核ハザードの危険を隠してきたNHKシルクロード番組 (読んでくださることを希望します。) | 日本のお姉さん

核ハザードの危険を隠してきたNHKシルクロード番組 (読んでくださることを希望します。)

去年の記事です。↓

■■ Japan On the Globe(625) ■■ 国際派日本人養成講座 ■■
Media Watch: 『NHK特集 シルクロード』の裏側
史上最悪の危険な被爆地に、毎年数万人規模の日本人観光客が訪れている。
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■1.核ハザードの危険を隠してきたNHKシルクロード番組■

 本年6月6日、「核ハザードの危険を隠してきたNHKシル クロード番組に関する公開質問状」と題する書状が、NHK会長・福地茂雄氏あてに突きつけられた。差出人は札幌医科大学 ・高田純教授である。その一節には、こうある。[1,p72]

 私は、核爆発災害研究の専門科学者として、世界の核被 災地を調査してまいりました。そして、中国共産党がシルクロードの要所であった楼蘭遺跡周辺での総威力22メガ トンの核爆発により世界最悪の災害が発生したことを、確 認しました。

 その総核爆発は、広島の核の1375発分です。現地では100万人以上のウイグルの人たちが死傷しているのです。
・・・

 その地域の被害は、広島の被害の4倍以上です。まさに世界最大の核災害です。被害者たちは、中共政府に放置されています。今、史上最悪の人権人道問題が発生している のです。日本は唯一の被爆国ではありませんでした。

 NHKは中国軍に引率されて、核爆発が強行された周辺に ある楼蘭遺跡を、1980年に取材しました。その後に放送し たシルクロードロマン番組は、その核の事実を隠蔽した、全くもって偏向した内容になっています。すなわち偽装番 組でした。・・・

 NHKのシルクロード番組に魅せられて、核爆発が続いた1996年までに日本人観光客27万人が現地を訪れたという。そこが放射能に汚染された危険地域だとも知らされずに。

■2.「危険地域だったという認識は、持っておりません」■

 20日ほど後、NHK大型企画開発センター長・佐藤幹夫氏 名で、以下のような回答書が寄せられた。[1,p75]

「NHK特集 シルクロード」は、東西文明の壮大な交流の道をたずね、その悠々の歴史と現在の姿を紹介したシリ ーズで、1980年に放送が始まりました。シルクロードのほぼ全域で外国メディアによる本格的な取材を行ったのはこの番組が初めてで、学術的にも貴重なエリアを紹介したこ とはきわめて意義深いことだったと考えております。

 この番組の撮影を起こった場所が、核実験によって放射 能に汚染された危険地域だったという認識は、放送当時も 現在も持っておりません。

以上、ご理解を賜りますようお願い申し上げます。

 高田教授がさまざまなデータをもとに科学的に放射能被害を推定しているのに対して、根拠もなにも示さずに「危険地域だったという認識」はない、と言い切る剛胆さは見上げたものだ。
真実については、次のように当時のシルクロード取材班自身があきらかにしているのである。

■3.「特に楼蘭は撮影困難です」■

 取材班が執筆し、NHKから1980年に発行されたNHKシルクロード第3巻『幻の楼蘭・黒水域』には、以下のような記述 がある。[1,p5]

超近代兵器ICBMは私たち取材班と無関係ではなかった。
CCTV(中国中央電子台)とシルクロードの取材撮影を 交渉するなかで、最大のネックとなったのが、実はこの点 であった。シルクロード全域の取材を主張する私たちに対 して、CCTVはその一部は不可能でしょうと繰り返すの であった。

「シルクロードのどの地域が撮影できないのですか?」
「楼蘭と黒水域です。特に楼蘭は撮影困難です」

「理由は?」
「それはみなさんが想像されるとおりです」

 私たちは楼蘭が重要な軍事基地、おそらく核実験場では ないかと想像していた。1964年から25回にわたって行われた核実験は、いずれもこの地域で行われたといわれている。1949年の中華人民共和国の誕生以来この地域は、国家の最高機密の地として、外国人はもとより、中国人でさえ特別の要人以外は立ち入ることができない。

