パソコンや青色光線に要注意ードライアイと黄斑変性症 | 日本のお姉さん

パソコンや青色光線に要注意ードライアイと黄斑変性症

現代人の涙は枯れ果てた!?モバイル情報社会とドライアイ
ダイヤモンド・オンライン 2月28日(月)9時15分配信

こんな症状が出たら要注意!

 このところ疲れ目がひどいEさん、46歳。老眼かと眼科を受診したところ、ドライアイを指摘された──。

 ドライアイは涙の量や質の異常により、目の角膜表面が障害される病気。最も多い「蒸散型」では、まばたきの減少や涙液成分の異常で角膜表面が乾燥し、「肌荒れ」状態になる。

 目の表面を覆う涙は、いちばん外側から、被膜として水分の蒸発を防ぐ「油層」、栄養分と水分を含む「水層」、角膜表面に直接触れる「ムチン層」の 3層構造になっている。油層の主成分はまつげの生え際にあるマイボーム腺から分泌されるが、なんらかの原因で腺が目詰まりすると、油層の形成が不完全になって水層の蒸発が早まる。

 一方、ムチン層の主成分は結膜のゴブレット細胞から分泌されているタンパク質で、粘性が高く、涙を目の表面に定着させる働きがある。このため、ゴブレット細胞の炎症などで分泌機能が低下すると、涙の保持力が落ちるわけだ。また、コンタクトレンズの長期使用で角膜表面がすでに荒れている場合は、涙が定着しにくいことが知られている。

 このほかにも加齢とともに涙の排出機能不全が起こる、自己免疫疾患で涙腺が破壊される、などの発症原因があるが、中高年男性では「蒸散型」が多い。

 特にまばたき回数については、現代人のディスプレイ依存症とでもいえそうなライフスタイルが影響している。絶え間なくパソコンや携帯電話の画面を「凝視」するうちに、まばたき回数が減少し、涙の蒸発が増えるからだ。また緊張による交感神経優位の状態も涙が枯れる原因の一つ。目の保護、消毒を兼ねる涙が減少するのだから、各涙層の分泌器官にもよいはずがない。次第に涙液の質に異常が生じ、重症化してしまう。

 通常、人は3秒間に1回まばたきをし、目の表面が乾き切る前に新たな涙層を形成する。目の表面に定着した涙の層が乾き始めるまでの時間はおおよそ 10秒。ところが、涙液が減少していたり、涙液成分に支障がある場合は目を開け続けていられない。目を閉じてからぱっと見開き、5秒間目を開けていられない場合は、ドライアイの可能性がかなり高い。

 さて、ドライアイの治療だが、まずは人工涙液のこまめな点眼が基本。保湿と角膜表面のキズを治す効果があるヒアルロン酸入りもある。市販薬は濃度が低いので、眼科で処方してもらおう。この4月には涙液の水分とムチンの分泌を促進する点眼薬が承認された。年末には処方が始まる予定で、効果が期待されている。

加齢黄班変性症

最終更新:2009.12.12
■どんな病気
最近増えている目の難病。眼科医の最重要疾患の一つ。前段階678万人、発症者数43万人で急増中。 50歳から増え始め、特に60歳以上の男性、喫煙者に多い。欧米では65才以上の高齢者の失明原因第一位。米国では男性患者が女性の3倍多い。日本での発生は米国の1/10だが近年増加傾向にあり日本人の失明原因第三位。原因は不明だが喫煙や高血圧や紫外線の害が指摘されている。
黄班(直径1.5MM)の下の部分に新生血管が出来て盛り上がったり、網膜に異常な老化(老廃物がたまる)が起こり、黄班部が変性して、視野の中心部分がぼけたり、歪んで見えたり、中心が見えなくなる、暗くなる等の症状が出る。見ようとする中心部は見にくくなっても、周りの部分まで見えなくなってしまう事はそれほど多くはない。しかし、何も治療しなければ症状が出始めて数年で失明に近いような視力になり不自由な状態になるので放置しないようにしたい。
2つのタイプがある。
①萎縮型(ドライタイプ):黄班部が加齢と共に損傷を受けて萎縮し視細胞が栄養不足に陥る型。加齢黄斑変性症の多くはこのタイプ。このタイプは日本人には少なく欧米に多い型。進行は遅く黄班部の中心にある中心窩に萎縮が及んで強い視力障害が出てくるまでには年月がある。まだ有効な治療法がない。滲出型に変化する事もある。通常は経過観察する。
②滲出型(ウエットタイプ):老廃物の刺激で網膜の下から余計な血管が出来、そこから血液や水分が漏れて網膜が変形する滲出型がある。滲出型の方が悪性で進行が早く(数ヶ月~2年で視力が落ちてしまうこともある)、失明になりやすいので早期発見が必要。ただ、治療法がある。滲出型の新患患者は年間5万人以上と言われている。
急激な視力低下、ものがぼけたり二重に見えたら受診。他の眼病との区別を付ける。ただ、自覚症状が無くて進行していることもあるので注意。月単位で進行する人もいる。70才以上では両眼性が多くなる。
眼底検査や人間ドックなどの際の眼底写真で発見されることが多い。
片目ずつ格子状の物(碁盤、障子等)を見て、見え方が異常(ゆがむ、ぼやける、かすむ、黒く欠ける)な場合はすぐに眼科を受診。早めの治療で進行を防止できる事も多い。
ハイリスクは、①高血圧、②心臓病、③たばこ、④目の色素が薄い、⑤緑黄色野菜の摂取量が少ない人、⑥日光に良くあたる人、⑦家系
30%の人は両目に起きる。
■予防

