TPP(環太平洋経済連携協定)と税制改革を進めやすくすることに目的
メリルリンチの人の意見なので、「そういう意見もあるのかな。」という感じで読んでください。わたしは民主党は、ずっと野党で「自民党を非難するだけが仕事だった」ので「政治はまったくズブのしろうと」で、「できない人たちばかり」だと思っています。だから他から引き抜いてきても仕方ないだろうと、思っています。↓
2011年1月20日発行JMM [Japan Mail Media] JMM619M-2http://ryumurakami.jmm.co.jp/
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■ 村上龍、金融経済の専門家たちに聞く
■Q:1147
先週の内閣改造で、与謝野馨氏が入閣しました。今後、経済財政政策に変化が見られるのでしょうか。 村上龍
◇回答
□菊地正俊 :メリルリンチ日本証券 ストラテジスト
※JMMで掲載された全ての意見・回答は各氏個人の意見であり、各氏所属の団体・
組織の意見・方針ではありません。
■ 菊地正俊 :メリルリンチ日本証券 ストラテジスト
今回の内閣改造は、菅首相が6月に決定すると意気込むTPP(環太平洋経済連携協定)と税制改革を進めやすくすることに目的があったといわれます。
問責決議を受けた大臣に、閣外に去ってもらうと同時に、小沢一郎元幹事長の政治資金問題にけじめをつけることで、20%台に落ち込んだ内閣支持率を回復させる目的もありました。しかし、週末の新聞各社の世論調査で、内閣支持率は微増に留まりました。今回の内閣改造は株式市場にポジティブと受け止めた日系証券会社もあったようですが、私は17日に「菅再内閣改造は失望」とのレポートを出しました。
今回の目玉人事は、消費税引き上げに向けて、与謝野馨氏を経済財政担当相に起用したことでした。与謝野氏は自民党で財務相を務めて、政界きっての財政通で、消費税引き上げ推進派です。菅首相は増税に向けた理論的な裏付けや自民党との交渉の綱渡しを期待しているようですが、長年所属した自民党を離れて、たちあがれ日本を経て、民主党政権に参加した与謝野氏に対する自民党の不信感が強いため、自民党の協力は得られないと思います。実際にも18日に自民、公明両党の幹事長、国会対策委員長らが会談し、通常国会で与謝野経済財政相の政治姿勢を追及する方針を決めたといいます。
今回、経済産業相に就任した海江田万里氏とは同じ選挙で争ってきた間柄であり、昨年1月に「民主党が日本経済を破壊する」との著作で民主党の政策を批判した与謝野氏への風当たりは民主党内でも強くなっています。渡部恒三最高顧問は16日に「恥ずかしいなあ」「政治家として1番大事なことは信義と節操」と述べられました。私は今の日本経済にとって消費税引き上げは必須と考えます。6月に向けて、消費税引き上げに向けた議論は進むと思いますが、引き上げを正式決定するだけの政治パワーは菅内閣にはないでしょう。
与謝野氏の入閣で、最も得したのは文芸春秋かもしれません。与謝野氏が書かれた「民主党が日本経済を破壊する」は飛ぶように売れ出して、今週初めにアマゾン、東京駅近辺や渋谷近辺の本屋では品切れになっていました。この本を読むと、改めて与謝野氏の経済に対する造詣に感銘を受けて、ぜひ日本経済の将来のために尽力してほしいと願わずにはいられません。デフレ原因の判断、科学技術の重要性、必要な制度改革などは全くの同感です。鳩山首相と菅副総理(当時)が経済の勉強のために官邸に招いた有名女性が、エコノミストとして専門家かどうか怪しいと与謝野氏が指摘された点も、金融業界ではその通りと思った人が多いはずです。
税制改正と並んで菅首相が推進を目指すTPPについても、農業自由化反対派の鹿野道彦氏が、農水相に留任したことがネガティブです。経済産業相はTPP慎重派の大畠章宏氏から、推進派の海江田万里氏へ変更されましたが、経済評論家出身の海江田氏は党内基盤が弱いため、TPP反対派を押し切るだけの政治力に疑問が呈されます。私も、TPPは日本経済にとって絶対必要だと思います。日経新聞や読売新聞もTPP推進キャンペーンをはっていますが、政治情勢から考えて、6月に菅内閣がTPPへの参加を正式決定するのは困難でしょう。
菅内閣が6月の税制改正やTPPの決定前に、乗り切るべきハードルとして、3月の予算成立や4月の統一地方選挙があります。野党は今回の内閣改造を受けて、国会で攻勢を強めてくるでしょう。予算成立のために、菅首相は今回失敗した新たな連立組成を行うのか、予算成立の見返りに辞任や解散に追い込まれるのか、厳しい決断を迫られるでしょう。早くスムーズな意思決定が行われるような政治情勢に変わり、日本経済を支援してほしいものです。
メリルリンチ日本証券 ストラテジスト:菊地正俊
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