■4.立ち入り許可の思惑■

 しかし、中共政府は取材を許可した。ある思惑を秘めていたようだ。

 しかし、その楼蘭に入ることを、日中共同取材班はつい に許可された。たび重なる交渉の末である。これはCCT Vのスタッフにとっても思いがけない喜びであったのか、「楼蘭に入るのは、解放後私たちが初めてです」と何度も 繰り返すのであった。

 ただし一部分は中国側だけで撮影することが条件であっ た。したがってこの取材記のある部分は、私自身の実見に よらないで中国側の屠団長の報告、および撮影したフィル ムをもとに記述していることをお断りしておく。

 1980(昭和55)年4月、初の外国人メディアとして、NH Kのテレビカメラが砂漠の楼蘭遺跡を撮影した。取材班は、現地の核爆発実験や核軍事演習のすべてを知る中国軍の新彊部隊に引率されていたのだった。

 中共政府がNHK取材班に「立ち入り許可」を与えた思惑は、想像に難くない。軍が引率するのだから、核爆発を思わせるよ うな場所は見せなければよい。そういう場所の撮影は中国側が 撮影しているのだから、周到な「編集」が可能である。

 そして、出来上がった映像は「NHKの取材によるもの」として西側世界に公開される。核実験の災害などおくびにも出さず、シルクロードの歴史ロマンのみを映し出す番組により、中共政府は核実験の事実を糊塗できる。NHK取材班は、中共政 府のプロパガンダに使われたのである。

■5.「核の砂漠」■

 1980年3月29日、NHK取材班は敦煌を出発し、西方430キロメートルの楼蘭を目指した。NHK取材班5人、考古学者の九州大学・岡崎敬教授、それに中国中央電子台職員が加わって、総勢15人からなる一行であった。翌日、中国共産党軍が 合流し、それに引率される形となった。

 4月11日、「さまよえる湖」と呼ばれるロブノールがある とされる720地点についたが、それらしい湖は見つからなかっ た。13日、80キロを北上し楼蘭の女王のミイラを撮影した。

 その後、なぜか取材班は南方の720地点に戻り、そこから 北西50キロに位置する楼蘭遺跡に移動した。なぜわざわざV字型の移動をしたのか。中共軍は、まっすぐ移動する道のりは悪路だと説明した。

 しかし、高田教授がNHK取材班の足取りと、核爆発の地点をあわせて地図化すると、その理由が見えてきた。V字の中に、4メガトン、2.5メガトン、2メガトン、0.6メガトンの核爆発ゼロ地点があったのだ。核弾頭が炸裂してできたクレーターなどの目撃を避けるための迂回路であったようだ。

 それだけではない。4年前に行われた4メガトンの核爆発は、 長崎に投下された核爆弾の200倍の規模である。高レベルの 放射能が残留する「核の砂漠」なのだ。「核の砂」が高エネルギーのガンマ線を放射しており、それを浴びれば、白血病や発ガンのリスクが増大する。

 高田教授は、取材班が10日ほどの楼蘭付近に滞在したうち、 5日間、核爆発ゼロ地点に接近したとして、彼らが「核の砂」 から浴びたガンマ線の量を、84から260ミリシーベルトと 推定計算した。

 これは原子力発電所や病院で核放射線作業に従事する職業人の年間限度の50ミリシーベルトを超える危険な量をわずか5日ほどで被曝したことになる。

■6.非人道的な核実験■

 この東トルキスタン地域は、中国共産党が1949(昭和24)年 に軍事侵攻し、支配下においた土地である。そしてこの地で最初の核実験が1964(昭和39)年10月の東京オリンピック期間中に始まり、1996(平成8)年まで続けられた。

 この東トルキスタンと国境を接するカザフスタンは、かつてソ連の支配下にあり、そこにはソ連によるセミパラチンスク核 実験場が設けられていた。中国の核実験の非道ぶりは、ソ連と比較しても明らかである。