活性酸素が加齢黄班変性症を促進させると言われているので、日常生活で出来るだけ活性酸素を抑え込む事が必要。
進行防止には①サングラスや帽子で紫外線や青色光を避ける、②禁煙、③カロチンを含む緑黄色野菜や果物、ω3脂肪酸が多い青魚を摂取、④血圧を正常値にコントロールする、⑤ビタミンC、Eや亜鉛(カキ等)の摂取、他に、ビタミンA、銅も進行を抑える効果が高いと言われる、⑥よく運動をする、⑦アルコールは適量、⑧ストレス、⑨食品添加物、⑩大気汚染を避ける。
2006.10.31 「British Journal of Ophthalmology」と言う医学誌に、よく運動をする人は、加齢性黄斑変性(AMD)の重症型発症リスクが低いと言う記事が掲載された。
キャベツ、インゲン、ブロッコリー、ほうれん草、ケールなどに含まれるルティンが良いとの報告がある。ルテインは1日6MG程度摂取すると加齢黄班変性のリスクが1/2になるとの研究報告がある。
■検査

視力検査
眼底検査(黄斑に異常が見つかると次の蛍光造影剤を投与しながらの眼底検査等行う)

インドシアニングリーン蛍光眼底造影検査:脈絡膜が写るので新生血管の状態がよく分かる。緑の造影剤を使用。30分程度かけて何枚も写真を撮る。
フルオレセイン蛍光眼底造影検査:網膜と網膜色素上皮細胞の状態が分かる。異常部分や広がりが分かる。
OCT(光干渉断層計)検査:この機械の登場で網膜の断面図がわかるようになり、病態に関する研究が飛躍的に進歩した。病型の分類や治療効果の判定に応用されている。網膜の盛り上がり度合いや水のたまり具合も分かる。眼底検査をX線に例えると、OCTはもっと情報量が多いCTやMRIに相当し、病気の前段階の有無が分かる。2008/4より保険適用。OCTは高額な機械だが、OCTを保有する眼科と保有しない眼科との差別が起きるかも知れない。
■治療

まだ抜本的治療法がない。従って早期発見、早期治療で進行を止める他ない。視力が0.5以上なら経過観察もあるが、それ以下になったら治療が必要。年に1回は専門医に眼底を診てもらうことが必要。
診断には新生血管の大きさや位置を正確に知る必要があり血管造影検査が行われる。通常、眼底カメラの前に座って、肘の静脈から造影剤を入れて、眼底の血管を調べるもので検査自体は簡単、30分程度で済む。まれに造影剤にアレルギー反応を起こす人がいるので事前に検査した方が無難。
①レーザー光凝固(レーザーをあてられる位置に新生血管があれば良いが、そうでなければ視力低下を起こすことがあるので最近は②の光線力学的療法が選ばれる事が多い。新生血管が黄班の中心に及んでいないときに実施される。ただ再発し易い)、
②光線力学的療法(PDT)(欧米で4年前から広く行われている治療法。日本では2002/秋から。ごくわずかな光に反応する薬ベルテポルフィン(ビスダイン)を腕の静脈に点滴で送り、薬が新生血管に集まったところで弱いレーザーを83秒間照射して新生血管をふさぐ方法で網膜への影響が少ないので中心窩に新生血管がある症例に特に有効。2004/5から中心かの新生血管に対して保険適用された。点滴10分、レーザー1.5分、全体でも30分で終了する。新たな病変が出現すると再治療(3ヶ月に1回程度。新生血管がまた出てくるので何回か実施する必要がある。徐々に新生血管が少なくなる)を行い病気の進行を食い止める。平均すると一人2回治療が必要と言われる。放置すれば数年で失明に近い状態になるのを、この治療で、視力がup又は維持されている人は87%、下がった人は13%程度まで実績があがっている。この治療後一定期間日光に当たれない等の留意事項がある。(特に初回治療時は2-3日入院) 視力が0.5以下になっ
て実施する事が多い。病変のタイプによっては効果が弱いこともある。
駿河台日大病院、福島県立医科大(飯田知弘教授)、埼玉医大、東邦大大橋病院、国立病院機構東京医療センター、大阪大などで実施中。PDT認定医であること、専用のレーザー機器が必要で、2006/4現在164施設で実施中。費用は2泊3日の入院で50万円程度だが、30%健保負担、更に高額医療費の適用を受けて、自己負担5-10万円。
③新生血管膜摘出術(硝子体手術)、
④中心窩移動術(正常な網膜色素上皮に黄班を移動させる方法。リスクは高い。新潟大学などで実施)、
⑤薬物療法 抗体医薬ルセンティスと核酸医薬マクジェンが共に期待を集めている。(下記項参照)
⑥経瞳孔温熱療法、
⑦放射線治療
⑧東北大学眼科では色素細胞移植という独自の硝子体手術を行い60%以上の人が視力を改善している。
⑨抗血管新生療法 2009年に認可された新しい治療法で、薬を硝子体に直接注射するもの。新生血管が悪さをするのはVEGFというタンパク質が関係するので、この働きを落とすためにラニビズマブ(抗VEGF薬)を目の中、硝子体に注射して新生血管が死んで働きが落ちる。網膜ガ傷つけられない、視力が上がる人が少し出てきた。血管に直接作用する薬で副作用もあるので慎重に投与を決める。

