最強にして最も関係の深い同盟国 | 日本のお姉さん

最強にして最も関係の深い同盟国

2011年3月12日発行
JMM [Japan Mail Media] No.626 Saturday Edition
http://ryumurakami.jmm.co.jp/
supported by ASAHIネット
■ 『from 911/USAレポート』第501回
「東日本大震災を見つめるアメリカ」
■ 冷泉彰彦:作家(米国ニュージャージー州在住)
「東日本大震災を見つめるアメリカ」
 こちらのTVや各ニュースサイトは「911」以来の大きな扱いです。
震災発生から6時間後に逆に3月11日の夜が明けたアメリカですが、オバマ大統領は午前中に短い声明を出し、また正午には会見を行いました。
「災害の写真を見て胸の潰れる思いがしました」という最大限の言葉と共に、日本に対して "strongest and closestally" (最強にして最も関係の深い同盟国)という表現を使っていたのが印象に残りました。

 報道姿勢ですが、時差の関係で地震から12時間が経過した11日の昼過ぎの時点では、全般的な被害の様子、津波のハワイと西海岸への影響、そして福島第一原発の
問題がそれぞれ三分の一ずつというところです。この内、原発の冷却装置がトラブルに遭っている問題は、最悪の事態の可能性から現状の説明まで冷静で詳細な報道がされています。
この原発の問題については、オバマ大統領が会見に続いて状況を大統領名で発表するなど、重大な関心を寄せていることは明らかです。

 全般的な報道については、例えばCNNは "U.S. offers condolences, assistance to Japan" という言い方をタイトルに使っています。
「米国は日本に対してお見舞いの意思と援助を申し出ます」というその言葉に、こちらの「空気」がそのまま表現されていると言って良いと思います。
具体的な行動としては、ニューヨークのブルームバーク市長が早速義援金の呼びかけを始めていますし、アフラック保険は一社で100ミリオン(約82億円)の寄付を表明するなど迅速です。

 こちらの11日(金)は終日、ニュース各局は共に「ぶち抜き」で震災報道を続けています。正に「911以来の報道体制」と言っても過言ではありません。
こうした緊急時にこそ、本当の友情というものは自ずと示されるものであるならば、日米関係は改めて緊密な二国間関係なのだと感じます。
私達のところには、報道を聞いてお見舞いのメッセージを寄せてくれる人も出てきています。

 一方、遠くからではありますが、日本国内でネットで飛び交うコミュニケーションを見ていますと、新たな善意や人と人とのつながりなどの可能性を感じさせるのも事実です。
緊急事態が続いている中、そのネットのリソースをセーブすることも大切と思いますので、アメリカからのメッセージとしてはこのぐらいにしておきます。
被害に遭われた方、またそのご家族、ご友人などに心よりお見舞いを申し上げる次第です。

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冷泉彰彦(れいぜい・あきひこ)
作家。ニュージャージー州在住。1959年東京生まれ。東京大学文学部、コロンビア大
学大学院(修士)卒。著書に『9・11 あの日からアメリカ人の心はどう変わった
か』『「関係の空気」「場の空気」』『民主党のアメリカ 共和党のアメリカ』など
がある。最新刊『アメリカは本当に「貧困大国」なのか?』(阪急コミュニケーショ
ンズ)( http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4484102145/jmm05-22 )
●編集部より 引用する場合は出典の明記をお願いします。
JMM [Japan Mail Media]                No.626 Saturday Edition
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