じゃあ、TPPに参加するのを止めたらいいのさ。
産経新聞 3月10日(木)9時49分配信
米国産牛肉の市場拡大を求め、米政府や議会が日本へのいらだちを募らせている。環太平洋連携協定(TPP)交渉の参加条件に輸入制限の緩和を求める議論まで浮上し、日本への揺さぶりを強めている。
米通商代表部(USTR)のカーク代表は9日、米上院で証言し、日本の市場開放が進まない現状に「極めて不満を抱いている」と強い不快感を表明。「米国産牛肉の安全は科学的に証明されている」と強調し、TPP交渉との関連には言及しなかったが、日本政府へ輸入緩和圧力を強める考えを示している。
米国産牛肉の市場開放を求める超党派の米議員団は10日までに、オバマ米大統領に書簡を送った。米国産牛肉の輸入制限の緩和を、日本がTPP交渉に参加する前提条件とするよう求めており、元米農務長官のジョハンズ上院議員ら27議員が名を連ねている。
米国での牛海綿状脳症(BSE)発生を受け、日本は米国産牛肉の輸入を月齢20カ月以下の牛に制限している。議員団は、月齢を問わず輸出できるとした国際獣疫事務局の指針に沿い、「少なくとも月齢30カ月以上への緩和」を日本に促すよう求めている。(ワシントン=柿内公輔)
2011.3.10 05:00 元米農務長官のジョハンズ上院議員(共和党)は8日、超党派の27人の上院議員団が連名でオバマ米大統領に対し、米国産牛肉の輸入制限緩和を日本の環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉参加の前提条件とするよう求める書簡を正式に送付したことを明らかにした。
米通商代表部(USTR)は交渉入り前の輸入制限緩和を必ずしも求めておらず、日本政府も牛肉問題とTPP交渉を切り離したい考え。
書簡は、月齢を問わず輸出可能と認定した国際獣疫事務局(OIE)の指針に沿って、日本の首相に即座に輸入制限緩和に応じるよう圧力をかけることを米政府に要求。日本は米国産牛肉について、特定危険部位を除去した生後20カ月以下に限って輸入を認めているが、少なくとも30カ月に緩和するよう求めた。(ワシントン 共同)
http://www.sankeibiz.jp/macro/news/110310/mcb1103100502006-n1.htm
TPP参加「自給率50%」の壁 関税全廃で大幅低下、両立の道険し (1/2ページ)
2011.3.10 05:00
TPP参加議論で、食料自給率への影響が焦点の一つになりそうだ(ブルームバーグ)
政府が検討している環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への参加議論で、食料自給率への影響が焦点の一つとなりそうだ。農林水産省はカロリーベースで40%の自給率を、約10年後に50%に引き上げる目標を掲げたばかり。
一方、TPP参加で農産物の関税を全廃すれば、自給率は14%程度に低下する試算も公表している。
今国会では、TPP参加と自給率目標の両立をただす質問が相次いでいるが、政府側は明確に答えられていない。今後の議論次第では、目標設定見直しを含めた新たな対応を迫られそうだ。
「自給率向上と両立できない経済連携協定は結ばない、ということでいいのか」。9日の衆院農水委でも、TPPや経済連携協定(EPA)などの貿易自由化と自給率向上の両立に関する質問が出た。
背景には、TPP参加が浮上した昨秋に農水省が公表した試算がある。
関税を全廃すれば輸入米の流入でコメの生産量が9割減少するなどし、その結果自給率は14%程度になるとした。
この試算はTPP反対の論拠として使われることが多い。国会で関連質問が出ると、農水省は「この試算は、何の対策も講じないことを前提としている」とし、政府が現在、検討している農業再生策を実行することで関税撤廃の影響度が下がる可能性を示唆する。ただ、参院予算委で「対策を講じた場合の自給率」を聞かれた鹿野道彦農水相は明示を避けている。
政府はTPP参加に向け、食糧安全保障が担保されることを示す必要があるが、関税撤廃で自給率が向上するとは考えにくく、説得力のある説明ができるかは不透明だ。
民主党政権は昨年3月に策定した基本計画で、自民党政権時に掲げた「2015年度に45%」という目標を「20年度に50%」に引き上げた経緯があり、見直しは党内からの反発が必至だ。9日にも見直しを牽制(けんせい)する質問があり、篠原孝農水副大臣は「基本計画を堅持する」と、現時点で自給率向上目標は変えないとの認識を示したが、TPPへの参加が決まれば見直しは避けられなくなる。(高橋寛次)
http://www.sankeibiz.jp/macro/news/110310/mca1103100501000-n1.htm