最近注目されているのが、光線力学的療法、薬物療法、温熱療法と放射線治療。
マクジェンは2008年7月認可された核酸医薬で滲出型に使われる。眼球内に薬を1本注射し、血管新生を促進する血管内皮細胞増殖因子のうち、悪玉のみを抑える働きがある。効果はルセンティスより弱いが安全性は高いと言われる。現在臨床試験中で40%以上の患者で視力の改善又は維持が出来ている。2008年10月以降黄班変性の専門病院で治療を受けられる。薬価は1回分約12万円で、検査料や技術料は別途必要。保険適用される。福島県立医大、駿河台日本大病院、名古屋大、大阪大、関西医大付属滝井病院、九州大等で臨床試験が行われた。
ルセンティス(ラニビズマブ)は新生血管の発生を抑える。マクジェンより治療効果が高い(反面副作用に注意)と言われる抗体医薬で、2009年3月に発売された。麻酔して白目の部分に0.5MG、月一回注射をする。通常、3回行う。海外の臨床試験では、41%の人が視力が改善した。治療の第一選択肢になってきている。
赤外線レーザーによる経瞳孔〈けいどうこう〉温熱療法は合併症がほとんどなく治療時間も短く、網膜をほとんど傷つけないので比較的安全に治療出来る。この方法は特に黄班部の中心付近に血管が出来た場合に薦められる。従来のレーザー光治療の欠点(網膜を損傷させて視力がかえって低下する)を補う治療法。光凝固治療用の1/3000の弱い出力のレーザーを1分照射する。東大病院では2000年からこの治療法を開始し、30%以上の人の視力が回復し、70%の人が病気の進行が止まったとのこと。但し、必ず効果が出るというものではなく期待する成績が出ない事もある。黄班部自体が萎縮している型には向かない。患部が黄班部の中心でなければ他の方法も選択肢。東大病院、埼玉医大、杏林大、駿河台日大などで実施中。(2003/3)
放射線治療で低線量の放射線をほぼ毎日10回程度患部に照射することで黄班部に異常をもたらす新生血管の働きを抑えることが出来、患部も小さくなり視力低下の進行をくい止められると期待されている。
骨髄中の幹細胞によって血管を新生させ黄斑変性症を治療させようとする研究が米国で行われており、今後の成果が期待される。
網膜の働きを半導体チップに代行させる人工網膜の研究が奈良先端科学技術大学院太田助教授等により進められており、2010年の実用化を目指している。
ケナコルトという軽いステロイド剤を目の奥に注射する方法(痛くない)で進行が止まったり視力が改善したり効果が出る治療法もある。今後の治療実績と経過に期待。⇒問い合わせは大高 功横浜相鉄ビル眼科医院院 長
失った視力は戻らないので、周辺視野を活用する訓練を受けると良い。(見たい物を視線を少しそらした状態で周辺を見る練習)
駿河台日本大学病院眼科(湯澤美都子副院長兼部長は光線力学的療法で著名)、東北大学付属病院眼科(玉井眼科教授)、東大病院(玉置講師)、福島県立医大飯田教授、群馬大岸教授、東邦大学大橋病院竹内忍教授、杏林大学岡田あやめ助教授が著名。
■参考情報

黄斑変性症の予防と治療関連図書 
加齢黄班の情報サイト「加齢黄班ドットコム」
この頁は、書籍・文献・新聞・テレビ報道などより得た情報や先生方から直接お聞きしたことを整理したものです。医学の進歩は日進月歩であり、新しい治療法が見つかることも、また、従来の治療法が否定されることもしばしばあります。本欄を常に最新の情報に更新することには限界がありますので記載内容の最新性、確実性が常に保証されるものではありません。情報を参考にされることは構いませんが、最新情報は各自で医療機関にご確認下さい。また、対処法は個人の症状や体質などにより違ってきますから、この情報による効果や影響に関しては個人の責任と判断で行ってください。情報の利用の結果、万一、利用者に不都合、不利益が起きても一切の責任は負えないことをご了承下さい。

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