 ソ連の核実験場は四国ほどの面積の土地から人々を外部に移住させ、周囲に鉄線で囲いを設け、実験場につながる道路の出入りを厳重に管理していた。その広大な面積においても、場外の民衆の安全に配慮して、最大0.4メガトンに抑えていた。
さらに核爆発を実施する際には、核の砂が降ると予想された風下の村の人々を、事前に避難させる措置も一部とっていた。

 一方、中国は、鉄条網で囲んだ実験場など設けていなかった と、現地の人々の証言からも推察される。しかも、最大4メガトンと、ソ連の10倍もの規模の核爆発を行った。

 さらに住民に警告して避難させるなどという措置もとらなかっ た。逆に現地の農民は「(核爆発)基地では、漢人の住む方向 に向かって、つまり西から東に風が吹く時は核実験をしない。西に吹いた時に行っていた」と憤っている[a]。

■7.「太陽の100倍もの明るさ」■

 ウイグル人医師アニワル・トフティー氏は、イギリスに亡命 し、核爆発災害のドキュメンタリー番組"Death on the Silk Road" 『シルクロードの死神』の制作に協力した人物だが、93年に故郷クルムの老羊飼いから聞いた体験談を東京でのシンポ ジウムで紹介した。[1,p33]

 その老羊飼いは「自分は神を見たことがある」と言った。それは太陽の100倍もの明るさだった。そして地面が大きく揺 れて、凄まじい嵐になったという。彼は半身ケロイドとなった。
軍人たちが彼を病院に連れて行き、検査をした。そして彼の 100頭以上の羊をすべて買い取ったという。老人は、それから2年後に亡くなった。

 高田教授は、核弾頭を浅い地下に埋めたか、山裾のトンネルの入口から近いところでの核爆発であった、と推定している。
火球が噴出し、核の砂が大量に舞い上がる。広範囲に核汚染をまき散らす最も危険なタイプの核爆発である。

 中国は90年代にこの地域で11回もの核爆発を行っており、東トルキスタン南部のタリム盆地での石油・天然ガス油田開発 が始まった時期と一致していることから、高田教授は資源開発 に核兵器が使われたと推定している。

 核爆発により地震を人工的に起こし、そこで発生した地震波の伝わり方を調べて、地下の構造を分析する手法である。ソ連もこの目的で12回の核爆発をシベリアで行っている。

■8.急性死亡19万人、急性放射線障害129万人■

 東トルキスタンの人口は2005(平成17)年で2千万人である。
中共政府はその地で、住民を退避させることもなく、核爆発を行った。

 高田教授は楼蘭地域での3発のメガトン級核爆発の影響を計算した。その値は1千キロ離れたカザフスタンの報告値と良く一致した。それは胎児が奇形となるレベルのリスクであった。

 その核放射線影響を現地の人口密度に当てはめて推定すると、核の砂による急性死亡は19万人となった。2メガトン地表核爆発では、風下およそ245キロメートル、すなわち横浜-名古屋間に及ぶ範囲で、急性死亡のリスクがあった。この地域で は核の砂が降って、住民が全員死亡した村がいくつもあったということになる。

 また、死亡には至らないが、白血病などを誘発する急性放射 線障害のリスクのある地域は、風下およそ440キロメートルに及ぶ。東京-大阪間に相当する距離である。この地域で白血 病などを誘発する急性症を起こした人々は129万人と推定された。

 前述のアニワル・トフティー医師が、現地で命がけの調査を行った結果では、漢民族でも30年以上ウイグル地域に住んで いる人は、発ガン比率が中国全土と比べて35パーセント高い。

■9.被爆地に呼び寄せられる日本人観光客■

 こういう危険な被爆地を、NHKは歴史ロマン番組として紹 介し、その結果、多くの日本人が観光客として訪問した。

 楼蘭遺跡付近の核爆発は東京オリンピック開催中の1964(昭 和39)年に始まり、1996(平成8)年まで続けられた。NHKのシルクロード番組が放映されたのは1980(昭和55)年からであるが、それ以降も核爆発は続いていたのである。

