の論に、現実対処論としてほぼ全面的に賛成です。
日本がNPT体制離脱、IAEA脱退に踏み切れば、「ウラン輸入は停止され、原油が食料の輸入も、日本関連船舶の国際海峡の通過も制約されるなど、地球規模の制約を覚悟せねばならない」という志方氏の指摘は傾聴すべきと思います。
なお、「核兵器 の抑止力」については、あまり語られませんが、「核の抑止力は、広島・長崎への実際の原爆投下の大惨禍の事実直視」から発生していることを認識すべきです。
しかしながら、広島・長崎以降、この地球上で核爆弾は実戦使用されたことは一度もなく、「人類の核爆弾不使用の実績」は65年を経過しています。 この事実は、見事に核爆弾の「抑止力の威力」が立証されているものだ、と私は認識しています。
またこの間、幾多の大小の戦争があったにかかわらず、特に米国、旧ソ連の歴代指導者達が、「一度も核兵器 を使用しなかった。使用を自己抑制した」ことは、超大国指導者達の「人類の英知」を示すものとして、彼らに「ノーベル平和賞」を与えてしかるべき、と私は考えます。
このような認識が広島・長崎での原水爆禁止反対運動には、いままでのところ全く欠落しているのは残念に思っています。
原子エネルギーの解放は人類の英知です、が「核爆弾不使用(不所持ではない)65年+α」も人類の英知と思うのですが、あまり自説への賛同者はおらず、宮崎先生のご意見を拝聴いたし度く。
(KI生、尼崎市)
(宮崎正弘のコメント)小生の海外取材出発前にいただきました。ちょっと福島原発以後、状況が激変したかと想いますのでコメントを控えます。
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(読者の声3)産経新聞の報道で、福島瑞穂氏が未帰化人である事を知りました。つまり、前原議員へ献金をして問題となった、焼き肉屋のオバサンと同じ未帰化人です。
献金が禁止された未帰化人である福島瑞穂氏が日本の国会議員であり、大臣まで努めた事が疑問です。
前原さんの献金問題なんてどうでも良いくらいに大問題だと思うのですが。
一体、日本はどうなるのでしょうか?
(T.H生)
(宮崎正弘のコメント)菅首相への献金も大津波にのみこまれてうやむやですね。
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