他人の自由
他人の自由
悪口を言う自由
それを聞くのは、嫌だと相手に言う自由
嫌だと言って
さらに相手の怒りの言葉を
受ける自由
わたしは、他人の自由に口をはさんで、他人の怒りをかって
不愉快にさせて
ごめんなさいと謝ってフェイドアウト
黙って立ち去る自由を使わなかったから、
黙って消える器用さが
なかったから
自然にそうなった
友だちの悪口を言う人は嫌い
悪口を言っていない
率直な意見を述べただけ
そう言われても
悪口に聞こえてしまうんだから
わたしはとても不愉快
不愉快だと相手に伝えたのが
相手には不愉快だった
普通の日本人なら
黙って立ち去るだけだけど
わたしはできなかった
絶対に
不愉快でも
お互いに許しあって
あるいは
お互いの行動を改善しあうと語り合って
普通の会話に戻れば友だちだけど
許しあえない二人は
友だちにもなれない
郵便局には
引っ越していった
友人と家族から
小包が届いていたから
受け取りにいって
開いてみたら
チョコレートとベレー帽と手袋
友人はたくさんいる方がいい
遠くにいてもいい
一年に一度か
二年に一度しか
会えなくてもいい
ときどき思いだしてくれて
電話をくれるだけでいい
バレンタインのチョコを
くれる友人と家族がいるのはいい
遊びに行ったら歓迎して
くれるならもっといい
意見の食い違いがあっても
許しあえるのが友だち
許しあえない関係なんて
たとえて言えば
どちらかが倒れるまで
戦わねばならない
ローマの奴隷たち
コロセウムの囲いの中に
せりあがってきて
怒りの奴隷として戦うしかない
悪口を言う自由
人をけなす自由
文句を言う自由
嫌なことは嫌だと言う自由
いろんな自由があるだろう
でも愛と許しがないと
世界は小さくなってしまう
いつのまにか
自由なはずの自分がいなくなって
怒りや憤りの
奴隷になってしまうこともある
人を許せない人間は
誤解をしやすい
他人が誤解を解こうとしても説明を信じない
自分が被害者だと
一度決めたら
それは誤解だと
説明する相手すらも怒りの対象にする
さようなら
過ちを許せない人
彼女はわたしの大事な友だちだから
これ以上
彼女に関するあなたの率直な意見を
聞きたくないのです
「あなたのメールはたいへん不愉快」
それがあなたの
さよならの言葉