 ウイグル地域への日本人観光客の人数は1995年に35,071人、1996年に36,278人というデータがある。これから、高田教授は 核爆発が続いていた1996年までの総数を27万人程度と推定している。これに加えて、核爆発が終了した1997年から2008年までの日本人観光客数は57万人と見積もられている。このペー スだと今後、数年のうちに合計100万人に到達するだろう。


 急性死亡につながる核種は一か月ほどで弱まるが、高エネルギーのガンマ線は「核の砂」として長期間、残留し、近寄った観光客は被曝を受ける。同時に砂塵を吸い込むことによって、プルトニウムが肺に吸着し、以後、アルファ線が肺細胞を突き 刺す。

 高田教授はシルクロード観光者の被災調査を始めたが、すぐに2件の情報が寄せられた。二人とも1980年代にウイグル観光をした後、悪性リンパ腫や白血病を発症し、そのうちの一人は 亡くなった。

 これは言わば、広島で1375発分の核爆発が行われている最中に瀬戸内海の歴史ロマン番組を放送し、その危険性はいっさい 隠蔽して、毎年数万人規模の観光客を呼び寄せるのと同じこと である。シルクロード』は今もビデオとして販売されており、人類史上最悪の被爆地に観光客を呼び寄せ続けている。
(文責:伊勢雅臣)

■リンク■
a. JOG(523) シルクロードに降り注ぐ「死の灰」
 中国に植民地支配されたウイグル人の土地に、核実験の死の
灰が降り注ぐ。
http://www2s.biglobe.ne.jp/~nippon/jogdb_h19/jog523.html
b. JOG(186) 貧者の一燈、核兵器~中国軍拡小史
 9回の対外戦争と数次の国内動乱を乗り越えて、核大国を目
指してきた中国の国家的執念。
http://www2s.biglobe.ne.jp/~nippon/jogbd_h13/jog186.html

■参考■(お勧め度、★★★★:必読~★:専門家向け)
  →アドレスをクリックすると、本の紹介画面に飛びます。

1. 高田純、『核の砂漠とシルクロード観光のリスク─NHKが放送し
なかった楼蘭遺跡周辺の不都合な真実』★★、医療科学社、H21
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4860034023/japanontheg01-22%22

_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/ おたより _/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
■前号「天皇への道(下)~ 皇太子を御護りした人々」に
寄せられたおたより

アイゼンシュタインさんより
 今回の天皇陛下の皇太子時代のお話は非常に興味深い内容で
した。先日の即位20年式典での天皇皇后両陛下のお言葉ですが、
このようなご体験が背景にあったのではないかと思うようにな
りました。

 天皇皇后両陛下は、今の政治家諸氏より、遙かに国民の窮状
を心配なさっていらっしゃると思います。大変失礼ながら、お
言葉の温度(温かさ)が違うように感じます。

 正に国民の象徴としての天皇を具現化されていると思います。

「韓国の龍」さんより
 今上天皇は素晴らしい方だとは察しておりましたが、そうい
う今上天皇を育てられたのは侍従であり、一般の庶民であった
ということが今回の記事でよくわかりました。

 思えば日本は「神の国」です。今まで神様のご加護でうまく
来ましたが、昨今の政治の混迷を見ますと、折角我々の先祖・
先輩が守ってこられた神の国を程度の低い政治家が壊してしま
うのかと心配でなりません。

 でも福沢諭吉先生がおっしゃったように「一身独立して一国
独立す」。我々一般庶民が刻苦勉励して民度を上げ、お粗末な
政治にはNoを突きつけることが大事だと思います。

 その為に私自身も頑張ろうと思いました。

■ 編集長・伊勢雅臣より

 一国の政治のレベルは、その国の国民のレベルが決めるので
す。まずは、我々自身のレベルを上げることでしょう。

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 掲載分には、薄謝として本誌総集編を差し上げます。
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