恋してもいいけど、運び屋にはならないでね。
71歳でも、恋できるのってすごいと思うけど
運び屋に選ばれただけだからね。
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<ラブ・コネクション>殺し文句連発、女性惑わす
毎日新聞 11月18日(木)12時2分配信
運び屋の女が摘発された関西国際空港
「ラブ・コネクション(ラブコネ)」。恋愛感情を巧みに利用して、無報酬で覚せい剤密輸などの運び屋に仕立てる手口を、税関当局はそう呼ぶ。先月も、関西国際空港で運び屋の71歳の女が摘発された。いずれもナイジェリア人の男が口説き役で、標的は日本人女性。なぜ、だまされるのか。【酒井雅浩】
【37歳外国人に求婚され、恋愛のはずが…】覚せい剤密輸容疑で71歳逮捕
◇関空で71歳「運び屋」に
71歳の女は大阪市淀川区の無職、小岩貞子被告。先月8日、エジプトから帰国した際、税関の手荷物検査で、二重底にしたスーツケースの中から、覚せい剤約3.9キロ(末端価格約3億5200万円相当)が見つかり、覚せい剤取締法違反(営利目的密輸入)罪で起訴された。
摘発した大阪税関関西空港税関支署によると、小岩被告は、37歳のナイジェリア人の男に「結婚して」と口説かれて会いに行き、別れ際に男からスーツケースを持たされたと話した。「覚せい剤が入っているとは思わなかった。疑っていなかった」と否認しているという。
独身で、マンションに1人暮らし。5年前、近くに住んでいたこの男と交際を始めたが、男は間もなく帰国。昨年末に突然、男から電話があり、今年、誘われるままにエジプトのほか、ブラジル、セネガルに2度、アラブ首長国連邦と計5回、渡航したとされる。
「典型的なラブ・コネクション」。同支署の山崎政友次長は言う。「Love・Connection」は、直訳すれば「愛のつながり」だ。米仏間の麻薬取引ルートを描いた米国映画「フレンチ・コネクション」を思い起こさせるが、命名の由来は分からない。「現場の検査官の何気ない一言が広まったのかもしれません」
初摘発は00年で、全国で10件見つかった。しばらく途絶えたが、08年に7件、09年に4件が見つかった。10年は今回が1件目だ。摘発例に「被害」女性の年齢の偏りはないが共通するのは手口だ。
ナイジェリア人が仕事や留学を装い、長期間日本に滞在。アルバイト先、バーのカウンター、街角での道案内など、あらゆる場面で日本人女性との交際のきっかけを探す。演じるのは、まめで優しい男性。「きれいだ」「愛している」と、日本人男性はあまり口にしない「殺し文句」を駆使する。交際途中で「事情ができた」と帰国。しばらくして結婚をほのめかして呼び寄せ、女性が帰国する直前に「おみやげだ」「スーツケースを交換しよう」などと言葉巧みに覚せい剤入りの荷物を渡す--。
「冷静に考えれば分かる不自然さが、恋に舞い上がってしまうと感じない」と山崎次長は指摘する。「恋は盲目」を利用すれば、本人は中身を知らず、報酬目的とは違うため、日本入国時に運び屋の女性が挙動不審になりにくい。持ち込みに成功したら、改めて男側が接触して受け取ることができる。ナイジェリアから覚せい剤が持ち込まれる摘発例は多い上、国内で、ラブコネの手口が広まっているらしい。これまでに狙われた日本人女性は老いも若きもいるが、共通点は「孤独な人」(山崎次長)。日本人は外国人に親切な上、覚せい剤が高値で取引される国内事情もある。
では、身を守るにはどうすればいいのか。ラブコネは、荷物を持ち帰らせなければ成立しない。結婚を約束した相手でも、外国で渡されたものは受け取らないことを心がける。しかし、男は危険な組織の一員の可能性が高い。山崎次長は「断ってもしつこく迫られたら、受け取った上で出国手続きし、日本の知り合いに相談して」と呼び掛けている。http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101118-00000027-mai-soci